担当者がいない中小企業はIT環境の整備や人材確保をどうするべきか?

progressこの10年のIT環境の変化は、ビジネスの在り方を大きく変えました。中小企業でもITを活用して業務効率や営業効率の向上、コミュニケーションのスピード化、セキュリティ向上といった環境整備を積極的に行うようになっています。一方、そのための人材を確保できずに、変化に対応できない企業もまだまだ数多くあります。

2014年4月のWindows XPのサポート終了対応でも、直前になって動き始めた企業や今でも移行できない企業もいまだに多い状況です。ウィルスに侵されたPCを使うことで自社だけではなく、関係取引先にも多大な損害を与える可能性もあることに想像が至らない企業も多いのではないでしょうか。本来であれば、IT担当者がリスクを予測し、予算組みからPC入替えプランも立て、回避しなくてはいけないことなのです。

IT担当者を確保できることに越したことはありませんが、IT担当者が採用できないイコール環境整備ができないといった思考停止にならず、中小企業においては特に、経営者自身の環境整備への理解と外部リソースの活用が重要になります。

 

■データでみる中小企業のIT担当者の実態

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中小企業庁が公表している2013年度版中小企業白書の「ITの活用に関するアンケート調査」によると、中小企業のIT担当者の人員確保は「やや不足している」「とても不足している」との回答が多く、総じて不足していることがわかります。「十分に確保されている」が3~4%を踏まえると、中小企業のIT担当者は、ほとんどが兼任もしくは0人という企業が多いと推測できます。

「理由は、人材が採用できない、人材はいてもスキルノウハウがないなど、様々な理由が挙げられますが、本音はそうは言っても、“専任の担当者をおくほどの仕事が与えられない”“それだけのコストをかけられない“というのが実情でしょうか。」と、ITサービス担当グループリーダーのYは言います。

また、同じ調査結果において小規模事業者は、「IT人材を必要としていない」と回答する割合が32.9%もあります。小規模ゆえ経営者自らが担当であるからか、そもそも重要性を理解していない可能性が考えられます。いずれにしてもIT環境の整備はコア業務ではなく兼任でも事足りてしまっているということが推測できます。
※小規模事業者の定義はコラム最後の参考資料をご参照ください。

Yは、「IT担当者がいることは環境整備へのアドバンテージではありますが、いるから安心ということでもありません。単にIT担当者がいても“何もできません”という状況も見かけます。むしろ経営者がきちんと目的を明確にしたうえで“IT環境整備する”と、意識をすることが重要です。自社が成長するにあたり、どういった戦略をとり、その手段としてITをどう活用するかを経営者自身がしっかりと理解したうえで、実行する人材の配置を考えるべきでしょう」

 

■中小企業のよくあるIT担当者の任命ケース

よくあるケースが多少PCやネットに詳しい社員が任されます。ただし、任命される社員は当然ながら本来の業務を持っている社員です。

任せられた本人も“IT管理”という業務がどういう事か判らないので、社員が困っている時の手助けぐらいのイメージでしかありません。そして、往々にそういう任命は業務が多忙ではない時期に行われたりします。(←ここがミソです。)

業務が多忙な時期ではなければ問題なく社員からのヘルプ要請にも対応できるでしょうが、いざ繁忙期に入ると当然ながら自分の業務を優先しますので、IT管理業務が疎かになります。

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ここから悪循環が始まります。
対応が悪いと社内で噂が広まります。両立しようと無理をします。しかし自分でできる業務には限界があります。本来の業務ではないIT障害が放置されます(任命された時点で本来の業務ではあるのですが・・・)。
結果、モチベーション低下で退職することになってしまう。

極端なケースですが、経営者がIT管理業務自体をイメージできていないため、IT担当者に必要以上の負担がのしかかってしまいます。業務量や重要性を明確にしないまま、PCやネットに詳しいということだけで兼任させてしまうと、結局、IT環境は整備できない、大事な人材が退職してしまうというような事態になってしまうかもしれません。

 

 ■現実問題としてどうするか

中小企業においては、適任者がいない限り、外部リソースを活用し、その提案や施策を経営者が判断・評価し差配するやり方が最適な手段です。

外部リソースとは、ITコンサルやベンダー企業、アウトソーサーです。彼らから最新のIT情報を収集することができ、自社にあった環境を設計することもできます。さらには実運用も依頼することできるため、IT担当者を必ず配置する必要がなくなります。

しかし、大前提として、外部リソースの言いなりにならないように、管理する人員は配置する必要はあります。それが経営者自らなのか、総務と兼任の担当者なのかは企業のよって違ってきます。

外部リソースは自社から見れば他人です。どんなに親密になっても、メリットがなければ協力してくれません。また、判断業務をも外部リソース任せにしてしまうと、必要のないサービスやシステムを導入させられたり、通常より高いコンサル費を支払わされる可能性もあります。それを避けるためにも社内の人間がきちんと管理し判断することが重要です。

一般的にはIT担当者を社員として配置すべきだと言われますが、中小企業にとっては現実的には難しいことです。消去法のようになりますが、判断業務は社内に残しつつ、外部リソースを活用することが結果として最適な体制になります。

それでも、外部リソースへの月々支払う費用を負担と感じる企業もあるかもしれません。これはIT環境の整備を単なるコストと考えるか業務の生産性をあげる手段とし投資と考えるかで大きく違いがでます。

ITを単なる文書作成や情報収集などのツールとしてではなく、効率化・業績向上の業務基盤の一部として考えられればコストではなく投資として予算を投入できるのではないでしょうか。

どんなに高く、性能の良いハードウェア/ソフトウェアを導入しても、従業員の管理と教育と同じで保守運用ができなければ本来のパフォーマンスを発揮できません。

IT環境を整備するとは、ハードウェア/ソフトウェアを導入することだけでなくIT管理担当という人も整備するということなのです。

 

参考資料
※中小企業の規模の定義 中小企業庁 「2014年版中小企業白書」より加工

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ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」