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事例紹介 - 詳細

SBS即配サポート株式会社様

50種類にもおよぶ配送依頼メールをRPAによって自動仕分け、年間3,000時間の労働時間削減を実現。

提供サービス:その他,ITサービス

インタビュー

SBS即配サポート株式会社は、主に1都3県を対象に、軽トラックを利用した小口荷物の配送などを行っている物流企業です。
配送事業におけるバックオフィス業務の生産性向上を目指し、RPA(WinActor)導入を主導した、管理本部 経営管理部 システム管理課 課長の工藤秀人様に、お話を伺いました。

もくじ
1. SBSグループの中核企業として、即配事業を展開
2. 「やってあげたい」という気持ちが仇となり、属人化と業務量を増やしていた
3. RPAに足りないのは、コンサルティングだと思う
4. 毎日300通のメール処理をRPAによって自動化。年間3000時間の削減に
5. RPA化の対象業務は、慎重に判断すべき

SBSグループの中核企業として、即配事業を展開

― SBS即配サポート株式会社について、ご紹介ください。

SBS即配サポート株式会社は、1都3県を対象とした即配事業を行ってきたSBS即配株式会社(1988年設立)と、環境事業、店舗用什器の輸送や組み立て、製造を行ってきたSBSサポートロジ株式会社(1992年設立)が、2015年に合併してできた会社です。トラック、鉄道、港湾による貨物輸送、倉庫、国際輸送から、物流不動産まで、あらゆる物流ニーズに応えることができるSBSグループの中で、配送事業を担う中核企業として活躍しています。

「やってあげたい」という気持ちが仇となり、属人化と業務量を増やしていた

― 抱えていた課題について教えてください。

当社では、業務の標準化に課題を抱えていました。
運送の仕事では、どうしてもイレギュラーなことが発生しがちです。でも、イレギュラーが発生するたび、困りごとが発生するたびに、現場では「やってあげたい」と思うわけです。
その結果、都度、現場の担当者たちは、自らの業務量を増やし、言わば、力技で「やってあげたい」を実現してきました。

気持ちは美しいのですが、本来担当すべきでない部署がその業務を担うなど、結果としては、属人化でなんとかしてしまおうという、良くない習慣ができてしまっていました。

後で述べますが、出荷依頼メールの仕分け業務は、その象徴でした。
24時間365日の出荷依頼受付体制を実現するために、担当外であるはずの、コールセンター、夜間勤務の業務担当者まで巻き込んでいましたから。

属人化と力技に頼る悪い習慣は、断ち切りたいと考え、生産性の高い業務の進め方を、仕組みとして実現する方法を模索していたのです。

― 業務改善の必要性が高まる、きっかけはあったのですか?

当社の即配事業は、BtoB、つまり企業間物流を行ってきました。
しかし、2018年頃から、新規のお客様からのご要望により、BtoC、つまり個人宅への配送を開始しました。

BtoB配送と、BtoC配送では、さまざまなことが異なります。
例えば、企業にお荷物をお届けする際には、不在ということは、ほとんどありません。しかし、個人宅への配送の場合、不在持ち帰り、そして再配達は、たびたび発生します。
お届け先となるお客様からの、配達時間に関するお問い合わせも、BtoC配送のほうが、圧倒的に多くなります。

当社でもコールセンターは構えていますが、BtoB配送しか行っていなかったときには、「荷物を取りに来て欲しい」という集荷依頼の電話がほとんどでした。
しかし、BtoC配送を開始し、配達時間の問い合わせが入るようになってから、入電の数が爆発的に増大し、電話回線がパンクするような事態にまで陥りました。

私が入社したのは、2017年なのですが、入社後すぐに手掛けたのが、荷物追跡システムでした。このシステムも、BtoBには対応していましたが、BtoCには対応していなかったため、コールセンターが、BtoCの対応もすべて行わなければならなくなっていたのです。

結果、BtoBの配送対応にも支障が出るようになってしまいました。

新型コロナウィルス感染予防のためマスク着用で取材に応じる工藤様

RPAに足りないのは、コンサルティングだと思う

― そういった経験が、RPA導入につながったのでしょうか?

もともと、RPAには興味がありました。
良い機会でもあったので、10社くらいに声をかけて、RPAに関する提案をもらったのですが。

他社の提案は、RPAによる自動化ありきであり、自動化の対象となる業務の評価はないがしろにされていたように感じました。

「スモールBPR※をやりましょう!」と提案してきたのは、FOCだけでしたね。他社の提案とは、違っていました。

RPAを提供する側に欠けているのは、コンサルティングではないでしょうか。
FOCには、それがありましたね。

※BPR(Business Process Re-engineering)
一般的な「業務改革」とは異なり、組織/制度の見直しも含めて、業務プロセスの最適化を図る手法。

― 他社の提案には、コンサルティングは含まれていなかったのでしょうか?

私は、現場の要望をそのまま自動化するのはよろしくないと思っています。
属人化していて、標準化もできていないような生産性の低い業務を、そのまま自動化しても、「属人化と力技に頼る習慣を断ち切り、生産性の高い業務の進め方を、仕組みとして実現したい」という目標は達成できません。

As-Is(現状)の業務を由とするのではなく、業務プロセスにRPAを組み込む機会に、To-Be(あるべき姿)な業務の姿を描かないといけないと思います。

FOCが提案してくれた「スモールBPR」というキーワードには、私の理想をともに実現してくれるという可能性を強く感じました。

― ありがとうございます。工藤様がRPAでチャレンジしたいことは4つありましたね。

はい、そうです。

1.受信メールから、出荷依頼情報を取得し、RPAで仕分けすること。
2.協力会社の荷物追跡システムWebサイトに、RPAでアクセスし、当社が出荷依頼した荷物の配達状況情報を取得すること。
3.Excel、Accessなどの、Microsoft Officeに対する操作の自動化。
4.基幹システムに対し、これまで手作業で行っていた入出力作業を、RPAによって自動化すること。

この4つですね。

― 結果はどうでしたか?

美しくまとまっていましたね。想像以上によくできていました。

― ありがとうございます。

毎日300通のメール処理をRPAによって自動化。年間3000時間の削減に

― RPAによる出荷依頼メールの自動仕分けについて、詳しく教えてください。

当社では、「出荷依頼メールのデータ形式については、どんなものでも受け入れる」ことを、モットーとしています。大手運送会社では、配送伝票を指定するケースが見受けられますが、当社では、どんな形式の、どんな伝票であっても、受け付けています。

この柔軟さは、競合他社にはない、当社の強みです。
しかし、トレードオフとして、業務負担は増加します。

対象となる出荷依頼メールは、1日300通くらいありました。

RPA導入前は、メールを一通ずつ、目視で確認し、指定されたフォルダにダウンロードしていました。フォルダに収納した後は、自動的に基幹システムに取りこむことができるのですが、この仕分け作業が負担でして…

夜間は、夜勤業務の担当者が行い、土日祝祭日は、コールセンターで、仕分け作業を行っていました。
24時間365日、休み無しです。

添付ファイルも、Excelファイルがそのまま添付されているものもあれば、圧縮されていることもあります。圧縮ファイルにパスワードが掛かっていることもあれば、Excelファイルにパスワードが掛けてあるものもあります。
また、送信元となるメールアドレスのドメインが同じなのに、会社が異なるケースもあり、出荷依頼メールの仕分け処理は、人が判断せざるを得ないものと思い込んでいました。

しかし、FOCは、この複雑な仕分け処理を、見事に標準化してくれました。

最終的に完成したRPAでは、複数の分岐処理を経て、50以上のフォルダに分けて収納するようになりました。このRPAによって、年間3000時間相当の工数が削減できたことになります。
もちろん、イレギュラーはあります。それもRPAで判定してもらい、人が対応することにしました。以前のように、24時間365日、人が待ち構えている必要はなくなりました。

この処理を行うRPAが、たった2ヶ月で完成したことには、驚いています。

正直に言えば、「これはRPAでは無理じゃないかな…」と、当初は思っていました。
「RPAに、複雑な判断を任せるのは不可能である」と言うのが、RPAの常識だと思っていたからです。

ですが、できましたね!
「判断できるじゃないか!?」って、驚き、感心しました。
FOCには、出荷依頼メール自動仕分けに関する、制御テーブルを作ってもらいました。この制御テーブルのおかけで、この先、新たな出荷依頼元(荷主)が増えても、私どもの方で、FOCの手をわずらわせることなく、仕分けルールの増加/変更/修正に対応できるようになりました。

SBS即配サポート社における、出荷依頼メールの仕分けRPA 処理プロセス

他にも、代引や再配達、荷物追跡など、さまざまな業務をRPA化してもらいました。
どれもとても良くできていて、感心しています。

SBS即配サポート社において、作成したロボットの一覧

RPA化の対象業務は、慎重に判断すべき

― 今後、RPA化を考えている業務はありますか?

当社は、即配事業だけではなく、産廃事業、店舗用什器の製造、在庫管理、配送設置なども行っています。
今日までRPA化を行ったのは、即配事業の業務ですし、それもごく一部でしかありません。

― となると、RPAの活用は、今後も拡大していく予定ですね。

はい。
でも、無理に拡大する必要はないと、今は考えています。
以前は、どんどん拡大したいと考えていたのですが。

RPA化は、効果が見込める業務にフォーカスして行っていきたいと、今では考えています。人が行うべきなのか、それともRPAに行わせるべきなのか、それも、きちんと見極める必要がありますし。
また、継続性のない業務をRPA化しても、無駄になってしまいますしね。

どちらにせよ、こういった判断は、現場に任せるつもりはありません。
内容を慎重に検討し、判断していくつもりです。

― ありがとうございます。

― 最後に、FOCに対して、何かリクエストはありますか?

FOCの担当者は、本当によくやってくれて、感謝しています。
当社のことも、よく理解していただいていますし、今後も末永く、お付き合いしていただきたいと思っています。

― 取材にご協力いただき、ありがとうございました。

SBS即配サポート株式会社 : Webサイト

■企業情報

資本金 1億円
従業員数 599名(うち正社員380名、2019年12月末現在)
事業内容 1都3県を対象とした即配事業。産業廃棄物の収集、処理、リサイクルなどの環境事業。店舗用什器の輸送、設置組立、製造などのKR事業。

背景

事業拡大に伴い、配送事業における、出荷依頼受付を始めとする業務処理に大きなマンパワーを要していました。
業務の自動化を図るにあたり、RPAを売るだけではなく、BPRまで踏み込んだ、RPA導入を提案したFOCに、ご用命いただきました。

課題

・BtoC配送の開始に伴う、業務量の増大を解消すること
・現業をそのまま自動化(RPA化)するのではなく、BPRも並行して行うことができること

改善ポイント

・現場業務の分析を伴い、業務改善を伴うRPA導入
・属人化していた業務を、標準化した上で、RPA化実施

導入の成果

・年間3000時間相当の工数削減
・2ヶ月という短期間で、RPA化を実現
・今後、RPA化対象となる業務を拡大していく上でのポリシーを明確化

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