デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?必要性・メリット・課題・成功ポイント・事例まとめ

デジタルトランスフォーメーションとは、最先端デジタル技術を活用して産業構造を変革する取り組みです。なぜ今必要とされているのか、企業が取り組むメリット、課題と解決策、成功ポイントを解説します。代表的な事例もご紹介しますので自社の参考にしてください。

「2025年の崖」といった表現で、経済産業省が企業にデジタルトランスフォーメーションに取り組むように促しています。

デジタルトランスフォーメーションは、デジタル社会の変化に対応するべく、AIやIoTといった最先端デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務を変革する取り組みです。ビジネスにおいては、競争優位性を確立することが重要なため、抜本的な改革を行う企業もあります。

本記事では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義や「2025年の崖」、DXが注目されている理由をご紹介。実施に企業がDXに取り組むメリットや、課題とその解決策、成功企業に共通するポイントも解説していきます。

実際にDX推進を行い、新たなビジネスモデルや顧客体験を創り出している企業の事例もご紹介しますので、実際にDXに取り組む方は最後の導入手順まで読み進めてください。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?定義と違いを確認

デジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーションを「IT化」のことだと思っていませんか?実は単なるIT化ではありません。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、最先端デジタル技術を活用し産業構造を変革させる取り組みのことを指します。デジタルを活用した変革、とも表現できます。

2018年に経済産業省がまとめた『DX推進ガイドライン』の中では以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

上記の定義を見て分かるとおり、DXは単に製品・サービスを変革するだけでなく、業務プロセスや企業文化も変えて取り組むべきものなのです。企業は「企業の競争優位性を確立すること」を目的に、デジタルトランスフォーメーションを実行することが求められています。

ビジネスにおけるDXの定義

もっとも「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は、文脈によって定義が異なります。

広義なデジタルトランスフォーメーションは、2004年にスウェーデンの大学教授が提唱した「ITが社会全体・人類全体にどのような影響をもたらすか」という意味を持ちます。

ビジネス文脈においては、外部環境の変化をデジタル化のチャンスとして捉えて、デジタル技術を活用して変化に対応する、と解釈されています。

経済産業省が発表した「2025年の崖」の文脈では、IT活用を妨げている既存システム(レガシーシステム)を一新し、組織体制まで変化させる、という意味合いが強くなっています。マイナスをプラスに転じさせて、遅れを取り戻そうとするメッセージが込められていると感じられます。

デジタイゼーション、デジタライゼーションとの違い

よく似ている単語に「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」がありますが、違いが何なのか説明します。

デジタイゼーションとは、デジタル化のことです。アナログなものをデジタル情報として扱えるようにすることを指します。例えば、紙ベースで管理をしていた顧客情報をデータベース化して管理したり、パソコンでの単純作業をRPAを活用して自動化したりすることです。つまり、デジタイゼーションでは、デジタル技術を活用してビジネスプロセスをデジタル化して、業務効率化・コスト削減を目指します。

次に、デジタライゼーションとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、新たな顧客体験や事業価値を創造・提供することです。例えば、自動車を所有するビジネスモデルから、カーシェアリングというビジネスモデルへと変革し、新たな顧客体験を提供するようなことです。

したがって、デジタルトランスフォーメーションの実現には、デジタイゼーション、デジタライゼーションの推進・実現が必要不可欠なのです。

 

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」とは?

デジタルトランスフォーメーション

「2025年の崖」という表現を聞いたことがあるでしょうか?実はこれこそがDXが求められている一つの要因です。

経済産業省の報告によると、2025年から年間で現在の約3倍、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされています。その原因は「IT人材の不足」と「基幹システムの老朽化」です。これを「2025年の崖」と経済産業省は表現しています。

仮に2025年までに、IT人材を確保できずシステム刷新を行えなかった場合、市場の変化にあわせて柔軟かつ迅速にビジネスモデルを変更できず、デジタル競争の敗者になってしまいます。

加えて、老朽化した基盤システムの維持管理費用が高額になり技術的負債を抱え、維持継承が困難になったり、サイバーセキュリティなどのリスクが高まったりします。

こうした経済損失やリスクを生まないためにも、今デジタルトランスフォーメーションが求められているのです。

 

なぜ今、DXが注目されているのか?DXの重要性とは

デジタルトランスフォーメーション

上記の「2025年の崖」以外にも、DXが注目されている理由があります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、経済産業省がガイドラインを公開したり、令和二年度補正予算にてリモート化等によるDXの加速に1,009億円の予算をつけたりと、政府としても強化している動きです。

なぜこれほどまでに、DX化の推進が求められているのでしょうか。その背景にはデジタル化による社会や生活者の行動の変化が関わっています。

一つ目は、スマートフォンによって消費行動が変化していることです。あらゆる行動がインターネット上で行われるようになっている昨今では、スマホ中心のユーザー行動にあわせた対応ができるビジネスが生き残る可能性が高くなっています。

二つ目は、ビジネスモデルのデジタル化によって、既存ビジネスが破壊されていることです。GoogleとAppleは携帯電話メーカーを凌ぐ勢いで成長し、Amazonは小売店のビジネスを上回り、Facebookはコミュニケーションツールとしてメールや電話の需要を奪っています。その他にも、Uberというライドシェアサービスは、タクシー業界に大きな打撃を与えました。空き部屋を検索できるAirbnbも、ホテル業界の顧客を奪うほどにまで急拡大しています。

三つ目は、新型コロナウイルス感染症防止に向けてリモートワーク・テレワークが推進されていることです。出社せずとも業務に関するデータにアクセスできたり、一元管理されていたりする仕組みが必要になっています。テレワークに移行したこと自体はDXとは言えませんが、やむなくテレワークに移行した中で、働き方を最大限に活かすためのデジタル改革が必要になってきています。

これらの社会の変化から、デジタルトランスフォーメーションが求められているのです。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)導入の7つのメリット

デジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーションを導入すると企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。7つのメリットをご紹介します。

◆業務の生産性向上・コスト削減が可能

DXを導入すると、業務の生産性が向上します。パソコンでの単純作業を自動化するRPAといったシステム導入によって、人間が行う業務が自動化され業務効率が上がることは想像にたやすいでしょう。

それに加えてコスト削減にも繋がります。デジタルトランスフォーメーションを推進する上で、業務プロセスを可視化・分析したり、プロジェクトのフローや経費の見直しが行われます。DX化を行うこと自体もコスト削減になるのです。

◆市場や消費行動の変化に柔軟な対応が可能

デジタルトランスフォーメーションによって、事業や業務がデジタル化している場合、市場の変化や消費行動の変化に柔軟に対応できるようになります。

Amazon、Uber、Airbnbなどをはじめとした新興企業が既存市場に参入し、市場を大きく変化させたように、これからはデジタル技術や最先端マーケティング技術によって、ディスラプション(破壊)が起こるとされています。

DX化でビジネスモデルそのものを変革することで、市場競争に生き残れる可能性が高まります。

◆新たなサービス、ビジネスモデルの開発ができる

デジタルトランスフォーメーションの導入は、単なるデジタル化ではなく、新たなサービスやビジネスモデルの構築・開発も目的に入っています。

様々な最先端デジタルテクノロジーを駆使した、最新のビジネスモデルを考え実現する過程でDX化は必要になります。ビジネスモデルに変革を起こすことができれば、今後の急激な社会の変化の流れにも乗れるようになります。

◆従業員の働き方改革が実現する

DX化の一連の流れで、一部の業務がデジタル化します。これにより、働き方改革が実現することもメリットです。

コラボレーションツールや社内イントラネット、プロジェクト管理ツール、経費精算システムなど、働き方に大きく影響するツールを取り入れ、業務効率化を図ることもDXの一部です。ツール導入により、リモートワークができるようになるなど、働き方が変わります。

◆BCP(事業継続計画)の充実につながる

働き方が変わるだけでなく、BCP対策にも繋がります。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、リモートワークを取り入れた企業も多いですが、今後の災害対策に向けてDXを行うのもよいでしょう。

BCP対策の第一歩は、機能や業務の分散化です。拠点や基盤システムを複数に分散させることも重要ですが、それにはDX化が大きく絡んできます。

◆レガシーシステムからの脱却につながる

何年も利用している基盤システムが老朽化したり、現在の社会の流れに対応していなかったりすることで、レガシーシステムと化してしまうところを、DX化で脱却することができます。

経済産業省のDXレポートによれば、既存システムが老朽化している状態のまま抱えているのが、日本企業の約8割にも上り、企業のIT予算のうち約8割がシステム維持費に費やされているそうです。

このままでは社会の変化に対応できず競争で生き残れませんが、デジタルトランスフォーメーションを実現することでレガシーシステムから脱却し、時代の流れに即したシステム構築へと進めます。

◆システムによる収益逓増で、利益率が拡大する

企業活動において、最新デジタル技術やシステムを活用し製品やサービスを効率よく大量に生み出すことで、コストが下がり収益が増えます。これを収益逓増と言います。

デジタルトランスフォーメーションによって、より効率的にサービス提供が可能になることで、収益が上がり利益率が高まることが想定されています。

 

日本企業における、DX推進を阻む5つの課題・解決策

デジタルトランスフォーメーション

では、デジタルトランスフォーメーションの推進を阻む課題を見ていきます。それぞれに対する解決策もご紹介します。

課題1.経営戦略・経営トップのビジョンがない

経営トップのDX推進に対するビジョンがないことが、大きな課題となることがあります。

DXに失敗してしまう要因に多いのが、経営陣から現場担当者に丸投げしてしまうケースです。社内の一部のみでDX化が進み、全社的には広まらないことがあります。

解決策1.DX推進で実現したい目標を定め、ガイドラインを策定する

まずは、経営戦略からDX化に対するビジョン・目標を定め、ガイドラインを策定することが解決への一歩です。経営トップがビジョンを描けない場合は、デジタル戦略を提案できる経営層やマネジメント層がガイドラインを策定、もしくはコンサル会社に策定をサポートしてもらう手段が考えられます。

経済産業省の『DX推進ガイドライン』にも、「デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠である」とあります。

課題2.既存システムのレガシー化が進み、更新・移行できない

既存システムが老朽化していて、かつ、簡単に移行ができない状態になっていることが課題の一つとして挙げられます。

現時点でも、IT関連費用の80%が、現行システムの維持管理に使われているというデータがあるほど、日本企業は「攻めのIT投資」を行わず現行のシステムを使い続けているのです。これにより、DX化で移行しようとしてもできない、もしくはかなりの負担がかかる可能性があります。

解決策2.段階的にレガシーシステムを刷新していく

解決策としては、段階的にレガシーシステムを刷新し、クラウドシステムの積極活用を行っていくことが求められます。

システム維持管理のうち、頻繁に変更やメンテナンスが必要な機能については、クラウド上に速やかに移行したいところです。そうすれば、保守にかかっていた負担が一気に軽減するはずです。

また、肥大化したシステムのうち、不要な機能はなくし、重要な部分のみ情報整理しながら移行を進めていきましょう。

課題3.デジタル人材・IT人材が不足している

デジタル人材・IT人材が不足していることが3つ目の課題です。仮に優秀なデジタル人材を確保できていたとしても、先ほど触れたとおり、IT関連費用の8割が現行システムの維持管理に充てられていることから、老朽化したシステムのメンテナンスに追われていることもあります。

社外に目を向けたとしても、日本においてIT人材の7割以上がツールベンダー企業におり、ユーザー企業におけるIT人材の確保と教育が課題となっているのです。2030年には45万人以上のIT人材が不足する、と経済産業省の『IT人材需給に関する調査』で推計されています。

解決策3.IT人材の育成・獲得に向けた採用・教育を行う

IT人材の育成・獲得に向けた採用や教育を行っていきましょう。DXを推進するには、構想力を持ち、明確なビジョンを描き、自ら組織を牽引し、実行できるような人材が必要です。外部ベンダー企業に任せることなく企業自らが確保できるような行動をしていきましょう。

また、常に新しい技術に敏感で学び続ける人材のため、専門性を評価する仕組みや学習の仕組みを導入するのもポイントです。

課題4.IT関連の予算を戦略的に活用できていない

短期的な観点からシステム改修を繰り返した結果、長期的に保守・運用費が高騰してしまい「技術的負債」となっているケースもあります。この場合、技術的負債を返済することができず、戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けることができません。日本はアメリカと比べても、「攻めのIT投資」が進んでいないことも指摘されています。

解決策4.ITツール導入・システム開発などの検討体制を整える

技術的負債を解消して、デジタルトランスフォーメーションにつなげるためには、ITツール導入やシステム開発などを検討する体制をつくる必要があります。

既存システムや情報資産の現状を分析・評価し、仕分けることが大切です。例えば、レガシーシステムのうち、頻繁に変更が発生する機能はクラウド上で再構築したほうがよいでしょう。肥大化したシステムの中に不要な機能があれば廃棄し、あまり更新が発生しない機能は現状維持を選びます。

こうした棚卸し作業を始めることで、一歩DX化へと近づくことができます。

課題5.現場や部門間の軋轢が生じて推進できない

デジタルトランスフォーメーションを推進しようとすると発生するのが、部門間の軋轢です。これは、企業内で事業部ごとに個別最適化したツールやシステムを既に活用している企業で起こりやすいでしょう。

DX化として全体最適化を試みると、反対意見が出てくるなどなかなか進まないケースがあるのです。

解決策5.DX専門プロジェクトを立ち上げ、推進計画・方法を全社に共有する

対処法としては、DX推進の専門部署やプロジェクトを立ち上げ、協力体制を仰ぐようにすることが挙げられます。DX専門プロジェクトチームが、各部署のヒアリングを行ったうえで、DX推進計画や方法を全社に共有し取りまとめを行います。

それでもうまくいかない場合は、設計として全社で保有しているデータプラットフォームを構築し、全体最適化しても問題が発生しないような仕組みをつくる必要があります。

 

DX推進の成功企業に共通する5つの特徴とは

デジタルトランスフォーメーション

では、DX推進に成功した企業に共通する特徴は何でしょうか。5つの成功ポイントを見ていきましょう。

◆経営層がビジョンを明示し、社内全体を巻き込み推進している

経営層が経営戦略・ビジョンを提示し、しっかりとコミットして社内全体を巻き込んで改革を行っていくことがポイントです。経営層に求められていることは、デジタル技術を実際に利用することではなく、デジタル技術によってどんな価値を生み出していくのかを明確にし、社内に発信することです。

DXを推進していくためには、経営層がしっかりとデジタルトランスフォーメーションの重要性を理解し、明確なビジョンのもとに意思決定を行って予算や人材を割り当てることが求められます。

◆全社として一貫性のあるシステムを構築する

次に、DXを実現するうえで、社内のデータやデジタル技術を戦略的に活用できるような、一貫性のあるITシステムを構築することが大切です。レガシーシステムを一新するために、事業部単位でDXに取り組んでしまうと、個別でツールを選定・導入し、その後連携させることができなくなる可能性があります。

現状のシステムを分析し評価したのち、システム同士を連携してスムーズに活用することができるような状態を作り上げることが求められます。そのためには、全体を俯瞰してシステム構築できる人材が必要です。

◆DXを推進できるIT人材の確保・育成を行う

一貫性のあるシステム構築には、設計や企画ができるIT人材の確保と育成が大切です。人材確保のために、採用活動を行ったり、教育制度を整えたり、評価制度を見直したりする必要が出てくる企業もあるでしょう。

DXをうまく推進できている企業では、経営層、事業部門、情報システム部門から少人数のDX推進チームを組成し、トップダウンでDXを行っているところもあります。

◆エンジニアに依存しないITシステムを導入・活用する

DX推進にあたり導入するシステムは、クラウドベースの汎用的なシステムか、ノーコードで開発されたITシステムをおすすめします。これにより非エンジニアでも適切なIT運用を継続できます。

これまでのレガシーシステムでは、エンジニアをはじめとしたIT人材が保守運用まで行っていたところを一新し、全社として使いやすいシステムに切り替えることが重要です。

◆現場の業務プロセスを元に、適切なシステム構築を行う

最後に、デジタルトランスフォーメーションの推進にあたって、業務改善をシステムに合わせるのではなく、現場の業務に合わせる形で行いましょう。

DX推進においては、ITシステムを活用して業務プロセス自体を変革していくことが求められるため、現場にもとづいたシステムを構築していくことが成功のポイントです。

 

デジタルトランスフォーメーションを実現するテクノロジー

デジタルトランスフォーメーション

ここでは、デジタルトランスフォーメーションの推進で活用されている最新デジタル技術、テクノロジーをご紹介します。

AI(人工知能)

AIとは、人工的に作られた人間のような知能、知的なコンピュータプログラムを作る技術のことです。画像認識や自然言語処理、音声認識などはDXの中核となる技術です。既にPCやスマートフォンといった電子機器にも取り入れられています。

IoT(モノのインターネット)

IoTとは、センサーがモノ・コトの情報を収集し、クラウド上のサーバーに送り、分析してフィードバックを返す仕組みです。具体的には、スマートスピーカーやスマートホーム、自動運転などで活用されています。温度や湿度、人の動きなどの情報を収集して活用することが期待されています。

5G(第5世代移動通信システム)

5Gとは、携帯電話の次世代通信システムで、高速・大容量化、超多数端末接続、超低遅延、超高信頼性を実現する技術です。2020年には携帯キャリア大手3社などで商用サービスの提供が始まり、自動運転やVR映像配信などで実証実験が行われています。

サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティとは、保有するコンピュータやネットワーク、サーバーへの不正アクセスを防止する対策のことを指します。デジタルトランスフォーメーションにおいては、IoTやクラウドの活用が増え、セキュリティリスクが高まるため、サイバーセキュリティを重視する必要があります。

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングとは、インターネット上にあるサーバーが提供する機能を、ネットワーク経由で手元のPCやスマートフォンで利用することです。サービス提供のSaaS、プラットフォーム提供のPaaSにおいて、クラウドはなくてはならない存在です。

仮想現実(VR) / 拡張現実(AR)

仮想現実(VR)とは、現実ではない仮想の世界を現実世界のように見せる技術です。拡張現実(AR)とは、現実世界に仮想のオブジェクトを重ね合わせる技術です。利用用途は、エンターテイメントだけに限らず、現場作業をVRで体験したり、スマートデバイスでAR情報を表示して機器の操作を指示したりする使い方もあります。

HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)

HMIとは、人間と機械が情報をやり取りするためのユーザーインターフェースを指します。マウスやキーボードだけでなく、音声やジェスチャーなどの人間の五感を利用したものも含みます。

量子コンピューティング

量子コンピューティングとは、従来のコンピュータよりも高速で計算ができるコンピューティング技術です。従来よりもはるかに高速にリアルタイムで精緻な結果を返すことができるのが特徴です。現在のコンピュータでは解けない課題への活用が期待されています。

情報処理基盤・インフラ

情報処理基盤・インフラとは、企業が利用する業務システムや情報システム、アプリケーションなどを利用するために必要な資材のことです。サーバー、ネットワーク、データベースなどを利用する時に必要になります。

 

DXの取り組み事例8選

デジタルトランスフォーメーション

ここでは、デジタルトランスフォーメーションの取り組み事例をご紹介します。顧客やユーザー、社内に対するDX推進に成功している企業です。

センサーで服薬忘れ防止を実現|大塚製薬

健康食品で知られる大塚製薬では、医薬関連事業において「処方箋の飲み忘れが多い」ことに注目し、「プレタールアシストシステム」を開発。錠剤を収納する専用ケース、薬を飲むタイミングでLEDが点滅し服薬状況をスマホに送信するIoTモジュール、服薬状況を確認できるアプリの3つによって、服薬する本人の飲み忘れを防ぐだけでなく、履歴を家族や薬局、医師が確認できるようになります。

FAソリューション同士をつなぎ、スマート工場を実現|三菱電機

三菱電機では、製造業向けに工場の自動化を実現するFA(ファクトリー・オートメーション)関連のソリューションを提供する中で蓄積された、自動化に関するノウハウや技術を活かし、機器同士をネットワークで繋ぎ、取得したデータを分析・活用することで、工場を最適化するスマート工場の実現を支援しています。

瞬時に「お客様の声」の分析・見える化を実現|三井住友銀行

三井住友銀行は、「お客様の声」を瞬時に分析・見える化できるソリューションを導入し、「テキスト含意認識技術」を用いて特定の意味を含む文章を抽出・グループ分けすることができるようになりました。年間3万5,000件にのぼる声を、効率的に分析できています。

スムーズな運転・事故リスクを計測・推定して保険料に反映するプラン開発|ソニー損保

ソニー損保は、自動車に設置したドライブカウンタで、加速・減速のスムーズさを計測して、スムーズな運転を行っている加入者に保険料を最大20%キャッシュバックする「やさしい運転キャッシュバック型」を提供。また5年後には、スマートフォンで計測した運転特性データをもとに事故リスクを推定し、結果に応じて保険料を最大30%キャッシュバックする「GOOD DRIVE」も提供開始しました。

乗車需要をAIで分析してタクシー稼働率を向上|日本交通

日本交通は、乗車需要が多い場所を予測する「AI配車」を導入。過去の乗車履歴、イベント情報、気象情報、鉄道の遅延情報をもとにAIが分析します。これにより、タクシー車両の稼働率を上げることに成功しています。

いつでもどこでも適切な授業を受講可能に|トライグループ

家庭教師のトライでは、生徒にあった授業を、パソコンやタブレット、スマートフォンで時間や場所にとらわれることなく受講できる映像授業サービス「Try IT」を開発。スマホをシェイクすれば教師に直接質問ができる仕組みをつくり、生徒の疑問もその場で解消できるようになりました。

電子請求書で、請求書発行にかかる工数・日数を削減|ヤマダ電機

ヤマダ電機は、請求に関わるデータを電子化し一元管理し、業務を自動化できる電子請求書サービスを導入しました。これまで本社が請求書を発行して取引先に届くまで10日ほどかかっていたところを、電子化により2日までに短縮されました。電子化により押印作業も減り、承認フローも簡略化され、業務スピードが向上しました。

ペーパーレス会議でコストや情報漏えいリスクを削減|アサヒグループホールディングス

アサヒグループホールディングスでは、毎週開かれる役員会議に必要な資料を紙で用意していたところを、ペーパーレス会議へと切り替えました。ペーパーレス化により、年間でおよそ40,000枚の用紙を削減し、会議準備の負担も半分に減りました。会議室に集わずともオンライン上で資料を閲覧できるので、参加者の移動費も削減される他、情報漏えいリスクを軽減することにも成功しました。

 

デジタルトランスフォーメーションの導入手順

最後に、DXを導入するにあたって手順を確認しておきましょう。DXの導入手順は、経済産業省が発表した『DX推進ガイドライン』に記載があります。

経営戦略・ビジョンの共有

想定されるディスラプションを念頭に、データとデジタル技術の活用によって、どの事業分野でどのような新たな価値を生み出すことを目指すのか、どのようなビジネスモデルを構築すべきか、について経営戦略やビジョンを提示しましょう。

経営トップのコミットメント

DX推進には、ビジネスや仕事の進め方、組織人事の仕組み、企業の文化風土そのものの変革が必要です。経営トップが強いコミットメントを持って変革に取り組むことが重要です。

マインドセットの醸成と体制の整備

DX推進において、各事業部門で新たな挑戦を積極的に行っていくマインドセットを醸成しましょう。仮説検証を繰り返し行うプロセスが確立できているのか、スピーディーに実行できているのか、などを確認します。

同時に、DX実行のために必要な人材の育成・確保ができているかも確認し、随時社外からも人材を獲得しながら進めていきましょう。

IT資産の分析・評価、投資等の意思決定を的確に実行

次にDXの実行に際して、これまでのIT資産を分析し、評価を行い、どのようなITシステムに移行すべきかを考えます。

DX推進のための投資などの意思決定においては、コストだけでなくビジネスに与えるプラスの影響を勘案して判断できているか、投資されずにDXが実現できないことで、デジタル化するマーケットから排除されるリスクを勘案しているか、を慎重に見ていきましょう。

DX推進にはスピーディーな変化への対応力が求められます。

 

まとめ|デジタル化が進む市場の競争に生き残るためにDX化を推進しよう

今回は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義や「2025年の崖」、DXが注目されている理由をご紹介しました。刻一刻と状況が変わっている世の中だからこそ、すぐさまDX化に取り掛かることが重要であることが分かったと思います。

課題とその解決策、成功企業に共通するポイントも参考に、どこに注意しながらDXを推進すればよいのか考えてみてください。

DXは、単なるIT化ではありません。新たなビジネスモデルや顧客体験を創り出していくことで、市場競争に勝ち残る可能性が高まるのです。事例を参考に自社ならどうビジネスモデルを変革する必要がありそうか、検討から始めてみましょう。

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。