くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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企業の経営をするうえで大事なことが資金調達です。銀行からの借り入れや社債または株式の発行など手段はさまざまですが、どれも中小企業にはハードルが高いといえそうです。
中小企業は大企業と比較すると信用力では劣りますが、その分地方自治体や金融機関の融資制度を活用できます。今回は、出資と融資の違いから中小企業が受けられる制度を解説します。
まずは出資と融資を正しく理解しましょう。出資も融資も資金を調達する手段の一つですが、最大の違いは「返さなければいけないお金かそうでないか」の違いです。
それぞれについて解説します。
・出資
出資は「返さなくてもよいお金」です。
お金を貸す側から見た場合、その会社の将来的な成長や、上場した場合の株価の値上がりや配当を期待したり、経営に参画することを目的としています。
お金を借りる側から見た場合、返さなくてもよいと聞くととても有利に聞こえますが、新株の発行や増資の引き受け先を確保する必要があります。
また、株式を発行してそれを引き受けてもらうという性質上、出資先から大株主として、経営に対して口出しをされたりするなどのデメリットもあります。
出資を募る会社は、新しく事業を立ち上げるベンチャー企業など、成長に対して意欲的で活発な企業が多いです。
・融資
融資は「返さなければいけないお金」です。身近な言葉に言い換えれば「借金」です。
一般的に、個人や法人が金融機関などから資金を調達することを指します。個人であれば自宅や車を買うローンも融資にあたりますし、法人ならば設備の購入資金や運転資金の調達も融資にあたります。
お金を貸す側から見た場合、得られるものは貸したお金に対する利息です。
出資を受けるハードルは、資金を返さなくてもいい分高いですが、政府系金融機関や自治体が提供し中小企業が受けることのできる、民間金融機関と比較して低金利の融資制度には以下のようなものがあります(もちろん、認められるために書類の提出や説明が必要となります)。
・日本政策金融公庫
1)新事業育成資金
高い成長性が見込まれる新たな事業を行う企業が対象です。
「新たな事業を事業化させて概ね7年以内である」
「公庫の成長新事業育成審査会から事業の新規性・成長性について認定を受けている」
「日本政策金融公庫の中小企業事業が継続的に経営課題に対する経営指導を行うことにより、円滑な事業の遂行が可能と認められる」
などの条件を満たす必要があります。
融資限度額は6億円で、返済期間は設備資金であれば20年、運転資金であれば7年です。
(出典 新事業育成資金)
2)地域活性化・雇用促進資金
企業立地などによる地域経済の活性化や雇用の促進を行う企業が対象です。
「過疎地域、半島地域、離島地域、振興山村、特別豪雪地帯等において3名以上の雇用創出効果が見込まれる設備投資を行う」
などの条件を満たす必要があります。
融資限度額は直接貸付で7億2千万円、代理貸付で1億2千万円、返済期間は設備資金であれば20年、運転資金であれば7年です。
(出典 地域活性化・雇用促進資金)
3)経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に業況の悪化を来している企業が対象です。
「最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している」
「最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる」
「最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している」
などの条件を満たす必要があります。
融資限度額は7億2千万円で、返済期間は設備資金なら15年、運転資金なら8年です。
(出典 経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付))
・地方自治体
起業家や中小企業経営者向けの融資としてよく利用されるもので、地方自治体による融資があります。
これは制度融資と呼ばれる制度で、地方自治体が直接融資を行うわけではなく、地方自治体、信用保証協会、金融機関の三者が協力をして中小企業の資金調達を受け持つ制度です。
金利の一部を自治体が負担してくれるため低金利で資金調達ができることなどから、起業家や中小企業経営者にとってはお得な資金調達方法として知られています。
ただし申込みをしてから融資が下りるまでかなりの時間を要する事や自己資金要件が厳しいことなど、デメリットもあります。
融資制度を受けるメリット、デメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
・メリット
日本政策金融公庫が提供する融資制度と自社の状況が噛み合っていれば、それを活用することで、低金利で融資を受けることができます。また、地方自治体の制度融資を活用すれば、さらに低金利での資金調達を行う事ができます。
・デメリット
基本的に申込みから融資が下りるまで、かなりの時間が掛かります。すぐにでも融資してもらわないと間に合わないというような場合には向きません。また、事業が制度の特性に合っていないと承認されません。
大きな融資を受ける際には、事業計画や直近の決算書などを提出し、審査を受けなくてはいけません。あらかじめ資料を作成しておき、「この融資を受けることで会社の経営状態にどれくらい良い影響を与えるか」や「どの程度会社の経営状態を改善できるか」などを上手く伝えることで融資を受けやすくなります。
また、事業計画については質問されてもすべて答えられるようにしておきましょう。融資のため、最終的には資金を返済することが必要です。「なぜその売上・利益になるのか?」はしっかりとした論理性が必要です。
資金は会社にとっての血液です。これをコントロールするためには融資が必須となります。
融資制度はうまく活用すれば低金利で長期の借入を行えるため、会社にとっても強力な武器になります。
資金の必要性、融資を受けるメリット、借入期間、返済プランなどの計画を綿密に立て、自社にマッチした適切な融資制度を活用することが重要です。
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