館林ハルヒコ(35歳)人事部主任。
中途入社で勤続年数5年目。前向きに自社の人材について、課題感を持ちながら職務に邁進中。
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今回より、新始動!“TOARU株式会社”の人事・財務・経理といったセクションにて、クールに働く三人のお仕事模様をお贈りします。
企業組織内に属していると、『もっと、ウチの会社もこうすれば良いのに・・・』と思うことはないでしょうか?ならば、単なる愚痴で終わらせず、現実化に向けてプラス行動を興してはいかがでしょう。ひょっとすると、清々しい風が巻き起こり、混とんとした景色が一変することもあるかもしれません。
景色は、四季の移り変わりばかりではなく、自社内のセクションで働く、人事・財務・経理に所属している社員らによる三重奏の音色が変えることもあります。社内で響かせば、自社の繁栄に繋がり、ひいてはあなた自身にとっても、豊かな人生を築くきっかけになるかもしれません。
さて、『クールアンサンブル』の中で、あなたが注目する登場人物は誰なのか?その答えの中に、今後のあなたの行動スタイルが潜んでいます。どうか、見つけて、前進を図ってください。
★主な登場人物
中途入社で勤続年数5年目。前向きに自社の人材について、課題感を持ちながら職務に邁進中。
産育休を終えて、復帰。代り映えのしない社内風景にやや不満気味だが、他部署間で連携しながらの改革案を探っている。
幹部候補として、抜擢入社の2年目。テレワーク中、社内チャット機能で知り合った館林、内藤らと情報共有しながら、上層部に対し、 経営改善策の提案スタイルを検討・実践しようとしている。
アイボリーカラーで四角い建物といった築二十年ほどが経過した社屋。その脇で、季節の変わり目を知らせる花壇の中の彩り達が出社する社員らを静かに見つめていた。青空からの日差しが、それぞれの花の色に光を放っている。
猫背な姿勢でトボトボ歩く男性の背に、明るいトーンの女性の声が響く。
「館林主任、おはよう!ちょっと、失礼。手は消毒済だから大丈夫よ。もっと、背中をまっすぐに。」
館林に渇を入れたのは、サバサバ系女性を自負している内藤課長だ。彼女らしいスタイルで、館林の背中を掌でポンっと突く。マスクから上のまなざしは、洗練されたメイクが主張しすぎず、館林の背中に直線的に向けられている。そのような中、社屋に向かう二人を追い越すかのように男性がハイスピードで駆け足してきた。館林が振り返る。
「やっぱり、関口部長。なんで、そんなに元気なのですか?」
自分より一回り以上も年上の関口に対し、やや呆れながらも羨望的な本音を入れ交えて話す館林。マスクを着けたままの駆け足出社など、何かに追われているか、追っているかのどちらかでない限り出来る技ではないだろう。その上、負っているデイバックも重さが感じられず、額の汗すら清々しく映る。そんな館林の心の声に気づいたのか否か、関口は、自身の荒い息を静めてから話し始める。
「今日は久しぶりに対面会議だからね。緊張を吹き飛ばすために気合入れているだけだよ」。
謙遜気味に語る関口の返答に対し、内藤、館林の二人は気の利いた言葉を見つけられない。
ようやく、内藤の口から現実的で殆どのビジネスパーソンが共感する本音が発信された。
「オンでもオフでも、会議の中身なんて、代り映えしないのでしょ?」
内藤のセリフに館林と関口は、無言で苦笑するしかなかった。
このところ、巷では“無駄な会議”を省くような動きが現れているようだが、実際はいかがなものなのか?TOARU株式会社は、各セクションの部長クラスらが久しぶりの対面会議のために集っている。テンポの良いリズムに乗った名言は聞こえてくるのだろうか?
「第二四半期は厳しい着地でしょう。長引くコロナ禍が影響した上に、円安とインフレといった事態も加わって、原価増が予想されますし、下方修正も余儀なくされるのではないでしょうか」。
出席者に目をやることもなく、机上のタブレットを見つめながら発言する一部長の声に黙って頷く人たち。黒、グレー色のこうべ達は上下に二拍を刻んだ。
その中に混じることもなく、自身の姿勢を保っている男性は関口経理部長。先程の一部長の発言に対し、意見を述べる。
「失礼します。経理部長の関口です。過去五か年間の連結実績の推移をセグメント別に分析しましたが、収益・利益率が徐々に下降している事業者や品目があります。つまり、既に皆様がご承知のように、コロナ禍が起きる以前にメスをいれるところがあったはずです。具体的に説明しますと・・・」
関口が詳細な情報を説明しようとしたその時だった。機械音のような声が会議室に響き渡る。
「関口部長、お話の途中ですが、時間が押しているようなので・・・」
公然とマナー違反を受ける関口。関口のプレゼンを制止しようとする声の正体はよりによって、今回の会議の議長である本部長だ。真実の声なのか、関口は確かめるために彼の表情に目を向けると、机上のタブレットに目を向けたまま。呆れ果てて、もはや憤りなど萎えてしまうが、代りに心の中で言葉を弾く。
(タブレットばっかり、見ているんだったら、何のための対面会議なのかね)。
出席者の殆どに表情はない。ただ、お開きの幕を待っているのは間違いないと思えた。
「テレワーク中のオンライン会議は、ホントに苦痛だったわ。上半身の服はブルーにすると、顔色が映えるって、ネットの情報を見て、色々揃えたけど、今度は表情にも気を遣うし・・・対面だったら、そこまでしなくても良かったでしょ」。
時は昼休み。軽いランチを終えて三人が集う場は、TOARU株式会社での穴場に当たる“視聴覚室”といった懐かしいネーミングの部屋だ。
館林、関口といった男性陣の前で、内藤は自然体でテレワークが主流だった頃のエビソードを話す。三人が知り合うきっかけとなった“テレワーク”の世界だ。コミュニケーション不足を懸念した総務部がテレワーク導入をきっかけにして、部署や役職を超えての情報発信や意見交換が出来るように、チャット機能が搭載された新システムを導入した。勿論、効果的に本システムを皆が活用しているか否かは微妙だが、この三名については、総務部の意向が功を奏したのか、部署や役職を越えた横つながりの交流関係が築かれたようだ。
館林が内藤のセリフに共感したように言葉を返す。
「スマホ画面に自分の姿を見ると、客観視できますよね~コロナ太りになって、久しいとか?内藤課長は、さすがに気遣いされているんですね。ただ、客観視と言えば、ウチの会社は大丈夫ですかね?」
館林の問いに興味を持ったのか、関口は、ストレートに質問する。
「“大丈夫”って?つまり、リスクを感じるってことだよね。あえて言うならどこか、どんな風に“大丈夫?”と感じるのかな?」
館林は、関口の直球を受けるように応える。
「まず、この“視聴覚室”って何だったのですか?やたら、古めかしいオーディオ機器とか、レコーディング出来そうな機材も揃っているけれど、ずっと長い間放置していますよね。財務課長の内藤さんだったら、何か知っているでしょ?ここにある物って、固定資産として計上されているのですか?」
内藤は、間髪を入れずに応える。
「かなり昔、ウチで多角事業経営が盛んな頃にスタジオとして、ここを設えたらしいの。音楽事業でもやろうとしたのかしら?でも、所詮は上層部が見切り発車して失敗しただけ。固定資産台帳上では、すでに除却処分したことにしていると思うわ。そうですよね、関口部長・・・」。
関口に同意を求めているようだが、彼の胸の内とは?その一方で、館林は内藤の話に頷きながら、習慣のようにスマホを取り出した。画面上では、そろそろ昼休みの終わりを告げる数字が示されている。まもなく、午後の職務に就く時間帯。今日は人事部内で、定年を70歳に延長する制度を議題にした部内ミーティングがある。その事が館林の脳裏を横切った。が、関口が何やら言いたそうだ。彼の方に目をやると、束の間時間の中で、語り始めようとしていた。
「内藤課長のいう通り。この部屋は帳簿上、存在していない。勿論、対外的には公言してはいけないけれどね。誰がこうしたのかね。あー、私も含めてだけど、周囲の話を聞くと、主語が“私”じゃないこと多いんだよね。“上層部が・・・”、“時間が・・・””長引くコロナ禍が・・・“」
館林と内藤は互いに顔を見合わる。午後の始業時刻の到来を告げるように、関口の言葉は、規則正しいリズムに乗っているような気がした。そんなとき、内藤の目元が明らかに光った。館林は無言で内藤に出番を譲る。
突如として、視聴覚室のカーテンを開け始める内藤。その行為に気づいた館林と関口は内藤の後を追うかのように、窓を開け始めた。窓の外から見える景色は曇り模様。でも、心地よい風が吹き込んできた。すると、内藤が二人に向かって提案を発する。
「換気タイム!我々三人で、社員らが“歓喜”出来るように何か、やらかしましょうか!」
二人は頷く。そして関口が昼休みの締めの役回りとなる。
「まずは、われわれ“三人が~”の主語から始めようか」。
館林は無言で頷く。とても息の合ったアンサンブル?と思いたい・・・三人はマスク越しで口角を挙げていた。視聴覚室内の遊休資産たちは、黙って三人の様子を伺っているかのようだった。
次回へ続く
~クールアンサンブルは『客観視』できる人間たち~
TOARU株式会社の企業文化が見え隠れする、会議風景や放置された“視聴覚室”。その中で館林、内藤、関口は、どのようなスタイルで組織を刷新できるのか?三人はくすぶったコロナ禍でも、テレワークやオンライン会議といった場面にて、自身や自社を『客観視』できる習慣が身についたようです。
だからこそ、こうした共通項により、三人が意気投合出来ているかもしれません。
“人事×財務×経理”で奏でるアンサンブル。クールで澄み渡った音色がどのように功を奏するのか?
次回は人事部の館林主任が主人公です。“70歳定年制度導入”をどのように捉えて行動を執るのか?
ぜひ、ご注目ください!
田村夕美子
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ライタープロフィール
田村 夕美子
経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。(HP:https://giftwind.jp/)経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/
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