経理の業務効率化を図る。具体的な方法や効果について解説

経理業務の大半は同じ作業の繰り返しであり、効率化を図ることは決して難しくはありません。一度効率化に成功すれば、従業員の負担とコストを大きく削減できる可能性があります。経理業務の効率化を図る具体的な方法とそれに伴う効果について解説します。

 

業務効率化の必要性

経理業務は企業経営において欠かすことができない業務ですが、直接売上や利益を生み出すことはありません。 ではなぜ、経理業務の効率化が必要なのでしょうか?その理由について考えてみましょう。

正確さや付加価値の向上

経理業務では、決算書の作成や税務申告、従業員への給与の支払を行います。これらの業務では間違いは許されません。しかし業務効率が悪く、担当者の作業負荷が大きい状況ではミスが発生する確率が高まります。そのため正確さを向上させるためにも経理業務の効率化は必須です。 また記帳や単純なデータ入力だけでなく、コスト削減や経営コンサルティングなど、付加価値の高い仕事が今後の経理には求められます。そのためにも業務効率を改善し、目の前の作業以外にも行える余裕を作る必要があると言えるでしょう。

人材不足やリスクへの対応

経理業務は簿記などの特殊な技能を持っている人材が必要な仕事であり、経理業務が行える人員は常に確保しておかなければなりません。そのため、経理の人材はどの企業も不足しがちです。 また担当者が退職した場合、経理業務ができる人間がいないと作業が滞ってしまったり、他の部署の従業員や経営者・役員が経理業務を行わなければならない状況が発生するかもしれません。このようなリスクへの対応を、企業は常に考えておかねばならないでしょう。

 

業務効率化のメリット

業務効率化を行うことで、実際にどのようなメリットが発生するのかを解説します

負担やコストの削減

経理業務が改善されることで真っ先に考えられるメリットは、経理担当者の負担とコストの削減です。前述の通り、経理担当者は経理の仕事が少ない状態でも常に確保しておかねばならず、固定人件費がかかります。 また効率が悪いワークフローを組んでいると作業者の負担が増加します。特に必要最低人数で回しがちな経理の仕事において、担当者1人1人に多大な負担がかかる可能性が高いのです。 業務効率化を行うことで経理人員の削減と1人あたりの工数を減らすことができれば、コストと作業負荷を削減できます。

正確な情報による経営判断

経理業務は日々の売上や一定期間内の収支状況をまとめる役割をもちます。そして経理の情報により経営者は経営判断を下すこともあるでしょう。そのため経理の仕事は正確でなければなりません。 また決算書の作成などをはじめとした経理業務を迅速に行えるようになると、それだけ経営者に会社の情報が素早く伝わるようになります。経営方針の決定や問題点の洗い出しもその分早く行えるようになり、企業全体の利益につながるはずです。

 

業務効率化のポイント

実際にどのようにして経理業務を効率化していけば良いのか、考え方のポイントについて解説します。

会計ソフトやツールを導入する

データを紙から電子に移行する会社は、インターネットの普及とともに加速的に増えています。電子データは、会計ソフトやエクセルのようなツールを使って管理することで効率化を図ることが可能です。 エクセルや会計ソフトは、入力をミスした際にそれを指摘してくれる機能があり、正確さを担保することができます。文字のクセによる読み違いもなくなり、共有する場合にはデータを送信するだけなので楽になります。 経理に使えるソフトを導入することで業務効率は飛躍的に向上します。

情報を一元化して管理する

部署ごとに経理情報を管理するなど、情報の管理が各所に分かれていると、決算書の作成などにあたってデータの共有からはじめることになり、時間がかかります。またデータの行き違いやミスがあったときに見つけにくいというデメリットも発生するでしょう。 データは経理部門の元で一元管理することが望ましいと言えます。あるいは、社内全体で共有できる経営ソフトなどがあると、データの可視化も容易になるため、いちいち問い合わせる必要などがなくなりタスクが軽減します。

ミスが発生しない環境作り

お金の流れを管理する業務のため、小さなミスも許されません。そのため経理業務は非常に神経を使います。 ミスを恐れて作業が遅くなったり、担当者に心的負荷がかかり潰れてしまうケースも考えなくてはなりません。大切なのはミスが発生しない環境作りと、ミスの発生を許容できる雰囲気作りです。 複数人体制のチェックやITツールの導入に加え、ミスが発生したとしても責めすぎないよう、管理者に対する教育を行いましょう。

 

経理業務の自動化について

経理業務のタスクをもっとも軽減する方法は、自動化してしまうことです。近年では、RPAが注目を集めています。 経理業務の自動化で得られるメリットや自動化できる業務の種類、自動化のポイントについて解説します。

RPAとは

RPAは「Robotic Process Automation」の略で、一言で言えばコンピュータの導入によって工程を自動化してしまうことです。 RPAはAIとは違い、あらかじめ入力されたルールに基づき、同じ行動を繰り返します。これによって、何千件ものデータの入力や報告書の作成などの単純作業を自動化することができるのです。

自動化で得られる効果

業務を自動化することによって得られるメリットとしては、まず人的負担の軽減でしょう。今まで人間が手がけていた部分が全て自動で行われるため、人件費の削減や人手不足の解消に役立ちます。それに関連して経理業務に充てていた従業員を他の部署へ回すこともできます。 また機械が作業を行うので、単純作業については人間の手で行うよりもはるかに正確に早く行えるようになります。

自動化できる業務

自動化できる業務としては、単純な作業を繰り返すものです。伝票データの入力や報告書の作成、帳簿類の発行などが挙げられるでしょう。そして間違いがあれば通知が管理者に対し届くようになります。 ただし、全ての業務を自動化できるわけではありません。RPAはこまめにルールが変わるような作業には向かないため、顧客の細かいオーダーに対応するためや、トラブル処理のためには最低限の人員は必要です。

自動化の前にすべきこと

自動化を行うための準備についても確認しておきましょう。 まずは、何を自動化すべきなのか、業務内容の洗い出しを行います。RPAやAIを利用したとしても、全ての業務が自動化できるわけではありません。同時に、人がやるべき業務についても自動化に合わせて検討していきます。 次に行うのは自動化ツールの選定です。自動化といってもさまざまな種類のものがあり、自社に最適なものを選ばなければなりません。中には大きなコストがかかってしまうものもありますので、ツールと業務のすり合わせも必要です。 そして最後に、業務改善の意識について従業員と共有することが求められます。自動化によって浮いたリソースをどのように使うのか、評価方法や仕組みは変わるのかといったことを経営者・役員で決定し、従業員に伝えましょう。

 

経理代行について

自動化がすぐには難しいという場合や、あるいは自動化の一助として役立つのが経理代行サービスです。どのようなサービスを提供してくれるのか、また利用するメリットや代行業者の選び方について解説します。

経理代行のメリット

経理代行のメリットとして、自動化と比較しながら解説します。 自動化と同様のメリットは、人的負担の軽減とコストダウンです。経理代行スタッフが不足に応じて作業してくれるため、退職リスクや担当者不足に悩む必要はなくなります。経理担当者の教育費や社会保険料が不要になるため、人的コストのダウンにも期待が持てるでしょう。 自動化よりも優れている点としては、経理業務の経験と知識の豊富な人員による、業務改善の提案を行ってくれることです。経理代行会社の紹介によって最新のツールなどを導入することもあります。

依頼できる業務

経理代行で依頼できる業務は、経理に関する業務全般です。給与計算や記帳代行、請求書の発行や掛金の管理、はては決算業務など多岐に渡ります。 ただし、全ての経理代行会社がこれらの業務を引き受けられるわけではありません。決算書の作成には専門的な経理知識が必要ですし、税務申告の代行は、法律上税理士のみが行えることになっています。 これらの資格を持つ専門のスタッフが在籍していないと受けられない業務があるという点については覚えておきましょう。 また、業務改善や人材育成、経営マネジメントなどのより高度なサービスを提供している経理代行会社もあります。

代行業者の選び方

経理代行を行ってくれる事業者には色々なタイプがあり、同じ作業でも費用はまったく異なります。代行業者を選ぶ場合に注意したいのは、費用の安さによって選ぶべきではないということです。 代行業者の中には、作業単価を抑えるために東南アジアの会社に依頼し、現地のスタッフに作業をさせている場合や、専門性のない派遣社員を起用している場合もあります。専門のスタッフと比較すると正確性や速さに欠ける場合も多いのです。 単純作業であれば単価で見ても良いかもしれません。しかし正確で高度な業務を依頼したい場合は、多少高額になっても専門性の高いスタッフを雇い入れている代行業者を選ばなければ、自社のニーズに応えられない可能性があります。

 

まとめ

経理業務の自動化には国内外のさまざまな企業が取り組んでいます。自動化を行うことで作業負荷の軽減や、本来注力すべき業務にリソースを注ぐことが可能になるでしょう。 ただし、自動化によって完全に業務と人間を分離できるわけではありません。トラブルへの対応や管理のためには、人間の管理者は最低限必要です。 また、経理業務に課題を抱えている場合は経理代行業者を利用するという方法もあります。専門性が高く、プロの資格を持つ人員を揃えた業者に依頼すれば、業務の正確性はもちろん、業務効率を上げるためのコンサルティングを受けられるので、積極的に活用しましょう。

 

 

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ライタープロフィール

本山 シーエン

本山 シーエン

現場支援型コンサルタント

税理士事務所時代の経験をもとに、インターネット関連の会社で財務会計ソフトの開発と販売を通じて中小企業のバックオフィス業務をサポート。現在も「インターネット活用が中小企業の成功のカギ」を信念に現場支援型コンサルタントとして活動中。