パプリカ
外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。
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企業におけるあらゆる課題の解決策として、システム(サービス、以下はシステムで統一)導入は重要な手段です。
今ではクラウド化も進んでいるため初期費用や設備投資、運用コストの負担が軽減され、資金が潤沢ではない企業でも幅広くシステムを検討できるようになりました。
しかし、いざシステムの候補を定めて営業に話を聞く場面になると、本来の目的からそれてシステムの機能やコストだけに目が行きがちになりませんか。
今回はシステムを提供するベンダーでは伝えにくい、クライアントがシステム導入時に陥りやすいポイントをまとめてみました。
この記事の目次
「ここをまるっとシステムに置き換えたい!」とよく言われます。たしかに新規で投資をするなら完全に代替できることを期待したくなります。
しかし、実際に人手を全く介さずにシステムで完結させる、ということはどんなシステムでも不可能です。作業自体は置き換えができても、人のチェックは必要であったり、ときにはメンテナンス、ルールの書き換え作業などが必要なこともあります。
目的を考えている当初は手段の一つだと認識しているものの、選定のときにはつい「せっかくお金をかけるなら全部やってもらいたい」という視点になりがちです。
こうなると、本来の目的達成に最適かどうかより、過度にハイスペックで高額なシステムも選択肢にあがりはじめ、最終的には「高額すぎて割に合わない、システムでは無理だ」と本末転倒な結果になることが往々にして起きてしまうのです。
1に繋がる話ですが、システムの機能を見る際に「100%か否か」の論議が生じることがあります。
たとえば、経費精算システムなら領収書の読み取り機能を考えてみましょう。「どれくらい読み取れるのか、100%じゃないとしてもどこまで正確に読み取れるの?」は、気になるポイントでしょう。
たしかに、工数に関わるため非常に重要です。しかし、100%でないのは当然として何%までを基準としたら良いのでしょうか。OCRで100%正確に読み取ることは、現段階では不可能だと言われています。
また、どこまでという範囲については読み取る対象が手書きか印刷物かなどによって識字率は大きく左右されます。
このような機能面で100%から多かれ少なかれ欠けている部分があると、人は気になるものです。
しかし、経費精算システムを検討するなら、他に求めていた効果があったはずです。
大きなメリットでいえば、手入力で交通費精算を行っていた場合です。社員一人ひとりが、自身の過去の予定を確認し、一つ一つ移動した駅を手段ごとに検索して、定期区間を除いて計算してエクセルに手入力する、ということが無くなるだけでも相当な工数削減になるはずです。
しかしどこからか「システムを導入すること」が目的になり、その各論のひとつである機能が気になり始めるのです。
参考:日経 xTECH「AI OCRで精度100%は無理、でもRPAと一緒に使わないのはもったいない」
クラウドサービスは無料トライアル期間を設けていることが多いため、まず試してみてから導入するという流れが多いでしょう。この方法はとても有益で契約をしてから「こんな使い勝手が悪いと思わなかった」と後悔することもありません。
しかし、使ったことによって不満も見えてきます。はじめて操作するので「使いにくい」と感じる部分はどんなシステムでも多少なりとも発生するでしょう。
また、直感的な操作のしやすさには個人差があります。たとえフルカスタマイズしたシステムで、導入担当者が満足のいくとおりインターフェースにこだわったとしても、社員全員がみな使いやすいと感じるでしょうか。
複雑でわかりにくい、など不都合が発生する場合は別ですが、最初は誰もが初めて見る画面はどうしても使いにくいと感じてしまうものです。
個人差を認め柔軟に対応していく意識をもつことも大切です。
トータルでかかるシステムの見積もりを見たときに「これなら一人採用するほうが安い」と言う方もいます。
その視点は非常に大事です。しかし、社員と比較する場合、純粋に年収ベースの人件費だけで比較してはいけません。社員を雇用するということは、各種保険や福利厚生など会社の負担になる金額は年収だけではないからです。
このように洗い出してみると「何を当然のことを言ってるんだろう」と見えますが、実際に営業の場面では残念ながらこういう議論がよくあがります。
システムの営業は、「本来の目的を忘れていませんか?機能100%必要ですか?99%じゃだめなんですか?」とは言えません。システムをかばうわけではないのですが、「本質的に必要なことはなんでしたっけ?」ということを100%を保証できないシステムの営業は言いにくいものです。
ただ、目的に対して費用対効果が最も高い手段を選ぶためにあらためてどのような視点が必要か見ていきましょう。
どんなシステムにも人を完全になくして成り立つ仕組みはありません。自動で作業をしてくれるというRPAであっても、初期の設計からエラー発生時の対応、ルールの組み換え、定期チェックのメンテナンスなどに必ず人手が必要になります。
人のチェックなしで進む仕組みはないのです。
システムで完結できるのであればそれに越したことはないでしょう。もちろん、ある程度の範囲までシステムで代替することは可能です。
しかし、新規コストの投入となると、つい「人の手をかけずにできる」ようにしようと極限まで突き詰めてこだわりがちになってしまいます。
そうなってしまうと、またシステムの機能のアラを探すことだけにフォーカスしてしまい、本来の目的達成に最も効率的であるかもしれない手段(システム)を選択できなくなります。
システムを活用して最大限生産性を高め続けるよう進行していく、これは人にしかできないことでもあり、システムでは代替できない役割です。
100%の機能を備えるシステムはありえません。もちろん目的を達成するためにシステムの精度の高さは大切ではありますが、議論している機能は100%を備える必要があるのでしょうか?
さきほど取り上げたインターフェースについてもそうです。使い勝手は個人差があります。
ツールに慣れている人もいれば、不慣れな人もいます。新しいものが好きな人もいれば、苦手な人もいます。
「自分にとって使いやすいかどうか」で判断するのはやめましょう。そして、利用者全員にとって「わかりにくい」「不便がある」「作業をするのに時間がかかりすぎる」と判断するものであればそのシステムを選ぶのはやめる、というくらいの心構えでいてください。
特に昨今開発されている現在のシステムは、しっかり研究して作られているためそこまで使い勝手の悪いものはないでしょう。検討しているシステムの全ての機能において完璧を求めるのではなく、目的達成に与えるインパクトの大小で議論すべき要点なのかを判断しましょう。
最初の目的、つまり理想のあり方を達成することを忘れずに意識しつづけましょう。言うは易しですが、再三伝えている通りシステムの導入とは目的達成のための手段のひとつでしかありません。
議論すべきかは、目的達成に関わるインパクトの大小で判断することです。ここでも一度描いた目的の100%の達成をつい求めがちにならないように気をつけましょう。
営業の現場で本当によく言われるためまとめてみましたが、原因はとてもシンプルなことでした。ビジネスでよく言われる「目的を忘れない」に尽きます。
しかし「総論で見る、目的を追い続ける」ことは言うは易し行うは難しです。
さらに、システムを紹介する営業が本音で語ってくれる人だったとしても、根本的な考え方の部分では、どう話し方を工夫しても上からなスタンスに聞こえてしまって伝えにくいものです。
先述している考え方を忘れないための一つの方法として、システムに求める「目的達成に必要なチェック項目」を作ってみるのはいかがでしょうか。
・○○以上の工数削減が認められたらOK
・✕✕の機能だけは必須
などのように事前に書き出しておきましょう。
具体的なサービスの検討に当たる前に行うことがポイントです。
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