(公財)世界自然保護基金ジャパン(WWF)様
給与計算をアウトソーシングすることで、
社内の意思決定や制度化の速度が増した
提供サービス:人事,バックオフィスサービス(部門別)
インタビュー
パンダのロゴマークで有名なWWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)は、環境保全活動を行う国際環境NGOです。WWFジャパンでは、給与計算業務や社会保険業務をアウトソーシングすることにより、職員がより働きやすい環境や人事制度を考える業務に力を入れられるようになったとのこと。
今回は、NOCアウトソーシングの導入効果について、企画管理室 人事グループ長の玉井紫織様にお話を伺いました。
もくじ
1. 「人と自然が調和した未来を目指す」ことをミッションに掲げる環境保全の非政府組織
2. 脱・属人化やコスト削減のためアウトソーシングを導入
3. 派遣社員の続投ではなく、アウトソーシング化を決めた理由とは
4. バックオフィスが別にあるかのような安心感
「人と自然が調和した未来を目指す」ことをミッションに掲げる環境保全の非政府組織
― WWFジャパンについて簡単に教えてください。
WWFは、「人と自然が調和した未来を目指す」ことをミッションに掲げる環境保全の非政府組織(NGO)です。
設立当初の大きな目的は、アフリカでの野生動物の乱獲や生息地の破壊に始まる自然破壊を食い止めるためにスイスで1961年に設立され、現在では100カ国以上にネットワークが広がっています。日本では、1971年に世界で16番目のWWFとして創立されました。
― WWFジャパンでは、NOCのアウトソーシング(給与計算サービス)をどのようにご利用いただいていますか?
毎月の給与計算はもとより、年末調整や住民税の徴収、社会保険や労働保険の申請など、給与計算だけではなく、付随する関連業務を丸ごとアウトソースしています。
脱・属人化やコスト削減のためアウトソーシングを導入
― NOCの給与計算サービスにアウトソースして、どのような効果がありましたか?
直接的な大きな変化は、人件費の削減と社内でのチェックの負担が減ったことです。
NOCにアウトソースする前は社内で給与計算業務を行っており、派遣社員の方を1名給与計算業務の専任としてお願いし、さらにチェックのために職員を2名割いていました。
このときは、勤務開始時刻と終業時刻を職員がエクセルで手打ちし、担当者が集計する形で給与計算を行なっていました。ただそうすると、担当者がデータを転記する時にセルを間違えて入力したりと、ミスが起こりやすい状況になっていました。また、毎月プリントアウトしたものを原本として保管していたので、プリントアウトするためのコストや保管スペースも必要でした。
こうした部分が、NOCにアウトソースしたことで全面的に改善されました。2名必要だったチェック体制も、今は1名で問題なく回せるようになりました。
NOCでは、前月からの変更箇所にマーキングをしてデータを返してくれるため、確認の労力も相当軽減されました。おかげで、チェックのために割いていた時間をようやくコア業務に使えるようになっています。
― 職員の方にも何らかの変化がありましたか?
職員も、アウトソーシング後は勤務時間や残業時間を自己管理しやすくなりました。以前のエクセル入力の方法では、リアルタイムで勤務時間や残業時間の累計を確認することが困難でしたが、NOCにアウトソーシングすることで、職員がウェブ上でそれらを閲覧できるようになりました。そこで「今月は残業しすぎているから業務のバランスを取ろう」といった自己管理もしやすくなっています。
派遣社員の続投ではなく、アウトソーシング化を決めた理由とは
― 派遣社員の方を使用していたとのことですが、アウトソーシングを導入しようと思われたのはなぜですか?
考えるきっかけとなったのは、派遣社員の方が退職されたことでした。給与計算業務は全てその方にお任せしていたので、その方しか把握していないことが多く、引き継ぎが終わってからも非常に困ることがありました。また、給与計算業務のために1人確保することで、年間で数百万円という人件費がかかっていたのもネックでした。
さらに、アウトソーシングという形を選んだもうひとつの大きな理由がBCP(事業継続計画)です。BCPとは、もしも地震などの自然災害やテロ攻撃によって事業の継続が不可能になってしまったとき、早急に復旧するための計画です。人事に関連して、こうした状況下でも滞りなく職員に給与が支払われるようにしようということも、アウトソーシングを導入するきっかけとなっています。
― NOCのアウトソーシングを導入いただき、特にご満足いただけている点はありますか?
とても助かっているのが、必要な手続きに関して事前にアラートを出してくれることです。
例えば、引越しの届出が職員から出ているのに定期代が変更されていないときには、NOCの担当の方が気づいて連絡してくださいます。また、産前休暇に入る方がいることを前もってNOCにお知らせしたときには、適切なタイミングで「そろそろこういった書類を準備してください」というお知らせをくださったこともありました。
私たちが想定できていない漏れなどを最初の段階で指摘していただけるのは、とても助かっています。そうしたミスがなくなったことは、職員との信頼関係という面でも大きなプラスです。
― アウトソーシングによって、人事制度や給与制度にも変化が現れましたか?
制度を構想段階から実現化する速度がスピーディになりました。
WWFジャパンに限ったことではありませんが、NGOで働く人の多くは、何らかの実現したい思いを抱いています。そして私たち人事部は、そうした思いを実現するために全力で走れるようサポートしたいと考えています。
そのためには、給与制度の見直しや人事制度の整備が必要ですが、専門知識がないままに進めることは非常に危険なところでもあります。ただ、現在のWWFジャパンの規模で法的リスクや税務リスクまで社内で精査してからとなると、かなりの時間がかかってしまいます。
実際に、これまでも自社で給与計算業務を行なっていたときには、なかなか制度の見直しや整備に時間を割くことができていませんでした。しかしNOCにアウトソーシングできるようになってからは、制度の導入や整備のスピードがかなり上がりました。
例えば、最近導入した「出張時のベビーシッター手当」もそうです。WWFジャパンでは1週間以上の長期の出張も多いのですが、小さい子どもがいる職員ですと、ベビーシッター代が余計にかかることになります。
そこで、せめて半額くらいは会社から補助したいという話になったのですが、ベビーシッター手当をどの項目で支給すれば課税対象にならないかなど、社内で調べるのは手間がかかります。しかしNOCに相談すれば、社労士を含めたプロの目線から必要な情報をすぐに提供してもらえます。
構想段階でプロに相談できることで、準備すべきことや重要なポイントが分かり、効率よく進められるようになりました。
― アウトソーシング会社を選ばれるときの比較基準については、どのようにお考えだったのでしょうか。
給与計算業務はもちろん、社会保険業務もワンストップでお願いできることでした。以前は社労士と顧問契約を結んでおり、給与計算業務は社内で、社会保険業務については顧問社労士に依頼するという形でした。しかしそうすると、給与計算のデータとは別に労働保険や雇用保険の手続きを手配せねばならず、どうしても煩雑になっていました。こうした業務も全てワンストップで依頼できるかどうかが、一つの判断基準でした。
それから、将来的に給与計算業務だけでなく、それ以外の管理部門系の業務もお願いできるアウトソーシング会社を求めていました。当初は10社くらいアウトソーシング会社をピックアップし、検討した結果3社まで絞り込み、最終的にNOCに決めました。
バックオフィスが別にあるかのような安心感
― WWFジャパン様では、長期間にわたってNOCのアウトソーシングを導入いただいています。NOCの対応については、どのように感じられていますか?
細かいことですが、こちらからはメールで質問することもあれば、電話で質問することもあります。ただ、どんな手段で質問や相談をしても、後から振り返って探しやすいようにメールで回答してくださいます。将来的なこちらの手間もあらかじめ取り除いてくれているところに、細やかな気遣いを感じます。
また、今後はおそらく定年に達する職員が数多く出てくる予定です。再雇用を希望する人が多いので、給付金の算定をどうするかも決めなければなりません。ここもNOCの担当者に逐一相談して進めているところです。
例えば、一番給付金を支給するためには、月給と賞与をどれくらいの配分にすれば良いかとか。そういったところも、NOCを通じて社労士に実際に試算してもらって参考にしています。
育休や定年など、労務に関する法律もどんどん変わっていますが、なかなかリアルタイムで最新情報を追いかけるのは困難です。ただ、法律に沿ったものにしておかなければ違法状態にもなりかねません。そこを社労士にしっかりチェックしていただけるのは、安心感がかなり違いますね。
― WWFジャパン様の人事組織について、これからの展望をお聞かせください。
弊会の方向性として、女性や子育て中の職員に対して、仕事を減らして負担を軽くするのではなく、もっと働きやすくなるための支援をするという姿勢をとっています。職員が自由に活動できる場所を提供するためにも、これからもっと人事や労務に関する制度の整備に力を入れていきたいと考えています。
― 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン) : Webサイト
■企業情報
事業内容 | 野生動物の保護だけではなく、地球温暖化を防ぐ・野生生物を守る・森や海を守る・持続可能な社会を作るという4つの活動を柱にさまざまなプロジェクトに従事 |
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背景
勤務開始時刻と終業時刻を職員がエクセルで手打ちし、担当者が集計する形で給与計算を行なっていました。チェック担当も含め3名で実施していましたが、担当者がデータを転記する時にセルを間違えて入力したりと、ミスが起こりやすい状況になっていました。また、毎月プリントアウトしたものを原本として保管していたので、プリントアウトするためのコストや保管スペースも必要でした。
課題
・脱・属人化
・コスト削減
改善ポイント
・勤怠システムの導入による給与計算業務との連携
・給与計算に付随する業務をNOCに一括委託
導入の成果
・担当者が3人から1人に減少
・勤務時間の自己管理
・コア業務への集中
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