経理の年間スケジュール。一番忙しい時期とやっておくべきこと

スケジュール管理

経理のおもな仕事はお金の流れを管理することですが、時期によって業務の忙しさが異なります。日々の入出金の管理を行うことで財務諸表や決算書の作成を進めていきます。一般的に、経理が一番忙しくなるのは事業年度の終盤です。月次と同時に年次の業務を行うため、どうしても忙しくなってしまいます。企業の多くは3月、9月、12月を決算月としています。

※なぜそうであるかは「なぜ3月決算が多い?3月、9月、12月決算を選ぶそれぞれの理由とは」で説明していますが、3月は国や自治体の会計年度、教育制度、税法改正、9月は3月のピークずらし、12月は国際会計基準に合わせてなどが主な理由と説明しました。

月次で毎回行う業務はもちろん、年次の業務を理解してタスクの調整をしたり人員の配置を行うことが重要です。

今回は、経理の仕事におけるおもな仕事の年間スケジュールとその業務の内容について解説します。なお、ここで扱うモデル企業は中小企業の3月決算を想定しています。また、大きいイベントについてのみ取り上げます。

 

■月次業務について

年次業務の前に月次業務を簡単に説明します。月次業務は毎月行う仕事のことで、経理の場合取引先からの入金確認と支払い、請求書発行、給与計算、保険料などの支払いなどがあります。それぞれの内容については以下の記事を参考にしてください。

給与計算とは。仕事内容とよくあるミス。計算や進め方について気を付けるべきことは?
経理に必須な証憑書類とは?種類と役割から保存期間までを解説

 

■年次業務

それでは、年次業務を見ていきましょう。

4月-年次決算業務
決算整理を行います。前月の仕訳を含めて1年間の会社の業績をまとめる作業になります。内容としては決算残高の確定から決算書の作成を行います。売上と原価の確定を中心として減価償却費や引当金の計算なども行います。

詳しい決算業務の流れについては「中小企業の決算業務の流れ。決算残高の確定⇒税金の計算⇒決算書の作成」を参考にしてください。

5月-法人税、法人住民税、消費税などの確定申告および納付
この時期は主に税金の確定申告です。これらの税金は「決算月から2ヶ月以内に申告」する必要がるため、決算月が変われば時期も変わります。

なお、法人の場合消費税を支払う企業は資本金が1,000万円以上または前々年の売上が1,000万円以上となった場合です。

7月-賞与支払い
賞与(ボーナス)がある企業は、多くはこの時期に夏の賞与支払いをする企業が多いようです。もし冬の賞与もある場合は12月にも同様の処理をします。処理の仕方としては、毎月一定額を「賞与引当金」として計上し、7月に賞与として支払います。

12月
12月は、冬のボーナスがある場合は7月の賞与支払いと同様の処理を行います。そのほかのイベントとしては年末調整があります。年末調整とは、本来その人がその1年に納めるべき所得税と実際の納税額とは一致しない場合、年末に本来の所得税額を計算して過不足を精算します。一致しない理由としては、源泉徴収されている額が概算であったり、扶養家族に変更があったりすることが理由となります。

詳しい年末調整の計算ステップはこちら「年末調整を計算するための7つのステップ

3月
3月は決算期末のため、実地棚卸を行います。実地棚卸とは、いまある現物を種類・数量などを確認することで棚卸資産の残高を決定するものです。実物を見る理由としては、帳簿上の残高と実際の価値は必ずしも一致しません。紛失があったり、メーカーなどの場合は製品の破損や型落ちが理由で価値が下がるものもあるからです。

実際の棚卸は営業部(実際の商品や在庫の確認)や総務部(備品やPCなどの資産の確認)といった部署が行っているかと思います。経理部には資産台帳の作成、税務調査や監査の対応などがあり、全社的にもとても重要な業務です。

 

■先を見据えて業務を進める

ここまで大きな経理イベントのスケジュールを解説してきました。

経理の業務は年間スケジュールが大体決まっているため、先を見据えて業務量をコントロールすることが大事です。今回は中小企業を説明しましたが、規模が大きくなればそのほかにも、たとえば以下のような業務が発生します。

・株主総会
・四半期報告書、決算短信、有価証券報告書の作成
・グループ連結決算(連結財務諸表の作成など)

これらの業務は企業の決算月に応じてだいたいのスケジュールが決まっているため、仕事の時期が重なることはありませんが、逆をいえば納期が決まっていることでもあります。

決算は会社の数字を扱いミスが許されないため、納期といまあるリソースから逆算してタスク管理を行うことが必要です。とはいえ期末はどうしてもハードワークになりがちで、残業が多くなる傾向にあります。

また、経理のよくある悩みとして1年に1回しかイベントがないため、翌年には仕事内容を覚えていないといったことがあります。そのため、その時期で覚えるのではなくあらかじめ次に来るイベントを見据えることが重要です。ここでも「納期から逆算する」必要性があります。

 

■「先を見据える」は年間スケジュールをこなすためだけの考えではない

先を見据えたスケジュール管理のほか、どうやってミスや業務の遅延をなくすか、根本的な業務改善も考えていきましょう。

逆算して余裕を持っていたとしても、決算になって発見したミスの修正、イレギュラーやトラブルなどの対応で、結局ギリギリの作業になってしまったら意味がありません。

ミスや遅延はひとえに経理部だけの問題ではありませんが、会計・販売管理システム間での処理ミス、属人的な作業・判断による仕訳ミス、金額や個数などの入力ミス、法改正後のシステム設定・処理ミス、など毎日どこかで発生してしまう可能性があるケアレスミスであることが圧倒的です。

これらのケアレスミスを防ぐためにもルール化(属人化廃止)に日ごろから着手し、例えば徹底的にシステム化するのか、アウトソーシングを活用するのかを検討していく必要があります。

経理の場合、ルーティン業務になりがちで、また、前任者の非効率なやり方をそのまま踏襲してもなんとかやれてしまっているようなケースが割と多く、実際なかなか改善が進まないことも多々あります。その場合は社内だけで完結しようとせず、システム化・アウトソーシング化で無理矢理ルール化するというのもひとつの手段です。(内部からの改善を待つより外部から影響を与えることで改善が一気に進むことがあります)

先を見据えるとは、“年間スケジュールを見越しながら”という意味のほか“経理業務自体をどうやって効率化していくか”という中長期的な視点をもつことも意味します。

1年1回の決算業務だからといって、何も手を打たず、経理担当者が毎年苦労しているのを看過しているならば、今年から何かしら「変える活動」をしてみたらいかがでしょうか。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」