今よりもっと会社のIT環境を整えるために。改めて「情報システム部と担当者」について考えてみました。

ITアウトソーシングの商談時、お客様ご担当者に「IT化やDX化を社内の誰が推進していますか」という質問をすると、「情報システム部が推進している」もしくは「ITに詳しい人が兼任で推進している」という回答が良く返ってきます。

前者の「情報システム部」がしっかりと推進しているのであればよいのですが、後者の「総務担当者が兼任している」「社内のIT(もしくはパソコン)に詳しい人が担当している」ならば、「相当ご苦労されているのではないか」と考えてしまいます。

なぜならITのスピード化に対応するには、兼任でできるほど簡単ではないからです。
ましてやクラウド化が進む中で情報システム担当の役割はさらに増えつつあります。

このタイミングで「情報システム部と担当者」の役割について、改めて考えてみたいと思います。

 

情報システム部の役割

情報システム部の役割は、「社内のデジタル化やシステム化を推進し、事務処理や管理業務を効率化することで従業員の生産性向上に貢献し、かつ経営者が素早く自社の状態を把握できるような環境を整える」ことです。「その結果として業績拡大のスピード化に貢献する」ことです。
さらに「セキュリティリスクを最小限に抑えること、システム障害を未然に防ぐ手段を講じること、障害が発生すれば早期発見と、迅速な対処」なども重要な役割になります。

従業員から見れば、ヘルプデスクのようなイメージが強いかもしれません。
例えば、「エクセルの使い方がわからないから教えて」「パソコンの電源がつかないから調べて」「インターネットにつながらないからどうにかして」「スマホをなくしたので代わりを手配して」など、IT関連でトラブルがあれば解決してくれる部門のようなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

ヘルプデスク対応も重要な仕事です。従業員の悩みや事故対応が遅れれば、それだけ業務が滞ってしまいます。ただコア業務であるか、というと、そうでもありません。

 

情報システム部は設置すべき、さらには専任か兼任どちらがよいのか

日々の従業員対応で忙しい部門であるとはいえ、そもそも情報システム部は設置したほうがよいのでしょうか。

答えは、設置したほうがよい、です。
ただし情報システム部という部門を設置することが重要なのではなく、専任者を設置することが重要です。兼任では他の仕事の影響で、どうしても本来やるべき仕事の対応スピードが落ちてしまいます。

ここでよくある意見です。
「情報システム部を設置してもよいが、システム導入終わったら何させる?」
「ヘルプデスク担当を設置するのはよいが、従業員対応がないときは何させる?」
結果、「専任させるほどではない」という結論になりがちです。

実は、情報システム部門には結構な仕事があります。
システムは導入して終わりではなく、その後の保守運用が重要です。
障害対応、機能追加、セキュリティ対応、組織変更や従業員の入退社に伴うマスタ変更、他システムとの連携、保守期間が切れる時期の管理など様々な仕事があります。

またシステムといっても社内にあるのは一つではなく、ERP、会計、経費精算、販売管理、生産管理、給与、勤怠、人事管理、採用管理、SFA、顧客管理、名刺管理、web会議ツール、グループウェア、メールツール、チャットツール、ワークフロー、文書管理、マーケティングオートメーション、オフィス系ソフト、セキュリティソフト、MDM、RPA、AI-OCRなどから、ファイルサーバ、webサーバ、各種データベース、ネット関連のインフラ、スマホ系アプリなど、多種多様なシステムやソフトウェアがあります。
これらのシステム、ソフトウェア、IT設備ごとに先述した仕事があるわけで、想像以上の仕事量になります。

さらに、パソコンやスマホ等のIT機器のセットアップ(入退社があれば都度)、OSや各システムのバージョンアップ対応もあります。

情報システム部主導で進めるシステム構築もあれば、他部門のシステム導入検討の支援、使えるようにするためのセットアップ、ヘルプデスクの仕事が加わると、「何をさせる?」「兼任で大丈夫でしょう」という意見は言えなくなります。

これらの仕事を兼任でやっていれば、冒頭の感想のとおり「相当ご苦労されているのではないか」と考えてしまうのも納得いくのではないでしょうか。

本来整えるべきIT環境がすぐには整わない、もしかしたら競合他社に後れをとる可能性もあるのです。競合他社は素早くIT環境を整え、従業員の生産性向上、業績拡大のスピード化を実現しているかもしれないのです。

 

困難を極める情シス担当の採用

では、「情報システム部を設置し専任にするが、誰がやるのか?」
ですが、これはこれで非常に難しい課題です。

ここまで述べてきたようなことを適切に対応できる専門知識のある情報システム担当者はそうそういません。

人材が豊富な会社や採用市場で人気のある会社は比較的簡単に任命できるかもしれませんが、一般的には“非常に難しい”という会社がほとんどです。

新たに採用したくても、ほしい人材の応募がそもそもありません。条件をよくしても苦戦必須です。

理由は、情報システムに素養がある人材は、基本的にシステム開発会社やソフトウェア会社、IT関連会社に入社したいと思うからです。ITスキルを身に着けたい、スキルをフル活用したいと思う人材が“ITのイメージがわかない会社”にわざわざ入社しようと思うでしょうか?
転職サイトで募集要項を見てくれることもあるでしょうが、入社後の活躍するイメージがわきづらいので、ほとんど応募がないが現状です。特にスキルがあればある人材ほど、応募はないと考えてよいでしょう。
(もちろん、IT業界とは違っても世間的によく知られた会社、または働きやすく魅力的に見える会社であれば応募はあるかもしれません。)

新規採用が困難であれば、どうしたらよいでしょうか。

「自社内のITに詳しい人を見つけ教育する」です。

そのような人材がいればよいのですが、いない可能性もあります。また、いたとしても即戦力であるか、といえばそうでない場合が多いです。教育し活躍するまでには時間がかかるのです。

「採用も困難」「社内人材でも活躍するまで時間がかかる」のであれば、外部の力をどう利用するかに考えの力点を変えたほうがよいでしょう。(引続き採用や社内人材の教育は考えるべきです)

まずは派遣社員の活用という手段もあります。
派遣社員は、ある程度手軽に利用できますが、人の入れ替わりが激しく業務品質が安定しない場合もあります。

また、ITコンサル(コンサル会社やフリーランスも含む)の活用、さらにはITコンサルが描いた方針をITアウトソーシング会社で実行してもらう、といったITコンサル+アウトソーシングという組み合わせも手段としてありえます。
最新のIT情報や高度なサービスを利用できる点ではメリットが大きいですが、一方ですぐには開始できず、依頼範囲の特定など事前準備が必要です。またスピードや柔軟性でも自社従業員や派遣社員に比べるとやや劣る点があります。

 

まとめ

DX化や働き方改革といったキーワードは、ある意味“バズワード”的であるものの、自社内のあらゆる業務を効率化し、データ連携を効果的に行うことで従業員の生産性向上に貢献することは間違いありません。

その直接の実行者である情報システム部(もしくは専任担当)は非常に重要な役割を担っています。本来は会社としてしっかり投資すべき部門ですが、直接利益を生む部門ではない、セキュリティ対策や情報漏洩などは“必ず発生するリスク”ではないので優先的に投資を行う部門ではない、と認識される傾向があります。

実はもう情報システム部門に積極的に投資を行う社会になってきているのです。
重要性を正しく理解し、「どんな方法をすぐ取るべきか」という短期的視点、「1年後、5年後、10年後はどういう体制でいるべきか」という長期視点をもって取り組みんでみてください。

 

ライタープロフィール

津久井 基喜

津久井 基喜

営業推進部副部長。NOCのマーケティング責任者および問合せ全件を管理する。アウトソーシングだけではなく、企業の事業を推進するうえで基盤となる管理部門の方々の価値を高めるための情報発信、提案を行いたいと日々考えている。