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2016.08.17 掲載 2023.08.24 更新

粉飾決算・不適切会計とは。その手口と手を染めてしまう動機

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FOC経理アウトソーシング

不適切な経理
「不適切会計」「粉飾決算」という言葉は年に何回かニュースや新聞で見ることがあり、どれも大きく報道されます。
これは、大企業に限った話ではなく中小企業でも「不適切会計」に手を染めてしまった(いる)会社は相当数あると思われます。
今回は、不正経理や粉飾決算などの「不適切会計」はそもそもなぜ起きるのか?といったことや、「不適切会計」のさまざまな手口を考えてみたいと思います。
 

■不適切会計、粉飾決算とは

不適切会計、粉飾決算とは、“不正な方法で実態とかけ離れた財務諸表を作成すること”といえます。
多くは赤字決算を隠蔽するために利益を水増しするパターンです。もちろん脱税するために所得を隠したり経費を水増ししたりするパターンも該当します。
貸借対照表の見栄えをよくするため=会社の財産状況をよく見せかけるために、資産を過大に計上したり、負債を簿外処理することもあります。
不正経理や粉飾決算は違法のため、それによってもたらされる弊害はとても大きなものです。株主などの投資家にとっては、虚偽の財務諸表により正しい投資の判断ができなくなってしまいますし、債権者にとってはその企業に対する与信等の判断を誤ってしまうことにもなります。会社の経営者にとっては決して手を染めてはならない領域が「不適切会計」で、コンプライアンス(法令遵守)の観点からも決して許されるものではありません。
 

■民事責任・刑事責任

このような大きな弊害を伴う「不適切会計」により第三者等に損害を与えた場合には、当然に処罰の対象となります。
会社法という法律があります。平成17年6月に成立した法律で、それまで会社に関する規定は、商法第二編、有限会社法、商法特例法など、さまざまな法律に分散しており、一つの法律にまとまっていませんでした。 また、明治32年に制定された商法、昭和13年に制定された有限会社法は、ともに片仮名文語体表記となっており、非常に読みにくいといわれていました。
そこで会社法は、会社に関する法律を一本にまとめて条文を再構成するとともに、平仮名口語体表記となり、体系的で分かりやすい法律として成立しました。
この会社法の中では「役員等の第三者に対する損害賠償責任」などが規定されています。粉飾決算などにより財務諸表に虚偽記載をし、その結果第三者に対して損害を与えた場合には取締役は会社と連帯して損害を賠償する責任を負わなければなりません。放漫経営によって粉飾決算に至った過程において取締役等の責任を免れることはできないということです。
また、粉飾決算によって「会社の財産を危うく」した場合には、先ほど述べた損害賠償などの民事責任とは別に、5年以下の懲役などの刑事罰の対象となります。
このように「不適切会計」の実行については、誰が見ても明らかに「やってはならないこと」だとわかる(はず)なのに、不適切会計に手を染めてしまうのです。
 

■なぜ企業は粉飾決算、不適切会計をしてしまうのか

なぜ粉飾決算、不適切会計をしてしまうのか?
考えられる理由は以下の場合です。
・金融機関からの融資を得るため
中小企業に多く見られる「不適切会計の動機」の一つが、金融機関への融資の申込・実行を可能にするため、あるいは現在受けている融資を打ち切られないようにするためです。
・取引先の与信対応
取引先との取引を継続するため新しい取引先との取引口座の開設といった事例も見受けられます。
・公共事業などの入札資格
建設業の公共事業など、国や地方自治体が発注者となる場合に、その企業の入札資格を確認するため“経営審査”が行われることがあります。特に地方の中小建設事業者にとって、国や地方自治体から発注される事業の受注はその企業の生命線となりうるくらいの影響力があります。“経営審査”においては、企業の財務体質や経営成績が重要な判断項目となりますから、赤字や債務超過となっている財務諸表では入札資格を得ることができません。
 

■不適切会計の方法・・・その代表例

実際に会った粉飾決算・不適切会計の例を見ていきましょう。
<運送業大手A社の場合>
動機:銀行からの融資を受けるため
方法:赤字であることを隠すために、架空の売上伝票により約400億円超の収益を水増し
この事例においては、経営者らがこの決算が“粉飾”であることを公認会計士に説明をしたうえで、公認会計士に「決算が適正」であるとの報告書作成を依頼し、公認会計士がその通りの監査証明をしたという点も大きく報道されました。
<化粧品等メーカーB社の場合>
動機:第一次石油危機の影響による赤字を隠蔽し上場会社としての財務状況を良く装うため
方法1:決算期末の売れ残り商品を小売店に引き取ってもらい売上を水増し
方法2:不良在庫を販売したように見せかけ架空の売上を計上
この事例では、売れ残り商品を小売店に押しこむ際に、予め“返品”を条件にしたり、この取引に応じてくれた小売店に対してリベートを裏金として処理したことが問題となりました。また、投資先の関連会社の経営が悪化した際に、自身で培ってきた“粉飾のノウハウ”を提供したことなどから、根が深くかなり大規模な組織的な粉飾決算であるとの報道もありました。
<ITベンチャーC社の場合>
動機:企業の買収・合併を進めるために企業価値=自社株の株価を上昇させることが必要だったため
方法1:子会社の利益を本体の利益として付け替え
方法2:企業会計上利益として処理できない新規発行した自社株の売却益を「利益」として処理
この事例でも、公認会計士の積極的な関与が注目されました。また、自社株の株価を上昇させその自社株を高値で売り抜けたうえ、その利益を自社に還流させる方法は、他の粉飾事例とは大きく異なる独自の、そして極めて巧妙で悪質なものであると問題視されました。
不適切会計を解説してきましたが、先述したとおり、コンプライアンスという観点からも経営の安全性という観点からも社会的に許容される余地はありません。また、不適切会計に手を染めた会社の末路は「自滅」といえるような結果になるか、「正常に戻る」としても社会的な信用回復、業績の回復には相当な時間がかかります。
短期的には得をしても、長期的に不正を隠せることはまずありません。企業のステークホルダーには株主や従業員など、多くの人が存在します。そのため、社会的責任をしっかりと果たす必要があるといえるでしょう。

経理代行によって業務の効率化、コスト削減を実現する

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ライタープロフィール

本山 シーエン

現場支援型コンサルタント
税理士事務所時代の経験をもとに、インターネット関連の会社で財務会計ソフトの開発と販売を通じて中小企業のバックオフィス業務をサポート。現在も「インターネット活用が中小企業の成功のカギ」を信念に現場支援型コンサルタントとして活動中。

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