海外のデジタルトランスフォーメーション(DX)先進事例13選と成功ポイント

海外企業でのデジタルトランスフォーメーションの先進事例13選と成功ポイントをご紹介。AmazonやUberをはじめとした有名企業や、Best Buy、24 Hour Fitnessの取り組み事例も取り上げます。

海外企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)推進はどのくらい進んでいるのでしょうか?

デジタルトランスフォーメーションは、経済産業省がガイドラインを公開したり、令和二年度補正予算にてリモート化等によるDXの加速に1,009億円の予算をつけたりと、政府としても強化している取り組みです。

ただ、日本企業では、9割以上の企業がDXに取り組むことができていないか散発的な実施に留まっているようです。DXを実施することで、どのような効果が得られるのか、イメージを持てていない方もいるのかもしれません。

そこで今回は、海外企業で進んでいるDX事例をご紹介します。最先端のDX事例を知ることで、自社でDXを取り組んだ先にある状態を、少しでも具体的に想像し戦略設計に活かしてください。

 

代表的な海外のデジタルトランスフォーメーション成功事例6選

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

まずは、代表的なデジタルトランスフォーメーションの成功事例を6社、紹介します。よく事例として登場する、有名企業ばかりです。

◆決済・物流・クラウドサービスの業界常識を変革|Amazon

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

Amazonは、DXによって劇的に業界の常識を変え、ビジネス変革を遂げた事例として有名です。

決済や物流といった様々な小売の仕組みをオンラインで実現することに成功したAmazonですが、1994年の創業当時はECサイトは珍しい存在でした。そんな中Amazonは、店頭で購入できる書籍をインターネット上で販売するビジネスを開始しました。

また、クラウドサービスの分野でも、トップレベルの業界シェアを誇っています。AWSにおいても、低価格政策を貫き、IT企業に生まれ変わったという評価を受けたタイミングです。

◆タクシーや食の体験をより便利に|Uber

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

ウーバー・テクノロジーズ社が提供する配車サービス「Uber」も、事例としてよく取り上げられる代表的なサービスで、タクシー業界を大きく変化させました。

Uberによって、タクシードライバーは空き時間を使って仕事を得ることができるようになり、ユーザーはタクシーが普及していないエリアでも便利にタクシーに乗ることができるようになりました。

飲食店と連携し食料品を配達する「Uber Eats」でも、利用者、加盟店が急増しており、業界だけでなく日常生活も大きく変革させています。

◆電子決済からクレジットカードまで業界を席巻|Apple

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

Appleというと、iPhoneをはじめとしたスマートフォン機器を思い浮かべるかもしれませんが、DXの観点で見るとクレジットカード業界にも大きな変革を起こしているのです。これまで電子決済サービス「Apple Pay」など金融分野に取り組んでいましたが、ブランド力や技術力を活かして算入しています。

2019年にアメリカでサービス開始した「Apple Card」は、一般的なクレジットカードに記載されているようなクレジットカード番号や有効期限、セキュリティコード、サイン欄などはなく、ロゴと利用者名しか印字されていません。これにより、クレジットカードを作ることができない移民や貧困層を取り込みながら、スキミングなどの不正利用を回避する方法として人気になりました。

◆スマホ普及の流れに乗って音楽の楽しみ方を変革|Spotify

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

Spotifyは、インターネット上でCDレンタルや楽曲ダウンロードができるようなサービスとして、音楽を楽しむ形を大きく変えています。これまではCDやWebで購入した音源を、再生プレイヤーに取り込んで聞く方法が主流だった中で、スマホの普及の流れに乗って成功した事例と言えます。

◆ホテルや旅館以外の体験を作り出すことに成功|Airbnb

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

泊まれる場所を提供したい人と宿泊先を探す人をマッチングするAirbnbは、これまでのホテルや旅館の業界構造をゆるがしました。

ホテルや旅館に宿泊する、という選択肢しかなかったところに、Airbnbは参入して新たな選択肢を増やしました。Airbnbは、個人の別荘や自宅の個室、テントなど様々な場所を選んで宿泊できます。

◆DVD配達からインターネットサービスへと大転換|Netflix

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

DVDレンタル業界を大きく変革させたのがNetflixです。動画配信サービスとして高い人気を誇ります。

現在は月額制で動画配信を行っているサービスですが、以前はインターネット上のサービスではなく、映画などのDVDを自宅に届けるというサービス内容でした。その後DXを行い、自社のプラットフォーム上で動画配給、自社コンテンツの制作・配給を始めています。

 

その他海外でのデジタルトランスフォーメーション先進事例7選

デジタルトランスフォーメーション 事例 海外

ここからは、上記6社以外のデジタルトランスフォーメーションの海外の先進事例をご紹介します。

◆リアル店舗とECサイトをかけ合わせた顧客体験|Best Buy

Best Buyは、アメリカの家電量販店です。AmazonなどのECサイトが普及する中で、実際に店舗で商品を確認し、より価格が安いECサイトで購入する消費者の行動がつくられていました。そんな状況の中で、リアル店舗とWebをかけ合わせて新たな体験価値やサービスを提供するDXを推進してV字回復をしているのがBest Buyです。

ネットで購入したものを実店舗で受け取れるような設計にしたり、顧客が店舗で見た商品が競合よりも安かったら差額を返金するサービスの対象に、AmazonのECサイトなどを加えたりしています。また、ECサイト上に店舗在庫を即座に反映したり、24時間年中無休で問い合わせできるTotal Tech Supportを立ち上げたりして、顧客の体験をより良くすることにも実践しているのです。

◆アプリを通して顧客にパーソナライズな体験を提供|24 Hour Fitness

24 Hour Fitnessは、日本でもサービス展開されているフィットネスクラブです。これまで24時間いつでも利用できる、という利便性を訴求してきましたが、競合サービスも増えてくる中で、DXの取り組みを開始しました。

これまではパーソナルトレーナーの利用者が全会員の約3%、スタジオのクラス利用者が約17%と低く、残りの8割の会員とはパーソナルなコミュニケーションの機会を持てていませんでした。

そこでアプリを通したパーソナライズ体験を提供するという取り組みとして、顧客の興味などにあわせておすすめのパーソナルトレーニングを提示したり、自宅でのワークアウトなどの進捗管理など、ジムだけでなく日常で顧客と接点を持つような設計をして、会員数の増加にもつなげています。

◆製造工程のデジタル化から新たなサービスまで確立|レゴ

老舗玩具メーカーであるレゴは、1932年設立から1990年初頭まで、レゴのブロックは売れ続けていましたが、特許が切れた1988年頃から売上が減少し始めていました。

そこで経営を立て直すために取り組んだDX推進として、購買から製造、在庫、販売においてERPツールを導入してデジタル化を進めた結果、わずか1年で黒字に復帰しています。その他、従来製品とリンクしたオンラインゲームなども開発し、新たなビジネスモデルの開拓も行っています。レゴのブロックを題材にした映画製作も行い、わずか6,000万ドルの制作予算で約4億6,800万ドルもの収益を生み出せています。

◆AR技術を活用した化粧品購入の新しい体験|ロレアル

ロレアルは老舗化粧品メーカーの中でも、デジタル技術を積極的に活用している企業として有名です。AR技術を使ったコスメティックス・シミュレーションアプリを開発するモディフェイスを買収し、顧客の商品検討や購入までの導線をスムーズにしています。

また、Amazonとも連携し、ユーザーごとに製品をカスタマイズして提供するカスタム・マニュファクチャリングにも積極的になっています。

◆銀行に行かずにアプリで取引ができる|BBVA

スペインの銀行であるBBVAは、アプリを通じて取引ができるようにDX化を推進した企業です。この結果、実際にユーザーが店舗に訪れる回数は年10回程度だったのに、アプリには年300回ログインするようになっています。

◆ホロレンズの活用で家具購入をスムーズに|Natuzzi

イタリア最大の家具メーカーNatuzziでは、マイクロソフトの「Microsoft HoloLens」を使い、家具を自宅に置いたときのシミュレーションをする実証実験を行いました。商品の実物大ホログラムを、自宅の室内に投影できカラーの変更もできます。

これにより、購入前にサイズ感やインテリアとの調和を具体的にイメージすることができるようになり、購入決定までにかかる時間を短縮できました。

◆顧客データベースの構築・活用で新たなマーケティングが可能に|ユニリーバ

ユニリーバは、食品事業から健康・美容事業へと移行していましたが、ビジネスオペレーション体制が構築されておらず、規模が大きくて回っていなかったのが課題でした。そこでDX化として、顧客データベースの構築に着手しました。

ユニリーバでは、会員登録やポイントカード、オンライン上の購買活動などのデータを収集し、ターゲットを絞った広告を展開するなどして、データを活用したマーケティング戦略でブランド立ち上げにかかる時間を約50%削減しています。

 

海外でのDX成功事例に共通するポイントは?

さて、ここまで13の事例を見てきましたが、自社でのDX推進のイメージが膨らみましたでしょうか?

海外でのデジタルトランスフォーメーションの事例として、有名な13社を紹介しましたが、これらに共通するのは「顧客視点で考える」ということです。DX化というとデジタル技術を取り入れることが目的になってしまいがちですが、重要なのは顧客視点です。

現状のサービスや商品を利用している顧客がどのような課題を持っているのかを把握し、新たな顧客体験を提供するためには何が必要なのかを考えましょう。

 

まとめ|顧客体験の最大化にデジタルトランスフォーメーションを

海外のDX事例13選を見てきた中で、共通していたのは顧客視点で考えるという姿勢でした。

デジタルトランスフォーメーションの導入が急がれる今、あわててデジタル技術を取り入れるのではなく、今後の市場・ビジネスモデルの変化を見極め、顧客が求めているものは何なのかを適切に捉え、ビジネスモデルから変革することが求められます。他の事例も参考に、自社のDX化を推進していきましょう。

 

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。