法人でスマートフォンを導入する前に理解しておきたい5つのポイント プラスBYODについて

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ビジネスユースでスマートフォン(以下スマホ)導入を検討する企業が年々増えています。
携帯電話(ガラケーやPHS)よりも情報参照が簡単ですし、オフィスに戻らなくても仕事もできるという点が主な理由のようです。

たしかに「ワークスタイルの変革」「ビジネスのスピードアップ」を促進するツールであることは間違いないのですが、この期待だけで導入を進めてしまうと「そうでもなかった」「逆に携帯電話より使いづらい」といったことにもなりかねません。

実際に、ある企業では、スマホを希望する社員に貸与したところ、使いづらいなどの理由で1年後には15%の社員が携帯電話に戻ってしまった、いう事例もあります。

今回は、ビジネスユースでスマホの導入すべき否か、知っておくべき判断のポイントをご紹介します。

 

■導入時の知っておきたい5つポイント

スマホは簡単に言えば、通話のできる小型PCです。そのため、携帯電話の進化版ぐらいのイメージですと、操作やセキュリティ、耐久性の面で「やっかいなツール」になり下がってしまいます。以下、5つのポイントを総合的に考えて、導入の検討を進めましょう。

1.活用しやすさについて
2.セキュリティについて
3.コストについて
4.配布前の準備について
5.管理運用について

 

1.活用しやすさについて

スマホは、「携帯電話に比べ便利そう!」と考えがちですが、これは個人的に使用してのイメージであることが多く、過剰な期待と勢いだけで導入が進んでしまうことがよくあります。ビジネスで使用するとなると、様々な制限がかかるため、どう活用するかをきちんと想定していないと、重いだけの「携帯電話」になってしまいます。

制限とは、使用できるアプリやアクセスできるサイトについてです。会社としては、社員が際限なく私用で使うことを防いだり、情報が漏えいしないように様々なセキュリティをかけます。このように私用を制限したり、セキュリティを重視すればするほど、スマホとしての活用しやすさは狭められます。

例えば、ID/パスワードです。金融系企業A社では、取扱う情報が機微なため、セキュリティを厳しくしています。営業マンがスマホを使う場合、まず、スマホを使用するためにID/パスワードを入力し、次にオフィスの自分のPCにアクセスするためのID/パスワードを入力、その後PCを使用するためのID/パスワードを入力します。さらにグループウェアを確認するためには、ログイン用のID/パスワードを入力します。当然、全て違うIDとパスワードです。

A社は、これだけの入力が必要であっても、セキュリティリスクと営業面でのメリット・デメリットを鑑み、スマホを導入していますが、全ての業種業態の企業で、現実的にこれを「良し」、とすることは考えられません。

また、会社内の既存システムとの連携がほぼ必要という点も要注意です。既存システム(例えばグループウェア)はPC用に開発しているものも多いため、きちんとスマホの画面に変換されるかチェックしたほうがよいでしょう。もし変換されなければ、文字入力や情報の視認性が大きく損なわれます。クラウドシステムであってもスマホ対応は別費用がかかるケースもあります。

スマホと同じようなツールにタブレットがあります。タブレットであれば、営業資料をデータ化し、単独で活用することもできますが、スマホは会社のシステムと連携して価値が出るものです。

それと、意外に多いのが、“スマホを普段使わない人をどうするか”です。スマホの操作に慣れずに、かたくなに携帯電話しか使わないという人は必ずいます。電話のかけ方もわからない人も必ずいます。個人使用のスマホ普及率は、内閣府や様々なリサーチ会社が公表しているデータを参考にすると、2014年で40~50%とのことです。若干クセのある結果でもありますが、モバイル(携帯、スマホ含む)の普及率が90%超えていることを踏まえれば、まだまだ携帯電話を使用している人がいるということは忘れてはいけないと思います。
つまり、目的も明確でなく、流行りだから導入してしまうと思わぬ抵抗にあうかもしれないということです。

 

2.セキュリティについて

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スマホの導入で、紛失盗難や社員の私用による情報漏えいが、一番懸念されることです。携帯電話は最悪、電話帳や携帯電話上でのメールデータの漏えいですが、スマホは、会社のシステムと連携しているため、その他の重大な機密情報の漏えいの恐れがあります。

現在、携帯電話を貸与している企業は、紛失盗難時のルールをきっちり決めず、ある意味“社員任せ”ということが多いのではないでしょうか。スマホの場合は、引き出せる機密情報が多くなるため、紛失盗難、故障時の明確なルール化が必須になります。

例えば、トラブルが発生したら、まず会社の総務担当者や情報システム担当へ連絡し、遠隔操作でスマホ自体を使えなくしてしまうようなフローを徹底させるなどです。
貸与しているスマホを帰宅時にも携行させるのであれば、24時間365日トラブルに対応できるような体制が会社側にも必要になるかもしれません。

また、携帯電話では気にする必要もなかったことですが、特にAndroidはセキュリティソフトのインストールは必須です。iPhoneは、厳格なアプリ管理と機構上、不正なファイルが勝手にインストールされる危険が低いのですが、今後も安全だとはいえません。一部のアンチウィルスソフトを提供している会社からはiPhone用のセキュリティソフトも提供され始めています。

 

3.コストについて

コストについては、通信費と機体自体の費用の2つの観点が必要です。

通信費は、基本的に携帯電話に比べ、スマホのほうが料金がかかります。各キャリアとどういった内容で契約をするかも重要です。データのやり取りが多いのであれば、パケホーダイが基本になりますが、通話がメインであれば、無料の通話アプリを使用するのもコストを抑えることにつながります。また、数千台のスマホを導入するのではあれば、キャリアごとに貯まる「ポイント」で、料金を相殺するような工夫も必要です。

機体自体の費用は、最新鋭の機体を選択しない限り、大量購入であれば思った以上に安く調達できます。問題は、スマホは携帯電話に比べ故障率が高いという点です。

メーカー系企業B社では、3,000台貸与し、「故障した」「落して画面が割れた」「失くした」などの理由で1ヶ月に7台の代替機の申請があったそうです。原因は初期不良のほか、普段の雑な扱い方もあります。“自分のものではないスマホ”は、雑に扱われることが多い傾向があるようです。

数台の代替機は、まとめて購入した最初の料金とは違い、当然それなりの金額がします。代替が多いということは、それだけ費用負担が多くなるということです。

 

4.配布前の準備について

見逃しがちなポイントです。社員が使用できるまでは、GoogleやAppleのID登録、アプリのインストール、そのアプリのID登録、アンチウィルスソフトのインストール、様々な使用制限の設定、必要であればMDM(Mobile Device Management:スマホ端末管理ツール)などのセットアップ作業が必要になります。1台ならともかく総務担当もしくはシステム担当者が全社員のスマホの設定をするのは相当な労力です。

また、これらの事前準備は契約したキャリアや調達先では基本サービス範囲外であることが多いです。つまり、基本的に自社で事前準備を行うことになります。

アプリについては、どんな制限を持たせるか事前に決めておくことが必要です。極端な例では、ブラウザアプリは使用不可、勝手なアプリのインストール不可、電話帳とLINE、地図アプリだけしか使えないという企業もあります。

 

5.管理運用について

貸与して終了とはいかず、トラブルやセキュリティ管理は必要です。必要であれば、MDMの導入、操作が苦手な社員に対しての教育やヘルプデスク運営も必要になります。ただ、実際は24時間365日、厳密に管理しなければいけないことではないため、就業時間内や月末の通信費の精算のタイミングなどを重点的に管理できれば良いかと思います。また、保守運用を代行してくれるアウトソーサーを活用するのもひとつの手段です。

 

■BYODについて

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スマホ導入において、「BYOD」というワードを聞くことがあります。BYODとは、個人用のスマホをビジネスでも使用できるようにすることを言います。しかし、きちんとした定義やルールが世間的に確立されておらず、理想のBYODのあり方というものがありません。この発想自体、企業のコスト削減と、社員の「2台持ちが嫌だ」という声からひろまりつつある“活用のあり方”ですが、いまいち導入は進んでいません。

理由は、会社側、社員側双方にあります。会社側は「管理されていない機器で社内システムを利用された場合のリスクが怖い」と考え、社員側は「会社のために個人の端末を提供するのが嫌!(仕事のためにパケット使い、パケット制限がかかってしまう)」と考えるからです。また、社員にとっては、就業後でも会社に縛られるイメージが強くなるのもBYODが進まない理由になっています。

一方、実際にBYODを導入している会社も存在しています。広告関連のC社は、社員に対して、会社と社員双方のメリット、デメリットを説明しているようで、例えば、「浮いたコストをどこに還元するのか」をきちんと説明をし、理解と同意を求めているようです。

 

■スマホは活用の仕方で強力なビジネスツールになる

携帯電話より手間がかかる、情報漏えいなどのネガティブな要素もありますが、ネットに繋げられる点はもとより、地図アプリ、LINEなどのチャットアプリ、名刺管理アプリ、営業資料のデータ化、社内システムとの連携など、活用の仕方さえ間違えなければ強力なツールであることは間違いありません。

ネガティブな情報や面倒な情報が多くなると、導入検討中止ということもあるかもしれません。これを逆手にとり、スマホ導入をきっかけに会社側の管理方法の改革、使用する社員の教育を行い、これからのネット社会に対応するために会社・社員双方のリテラシーを高めるということもよいかもしれません。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」