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2014.12.09 掲載 2022.06.13 更新

【2020年版】請求書の電子化 メリット・デメリット


請求書もしくは明細書の電子化で一番に思いつくのは、携帯電話やクレジットカードの利用料金ではないでしょうか。2005年に施行された「e-文書法」をきっかけに、Web上で閲覧できる方法に移行することを推奨する企業が増えています。

環境に配慮したエコという目的もありますが、企業の本当の目的はコスト削減です。請求書や明細書郵送に伴う郵送費や紙代・印刷代など月に数百万通も出す企業においては、一切なくなれば相当なインパクトです。
このようにコスト的にもメリットの大きい請求書や利用明細の電子化(もしくはWeb化)を検討している企業はBtoC、BtoB問わず多いのではないでしょうか。

e文書法」が2005年に施行されたことにより、法的にも紙で保存していなくても公的な帳票と認められることになりました。それにより、電子化は年々浸透してきています。

一見すると、電子化は良いことづくめで、かなり普及しているように思えます。ですが、実態は紙で送付している企業が圧倒的に多いのです。その理由をメリットとデメリットと共に解説していきます。(2020年2月23日現在) 

よくある請求書の電子化7つの方法

請求書を電子化する方法は、以下の7種類あります。

1.手動でPDF化、メール添付

自社でAdobe社などのソフトウェアを使用し手動でPDF化し、メール添付して各取引先に送信する方法です。手動のため相当な時間がかかるうえに、送信漏れ・誤送信の恐れがあります。 

2.自社で専用のシステムを構築し、自動で配信

自社で専用のシステムを構築し、取引先にメールで自動配信する方法です。自社専用なので利便性が高く工数も削減でき、手動と比較して人的なミスは少なくなるでしょう。反対に、独自にシステムを開発する必要があるため、構築コストと時間がかかります。 

3.自社で専用のシステムを構築し、専用サーバにデータを格納。取引先が専用サーバにアクセスし、データを取得

自社で専用のシステムを構築する方法で、請求書をメールに添付して配信するのではなく、セキュアなサーバを用意し、そこにデータを格納します。その後取引先の担当者が同サーバにアクセスし、データを取得します。誤送信がないのと、メール容量が重くならないことがメリットですが、取引先に協力してもらう必要があります。

4.クラウドサービスを利用し、自動配信

外部企業が提供するクラウドサービスを利用してメールで配信する方法です。システム構築や保守費がかからないため安価にできるのが特長です。一方で、メール容量が多くなるのがデメリットです。 

5.クラウドサービスの専用サーバにデータを格納。取引先がデータを取得

クラウドサービスを利用し、専用サーバにデータを格納します。そして、取引先が専用サーバにアクセスし、データを取得します。3と4のいいとこどりであると言えますが、データの保存費や基本料金といった固定費がかかることがあるため発行件数が少数の場合、割高になる可能性があります。

6.アウトソーサーを介し、請求書を配信

2または4をアウトソーサーが行う方法です。請求データをアウトソーサーに渡したら、その後の業務はアウトソーサーが全て管理運用します。紙での郵送がある場合などはデータを切り分けできるので有効な手段ですが、運用管理費が発生するため、5と同様に発行件数が少数の場合、割高になる可能性があります。

7.アウトソーサーを介し、専用サーバにデータを格納。顧客が専用サーバにアクセスし、データを取得

請求データをアウトソーサーに渡したら、その後の業務はアウトソーサーが全て管理運用します。データを専用サーバに格納し、取引先が専用サーバにアクセスすることでデータを取得します。

NOCのWeb請求書サービスはこれに該当します。
3または5をアウトソーサーが行う方法です。運用の流れやメリット・デメリットは6と同様です。 

電子化のメリットは最大80%のコスト削減

請求書を電子化することは、コスト的にメリットがあることは間違いありません。

NOCのWeb請求サービス担当責任者のMは、

「コスト削減が見込めるのは間違いありません。請求書発行業務のコストの約80%が配送費(郵便料金)です。これが全て削減される点では、相当なコスト削減が見込めます。

さらに見えないコストやリスクの低減にも大きく貢献できるというメリットがあります。誤封入の恐れ・郵送漏れも無くなりますし、封入作業の手間・投函の手間も省けます。到着時間も短縮できるので、取引先から『請求書がまだ届かない』といった行き違いが起こることも防げますね。

具体的な例として、請求書の一部を紙から電子化し、毎月2,000通を配信している通信事業会社様の場合、導入前に比べトータルで50%のコスト削減を実現しています。コスト削減だけでなく工数削減によるスピード化、ミス低減など業務全体のクオリティアップもできています。」

とその効果を挙げています。

一方で、実態として、

「請求書の電子化を検討する際、費用としてわかりやすい紙代・印刷費・郵送費のみと比較されるケースが多いのが現状です。Web請求サービスをご利用いただくためには、初期設定費やサーバ管理費やシステム利用料が必要です。「分かりやすいコスト」のみと比較してしまうと、どうしてもコスト削減の効果が薄いと判断されることが多くなってしまうのです。

見えない人件費の削減や管理業務の工数削減ができることを考えると、長期的にコスト面で大きなメリットはあるのですが…。」

請求書の件数や運用方法にもよりますが、請求書を電子化することで最大80%ものコストを削減することが可能です。まずは、請求書発送に関わる業務に、人件費を含めたコストが合計でどれくらいかかっているのか、洗い出してみる必要がありそうです。 

デメリットは電子化移行のハードルと情報漏えいの可能性

電子化ならではのデメリットは以下の通りです。

  • 取引先のメールアドレスを取得する必要がある
  • 取引先にのネット環境が必要
  • システム上でイレギュラー対応(締め日、差替え)ができない場合に作業が発生する
  • 電子化移行時に承認確認作業が必要になる
  • 情報漏えいの不安

このように、まずは電子化に移行する時点で大きな労力が必要になることがデメリットです。運営を開始した後は、イレギュラーへの対応に加え、情報をどのように取り扱うかということがポイントになります。 

BtoB企業の電子化の壁


NOCのMによると、

「特にBtoB企業では、請求先担当者のメールアドレスの取得や承認確認作業などの事前準備に思った以上に手間がかかるとおっしゃる方が多いです。

ネット関連の企業であれば、普段の連絡もメールという方も多く、心理的なハードルも比較的低いので導入しやすいと言えます。1,000件以上取引先をお持ちの場合、「わかりやすいコスト」以上のコスト削減が見込めることもあります。

大手であっても取引先数自体が少ないメーカーや卸の企業の場合、取引先の意向を気にすることが多いので、電子化を進めにくい傾向があると思います」

ということです。

このように、取引先の件数や業態によっても、請求書の電子化に対する難易度は違ってきます。 

請求書電子化の今後の課題

実は請求書の電子化の仕組みには、解決しなくてはいけない課題があります。請求書の電子化が、メリットがあるにも関わらず思ったように進まない原因は、その課題にあるのです。

1.請求される側にメリットがない

請求書を電子化することによりコスト削減できるのは、請求する側だけです。
請求される側は、データで受領しても結局は紙で出力する必要があるため、メリットがあるどころか逆に手間になっていることさえあるのです。

2.請求される側はデータ管理が難しい

冒頭でご説明した「よくある請求書の電子化7つの方法」の3・5・7のようなサーバ内にデータを格納する方法の場合、サーバ内の情報は請求元に依存しています。つまり、仮にサーバを止めてしまえば、請求先(取引先)は一切データを閲覧できなくなります。
そのため、請求先は紙で出力しておくか、ダウンロードし自社サーバなどに保存して管理しなくてはならず、メリットがあるどころか逆に手間がかかってしまうことになるのです。

3.請求書の真正性の確認が難しい

電子化した請求書の真正性を担保するには電子認証およびタイムスタンプといった技術が必要になります。
電子認証やタイムスタンプを有効な状態にするためには、あらかじめ取引先に信頼済み証明書として取り込んでもらうなどの手間が発生します。その作業により有効な書類として保存できなければ、送られたデータをそのまま申告等に使えず、今まで通り紙で出力し保管する必要があります。

4.管理画面が企業ごとに異なる

各企業が提供する電子化サービスごとに管理画面があるため、受け手側は管理画面ごとにIDとパスワードを入力してログインする必要があります、またそのIDとパスワードを管理しなくてはなりません。数社だけなら対応できるかもしれませんが、全ての取引先が請求書を電子化した場合、請求書を確認するだけでも膨大な作業が発生してしまうのです。

マメ知識!電子化した請求書は、どうやって保存しておけばいいの?

請求書を電子化するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。単純に紙の請求書をPDF化しただけでは、法律上認められるデータとはならないため注意が必要です。

ここでは、電子化した請求書の保存方法について解説します。
請求書を法律上認められる電子化データとして保存するためには、「税務署長の承認」「真実性の確保」「可視性の確保」の3つの要件があります。

◆税務署長の承認

請求書を紙から電子化データへの保存に移行する場合には、変更する3カ月前までに申請書を提出する必要があります。原則として、課税期間の途中からは適用できないため、移行時期に関しても検討する必要があります。

◆真実性の確保

電子化されたデータが改ざんされていないという証明のため、電子署名(誰が書類を作成したのかがわかる)やタイムスタンプ(いつ作成した書類かを照明する)が必要になります。また、紙のデータをスキャンしてデータ化する場合には、200dpi以上の解像度であること且つカラー画像(RGB256階調以上)である必要があります。

◆可視性の確保

電子化されたデータは、効率的な税務調査を行うために、以下の状態で保存する必要があります。

  • 検索機能がついている
  • カラープリンターやカラーディスプレイの用意がある
  • 国税関係の帳簿と関連付けられている

さらに、システムの関連書類を用意しておく必要があります。
これらの要件を満たした上で、電子化した書類を保存するポイントを解説します。

◆データ名に規則を作る

まずは、作成したデータにつける名称に規則(ルール)を作っておきます。例えば、タイトル(請求書など)・作成日(年の下2桁+月2桁+日2桁)・取引先名・作成者イニシャル、といった形です。2020年1月23日作成の日本商事株式会社向けの請求書で作成者は日本一郎の場合、「請求書 200123 日本商事株式会社 IN」となります。このようにルールを決めておくことで、後々のデータ整理や検索が容易になります。

◆事前にフォルダを作成しておく

効率化するために請求書を電子化しても、それがPCのどこに保存してあるかわからなければ、逆に探す手間がかかってしまいます。それを回避するためには、事前にフォルダを作成しておくことが効果的です。管理しやすい方法としては、フォルダを3階層まで作成し、その最下層にデータを入れる形です。
例えば、大分類に「請求書」、中分類に「2020年」、小分類に「1月」とし、小分類のフォルダの中にデータを入れていきます。
毎回フォルダを作成するのではなく、事前に必要となるフォルダを予測し作成しておくことで、迷子となるデータが生まれるのを防いでくれるのです。

◆データのバックアップを作成する

データを作成したら、必ず定期的にバックアップを作成するようにしましょう。データは物理的な場所をとらず管理ができる分、何のきっかけで消えてしまうかわからない怖さがあります。作成したバックアップをどこに保存しておくかに関しても、事前に決めておくといいでしょう。

◆専用のゴミ箱を作成する

必要ないと思ったデータを、個人の判断で右クリック・削除してしまうと、万が一そのデータが必要となった場合に確認できなくなってしまいます。そのため、フォルダ内にあるデータを削除する際には右クリックで削除をせず、フォルダ内に「ゴミ箱」フォルダを作成しておき、そこに入れるようにします。そうすることで、そのデータが後々必要になった際に役立ちます。
このように、電子化した請求書を保存するには、法律上認められる電子化データとして保存するための要件を満たした上で、どのデータがどこにあるのかわかりやすく保存する必要があるのです。

請求書の電子化が普及するためには


現状、請求書の電子化が思ったほど普及していないのは、実際に切り替える手間とコスト削減が見合わないと判断する企業が多いからです。

今後、請求書の電子化が普及するためには、少数発送でもコスト的メリットが出るスキームの確立や法整備、助成金・補助金などの支援、請求先にもメリットがある設計が必要になります。

なお、世界的な動向では、請求書電子化の普及はかなりのハイペースで進んでいます。特に公共部門での普及が進んでいるとのレポートもあり、日本も何かのきっかけさえあれば一気に普及する可能性もあります。
 
 

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ライタープロフィール

くもと編集

マーケター兼編集者
NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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