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2023.06.01 掲載 2024.04.01 更新

【連載】クールアンサンブル ~人事×財務×経理が奏でる!煌めく音達♪~ 第四回「中途入社 経理部長 関口ミツルの苦悩・・・ 経営管理の本質とは?」

経理代行によって業務の効率化、コスト削減を実現する

FOC経理アウトソーシング

~これまでのあらすじ~
TOARU株式会社で働く、人事部主任の館林、財務部課長の内藤、経理部部長の関口といった三人らが主人公。彼ら・彼女は、テレワーク期間中、社内のチャットシステム上での交流がきっかけとなり、意気投合し合う仲になった。三人が集う場所は、遊休資産が眠る、“視聴覚室”。
 その一方で、主人公の一人である財務部 内藤アヤカは、高齢の男性部下ミズノ氏と共に、Z地方にある倉庫へと赴いた。そこには、以前、工場として活気づいていた頃の機材や機械、部品類が眠り、二人は、これらに再び、息吹を取り戻してもらうため、動き出そうとしていた。方向性としては、Z地方との融合性を取り入れた、真の意味での“資産有効活用”。二人は、まだ何となくではあるが、そんな策を思い描いている。

経理部室から聞こえてくる音・リズム&感ずる景色は?

「A課長、システムの選定ですが、進捗状況の程はいかがですか?」
 紳士的な言葉遣いで、部下に対して質問する主は、本ストーリーの主人公の一人である、経理部長関口ミツルだ。“システム”とは、経理に携わっている人間であれば、ここ数年、多く見聞きされ、便利な道具の一つになりそうな“経費精算システム”のことである。
最近では、DX導入の潮流も勢いを増して、時代の流れに追いつこうと、巷の企業の経営陣や経理管理職らの多くは、その波に乗ろうとしているが、ここTOARU株式会社の経理部を率いる、関口と経理部員らのスタンスは、いかがなものか・・・
 A課長は、関口のデスクに近づこうとするも、関口の方が彼女のデスク近くに赴いた。彼女は、恐縮するような表情を浮かべながら、資料を取り出し、関口に進捗状況を報告する。
「そうですね・・・。三社ほど、資料を取り寄せた後、システムの仕様や使い方のプレゼンも受けましたが、皆、似たり寄ったりです。しいて言えば、安価な〇〇社のこのシステムで・・・」
 空調が効いている経理部室。古い機器といったこともあり、風音が響く中、A課長は淡々としたリズムで、関口に進捗状況を報告している。他の経理部社員らは、A課長や関口のやりとりに関心があるのか否か?空調の音よりも更に静かに、音を響かせることもなく黙々と、机上で仕事を進めているように見える。
 A課長の報告を受けながら、周囲の様子を感じる関口。
(私が着任する前から、そのずっと前から、この先も?経理部の風景は、静かな様子で、このまま続いていくのだろうか?)
 関口の思案をよそに、A課長は締めセリフを呟いた。
「以上ですが・・・」。
 関口は、経理部内を思案しながらも、部下であるA課長の報告にしっかりと耳を傾けていた。そして、彼女に向かって、言葉を発信する。
「報告、どうもありがとうございました。A課長は、〇〇社のシステムが安価なので、お勧めなのですね。つまり、システムの内容はどれも横並びの中、一番安価に導入できる、といった理由でしょうか?他に何か、あなたが気に入った理由はありませんでしたか?」
 関口の物言いは、決して、高圧的ではなく、紳士的な語り口であることは、多くの人が認めるところだろう。A課長も、同様に感じているだろうが・・・返答の音が聞こえてこない。
 表情にも覇気がなく、相変わらず、辺りは空調の微風音のみが聞こえてくる。気になった関口は、再び、彼女に言葉を掛けようとするも、彼女が漸く口を開く。
「システムを気に入った理由は、他にありませんでしたが、導入後の経理部の体制を考える必要があるでしょう。これまで、経理部の視点で予算や収益に見合っているか、今後の投資活動に効果的な費用なのか、精査してきましたが、自動化することによって、こうした経理部の本質的な仕事が損なわれないように、努めたいと思いました」。
 凛とした姿勢で、自身の声をはっきりと発音するA課長。関口自身が聞き取ろうとする音、感じようとする景色自体には、ゆがみなどなく、自身の中に根強く存在するバイアスに気づいたのだった。

いつもの視聴覚室で交わされるミーティング。Z地方にある倉庫の息吹の程は?

時はAM10:45。珍しく昼休みでもないのに、財務部課長の内藤アヤカと人事部係長の館林ハルヒコの二名は、例の秘密基地にあたる“視聴覚室”に身を置いている。もちろん、サボりではないだろうが、開口一番を担うのは、館林の方だった。
「元の木阿弥ってやつですかね~テレワークって、すっかり懐かしいワードになりました。皆、対面に戻ってきましたよね」。
 内藤は館林の見解に共感したのか、『うんうん・・・』と頷きながら、視聴覚室内の空調にスイッチを入れた。“ゴォーン”と大きな機械音が響く。かなりの古さが感じられるが、そんな音よりも、覇気のある内藤の声が視聴覚室内にこだまする。
「ウチの社って、部屋数が少ないのよね。結局。でも、テレワークって、物理的な空間など必要なく、便利な機能を使ってミーティングもできたし・・・だから、多くの社員が対面に戻ると、打ち合わせの部屋数が足りなくなる。まあ、それを言い訳に、こうしてこの“秘密基地”を使えるけど・・・」。
 館林が内藤のセリフを聞きながら、思い出したかのように、内藤に質問する。
「今回、我われが集まる理由は、例のZ地方にある、わが社所有の倉庫の件ですよね?広さもあるようだし、Z地方の人達と有効利用できるといいですよね。たとえば、Z地方の人たちが集うカフェ兼、首都圏の人を取り込んだワーケーションの場とか・・・。でも、ウチみたいに社員が対面型に戻ってくれば、需要は先細りですかね?」
 内藤は、館林の提案に再び『うんうん』と頷くが、あまり食いつかないようだ。前のめりにはなっていない。それよりも、言いたいことがあるようだ。その相談をしたかったのか?堅い面持ちの表情で、口を開く。
「あなたの力を借りたいのよ。人事としての。あなたとしての。まだ、調査が必要で何となくだけど、
Z地方の人たちの活躍の場として・・・つまり、雇用創出が出来ないかと思っているの」。
 内藤の意見に館林は、満面の笑顔だ。食いついている様子。館林なりの意見を内藤に向けて発信する。
「地方だからこその魅力ってありますよね。きっと。テレワークであろうが、対面だろうが、互いに絆があるからこそ、我われが成し得ないようなところで、抜群の生産性が上がるかもしれないし・・・」
 館林の発言が終わるやいなや、ドアが“ギィー”と勢いよい音を立てて開かれた。後ろを振り返る二人。そこには、経理部部長の関口ミツルが立っている。そして、ドアの開閉音に内藤に負けないくらいの声を放った。
「館林係長、その意見は地方に対する、バイアスですよ。絆とは何ですか?見えないものです。傍から感じる表面上の想像で、解った気になってはいけないですよ!」
 関口のセリフは、誰も反論できるものではなかった。それよりも、ニュートラルで新鮮な空気が運ばれたようなシーンへと移り変わったようだ。
「すみません・・・声が大きかったですね。実は、先程・・・」
 視聴覚室の窓から、日光が差し込んだ。室温は上がったようだが、三人は気にしない。その空間の中で、関口は、経理部のA課長の意見を発端に、自身の中でバイアスが存在していることについて、語り始めたのだった。

A課長が進める真の意味でのシステム選定。経理部の活動範囲が広がっている。

「関口部長、この財務部からの費用データをご覧ください。Z地方にある倉庫の再開発に関する出張費用ですよね?具体的な取り組み内容を知りたいです。他の経理部員の中でも、興味を持つ人がいて・・・何か、私たちもお手伝い出来ませんか?」
 経理部内で、元気な声が響く。その声の主はA課長だ。
あれから一月ほど経過し、経費精算システムも、何とか導入に漕ぎつき、経理部員たちは、さっそく活用しているようだ。
しかしながら、導入後の経理部内の景色が、当初の予定とは異なるように感じられる。
 もちろん、まだ少数の経理部員らではあるが、経費精算システムを導入したことにより、精算処理の省力化が図られたことばかりではなく、諸々の費用データを通して、セクションごとの活動について、興味を持ち始めているようなのだ。
その中で、A課長達が注目しているのは、財務部課長の内藤アヤカが率いる、Z地方にある倉庫の再開発についてだ。関口部長は、A課長の質問に応える。
「A課長、解りました。それでは、財務部の内藤課長に私からお願いしてみますよ。Z地方の倉庫再開発について、経理部内で、情報共有してくれないかと。それから、私たち経理部で支援策を検討してみましょう」。
 関口の話し方は、いつもと変わらない紳士モードではあるが、マスク上の瞳は笑みが感じられる。A課長は、経費精算システムの導入前後から、自身の意見を発信するようになり、変化が表われているようだ。その姿勢が奏功して、他の経理部員らにも影響が及んでいる様子。積極的に自身らの活動範囲を広げようとしているのだ。
 経費精算システム導入を契機に、経理部全体の役割が進化しようとしているのか?そんな期待に胸を膨らませる関口部長。今後は更に経理部内の社員らのポテンシャルを引き出す、けん引役として、勤めようと思うのだった。
A課長は、“ありがとうございます。”といった意味での会釈をすると、次のセリフを用意していたかのように、正々堂々と意見発信する。
「関口部長、財務部と連携して、プロジェクトチームを立ち上げるのはいかがでしょうか?私から、内藤課長さんに、コンタクトを取らせてください」。
A課長のセリフが経理部室内で響くと、他の経理部員らの、PCのキーボード入力のリズムが軽やかに聞こえてくるようだった。
経理部員ら個々は、異なる仕事・異なる能力を持つ者ばかりではあるが、だからこそ、このプロジェクトは、良好に進行するのでは・・・?と関口は予感するのだった。

次回へ続く

誰しも、心の中に潜んでいるバイアス。その意味をストレートに表せば“偏見”となりますが、
日々の生活や仕事の場で、それが影響して、時に誤った判断をしてしまうこともあります。
こうした、時々生じてしまう、人間だから故の過ちを素直に認識し、次の場面で改める。
この繰り返しで、徐々に状況は好転へと向かうのではないでしょうか?
さて、Z地方にある倉庫の再開発へ、どのように進展するのでしょうか?次回をお楽しみに!

田村夕美子

経理代行によって業務の効率化、コスト削減を実現する

FOC経理アウトソーシングは、経理に関連した業務全般の問題、課題を把握・整理したうえで、最適な業務運用をご提案、実行いたします。また庶務業務、給与計算業務も含めたトータルサービスもご提供しております。この効果として経理担当者は、本来やるべき業務に集中することができます。

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ライタープロフィール

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。(HP:https://giftwind.jp/)経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

田村 夕美子

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