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2015.12.01 掲載 2022.07.14 更新

会計ソフトの選び方「実は機能的な違いはほとんどない?」

会計ソフト導入に悩む

筆者は、以前会計ソフトの開発や販売に携わっていたことがあります。そういった関係からよく質問されるのが「会計ソフトの選び方」です。

そのため、たびたび家電量販店に行きますが、以前と比べるとソフトウェア売り場の広さが随分と狭くなりました。従来型のパッケージソフトウェアが減って、クラウド型(ASP・SaaS)のソフトウェアが増えてきた影響もあるのでしょうね。

さて、よく見かけた光景のひとつが、会計ソフトや給与計算ソフトの売り場の前でどのソフトにしようか迷っている方々の姿です。たしかに、メーカーも価格帯も様々ですし、売り場においてあるパンフレットを見ても違いがわからないと思います。

そこで今回は、会計ソフトについて解説したいと思います。 

そもそも会計ソフトとは?

財務会計業務用のソフトウェアを「会計ソフト」と呼ぶことが多いようです。日々の仕訳の入力から最終的な決算書の作成までをトータルに処理ができます。また、過去3年間の比較や予算と実績の対比ができるものや、資金繰りの管理が可能なものもあります。

会計ソフトの歴史

・財務オフコンの時代

Windowsが本格的に普及してパソコンが一般的になる前までは、財務オフコンと呼ばれるオフィスコンピュータによる会計処理がされていましたが、中小企業以下の規模では導入している会社も少なく、専ら大企業や会計事務所・税理士事務所で利用されていました。税理士事務所の看板などに書かれている「コンピュータ会計」というのは、その頃の名残です。

当時は企業の経理担当は“手書き”で伝票や帳簿をつけて、それらを会計事務所で入力するというスタイルが一般的でした。

代表的なメーカーは、TKC、MJS(ミロク情報サービス)、JDLなどです。

・パソコンソフトの時代

DOSやMS-DOSを経てWindowsパソコンが爆発的な普及期に突入すると、様々な会計ソフトメーカーが出てきます。今も、家電量販店に並んでいるソフトウェアやそのメーカーはその時代から活躍しています。

パソコン会計ソフトの“御三家”と呼ばれる、弥生の「弥生会計」、OBCの「勘定奉行」、PCAの「PCA会計」が有名です。勘定奉行についてはCMの印象が強いかもしれませんね。また、弥生については、会社そのものに紆余曲折(ライブドアの問題や買収など)もありました。これらのメーカー以外にも、ソリマチの「会計王」、エプソンの「財務応援」、応研の「財務大臣」など名前を上げ始めたらきりがないほど会計ソフトは増え続けています。

もちろん、先述した財務オフコンメーカーもパソコンソフト市場に参入しています。JDLなどは積極的にTVコマーシャルを流していますね。

このパソコンソフトの時代で大きな転換点が生まれました。こうしたパソコンソフトも“企業規模に応じた価格帯”で分化し始めたということです。というのは、一般ユーザ企業が家電量販店などでパソコンソフトを“自分で入手できる”環境となったことが一番大きな理由かもしれません。

「量販店での売り場面積が狭くなった」と冒頭でお話しましたが、売り場面積の占有率は「弥生会計」が常にトップグループです。その理由は、他のパソコンソフトと比べて安価であるということが挙げられるでしょう。実際に、低価格(1万円~10万円)の会計ソフトをリードしているのは弥生会計です。

一方で、御三家の他の二者は、弥生追随型の低価格帯パッケージをリリースしましたが、それ以上に、中規模以上の企業向けへと製品をシフトしました。「勘定奉行」や「PCA会計」の標準パッケージは、低価格帯のソフトウェアよりも価格では2倍~3倍(20万円~30万円)という設定で販売されていました。

パッケージ型のソフトウェアには限界があります。それは“自社の業務に合わせたカスタマイズが出来ない”ということです。

この“カスタマイズのリクエスト”は企業規模に比例します。企業規模が大きな会社では、パッケージソフトウェアの導入を諦めて、完全にカスタマイズ可能な「ERP型」へシフトするようになりました。

この「ERP型」の最大の特徴は、自社の業務フローやモデルに合わせて業務横断的なカスタマイズと導入が図れるということにあります。また、ERP導入に合わせて自社の業務フローを見直すことで”業務改善”という副次的な効果も生まれました。その一方で、導入コストに関しては、コアパッケージ+カスタマイズ費用ということになるため、高額なものとなりがちです。

ERPという考え方そのものが海外から輸入されたものなので、その主要ベンダーはSAPなどの海外勢が主力です。また、OBCやPCAといったメーカーもERP型の販売に注力しています。

・クラウド型会計ソフトの時代

パソコンだけではなくインターネットの普及が進むと、会計ソフトにも変化が生まれました。それが“クラウド型”と呼ばれるASPやSaaSというソフトウェアモデルです。端的に説明すると、「インターネット経由でプログラムとデータを利用する」というモデルです。費用については、月額利用料を支払うというパターンが多いようです。

この“クラウド型”のメリットは、インターネットの接続環境さえあれば、どのパソコンその他の情報端末から利用できるという利便性と、データ自体をサーバに保管できるという安全性が挙げられます。また、消費税法の改正やOSのバージョンアップなどに伴うソフトウェアのメンテナンスが不要という点も大きいメリットかもしれません。

その一方で、利便性の真裏に存在する危険性もあります。ログイン時に必要となるIDやパスワードを管理しておかないと大事な経理財務情報が漏洩してしまいます。また、まだまだユーザ数が少ないということもデメリットかもしれません。

クラウドサービス

「Freee」や「MFクラウド会計」が代表的ですが、パッケージソフトウェメーカーや更なる新規参入も予想されます。 

ちなみに各パッケージメーカーもクラウド版を販売していますが。完全クラウド化しているのは 「Freee」と「MFクラウド会計」 になります。パッケージメーカーはクラウド版と称しつつもクライアントPCにソフトをインストールしたうえでのクラウド版になります。

会計ソフトの選び方

こんなことを言うと身も蓋もないかもしれませんが、現在市販されている会計ソフトに機能的な違いはほとんどありません。仕訳数や金額に上限が定められている場合もありますが、そのようなスペックはカタログで確認しましょう。

また、日々の仕訳入力が、勘定科目のカナ(ローマ字)なのかコードなのかという違いもあります。会計ソフトの乗り換えの場合には、入力方法がどのようなスタイルなのかを確認する必要があります。

機能的な違いはほとんどないと申し上げましたが、出力される帳票や過年度比較、予算と実績の比較などの機能は廉価版には用意されておらず上位機種のみというケースは見受けられます。経営者や管理者が必要とする帳票は何なのかは予め確認してください。

また、税理士事務所や会計事務所がどの会計ソフトに対応しているかも重要な判断基準です。筆者個人の考えとしては、税理士事務所等はすべての会計ソフトを取り扱える必要があると考えていますが、実際はそこまでオープンな税理士事務所は多くないようです。

SOHOや個人事業主から小規模企業で会計ソフトの導入が初めてという場合であれば、クラウド型をオススメします。何よりも費用負担が少額であることが大きなメリットですし、操作性も従来型の会計ソフトと比較しても遜色ありません。税理士さんについては、クラウド型に対応してくれる事務所を選びましょう。

中規模企業以上の場合であれば、会計ソフトを乗り換えるという場合がほとんどだと思いますので、それまで使ってきた会計ソフトに不足している点を補えるという視点で選ぶべきだろうと思います。

また、その乗り換えによる費用対効果の分析も重要です。金額的なものだけではなく労力も考慮しましょう。過去のデータをどうするのか?とか、導入時の処理をどうするのかなど検討すべき課題は多くあります。

会計ソフトについてざっと解説してみました。今後、時代の流れを考えてみても、中規模以下の会社であれば、クラウド型またはその派生系がメインになるのではないかなと考えています。

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ライタープロフィール

本山 シーエン

現場支援型コンサルタント
税理士事務所時代の経験をもとに、インターネット関連の会社で財務会計ソフトの開発と販売を通じて中小企業のバックオフィス業務をサポート。現在も「インターネット活用が中小企業の成功のカギ」を信念に現場支援型コンサルタントとして活動中。

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