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外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。
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ファブレス経営という言葉をご存知でしょうか?Apple、ユニクロ、任天堂、サンゲツ、などの名だたる企業の共通点が、ファブレス経営を行っていることです。
この記事ではファブレス経営とはどのようなものか、メリットやデメリット、OEMやアウトソーシングとの違いなどを企業の取り組み事例を参考にしながらご紹介します。
この記事の目次
ファブレス経営とはfab(fabrication facility:「工場」)を所有せずに製品の企画・設計を自社で行い、生産工程については外部に委託するビジネスモデルを指します。
(引用:https://www.soumu.go.jp/main_content/000668971.pdf)
ファブレスは英語で「Fabless」と書き、製造設備の「fabrication facility」と、何かを持っていないという「less」を組み合わせ「Fabless」、つまり工場を持っていない、と訳されます。
この訳からもわかる通り、ファブレス経営をするということは企画や設計を自社で行い、製造は外注するという形態をとることです。
「ファブレス経営」という言葉は1980年代にアメリカのシリコンバレーで使われ始め、半導体の設計会社が製造を日本の工場に委託したことが由来と言われています。
製造過程の外注と聞いて、OEMとの違いを疑問に思った方もいるでしょう。
OEMとは「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」の頭文字を取ったもので、自社で製造したものを他社のブランドとして供給、販売する方法を意味します。
自社では企画、設計しか行わないファブレス経営とは全く異なるものになります。
アウトソーシングとは、外部(アウト)からの調達(ソーシング)を意味します。仕事を担う人やサービスを、契約によって外部から調達し、企業活動に生かす経営手法です。
そのため、企画と生産を企業単位で分業しているファブレスとは異なり、そもそも自社でやる業務において、効率性や生産性という点で外部の力を借りるという手法のひとつがアウトソーシングなのです。
アウトソーシングについては別記事で詳しく紹介しています。
▼アウトソーシングとは何か?その3つのメリット
ファブレス経営と合わせて耳にするのがファウンドリです。英語の「Foundry」はもともと鋳造所の意味ですが、現在では他社の製造を請け負う企業や工場のことを指して使われます。
ファブレス企業は企画・設計を担当し、それ以降の製造過程をファウンドリ企業が担当します。
ファブレス経営が始まったとされる半導体業界では、引き続き主流の経営方法と言われていますが、現在では他の業種にも広がっています。
ファブレス経営が向いている業界といえば、冒頭で話した企業例からもわかる通り、製品のサイクルが短い衣料品などのアパレルや飲料品、食料品メーカーが代表的な例です。
また、精密機械を要する工場など設備に対する投資が多額になる製造業は、ファブレス経営を取り入れることで設備投資へのリスクや負担を分散することが可能になるためメリットも大きいでしょう。
あとは、企画と製造を切り離して考えやすい業態も向いていると言われています。
参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000668971.pdf
まず、製造ラインを自社で構築する場合と比較し、大規模な設備投資がかからないというメリットがあります。特に製品ラインナップが多かったり、トレンドにあわせた製品を素早く製造する必要がある場合には、整備の見直しが必要になる可能性があります。
このようなリスクなく経営を行えることは、大きなメリットと言えます。
一つの製品を大量に生産した場合、製造にかかるコスト(原価率)が低減し、利益率の向上が期待できます(スケールメリット)。ファブレス経営を取り入れた場合、製造の規模によってスケールメリットを得ることもできます。
製造個数や設備投資にかかるコストによっても変わってきますが、ファブレス経営でもスケールメリットを得られる場合があると言えるでしょう。
ファブレス経営では製品ごと、タイミングごとに外注先を選ぶこともできるので、製造サイクルを早め、ニーズの変化に素早く対応することができます。外注先の選定方法のノウハウがあれば、新たな分野の製品にも新規参入しやすいと言えるでしょう。
ファブレス経営の本筋です。製造にかかる工程を外注することで、ファブレス経営を行う企業では商品の企画や開発にリソースを集中させることができます。モノづくりの原点ともいえる企画にリソースを集中させられることはブランド力を高めたり、新商品の開発に注力できるようになり、優位性を保つことにつながります。
製造過程を外注するということは、介入できない過程があるということにもなります。そのため、改善活動に関与しにくいことや万が一のトラブルの際、自社のコントロールできない事態が起こり得ます。
パートナーを選定する際に、監査やトラブル発生時の対応などを考慮しておくことをお勧めします。
機密事項は守られなくてはならないものですが、製造過程を外注することで情報漏洩につながる可能性があります。情報漏洩の恐ろしいところはコピー商品などが他企業から発売され、自社製品の優位性がなくなることです。
信頼できるパートナー企業を選定することと、万が一に備えて損害賠償や責任の追及ができる契約書を作成しましょう。
安定的に商品が売れだした場合、外注コストがかえって高くつく可能性もあります。特に一つの製品が安定的に売れている場合は、初期費用、維持費はかかるものの、自社で工場を保有し改善を行うことでコストを下げることが可能になります。短期的な売れ行きか、中長期で考えて良いのか、などを見極めることも重要になります。
iPhone、iPadなどで有名なAppleはファブレス経営の代表的な企業です。自社のリソースをデザインや設計に集中させることで、革新的な製品を世に生み出してきました。
製造工程を外注先に任せきりにするのではなく、最新の技術を使用できるようにAppleは工場へ高額設備の投資も行っています。そのことで、製品の品質向上、担保につながり、自社のブランドイメージを向上させているのです。
https://paraft.jp/r000016001441
製造過程を主に海外の工場に外注するファブレス経営を取り入れています。
ユニクロと言えば、高品質・低価格で評価を得てきました。ユニクロは長年に渡り、中国を中心として海外の工場で生産を行っています。
工場の経営者と本音で議論する場「工場コンベンション」を毎年開催していたり、縫製工場と主要素材工場には、労働環境・環境保全のモニタリングを実施することで、正しく商品が製造されているかどうか確認を行っていると公式サイトでも謳っています。
このようなWin-winの関係を継続できる工夫を取り入れているのです。 https://www.fastretailing.com/jp/group/strategy/uniqlobusiness.html
ゲームのトレンドは早く、在庫リスクを抱えないためにも製造を外部生産しています。製造自体は他電子機器に比べ比較的簡単な技術でも可能なことから、ファブレス経営に向いていると言えます。
また公式サイトでもファブレス経営について「任天堂の製造部門の担当者は、外部の生産パートナーの工場に行き、直接生産工程などの確認や改善指導を行うことで安全性の確保と品質の向上に努めています。」と語っています。品質をしっかりと担保できる工夫がなされています。
https://lb-w.com/marketing/fabless.html
https://www.nintendo.co.jp/csr/q_and_a/qa3.html
壁紙からカーテンまで、トータルインテリアでお馴染みのサンゲツは約1万3,000点にもなるインテリア商品を扱っています。この幅広いラインナップを可能にしているのがファブレス経営です。
アライアンスを強化することで品質を安定させ、コスト的にも優れた商品を生み出しています。
自社の成長戦略としてもファブレス経営を第一に掲げており、企画やマーケティングへの投資、お客様のニーズに合わせた製品提供を実現していると記載しています。 ttps://www.sangetsu.co.jp/images/csr/pdf/report/sangetsu-report2019_03.pdf
先述した成功の事例を見て、2点大切なポイントに気づきました。
・委託先に丸投げしない
・関係性の継続に投資も努力も惜しまない
単純にパートナーを外注先のひとつとしてコストをいかに下げられるか、効率化できるのか、だけではなく、工場への投資や品質管理のためのマネジメント人員の設置などファブレス経営を行っている企業からパートナー企業への惜しみない投資と努力が伺えました。
生産拠点を自社に置かない、ということでまず出てくるのが品質の担保をどうするかという課題です。
作業工程が不透明になるリスクをしっかりと考え、管理のための人員や、品質向上における投資など「任せきり」「ほったらかし」にしないことで解決しているように伺えました。
企業同士の繋がりも結局は相手を信頼できるか、が大きなポイントです。
パートナーとして良いコミュニケーションを継続させることができる企業こそ、社会により良い品質のサービスや商品が提供できるのではないでしょうか。
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