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2023.05.17 掲載 2024.04.01 更新

【連載】クールアンサンブル ~人事×財務×経理が奏でる!煌めく音達♪~ 第二回「真面目に向き合っていますか?定年70歳制度到来!」 

経理代行によって業務の効率化、コスト削減を実現する

FOC経理アウトソーシング

~初回のあらすじ~
TOARU株式会社で働く、人事部主任の館林、財務部課長の内藤、経理部部長の関口といった三人らが主人公。彼ら・彼女は、テレワーク期間中、社内のチャットシステム上での交流がきっかけとなり、意気投合し合う仲になった。三人が集う場所は、なぜか遊休資産が眠る、古めかしいネーミングの“視聴覚室”。そこからが起点となり、自身らを“主語”にした取り組みを見出そうとしていた。上層部が自社の経営実績の衰退の理由について、コロナ禍の影響ばかりをうったえようとしているが、三人の活動の程は今後、どのように進むのか・・・?

人事部係長 館林ハルヒコの仕事模様・・・

『“人事”の読み方って“ヒトゴト”だと揶揄する人も多くいるしね・・・』。こんなセリフを耳にしたら、多くの人事担当者は憤慨するはずだろう。館林ハルヒコもその一人だった。彼がこのセリフを聞いた場所は、以前、勤務していた企業内の人事部内だ。よりによって人事部を率いるトップである部長が発したのだった。なぜ、当時の上司はそんな言葉を口にしたのか?それは彼の使命感が欠けていたのではなく、どうしようもないことだったのか?いかに社員一人一人の実情に触れながら、適材適所の人員配置を極めようとしたところで、各人の捉え方や実際に配属してからの生産性向上の有無等々は、良い意味でも悪い意味でも期待通りではないことが通例。
だから、本当にその人材と組織の将来を考えた上での人員配置なのか、疑われてしまうからなのか?
つまりは所詮、“ヒトゴト”だと?
 こうした、しがらみから脱皮をはかり、館林は数年後にその企業に辞表を提出。現在では、TOARU株式会社の主任として勤務している。彼はそんな昔をふと思い出しながら、パソコン上の文字の羅列を目にする。
            “企画書~70歳定年制度の導入に対する提案”
どうやら、企画書を練っているようだ。わずかに波はあるものの、軽やかなリズムでキーボードを打とうとしている館林。その波を断ち切るかのように、人事部内の建付けの悪いドアが“ギィー”と異音を鳴らして開かれた。キーボードを打つ指を止めて振り返ると、そこには財務部課長の内藤アヤカが立っている。
いつもは、サバサバしている彼女なのだが、珍しく覇気が感じられない。ただ、視線は熱く館林の方に向けられている。
「ごめんなさい。館林係長、今、少しよろしいでしょうか?」
内藤は丁寧な日本語で館林に声を掛ける。館林は無言で頷いた後、席を立って、内藤に近づく。
「あの部屋で話しましょうか?」
館林の提案に内藤は少し微笑んだ。

財務課長 内藤アヤカの悩み・・・

「相談は嘱託でウチの財務部に配属されたミズノさんのこと。本当に参っているのよ・・・人事って“ヒトゴト”なの?」
 視聴覚室内で、内藤の声が鳴り響く。この部屋は館林と内藤、そして経理部長の関口らが集う秘密基地的な穴場である視聴覚室だ。防音構造なので本音トークをするには最適の部屋。
 しかしながら、内藤のセリフは館林の胸に突き刺さる。よりによって、内藤の口から“ヒトゴト”が発せられるとは・・・ただ、正直、内藤の質問も的を射ていると思うのだった。
 “ミズノさん”とは、前職の中堅企業にて財務部本部長まで上り詰めたエリートだ。定年退職を迎え、ウチの財務部で嘱託社員として勤務することとなった。60歳を越えた男性だし、ましてやそれなりの経歴もある人だからプライドも高いはず。恐らく、内藤は部下としてやり辛い。そんな訴えだろう。ここは、まず彼女の実情をくみ取りながら、話を聞く場面だ。館林はそんな思いを添えながら、彼女に語り掛ける。
「大変なのでしょ。さすがの内藤課長でも、60歳過ぎの男性が部下だとやり辛いですよね・・・
私も上司と相談しながら、ミズノさんに忠告しますよ。まずは、前職とは違うのだし、TOARUの財務畑に慣れて欲しい。それから、ミズノさんからの名案を提起して欲しいって・・・」
館林の言葉に内藤は落ち着いただろうか?少しはホッとしてくれたのだろうか?ところが、彼女の次のセリフは、更にボリュームアップされた。
「何言っているの!だから人事は“ヒトゴト”だと思われるのよ。全くの逆。ミズノさんがあまりに謙虚過ぎて、我々に低姿勢すぎなの。なんでも、『私みたいな、定年退職後の男性は煙たがられる。まずは、“キャリアを捨てなさい”って色々な先生が言っていますしね』ですって!」
 全く勘違いしていた館林。人事主任だというのに、“60歳過ぎの男性=プライドが高い。使いづらい”といったステレオタイプの偏見をそのまま真に受けていたとは・・・。
「ミズノさんの良いところもっと引き出して、財務部に貢献していただくのが、上司である私の役目よ。だから、人事部主任の館林さんに相談したかったのよ!」
 呆れた声で視聴覚室から、出ていく内藤。館林は弁解出来ない。その時、彼の頭内で雲が浮かんだ。視聴覚室に行く前まで、手掛けていた企画書だ。
(そうか・・・)
 何かひらめいたのか?館林は、視聴覚室の窓の外をなんとなく眺めて呟いた。

経理部関口とミズノさんとの出会い ~花壇にて~

経理部部長の関口が外出先から戻り、社屋に向かっていたその時、初老の男性が花壇内の雑草を摘み取っていた。男性の首元には、“MIZUNO”のネームホルダーが揺れている。花壇内の土に触れそうになりながら、ネームホルダーがブランコを続けるので、男性は作業がやり辛い様子。関口は思わず、男性の近くに詰め寄り、花壇内の雑草の摘み取りを手伝おうとした。まずは、関口が男性に声を掛ける。
「花壇がきれいなのは、あなたのおかげなのですね。いつも出勤時、つい花壇の方に目が向いていました。でも、なぜか、我々を見ているような気がして・・・」。
 関口が男性に語り掛ける。気の利いた言葉とは言えないが、関口の本心であろう。男性は、関口に気づくと手を止めて立ち上がり、関口に会釈をしながら、自己紹介を始めた。
「財務部の嘱託社員ミズノです。実は花に興味など、ないのですよ。でも、こうして綺麗に手入れを施せば、あなたのように気づく方もおられる。残念ながら僅かですけどね。皆、精神的にゆとりがないのでしょう。コロナ情勢も長すぎました。これからは、社員らが、お互いに興味を持つようになれば、いいですよね・・・」
 ミズノさんの存在は、正直知らなかった関口。花などに興味がないにもかかわらず、我々への奉仕の良心故の行動なのか?もっとミズノさんのことを知りたいと思うのだった。まずは自己紹介を返す。
「私は経理部の関口です。あなたと同様に途中入社です。花壇の手入れは、我々社員へのサービスですか?意図は他にもあるのでしょう?」
 関口の問いに対し、ミズノさんの回答は・・・
「単に面白いからですよ。自分の行動に対して反応する人がいれば、そこで、こうして関口さんとの縁が生まれる。話も出来る・・・」
 ミズノの右手は、器用にシャベルを操っている。ひょっとしたら、もっと大きなモノも操れる人なのだろう、関口は想像を膨らませるのだった。

70歳定年制度導入の捉え方とは?館林係長のプレゼンテーション。

「“70歳定年制度”って、どこか違和感ありますよね。単に年齢の上限をアップさせて、就業規則内の定年規定を刷新するイメージですよ。無理ありますよ」。
 熱いトークを繰り広げるのは、人事部主任の館林。部内ミーティングにて、“70歳定年制度”を導入するにあたり、ラフ案をプレゼンしたいようだ。館林は持論を展開する。
「でも、正直キツイでしょう。“70歳定年制度”が導入されたら、若手社員のモチベーションにも更に気を配る必要がありますし。勿論、国の制度を受け入れることは義務ですが、これを機に人事体制を見直しては、いかがかと思うのですよ。まずは、機能性強化。上司と部下との関係性を“良くする”よりも、機能的にしていくのです。私が試作した二種類の“質問シート”をご覧いただけますか?」

人事部 館林係長が試作した二種類の質問シート

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:Aパターン   ~上司から部下へ・・・質問シート~

  • Q1,あなたの貢献度について、どのように考えていますか?
  • Q2,自社で今後、どのような職務・活動をしたいですか?
  • Q3,上記“2”を実践することで、どのような効果が表れるでしょう? 自由に余白を使って描いてみてください。
  • Q4,まずは、明日、何から始めますか?

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:Bパターン   ~人事部から質問者へ・・・質問シート~

  • ◆あなたの部下〇〇さんが描いた“質問シート”から、感じたことを記入してみてください。
  • Q1,あなたは現在の部署で、部下に対し、今後どのような機会を提供しますか?
  • Q2,“Q1”の実践後、部下はどのように貢献すると思いますか?
  • Q3,あなたの部下〇〇さんの潜在能力や今後の期待など、自由に余白を使って描いてみてください。

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館林は、自身が用意した二種類の質問シートを示しながら、説明を続けた。他の人事部員も興味あるのか、二種類のシートを凝視している。
「部下が描いた質問シートから、上司は、これまで気づかなかった、部下の思いや潜在能力に気づく機会が得られると思います。部下の中には、自身より年齢が上だったり、価値観が違ったりと、ひょっとしたら、その部下に対して、固定観念を持っていたことに気づくこともあるでしょう。そして、“Bパターン”の質問シートに上司が何を描くのか?ここで、我われ人事部が第三者の視点でチェックするのです。」

館林が試作した“質問シート”を眺めながら、他の人事部員らも思案している様子だ。
さて、反応はいかに・・・

次回へ続く

“70歳定年制度導入”は、将来的に懸念される労働力不足と年金受給を遅らせるといった、ごく当たり前な理由が背景にあるのでしょうが、捉え方は、自由であってよいはずです。これを契機に年齢や性別の違いにとらわれない、人員配置や職務の進め方を刷新してはいかがでしょうか。
 さて、次回は本編の続きのストーリーから、財務部課長 内藤アヤカの活躍ぶりもお贈りします。
どうぞ、お楽しみに!
田村夕美子

経理代行によって業務の効率化、コスト削減を実現する

FOC経理アウトソーシングは、経理に関連した業務全般の問題、課題を把握・整理したうえで、最適な業務運用をご提案、実行いたします。また庶務業務、給与計算業務も含めたトータルサービスもご提供しております。この効果として経理担当者は、本来やるべき業務に集中することができます。

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ライタープロフィール

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。(HP:https://giftwind.jp/)経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

田村 夕美子

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