2020年のDX銘柄35社、DX注目企業21社は?DXグランプリの事例と評価基準をご紹介

DX推進の仕組みを構築し、優れたデジタル活用の実績のある企業を選定する「DX銘柄」。経済産業省が2020年8月に発表した資料を元に、「DXグランプリ」「DX銘柄」「DX注目企業」をご紹介し、実際のDX取り組み事例、評価基準について見ていきます。

経済産業省が取り組みを推進しているデジタルトランスフォーメーション(DX)。最新テクノロジーによって産業構造を変革させる取り組みを、実際にどのような企業が実践しているのか、具体事例を調べている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、経済産業省が2020年8月に選定・発表している「DXグランプリ」「DX銘柄」「DX注目企業」をご紹介しながら、実際のDX取り組み事例、評価基準について見ていきます。

デジタル技術を活用し、ビジネスモデル等の抜本的な変革に取り組んでいる企業の事例から、自社においてデジタルトランスフォーメーション推進へと取り入れられるポイントを見つけてください。

 

デジタル技術によるビジネスモデル変革に取り組む「DX銘柄」企業とは?

まず「DX銘柄」とは、企業価値の向上につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定して紹介する取り組みです。経済産業省が東京証券取引所と共同で選定しています。

これまで、経済産業省は、2015年から「攻めのIT経営銘柄」として、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を選定してきました。

しかし、あらゆる要素がデジタル化されていく世の中の動きに合わせて企業が事業活動を継続できるようになる状態を目指す場合、積極的にデジタル技術を活用して、既存のビジネスモデルや産業構造を覆して生き残りをかける、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が重要になってきました。

こうした社会的な変化に対応すべく、2020年新たにデジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていくデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業を「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として評価し、選定することにしました。過去5回実施してきた「攻めのIT経営銘柄」をDXに焦点を当てる形で「DX銘柄」に改め、選定項目も見直しがされています。

なぜ経済産業省は「DX銘柄」の選定に取り組んでいるのか?

「DX銘柄」等を選定する取り組みの目的としては、東京証券取引所に上場している企業の中から、DX推進の仕組みを社内で構築し、デジタル活用にも優れている企業を選定することで、目標となる企業モデルを広く普及させ、経営者の意識変革を促すことや、投資家を含むステークホルダーへの紹介を通して評価を受ける枠組みを創設し、企業によるDXの更なる促進を図っています。

また、「DX銘柄」に選定されていない企業の中から、総合評価の高い企業、注目されるべき取り組みを実施している企業を「DX注目企業」として選定し紹介することで、DX事例を広めようとしています。そして「DX銘柄」選定企業の中から、業種の枠を超えて、”デジタル時代を先導する企業”として「DXグランプリ」企業を選定し発表しています。

つまり、企業の経営者・担当者は、「DXグランプリ」「DX銘柄」「DX注目企業」について、評価基準や取り組み内容を押さえることで、自社のDXの取り組みを前進させられる可能性があるということです。

画像引用:経済産業省『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020』

 

気になる評価基準は?DXの取り組みを3つのカテゴリーで評価

どのように「DX銘柄」は選ばれているのでしょうか。

選定にあたり、各社におけるDXの取り組み実態を評価するため、経済産業省は東京証券取引所の国内上場企業に対して「デジタルトランスフォーメーション調査2020」を実施。その回答の中から、以下の6つの項目と財務指標についてスコアリングし、最終選考を経て選定しています。

1.ビジョン・ビジネスモデル
2.戦略
3.組織・制度など
4.デジタル技術の活用・情報システム
5.成果と重要な成果指標の共有
6.ガバナンス

ビジネスモデルは、事業を通して顧客や社会に価値を提供し、持続的な企業価値につなげる仕組みのことを指し、戦略とはビジネスモデルを実現する方策のことを言います。

また、ガバナンスとは、ビジネスモデルの戦略を着実に実行し、持続的に企業価値を高める方向に企業を規律付ける仕組み・機能、と定義されています。

画像引用:経済産業省『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020』

上記の評価フレームワークの内容に基づき、DX推進の評価をしていきます。

さらに、DXの取り組みを以下の3つのカテゴリーで評価しています。

1.革新的な生産性向上
2.既存ビジネスの変革
3.新規ビジネス創出

画像引用:経済産業省『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020』

このようにして、業務そのものの自動化、働き方の変革などによって、革新的な生産性向上を目指す取り組みができているか、既存の事業ドメインを変えずに収益の成長を目指す取り組みができているか、これまでになかった顧客・市場を創造したり、価値を創出したりする取り組みができているか、具体的に見て評価されています。

 

「DXグランプリ2020」に選ばれた、小松製作所、トラスコ中山のDX事例

「DX銘柄」35社のうち、業界の枠を超えて、デジタル時代を先導する企業、として選定されているのが「DXグランプリ」です。2020年は「株式会社小松製作所」「トラスコ中山株式会社」が「DXグランプリ2020」に選定されています。

ここでは、デジタルトランスフォーメーション推進において代表的な企業とも言える、小松製作所、トラスコ中山の事例・評価ポイントをご紹介します。

価値創造・事業改革・構造改革の成長戦略3本柱|小松製作所

小松製作所は「コムトラックス」で、日本の製造業のデジタル化の最先端を走る企業として高く評価されてきています。その中でも、さらにDXを力強く推進し、「スマートコンストラクション事業」ではDXを駆使して顧客課題だけでなく、業界および社会の課題解決にも目を向けていました。

新たに4つのIoTデバイスと8つのアプリケーションを導入し、建設生産プロセスの部分的な「縦のデジタル化」だけでなく、施工の全行程をデジタルでつなぐ「横のデジタル化」を進めることで、現場課題に対する最適解を出すことが容易になっています。

画像引用:経済産業省『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020』

また、経営の基本である「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化するという方針を保ったまま、中期経営計画には「ダントツバリュー」というスローガンを掲げています。これにより、製品の高度化を目指す「ダントツ商品」、稼働の高度化を目指す「ダントツサービス」、施工の高度化を目指す「ダントツソリューション」をレベルアップさせました。

さらに、外部環境の変化に即応し、成長戦略を「イノベーションによる価値創造」「事業改革による成長戦略」「成長のための構造改革」の3本柱として掲げ、全体最適の経営を実現しているところが評価されています。

データの分析と活用でリアルタイムで経営判断|トラスコ中山

トラスコ中山は、モノづくり現場を支えるプロツールの専門商社。「独創経営」を競争力の源泉として掲げ、40万点の在庫、ドライバー1本から即日配送できる独自モデルを構築しています。

同社では2020年1月、データ活用に力を入れられるように、基幹システムを刷新しています。これによって、社内の業務改革とともに、サプライチェーンの中流にいる同社がIT活用によって、サプライチェーン全体の商習慣を変えようとしています。

画像引用:経済産業省『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020』

また、全部門横断の人事異動や360度評価を実施してきたことで、DX時代に重要な変革やチャレンジ、顧客目線で思考する企業文化が育まれています。経営層だけでなく、全社として意識改革ができています。

 

「DX銘柄」35社、「DX注目企業」21社は?

ここまで、「DXグランプリ」の取り組み事例を解説しました。最後に、「DX銘柄」「DX注目企業」を企業名のみご紹介します。具体的にどのような企業が選定されているのでしょうか。業種ごとにまとめているので、自社の業種で参考になる企業を探してみてください。

優れたデジタル活用を行う「DX銘柄」に、35社を選定

「DX銘柄」は、企業価値の向上につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業です。

【建設業】
・鹿島建設株式会社
・ダイダン株式会社

【食料品】
・アサヒグループホールディングス株式会社
・日清食品ホールディングス株式会社

【繊維製品】
・東レ株式会社

【化学】
・富士フイルムホールディングス株式会社
・ユニ・チャーム株式会社

【医薬品】
・中外製薬株式会社

【石油・石炭製品】
・ENEOSホールディングス株式会社

【ゴム製品】
・株式会社ブリヂストン

【ガラス・土石製品】
・AGC株式会社

【鉄鋼】
・JFEホールディングス株式会社

【機械】
・株式会社小松製作所
・ダイキン工業株式会社

【電気機器】
・コニカミノルタ株式会社
・富士通株式会社

【輸送用機器】
・ヤマハ発動機株式会社

【精密機器】
・株式会社トプコン

【その他製品】
・大日本印刷株式会社

【電気・ガス業】
・東京ガス株式会社

【陸運業】
・東日本旅客鉄道株式会社

【情報・通信業】
・Zホールディングス株式会社
・株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

【卸売業】
・住友商事株式会社
・トラスコ中山株式会社

【小売業】
・Hamee株式会社
・日本瓦斯株式会社

【銀行業】
・株式会社りそなホールディングス

【証券、商品先物取引業】
・株式会社大和証券グループ本社

【保険業】
・SOMPOホールディングス株式会社

【その他金融業】
・東京センチュリー株式会社

【不動産業】
・株式会社GA technologies
・三菱地所株式会社

【サービス業】
・株式会社ディー・エヌ・エー
・セコム株式会社

総合的評価の高い「DX注目企業」に、21社を選定

次に、「DX注目企業」です。DXの裾野を広げていく観点で、DX銘柄に選定されていない企業の中から、総合的評価が高かった企業、注目されるべき取組を実施している企業を「DX注目企業」として選定しています。

【食料品】
・サッポロホールディングス株式会社

【繊維製品】
・帝人株式会社

【化学】
・株式会社三菱ケミカルホールディングス
・花王株式会社

【医薬品】
・大日本住友製薬株式会社

【機械】
・THK株式会社
・株式会社IHI

【電気機器】
・日本電気株式会社
・カシオ計算機株式会社

【輸送用機器】
・川崎重工業株式会社

【陸運業】
・SGホールディングス株式会社

【情報・通信業】
・株式会社野村総合研究所
・伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

【卸売業】
・株式会社PALTAC

【小売業】
・ワタミ株式会社
・株式会社丸井グループ

【銀行業】
・株式会社三井住友フィナンシャルグループ
・株式会社ふくおかフィナンシャルグループ

【証券、商品先物取引業】
・東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社

【保険業】
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社

【サービス業】
・応用地質株式会社

 

まとめ|デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業の事例を参考にしよう

今回は経済産業省が発表している「DX銘柄」の企業をご紹介するとともに、評価基準や事例について解説してきました。

評価基準を見ることで、DXを取り組むにあたり重要な観点が分かるはずです。また、実際に取り組み事例を各企業ごとに調べると、自社でのDX推進のヒントになる可能性もあります。

成功事例、取り組み事例を参考に、デジタルトランスフォーメーションの実施や革新的な生産性向上、既存ビジネスの変革、新規ビジネス創出に積極的にチャレンジしていきましょう。

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。