【業界別】デジタルトランスフォーメーションの事例36選とDX推進のポイント

デジタルトランスフォーメーション(DX)の業界別の成功事例を36件ご紹介。医療業、小売業、製造業、金融業、建設業、物流業、サービス業、行政など、幅広く紹介します。DX推進のポイントを押さえて取り組みを進めてください。

産業構造を大きく変革するようなディスラプターの存在や、生活者の消費行動の変化によって、企業が今後競争上の優位性を得て生き残るには、デジタルトランスフォーメーションが重要だと言われています。

経済産業省が力強く推進する中で、新型コロナウイルス感染症対策の影響もあり、DX推進に取り組み始めた企業も多いのではないでしょうか。しかし、具体的にどこからDXに着手すればよいのか分からないと思います。

そこで今回は、業界別にデジタルトランスフォーメーションの実例を紹介します。具体的な事例を知ることで、自社で活用できるポイントが見つかるはずです。あわせてDX推進のポイントも押さえておきましょう。

 

業界別デジタルトランスフォーメーション成功事例36選

デジタルトランスフォーメーション 事例

業界別にデジタルトランスフォーメーションの成功事例をご紹介します。

●医療業・化粧品業のDX事例

まず医療業・化粧品業です。薬の飲み忘れを防ぐための技術や、大量の医療データを統合・分析するための整備など、さまざまなDX事例があります。

◆センサーで服薬忘れ防止を実現|大塚製薬

デジタルトランスフォーメーション 事例

健康食品で知られる大塚製薬では、医薬関連事業において「処方箋の飲み忘れが多い」ことに注目し、「プレタールアシストシステム」を開発。錠剤を収納する専用ケース、薬を飲むタイミングでLEDが点滅し服薬状況をスマホに送信するIoTモジュール、服薬状況を確認できるアプリの3つによって、服薬する本人の飲み忘れを防ぐだけでなく、履歴を家族や薬局、医師が確認できるようになります。

◆肌状態に応じた適切なスキンケアを抽出|資生堂

デジタルトランスフォーメーション 事例

資生堂では、個人に適切なスキンケアを施せるIoTシステム「Optune」を開発。ユーザーの肌データに基づいた提案ができ、専用アプリで肌状態を測定して、専用マシンが適した肌ケア方法を抽出します。※2021年2月現在、サービス終了。

◆カルテいらずで医療データを統合・分析|大塚デジタルヘルス

デジタルトランスフォーメーション 事例

大塚デジタルヘルスは、数値化できない治療や症状の経過データを、自動的に統合・分析してデータベース化する「MENTAT」を開発。カルテいらずで、患者の医療データを有効活用することができるようになっています。

◆大量のデータをAIによって整理・統合を可能に|シミック

デジタルトランスフォーメーション 事例

シミックでは、分析に必要なデータの探索、データの整理・統合をAIによって自動化するサービスを活用し、専門家がいなくても最適なコストでデータ活用ができるようにしています。これまでの課題であった、組織感を横断するデータ整備や、フォーマットの統一などが解消されました。

●小売業・食品業のDX事例

次に、小売業・食品業を見ていきましょう。顧客データを管理・活用したり、新たな顧客体験を生み出したりと、より良いサービスにするためのDX事例をご紹介します。

◆会員カードをアプリ化し、購買情報などをデータ集約|マロニエゲート

デジタルトランスフォーメーション 事例

マロニエゲートでは、テナントごとの情報を整理・収集する際に、各店舗のPOSシステムからデータを収集する必要がありましたが、従来の会員カードを廃止し、ポイント管理アプリを共通して導入することで、個別でPOSシステムをそのまま利用しながら、顧客情報や購入情報データを集約することに成功しています。

◆ネットで事前注文し受け取るだけの新しい顧客体験|ユナイテッド・スーパーマーケット

デジタルトランスフォーメーション 事例

ユナイテッド・スーパーマーケットは、決済に長く並ぶ必要があったり、在庫状況が分からなかったりと、お客様にとって不便な部分がありました。そこで、大型店舗であっても決済を一元化することで課題を解消しました。ネットで注文したものを店舗で受け取ることも可能になっています。

◆ウェアラブルシステムで、着るだけで生体情報を計測可能に|グンゼ

デジタルトランスフォーメーション 事例

グンゼは、着るだけで生体情報を計測できるウェアラブルシステムを開発。動きや姿勢、活動量、心拍などの情報をもとに、顧客に適切なアドバイスを提供したり、美容や健康の観点から価値提供を行ったりすることが可能になりました。

◆全商品をECでも購入可能に|三越伊勢丹ホールディングス

デジタルトランスフォーメーション 事例

三越伊勢丹では、従来の百貨店の課題でもあった「商品データベース管理」のため、商品撮影スタジオにて全商品をECでも地域点でも購入できるシステムを確立。チャットを活用してパーソナルスタイリングを実施するなど、新たな顧客体験にも挑戦しています。

◆MAツールを活用し、適切なタイミングで顧客に営業|江崎グリコ

デジタルトランスフォーメーション 事例

江崎グリコでは、企業キャンペーンなどに活用する「法人ノベルティ」事業で、適切な購買タイミングに営業ができるよう、MA(マーケティングオートメーション)ツール「Pardot」を導入しました。MAツールでトラッキングやスコアリングなどを行い、確度の高い見込み顧客の発見ができています。

●製造業のDX事例

続いては製造業です。自動化のノウハウを活かしたスマート工場の支援や、加工プログラムの自動生成で時短につなげるなど、様々な事例があります。

◆FAソリューション同士をつなぎ、スマート工場を実現|三菱電機

デジタルトランスフォーメーション 事例

三菱電機では、製造業向けにFA関連のソリューションを提供する中で蓄積された自動化に関するノウハウや技術を活かし、機器同士をネットワークで繋ぎ、取得したデータを分析・活用することで、工場を最適化するスマート工場の実現を支援しています。

◆社内のデータを一元管理し、適切な経営判断を行う|安川電機

デジタルトランスフォーメーション 事例

安川電機は、部門ごとに管理していたデータを社内で一元管理して、適切な経営判断を行うことができるように整えました。同時に組織再編を行い、社長自らがデータを一元化するメリットを伝えることで、社内の不満を取り除きながらDX化を推進しました。

◆見積もりと加工プログラムを自動生成し、工程の短縮を実現|ミスミ

デジタルトランスフォーメーション 事例

ミスミでは、3Dデータから自動で見積もりや発注をし、設計データから加工プログラムを自動生成できる「meviy」を開発。これまで設計図面の作成から見積もり・発注、部品が顧客の手元に届くまで約3週間かかっていたところを、AIによって見積もりや発注を自動化して、2週間以上の短縮に成功しています。

◆従来型の建設機械に設置できる装置を開発|小松製作所

デジタルトランスフォーメーション 事例

小松製作所では、既存の建設機械にジャイロや加速度などを取得する慣性計測装置(IMUセンサー)や、位置情報を取得する衛星測位システム(GNSSアンテナ)、制御するコントローラーなどを後付けで設置できるキットを販売。これにより、データを取得できるようになり、従来型の建設機械であっても高度なICTを活用した施工が可能になりました。

●金融業・保険業のDX事例

次は、金融業・保険業です。お客様の声を明確に見える化したり、状態やリスクを把握して保険料に反映させたりする仕組みを導入しています。

◆瞬時に「お客様の声」の分析・見える化を実現|三井住友銀行

デジタルトランスフォーメーション 事例

三井住友銀行は、「お客様の声」を瞬時に分析・見える化できるソリューションを導入し、「テキスト含意認識技術」を用いて特定の意味を含む文章を抽出・グループ分けすることができるようになりました。年間3万5,000件にのぼる声を、効率的に分析できています。

◆健康状態を計測して保険料に反映する健康増進型保険を開発|住友生命保険

デジタルトランスフォーメーション 事例

住友生命保険では、健康的な行動によって保険料が下がる健康増進型保険「Vitality」を開発。スマートフォンアプリやウェアラブル端末によって、歩数や心拍数を計測して健康ランクを決めます。リスクを減らすという新しい保険の提案です。

◆スムーズな運転・事故リスクを計測・推定して保険料に反映するプラン開発|ソニー損保

デジタルトランスフォーメーション 事例

ソニー損保は、自動車に設置したドライブカウンタで、加速・減速のスムーズさを計測して、スムーズな運転を行っている加入者に保険料を最大20%キャッシュバックする「やさしい運転キャッシュバック型」を提供。また5年後には、スマートフォンで計測した運転特性データをもとに事故リスクを推定し、結果に応じて保険料を最大30%キャッシュバックする「GOOD DRIVE」も提供開始しました。

●建設業・農業のDX事例

建設業・農業においても、DX化が進んでいます。生産過程を変革し、生産性向上につながっています。

◆建設生産プロセスをAIで最適化|鹿島建設

デジタルトランスフォーメーション 事例

鹿島建設は、AIやIoTなどの最先端デジタル技術を活用し「鹿島スマート生産」や建設生産プロセスの変革を実現しました。また、ダム工事においてもAIのシミュレーションで最適な計画を立てることに成功しています。

◆現場の効率的な支援と生産性向上を実現|ダイダン

デジタルトランスフォーメーション 事例

ダイダンでは、本社・支店から現場に効率的な支援をすることができる「現場支援リモートチーム」や、クラウド型ビル監視制御システム「REMOVIS」を開発。デジタル技術を活用した現場の生産性向上を推進しています。

◆農薬散布量を減らしプレミアム商品を開発|プラネット・テーブル

デジタルトランスフォーメーション 事例

プラネット・テーブルは、ドローンや画像認識AIを活用し、虫食い部分にのみ農薬をまくことができる、低農薬農法の技術開発を行いました。これにより農薬散布量を10分の1以下に抑えることができます。また、低農薬農法で作られた「スマート枝豆」は市場価格の3倍で売れています。

●物流業・運輸業のDX事例

続いて物流業・運輸業です。既存サービスに捉われることなく、新サービスや新たな顧客体験をDX化で実現しています。

◆自動車部品以外の事業展開としてシステム開発|デンソー

デジタルトランスフォーメーション 事例

デンソーでは、自動車部品以外に事業展開を進めることを決め、商用車の次世代運行管理システムの一部開発を行いました。モビリティサービスの開発にあたり、デジタルイノベーション室を立ち上げ、一気にDX化を進めています。

◆乗車需要をAIで分析してタクシー稼働率を向上|日本交通

デジタルトランスフォーメーション 事例

日本交通は、乗車需要が多い場所を予測する「AI配車」を導入。過去の乗車履歴、イベント情報、気象情報、鉄道の遅延情報をもとにAIが分析します。これにより、タクシー車両の稼働率を上げることに成功しています。

◆運転手の眠気を感知して高速バスの事故が減少|WILLER EXPRESS JAPAN

デジタルトランスフォーメーション 事例

WILLER EXPRESS JAPANでは、運転手の状態を耳たぶの脈波で計測し、眠気を感知できるウェアラブルセンサー「フィーリズム」を導入。運転手の居眠りによる高速バスの事故が問題視されていたところに、自己損失額が74%減少するほどに重大事故を減らすことができています。

◆長時間のフライトでも疲れないようなサービスを開発|ANA

デジタルトランスフォーメーション 事例

ANAでは、「時差ボケ調整アプリ」をリリースし、フライト情報や現地での予定を入力すると、時差ボケを調整するために必要な光の浴び方や睡眠・仮眠の取り方などについて、適切なタイミングでアドバイスしてくれるサービスを提供。その他、長時間のフライトで疲れ切ってしまう乗客の課題意識を解消するようなサービス開発に積極的に取り組んでいます。

◆衛星通信を通じてデータを確認し船舶のトラブルを防止|日本郵船

デジタルトランスフォーメーション 事例

日本郵船では、船舶中のトラブルを未然に防ぐため、衛星通信を通じて運行状態や機器状態など、詳細な船舶データをモニタリング。船と陸上での情報共有を円滑にする仕組みを開発しました。

●サービス業・不動産業のDX事例

サービス業・不動産業においても、DX化の事例はあります。顧客体験がより良くなるDXが推進されています。

◆いつでもどこでも適切な授業を受講可能に|トライグループ

デジタルトランスフォーメーション 事例

家庭教師のトライでは、生徒にあった授業を、パソコンやタブレット、スマートフォンで時間や場所にとらわれることなく受講できる映像授業サービス「Try IT」を開発。スマホをシェイクすれば教師に直接質問ができる仕組みをつくり、生徒の疑問もその場で解消可能です。

◆ボディメイク以外でも、データをもとに適切な指導を実現|RIZAP

デジタルトランスフォーメーション 事例

RIZAPは、ボディメイクだけではなく、ゴルフ事業にIoT技術を取り入れています。ゴルフクラブにつける小型センサーを開発し、スイングの加速度などのデータをもとに指導を行います。全身の詳細な体型データを活用し、ライフステージに寄り添ったサービスを提案します。

◆チャットボットが訪日外国人を案内|JTB

デジタルトランスフォーメーション 事例

JTBでは、訪日外国人が行きたい場所や知りたい情報を調べられるようなアプリを開発。これには、人工知能を搭載したチャットボットがツアーの添乗員のようにアプリに常駐しており、観光スポットやモデルプランも調べることができます。

◆チケットの購入や再販を簡単にできるサービスを構築|北海道日本ハムファイターズ

デジタルトランスフォーメーション 事例

日ハムでは、球場へ足を運ぶ新規ファンを獲得するため、チケット販売システムを構築。購入しやすいだけではなく、追加・変更・再販も簡単に行えるようにすることで、新規ファンが気軽に入場できるだけでなく、空席や販売済み座席の管理も簡単になりました。

◆VR技術によるオンライン内見を実現|スペースリー

デジタルトランスフォーメーション 事例

スペースリーは、ブラウザ上から賃貸物件のパノラマ画像を閲覧できる、オンライン内見サービスを開発。検討者の体験を向上させるだけでなく、クリックや滞在時間を集計し、どの部屋や写真にユーザーが興味を持ったかを計測し、物件の成約率や反響の向上を実現しています。

●IT・インターネット業のDX事例

IT・インターネット業では、DX化を推進するようなサービスを提供する企業が増えています。

◆個人間売買を手軽にするフリーマーケットを提供|メルカリ

デジタルトランスフォーメーション 事例

メルカリは、個人間取引を仲介するネットオークションよりも手軽な、フリーマーケットサービスを展開。出品者が価格を設定し、入落札はありません。オークションに慣れ親しんでいない層も巻き込むことに成功しています。

◆契約作業をクラウド上で完結させるサービスを開発|クラウドサイン

デジタルトランスフォーメーション 事例

クラウドサインは、これまで紙と印鑑で行っていた契約作業を、パソコンだけで完結させるサービスを提供。契約における全てのステップがクラウド上で完結するため、わずか数分で終えることができ、コスト削減にもつながっています。

◆契約書のレビューをAIが実施しリスクを削減|AI-CON

デジタルトランスフォーメーション 事例

AI-CONは、AIを活用した、契約書のレビューを行うサービスを開発。契約に潜む一般的なリスクだけでなく、自社特有のリスクまでAIが検知し、条文修正の参考情報の検索や参照も簡単にできるようになっています。

◆面倒な労務手続きなどをオンライン上で完結|SmartHR

デジタルトランスフォーメーション 事例

SmartHRでは、労務手続きや従業員情報の管理において、書類を使わずオンライン上で完結できるサービスを提供。面倒な手続きを簡単にできる他、年末調整や給与明細なども簡単にWebで発行できます。

●行政のDX事例

最後に、行政でのDX化事例をご紹介します。市民の安全安心に役立てている地域や、より便利な体験が実現できる仕組みを整備している地域があります。

◆小学生の登下校ルートを把握できるセンサーを導入|富山市

デジタルトランスフォーメーション 事例

富山市では、人口減少と高齢化社会に対応するべく、持続可能なコンパクトシティの形成を促進しています。その中で、小学生にセンサー付きデバイスを持たせ、登下校の通学路にアンテナを設置し、登下校ルートを把握して子どもたちの安全確保につなげています。

◆顔認証技術で手ぶら決済を実現|熊本県

デジタルトランスフォーメーション 事例

熊本県では、顔認証技術などのICT技術を活用し、顔情報を共通のIDとするDigital IDで、非接触決済ができるようにしました。これにより、快適で満足度の高い観光体験の実現を目指します。

◆IoT技術で河川の水位などを計測し、瞬時に避難警告を発出|高松市

デジタルトランスフォーメーション 事例

高松市は、IoT技術を活用して河川の水位や避難所の情報をセンサーで取得し、リアルタイムに地図上で可視化できる仕組みを構築。災害時にも早期に正確な避難指示を出せるようにデジタル技術を活用しています。

 

DXを成功させる3つのポイント

デジタルトランスフォーメーション 事例

ここまで各業種別のDX化の事例をご紹介してきました。デジタルトランスフォーメーションの成功には、3つのポイントがあります。

●経営層が先導して社内全体の意識改革を

一つ目は、経営層自らがDX化を推進していき、社内全体の意識を変えることが重要です。経営層にデジタル変革に対する理解がないと、漠然とした指示にしかならず、現場も困ってしまいます。

●DX評価指標で現状を把握する

二つ目は、経済産業省が発表している「DX評価指標」で、自社のデジタル変革の度合いや現状を把握することです。その上で、既存システムをどのように扱うのか、どこからデジタルトランスフォーメーションを進めていくのかを考える必要があります。

●DX推進部門に適切な人材を配置する

三つ目は、具体的なDX化の方針を固めたうえで、DX推進部門を立ち上げ適切な人材を配置することです。戦略やビジョンに基づき、どのようにデジタル変革に取り組むべきか、適切に判断して実行していくことができるIT人材を中心に配置していきましょう。

 

まとめ|事例を参考にDX化を推進していこう

今回は業種別でデジタルトランスフォーメーションの取り組み事例をご紹介してきました。業界によって取り組む目的やゴールが異なれど、どの企業も、新しい顧客体験を追求したサービス改善や、業務効率化を目指す取り組みを実施しています。

自社でDXを推進していく上では、先述したポイント3つ押さえて実施していきましょう。

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。