くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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経理アウトソーシングを検討しているが、失敗したらどうしようと不安を感じていませんか?
本記事では、実際に起こりがちな5つの失敗事例とその具体的な回避策、さらに失敗しないサービスの選び方を解説します。コミュニケーション不足やコスト超過などの典型的な失敗パターンを事前に把握することで、後悔しない経理アウトソーシング導入を実現することができます。
経理アウトソーシングは適切に導入すれば大きなメリットをもたらしますが、準備不足や委託先選びの誤りによって失敗するケースも少なくありません。ここでは実際に起こりがちな失敗パターンと、それぞれの回避策を解説します。
経理アウトソーシングにおける最も多い失敗原因が、委託元と委託先のコミュニケーション不足です。
経理業務は日々の取引記録から月次決算、年次決算まで継続的な情報のやり取りが必要不可欠ですが、連絡体制が不明確なまま委託を開始すると、重大なトラブルに発展しかねません。
具体的な失敗事例として、請求書の処理期限や支払日に関する認識のずれにより、取引先への支払いが遅延してしまうケースがあります。
また、経理担当者が変更になった際の引継ぎが不十分で、過去の処理方法や特殊な取引の扱いが正しく伝わらず、誤った会計処理が続いてしまうこともあります。
さらに月次の報告タイミングが曖昧だったために、経営判断に必要な財務データが適時に得られず、資金繰りの判断を誤るという事態も発生するケースもあります。
特に急な問い合わせへの対応窓口が明確でない場合、担当者不在により回答が数日遅れることで業務全体が停滞するリスクもあるなど、コミュニケーションでの連携不足は大きなトラブルになります。
この失敗を防ぐためには、契約段階で明確なコミュニケーションルールを設定することが重要です。具体的には、日次・週次・月次それぞれの報告タイミングと内容を文書化し、双方で合意しておきます。
連絡手段についても、メール、電話、チャットツールなど用途に応じた使い分けを決めておくことで、緊急時の対応がスムーズになります。定例ミーティングを月1回以上設定し、業務の進捗状況や課題の共有を行う場を設けることも効果的です。
また、主担当者だけでなく副担当者も指定してもらい、複数名での情報共有体制を構築することで、担当者不在時のリスクを軽減できます。
業務マニュアルやFAQを共同で作成し、継続的にアップデートしていくことも、長期的な関係構築において重要といえます。
委託先の標準的な業務フローを無理に自社に当てはめようとしたり、逆に自社の独自ルールを細部まで再現しようとしたりすることで、かえって非効率になるケースがあります。これは経理アウトソーシング導入の目的である効率化とは真逆の結果をもたらします。
例えば、自社では紙の証憑管理を続けているのに、委託先はクラウドベースの電子データ管理を前提としている場合、書類のスキャンや郵送に余計な工数がかかります。
また、使用している会計ソフトが異なる場合、データの取り込みや連携に手間がかかり、二重入力が発生することもあります。
承認フローについても、自社の複雑な決裁プロセスをそのまま委託先に求めると、処理スピードが著しく低下します。特に複数部署を経由する承認が必要な場合、委託先が社内事情を理解しきれず、確認のための問い合わせが頻発して本末転倒な状況になります。
この問題を回避するには、アウトソーシング導入前に自社の業務プロセスを見直し、本当に必要な手順とそうでないものを仕分けることが必要です。長年の慣習で続けているだけの非効率な作業は、この機会に廃止や簡素化を検討します。
委託先の標準フローを理解した上で、自社の要件とすり合わせる作業も重要です。完全に委託先に合わせる必要はありませんが、業界標準的な処理方法を採用することで、専門性を活かした効率的な業務遂行が可能になります。
会計ソフトや証憑管理の方法については、導入を機にクラウド化やペーパーレス化を進めることで、委託先との連携がスムーズになります。初期投資は必要ですが、長期的には業務効率が大幅に向上します。
| 業務項目 | 見直しポイント | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 証憑管理 | 電子化・クラウド保管への移行 | 郵送コスト削減、検索性向上 |
| 承認フロー | 承認段階の削減、金額基準の明確化 | 処理スピード向上、意思決定の迅速化 |
| 会計ソフト | クラウド型への統一、API連携活用 | リアルタイム情報共有、二重入力削減 |
| 報告資料 | フォーマット標準化、自動化推進 | 作成工数削減、分析時間の確保 |
契約時に提示された基本料金だけを見て委託を決定すると、実際の運用段階で想定外の追加費用が発生し、当初計画していた予算を大幅に超過してしまうケースがあります。これは料金体系の理解不足や、業務範囲の曖昧さから生じる失敗です。
アウトソーシングサービスの中には、基本料金に含まれる業務範囲が限定されており、仕訳数や処理件数が一定数を超えると従量課金が発生することがあります。(多くのサービスはこの料金形態です)
月によって取引量が大きく変動する企業の場合、繁忙期の費用が予想以上に膨らむことがあります。
また、年次決算や税務申告のサポート、給与計算との連携、特殊な会計処理への対応などは別途オプション料金となっていることが多く、これらを見落とすと年間コストが想定の1.5倍から2倍になることもあります。急な依頼や期限外の対応といったイレギュラー業務にも追加料金が発生する場合があります。
さらに、初期設定費用やシステム導入費用、移行作業の費用などが別建てになっているケースもあり、初年度は特にコストが膨らみます。契約書の細かな条項を確認せずに契約してしまうと、解約時の違約金や最低契約期間の縛りで予期せぬ出費が生じることもあります。
コスト超過を防ぐには、契約前に自社の業務量を正確に把握し、詳細な見積もりを複数社から取得することが重要です。過去1年分の仕訳数、証憑数、振込件数などを集計し、繁忙期と閑散期の差も含めて委託先に提示します。
料金体系については、基本料金に何が含まれ、何が別料金になるのかを明確に確認します。特に以下の項目は確認が必要です。
• 月間処理件数の上限と超過時の従量料金
• 年次決算や税務申告のサポート費用
• システム利用料やクラウドサービスの費用
• 初期設定費用と移行作業の費用
• 契約期間と中途解約時の条件
• 緊急対応やスポット依頼の料金設定
年間の総コストをシミュレーションし、現在の人件費や外注費と比較することで、本当にコスト削減になるのかを判断します。単月の料金だけでなく、年間契約での割引や、複数サービスのパッケージ契約による優遇があるかも確認すると良いでしょう。
経理業務では取引先の情報、取引情報、従業員の給与データ、財務情報など機密性の高い情報を扱うため、委託先のセキュリティ体制が不十分だと重大な情報漏洩リスクに直面します。特に近年はサイバー攻撃も巧妙化しており、セキュリティ対策は最重要課題の一つです。
実際の失敗事例としては、委託先の従業員が私物のUSBメモリに顧客データをコピーして持ち出し、それを紛失してしまうケースがあります。
また、クラウドサービスのアクセス権限管理が不適切で、退職した元従業員がアカウントを使い続けられる状態になっていたという事例もあります。
その他、委託先が使用しているシステムのセキュリティパッチが適用されておらず、脆弱性を突かれて不正アクセスを受けるリスクや、メールの誤送信による情報漏洩なども起こり得ます。 小規模な委託先の場合、セキュリティ対策への投資が十分でないこともありますのでWebサイトや営業マンの説明だけを信用して契約は避けるべきです。
情報セキュリティリスクを最小化するには、委託先選定時に以下のセキュリティ基準を満たしているか確認することが必要です。
| 確認項目 | 具体的なチェックポイント |
|---|---|
| 認証・資格 | プライバシーマーク取得、ISMS認証(ISO27001)取得の有無 |
| アクセス管理 | 二段階認証の導入、アクセスログの記録と定期監査 |
| データ保管 | 暗号化通信の使用、データセンターの物理的セキュリティ |
| 従業員管理 | 秘密保持契約の締結、セキュリティ教育の実施状況 |
| バックアップ | 定期的なバックアップ、災害時の復旧計画(BCP) |
契約書には、情報漏洩が発生した場合の責任範囲と損害賠償の条項を明記します。また、業務終了時のデータ削除方法や、委託先が再委託する場合の条件なども取り決めておくべきです。
定期的なセキュリティ監査の実施を契約に盛り込み、委託先のセキュリティレベルが維持されているか継続的に確認する体制を作ることも重要です。自社でもアクセスログの確認や、不審な活動がないかモニタリングする仕組みを整えましょう。
経理アウトソーシングを導入する大きな目的の一つは専門知識の活用ですが、委託先の専門性が不足していると、複雑な会計処理への対応ができず、かえって業務が停滞してしまいます。特に業界特有の会計処理や、急速に変化する税制への対応が求められる場合、専門性の有無が成否を分けます。
具体的には、建設業の工事進行基準や、IT業界の受託開発における収益認識など、業界特有の会計基準に委託先が精通していない場合、誤った処理が続いてしまいます。
また、税制改正への対応が遅れ、本来受けられる税制優遇を逃したり、逆に適用要件を満たさない処理をして税務調査で指摘を受けたりするリスクがあります。
IPO準備や組織再編、M&Aなどの特殊なプロジェクトが発生した際に、委託先がそれらの経験を持たず、適切な会計処理や開示書類の作成ができないケースもあります。結局、別の専門家を雇う必要が生じ、二重のコストがかかることになります。 さらに、経理業務を単なるデータ入力作業と捉えている委託先の場合、経営判断に役立つ分析レポートの作成や、改善提案を期待することができず、アウトソーシングの価値が大きく損なわれます。
専門性不足による失敗を防ぐには、委託先選定時に以下の点を重点的に確認します。まず、自社の業界や事業規模に近い企業での実績があるかを確認し、可能であれば具体的な事例を聞きます。担当者の保有資格(公認会計士、税理士、簿記資格など)や実務経験年数も重要な判断材料です。
契約前に試用期間を設けるか、小規模な業務から委託を始めて、実際の対応力を見極める方法も有効です。定例ミーティングでの質疑応答を通じて、業務担当者の知識レベルや問題解決能力を評価することも重要です。
特殊な会計処理が必要な場合や、将来的にIPOやM&Aを視野に入れている場合は、それらの経験が豊富な上位グレードのサービスを選択するか、会計事務所や監査法人系列のアウトソーシングサービスを検討することをお勧めします。
また、税制改正や会計基準の変更に関する情報提供を定期的に受けられるか、研修やセミナーの開催があるかなども、継続的な専門性の維持という観点で確認すべきポイントです。委託先が業界団体に加盟しているか、継続的な教育プログラムを実施しているかも、専門性を測る指標になります。
経理アウトソーシングの導入を成功させるためには、事前の準備と適切な体制構築が不可欠です。多くの失敗事例から学ぶべきポイントを押さえることで、スムーズな導入と効果的な運用が実現できます。
ここでは、失敗を回避するための具体的な方法を4つの観点から解説します。
経理アウトソーシングを検討する際、最も重要なのは「何のためにアウトソーシングするのか」という目的を明確にすることです。目的が曖昧なまま導入を進めると、期待した効果が得られず、費用対効果が低下する原因となります。
目的設定では、定量的な指標と定性的な目標の両方を設定することが重要です。
例えば、
・経理業務にかかる人件費を年間で30%削減する
・月次決算の完了を現在の15日から7日に短縮する
といった具体的な数値目標を設定します。
同時に、
・経営陣がコア業務に集中できる環境を整える
・経理担当者の退職リスクに備える
といった定性的な目標も明確にしましょう。
目的を設定する際には、経営層だけでなく、現場の経理担当者や関連部署の責任者とも十分に協議することが必要です。関係者全員が同じ目的を共有することで、導入後の運用がスムーズになり、期待する成果を得やすくなります。
| 目的の種類 | 具体例 | 測定指標 |
|---|---|---|
| コスト削減 | 人件費・採用費の削減 | 年間経理コストの削減率 |
| 業務効率化 | 月次決算期間の短縮 | 決算完了までの日数 |
| 専門性向上 | 複雑な税務処理の適正化 | 税務リスクの低減件数 |
| リソース最適化 | 経営企画業務への人員シフト | 戦略業務への投下工数 |
アウトソーシング開始時の引継ぎ準備が不十分だと、業務の停滞やミスの発生につながり、失敗の大きな原因となります。人手不足等ですぐにアウトソーシングしたい気持ちになりますが、将来的な導入成功やスムーズな移行を実現するためには、計画的な準備期間を設けることが不可欠です。
まず、現状の業務フローを詳細に文書化します。日次・週次・月次・年次の各業務について、作業手順、使用するシステム、必要な書類、承認フロー、関連部署との連携方法などを明文化しましょう。この文書化の過程で、属人化している業務や非効率なプロセスが明らかになることも多く、業務改善の機会にもなります。
次に、アウトソーシング先との引継ぎスケジュールを詳細に策定します。一般的には、2~3ヶ月程度の引継ぎ期間を設けることが推奨されます。この期間中は、現在の担当者とアウトソーシング先のスタッフが並行して業務を行い、段階的に移行を進めます。急激な切り替えは混乱を招くため、優先度の低い業務から順次移行するなど、段階的なアプローチが効果的です。
また、過去の経理資料や契約書類などのデータ整理も重要です。紙の書類が多い場合は、電子化を進めることでアウトソーシング先との情報共有がスムーズになります。会計システムへのアクセス権限設定や、取引先への担当者変更の通知なども、引継ぎ準備の一環として計画的に実施する必要があります。
| 引継ぎフェーズ | 期間目安 | 主な実施内容 |
|---|---|---|
| 準備期間 | 1ヶ月 | 業務フロー文書化、資料整理、システム環境整備 |
| 引継ぎ前期 | 1ヶ月 | 業務説明会、システム操作研修、並行運用開始 |
| 引継ぎ後期 | 1ヶ月 | 段階的業務移管、問題点の洗い出しと改善 |
| 定着期間 | 3ヶ月 | 独立運用、定期レビュー、最適化調整 |
経理アウトソーシング業者は数多く存在し、それぞれ得意分野や提供サービスの範囲が異なります。自社の課題解決に最適な業者を選定することが、成功の鍵となります。
業者選定では、まず自社の課題を明確にします。「記帳代行だけを依頼したい」のか、「給与計算や決算までを一貫して任せたい」のかによって、選ぶべきアウトソーシング会社のタイプが変わります。
スタートアップ企業向けに特化したアウトソーシング会社、中小企業の幅広いニーズに対応できる会社、上場企業レベルの高度な経理業務に対応できる会社など、各社の強みを理解することが重要です。
また、業界特有の会計処理に精通しているかも確認ポイントです。例えば、建設業であれば工事進行基準の処理、小売業であれば在庫管理との連携、IT企業であれば研究開発費の会計処理など、業界ごとの特性に対応できるアウトソーシング会社を選ぶことで、スムーズな運用が可能になります。
さらに、使用している会計システムとの互換性も重要な選定基準です。freee、マネーフォワードクラウド、弥生会計など、主要な会計ソフトに対応しているか、あるいはアウトソーシング会社が推奨するシステムへの移行が現実的かを検討します。システム変更が必要な場合は、その移行コストと時間も考慮に入れる必要があります。
経理アウトソーシングにおいて、コミュニケーション不足は最も頻繁に発生する失敗原因の一つです。社内と社外のパートナーが連携して業務を進めるため、明確な連絡体制の構築が不可欠です。
効果的な連絡体制を作るには、まず担当窓口を明確に設定します。自社側とアウトソーシング先の双方で、業務に関する主担当者と副担当者を決め、緊急時の連絡先も含めて関係者全員に周知します。窓口が複数あると情報が分散し、認識のずれが生じやすくなるため、基本的には一元化することが望ましいでしょう。
定期的なミーティングの設定も重要です。週次または月次で定例会議を開催し、業務の進捗確認、課題の共有、改善提案などを協議します。対面が難しい場合でも、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールを活用することで、顔を見ながらのコミュニケーションが可能です。
定例会議とは別に、月次決算や年次決算などの重要なタイミングでは、特別なミーティングを設けることも必須です。
日常的な連絡手段については、電話、メール、チャットツールなど、業務内容に応じて使い分けることが推奨されます。緊急性の高い事項は電話、記録を残すべき重要事項はメール、日常的な確認事項はChatworkやSlack、Teamsなどのビジネスチャットを活用するといった具合です。連絡ツールのルールを事前に決めておくことで、スムーズなコミュニケーションが実現していきましょう。
また、業務マニュアルやFAQ(よくある質問)を整備し、共有のクラウドストレージで管理することも有効です。Google DriveやBoxなどを活用すれば、最新の情報を常に双方が参照でき、同じ質問を繰り返す手間も省けます。定期的にマニュアルを更新し、業務改善の内容を反映させることで、より効率的な運用が可能になります。
| 連絡手段 | 適した用途 | 推奨頻度・タイミング |
|---|---|---|
| 定例会議 | 進捗確認、課題共有、改善協議 | 週次または月次 |
| 電話 | 緊急事項、即座の判断が必要な事項 | 必要時 |
| メール | 正式な依頼、重要な決定事項、記録が必要な内容 | 随時 |
| ビジネスチャット | 日常的な確認、簡易な質問、進捗報告 | 日次 |
| 共有ドキュメント | マニュアル、業務フロー、FAQ | 随時参照・更新 |
経理アウトソーシングで失敗しないためには、事前のサービス選定が最も重要です。委託先の選定を誤ると、コスト増加やセキュリティリスク、業務品質の低下など、さまざまな問題を引き起こします。
ここでは、信頼できるアウトソーシングサービスを選ぶための具体的なチェックポイントを解説します。
経理アウトソーシングサービスを選ぶ際、最初に確認すべきなのが委託先の専門性と実績です。経理業務は企業の財務状況を正確に把握し、適切な会計処理を行う専門性の高い業務であり、委託先の能力が不足していると致命的なミスにつながります。
業界によって経理処理の特性は大きく異なります。例えば、建設業では工事進行基準や完成基準といった特殊な収益認識が必要であり、製造業では原価計算や棚卸資産の評価が重要になります。小売業ではPOSデータとの連携や在庫管理、IT業界では請負契約と準委任契約の区別など、業界ごとに求められる知識が異なります。
委託先を選ぶ際には、自社の業界における実績が豊富かどうかを必ず確認しましょう。具体的な導入事例や、同業他社での支援実績を開示しているアウトソーシング会社を選ぶことで、業界特有の課題に対する理解度を判断できます。
経理アウトソーシング業者が抱える人材の質も重要な判断基準です。公認会計士、税理士、日商簿記1級・2級の有資格者がどの程度在籍しているか、また実際の業務に従事するスタッフの経験年数や専門性を確認しましょう。
特に、月次決算や年次決算のような重要業務については、経験豊富な専門家が担当する体制になっているかを事前に確認することが大切です。担当者の頻繁な交代がないか、引継ぎ体制が整っているかも併せて確認すべきポイントです。
サービスの質を測る客観的な指標として、導入実績数とクライアントの継続率があります。長期にわたって多くの企業から支持されているアウトソーシング会社は、それだけサービス品質が高く、信頼性があると判断できます。
可能であれば、実際の利用企業からの評価やレビューを確認し、導入後の満足度や改善された課題について情報収集することをおすすめします。また、自社と同規模の企業での導入実績があるかも重要な確認事項です。
経理アウトソーシングの失敗原因の一つに、委託できる業務範囲と実際に必要な業務のミスマッチがあります。サービス選定時には、自社が委託したい業務をすべてカバーできるか、また将来的な業務拡大にも対応できる柔軟性があるかを確認する必要があります。
経理アウトソーシングサービスが対応できる業務範囲は、アウトソーシング会社によって異なります。一般的には以下のような業務区分があります。
| 業務カテゴリ | 主な業務内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 日次経理業務 | 仕訳入力、経費精算、入出金管理、請求書発行 | 対応スピード、処理件数の上限 |
| 月次経理業務 | 月次決算、試算表作成、予実管理、債権債務管理 | 締め日からの納期、レポート形式 |
| 年次経理業務 | 年次決算、決算書作成、税務申告サポート | 税理士との連携体制 |
| 給与計算 | 給与計算、社会保険手続き、年末調整 | 労務業務との連携可否 |
自社が委託したい業務が標準サービスに含まれているのか、オプション対応なのか、あるいは対応不可なのかを明確にしておきましょう。特に、売掛金・買掛金の管理、固定資産管理、原価計算といった業務は、アウトソーシング会社によって対応の可否が分かれるため注意が必要です。
企業の成長や事業環境の変化により、経理業務の量は変動します。繁忙期には処理件数が増加し、閑散期には減少するといった季節変動や、事業拡大に伴う恒常的な業務量増加など、さまざまなパターンがあります。
委託先を選ぶ際には、こうした業務量の変動に柔軟に対応できる体制があるかを確認しましょう。固定料金制の場合、一定の処理件数を超えると追加料金が発生するケースが多いため、変動範囲と追加料金の条件を事前に把握しておくことが重要です。
自社独自の会計処理ルールや承認フロー、使用している会計ソフトやERPシステムとの連携など、標準サービスではカバーできない部分への対応力も重要な選定基準です。
特に既存の会計システムを継続利用したい場合、委託先が対応可能なシステムの種類を確認する必要があります。弥生会計、freee、マネーフォワードクラウド、勘定奉行といった主要な会計ソフトへの対応はもちろん、自社で構築したシステムとのAPI連携やデータ連携が可能かどうかも確認しましょう。
経理業務では、急な問い合わせや緊急対応が必要になる場面が少なくありません。決算期の追加資料作成、税務調査への対応、急な資金繰り確認など、迅速な対応が求められるケースに備えて、委託先のサポート体制を確認しておきましょう。
通常のサポート時間は平日の営業時間内が一般的ですが、メールやチャットでの問い合わせ対応時間、電話サポートの有無、緊急時の連絡手段などを事前に確認しておくと安心です。また、担当者不在時のバックアップ体制も重要なチェックポイントです。
経理業務では、企業の財務情報、取引先情報、従業員の給与情報など、極めて機密性の高い情報を取り扱います。これらの情報が外部に漏洩すれば、企業の信用失墜だけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。そのため、委託先のセキュリティ体制は最重要の確認事項です。
委託先のセキュリティレベルを客観的に判断する基準として、第三者機関による認証取得状況があります。主な認証には以下のようなものがあります。
| 認証・規格 | 概要 | 確認すべき内容 |
|---|---|---|
| プライバシーマーク | 個人情報の適切な取り扱いを証明する国内認証 | 認証取得年と更新状況 |
| ISMS認証(ISO27001) | 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格 | 認証範囲と有効期限 |
| SOC2レポート | クラウドサービスのセキュリティ管理体制を評価 | Type1またはType2の別 |
これらの認証を取得しているアウトソーシング会社は、一定水準以上のセキュリティ体制を整備していると判断できます。ただし、認証取得だけでなく、具体的な運用体制や実際の対策内容も確認することが重要です。
経理データがどのように保管され、どのような通信経路でやり取りされるかは、セキュリティを考える上で重要です。クラウド型のサービスを利用する場合、データセンターの所在地、データのバックアップ体制、通信時の暗号化方式(SSL/TLS暗号化など)を確認しましょう。
特に、データセンターが国内にあるかどうかは重要なポイントです。海外のデータセンターを利用している場合、その国の法律により日本企業のデータが閲覧される可能性があるため、可能な限り国内のデータセンターを使用しているアウトソーシング会社を選ぶことをおすすめします。
委託先の従業員がどのような権限で自社の経理データにアクセスできるのか、アクセス権限の管理体制を確認することも重要です。業務に必要な最小限の権限のみが付与される仕組みになっているか、権限の付与と剥奪がどのように管理されているかを確認しましょう。
また、誰がいつどのデータにアクセスしたかを記録する操作ログが保存され、定期的に監査される体制になっているかも重要なチェックポイントです。万が一情報漏洩が発生した場合の原因究明や責任の所在を明確にするためにも、操作ログの記録と保管は必須です。
どれだけシステム的なセキュリティ対策が充実していても、それを扱う人間の意識が低ければ情報漏洩のリスクは高まります。委託先の従業員に対して、定期的な情報セキュリティ教育が実施されているか、秘密保持に関する誓約書の提出が義務付けられているかを確認しましょう。
また、委託契約時には秘密保持契約(NDA)を必ず締結し、情報漏洩時の損害賠償責任や対応手順を明確にしておくことが重要です。契約書には、情報の取り扱い範囲、再委託の可否、契約終了後のデータ返却と削除の方法なども明記しましょう。
経理アウトソーシングの導入目的の一つにコスト削減がありますが、料金体系を正しく理解せずに契約すると、予想外の費用が発生して逆にコストが増加するケースがあります。複数の業者の料金体系を比較し、自社にとって最も費用対効果の高いサービスを選びましょう。
経理アウトソーシングの料金体系は、大きく分けて以下のパターンがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の業務量や変動パターンに合わせて選択することが重要です。
| 料金体系 | 特徴 | 適している企業 |
|---|---|---|
| 月額固定制 | 毎月一定の料金で決められた範囲の業務を委託。処理件数に上限がある場合が多い | 業務量が安定している企業、予算管理を重視する企業 |
| 従量課金制 | 仕訳件数や請求書枚数など、実際の処理量に応じて課金される | 業務量の変動が大きい企業、スタートアップ企業 |
| 時間単価制 | 作業時間に応じて料金が発生する。専門性の高い業務に多い | スポット的に専門家のサポートが必要な企業 |
| 複合型 | 基本料金に加えて、一定の処理件数を超えると従量課金が発生する | 一定の業務量があり、繁忙期にのみ増加する企業 |
料金体系を比較する際には、基本料金だけでなく、オプション料金や追加料金の条件も必ず確認しましょう。
例えば、月次決算は基本料金に含まれているが、年次決算は別料金というケースや、通常の会計処理は固定料金だが、税務相談は時間単価制というケースもあります。
表面的な料金だけでなく、契約後に発生する可能性のある追加コストを事前に把握することが重要です。よくある追加コストとして、初期設定費用、システム連携費用、担当者の追加研修費用、契約変更手数料、途中解約時の違約金などがあります。
また、業務範囲外の依頼をした場合の料金設定も確認しておきましょう。例えば、急な資料作成依頼、税務調査への同席、経営会議用の特別レポート作成など、標準サービス外の業務を依頼する可能性がある場合、その料金体系を事前に把握しておくことでトラブルを防げます。
アウトソーシング費用が妥当かどうかを判断するためには、現在の自社での経理業務コストと比較することが必要です。比較する際には、人件費だけでなく、IT関連コストなども含めて総合的に評価しましょう。
人件費については、経理担当者の給与、社会保険料、賞与だけでなく、採用コスト、教育訓練費、退職金なども考慮する必要があります。また、経理システムの導入費用やライセンス料、サーバー維持費、システムアップデート費用といったIT関連コストも重要です。
さらに、経理担当者の離職リスクや、決算期の残業代、法改正への対応コストなど、見えにくいコストも含めて比較することで、より正確な費用対効果の判断ができます。
一般的に、経理担当者を1名雇用する場合の年間総コストは500万円から800万円程度と言われており、これと比較してアウトソーシング費用が妥当かを判断します。
いきなり全ての経理業務を委託するのではなく、まずは一部の業務から試験的に導入し、効果を確認してから段階的に委託範囲を拡大する方法もあります。このアプローチにより、リスクを最小限に抑えながら、自社に最適なアウトソーシングの形を見つけることができます。
契約期間についても、最初は短期契約から始めて、サービス品質を評価した上で長期契約に移行するという選択肢を検討しましょう。ただし、短期契約の場合は月額料金が割高になるケースもあるため、料金と柔軟性のバランスを考慮して判断することが重要です。
また、繁忙期だけスポット的に利用できるサービスや、特定の業務のみを切り出して委託できるサービスもあります。自社の状況に合わせて、最も費用対効果の高い委託方法を選択しましょう。
費用は、Webサイトや営業マンからの情報を鵜呑みにしないこと、Webサイトに対応業務の記載があるからといって確実に請けてもらえるとは限らないこと、対応可能なのであればどこまでできるのかをきちんと確認することが重要です。
経理アウトソーシングとは、企業の経理業務の一部または全部を外部の専門業者に委託するサービスです。自社で経理スタッフを雇用して業務を行う代わりに、記帳代行や給与計算、決算業務などを外部のプロフェッショナルに任せることで、業務効率化やコスト削減を実現します。
従来は税理士事務所や会計事務所が記帳代行として提供してきたサービスですが、近年では経理特化型のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業やクラウド会計を活用した経理代行サービスなど、選択肢が多様化しています。企業の規模や業種、委託したい業務内容に応じて、最適なサービスを選択できる環境が整ってきました。
経理アウトソーシングで委託できる主な業務範囲は以下の通りです。
| 業務分類 | 具体的な業務内容 | 委託の頻度 |
|---|---|---|
| 日次業務 | 現金出納管理、入金確認、仕訳入力、請求書発行 | 毎日~週次 |
| 月次業務 | 月次決算、試算表作成、給与計算、社会保険手続き | 月1回 |
| 年次業務 | 年次決算、法人税申告、財務諸表作成、年末調整 | 年1回 |
| 特別業務 | 税務調査対応、経営分析、資金調達支援 | 必要時 |
委託する業務範囲は企業のニーズによって調整可能で、一部の業務のみを委託するスポット契約から、経理部門全体を丸ごと委託する包括契約まで、柔軟な選択が可能です。
経理アウトソーシングのメリットを5つ紹介します。
現在の企業が直面する最も深刻な課題の一つが、経理分野における専門人材の慢性的な不足です。特に中小企業においては、経理担当者の採用が困難な状況が続いており、アウトソーシングはこの問題の解決策になります。
経理アウトソーシングを活用すれば、以下のような人材リソースの最適化が実現できます。
| 課題 | アウトソーシングによる解決効果 |
|---|---|
| 採用コストの負担 | 求人広告費、面接時間、研修費用などが不要 |
| 退職による業務停滞 | 継続的なサービス提供で業務の安定性を確保 |
| スキル不足による作業効率の低下 | 経験豊富な専門家による効率的な処理 |
| 繁忙期の人手不足 | 必要に応じた柔軟な対応体制 |
また、社内の限られた人材をより戦略的で付加価値の高い業務に配置することが可能となり、企業全体の競争力向上にもつながります。
経理業務をアウトソーシングすることで、従業員が本来注力すべきコア業務に専念できる環境が整います。これは企業の成長と収益性向上において極めて重要な要素です。
具体的には、以下のような業務に集中できるようになります。
• 事業戦略の立案と実行
• 新規市場開拓や事業拡大の検討
• 顧客との関係構築と営業活動
• 商品・サービスの企画開発
• 営業活動の強化による売上拡大
• マーケティング活動の充実
• 顧客サービスの質向上
• 技術開発やイノベーションの推進
日本の税制や会計基準は頻繁に改正されており、企業は常に最新の法令に準拠した経理処理を行う必要があります。
経理アウトソーシング事業者は、法改正への対応を専門とするプロフェッショナルとして、最新の情報と専門知識を持っていますが、自社で法改正に対応する場合には、担当者の学習時間、システム改修費用、対応ミスによるリスクなどが発生します。
これらの負担を大幅に軽減できることが経理アウトソーシングのメリットでしょう。
主要な法改正とその対応例を以下の表で整理しました。
| 法改正項目 | 影響範囲 | アウトソーシングでの対応メリット |
|---|---|---|
| 電子帳簿保存法 | 帳簿書類の電子化対応 | システム導入サポートと運用指導 |
| インボイス制度 | 適格請求書の発行・保存 | 制度理解と実務対応の一括サポート |
| 消費税率変更 | 税計算と申告書作成 | 即座のシステム対応と正確な処理 |
| 働き方改革関連法 | 給与計算への影響 | 労務関連の専門知識を活用した対応 |
経理業務における内部不正や人的ミスは、企業の信頼性と財務健全性に深刻な影響を与える可能性があります。
経理アウトソーシングは、複数の専門家による牽制機能と標準化されたプロセスにより、これらのリスクを大幅に削減します。
• 複数担当者による業務チェック体制
• 第三者機関による定期的な業務監査
• 標準化されたプロセスによる透明性確保
• デジタル記録による証跡管理の徹底
• 専門システムによる自動計算と整合性チェック
• ダブルチェック体制による精度向上
• 経験豊富な専門家による業務処理
• 継続的な品質管理とプロセス改善
多くの企業で経理業務は特定の担当者に依存する「属人化」が深刻な問題となっています。経理アウトソーシングは、業務プロセスの標準化とチーム体制により、属人化リスクが発生しません。
属人化による主要なリスクとアウトソーシングでの解決策を整理しました。
| 属人化リスク | 具体的な問題 | アウトソーシングでの解決策 |
|---|---|---|
| 業務継続性の不安 | 担当者の休暇・退職時の業務停滞 | チーム体制による継続的なサービス提供 |
| ノウハウの偏在 | 特定個人にのみ蓄積される知識 | 標準化されたプロセスと文書化された手順 |
| 品質のばらつき | 担当者のスキルレベルによる処理精度の差 | 一定水準以上の専門家による均一な品質 |
| 業務改善の停滞 | 現状維持思考による効率化の遅れ | 継続的な業務改善とベストプラクティスの導入 |
さらに、アウトソーシング会社は最新の経理システムと効率的なワークフローを提供するため、属人化の解消とともに業務効率の大幅な改善も期待できます。これにより、企業は経理業務に関する継続性と品質の両面で安定した運営が可能となります。
※依頼主の経理システムを利用して業務代行をするアウトソーシング会社も存在します。その場合、新たにシステム導入をする必要がなく、初期費用を抑えるメリットがあります。
経理アウトソーシングには多くのメリットがある一方で、導入前に必ず把握しておくべきデメリットも存在します。
これらのデメリットを理解せずに導入すると、期待した効果が得られないばかりか、かえって業務効率が悪化する可能性があります。
日常的な仕訳処理から決算業務まで、すべてを外部に任せてしまうと、自社の経理担当者は実務経験を積む機会を失ってしまいます。
将来的に経理業務を内製する可能性がある場合や、経理の人材育成も進めたいといった場合には、すべての業務を丸投げするのではなく、一部の業務に絞ってアウトソーシングするのも良いでしょう。
将来的に経理業務を内製化する可能性がある企業では、アウトソーシング期間が長くなるほど、社内の経理レベルが低下し、いざ内製化しようとした際に適切な人材がいないという状況に陥る可能性がありますので注意が必要です。
| 影響範囲 | 具体的な問題 | 長期的なリスク |
|---|---|---|
| 人材育成 | 実務経験不足による成長阻害 | 専門性の高い経理担当者が育たない |
| 知識継承 | 社内ノウハウの断絶 | 業務引き継ぎ時の混乱 |
| 組織運営 | 経理部門の空洞化 | 内製化時の体制構築困難 |
初期の見積もりと実際のコストに大きな乖離が生じるケースが多く見られます。これは、導入前の業務範囲の定義が曖昧だったり、追加業務が発生したりすることが主な原因です。
特に以下のような要因でコストが膨らみがちです。
• イレギュラーな業務対応による追加料金
• システム連携やカスタマイズ費用
• 業務量の季節変動による料金変動
• 契約期間中の仕様変更対応費用
また、月次の基本料金に加えて、決算期の業務量増加や税制改正への対応などで追加費用が発生することも珍しくありません。
結果として、社内で経理担当者を雇用するよりも高コストになってしまう場合もありますので、コストを抑えたい場合にはアウトソーシングする範囲を絞るなどの調整をしましょう。
経理業務を外部委託すると、リアルタイムでの財務状況の把握が困難になるというデメリットがあります。
社内に経理担当者がいれば、日々の売上や支出の動向をすぐに確認できますが、外部委託の場合は定期的な報告を待つ必要があります。
この情報伝達の遅れは、経営判断のスピードに直接影響します。特に以下のような局面では、迅速な対応が求められるため、情報の遅れが致命的になる可能性があります。
• 資金繰りの急激な悪化
• 大口取引先の支払い遅延
• 予想外の大きな支出の発生
• 月次業績の大幅な変動
このような状況において数値の確認などができるかどうか、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、外部の委託先が複数の企業を担当している場合、自社の案件の優先度が下がり、緊急時の対応が後回しになるリスクも考慮する必要があります。
経理業務には、企業の機密性の高い財務情報や取引先情報が含まれるため、外部委託により情報漏洩のリスクが高まります。社内であれば情報管理体制をコントロールできますが、外部委託先の情報セキュリティレベルは企業によって大きく異なります。
特に注意すべき情報漏洩リスクには以下があります。
| リスク分類 | 対象情報 | 影響度 |
|---|---|---|
| 財務情報 | 売上高、利益率、資金繰り状況 | 競合他社への情報流出 |
| 取引先情報 | 支払条件、取引金額、契約内容 | 取引先との信頼関係悪化 |
| 従業員情報 | 給与額、賞与、人事評価 | 労務問題の発生 |
| 税務情報 | 申告内容、節税対策 | 税務調査リスクの増大 |
また、委託先の従業員の退職時や、委託先企業との契約終了時における情報の取り扱いについても、事前に明確なルールを設定しておく必要があります。
外部委託では、契約で定められた業務範囲内でのみサービスが提供されるため、イレギュラーな業務や急な変更への対応が困難になる場合があります。
社内の経理担当者であれば、状況に応じて柔軟に業務を調整できますが、外部委託先は契約に基づいた対応となります。
• 急な決算日程の変更への対応
• 新規事業開始に伴う会計処理の変更
• 監査法人からの追加資料要求への迅速な対応
• 金融機関からの緊急資料提出要求
• 経営陣からの臨時分析資料作成依頼
また、委託先の営業時間や休業日の制約により、自社の営業時間外や休日の対応が困難になることもあります。これは特に、海外取引がある企業や24時間体制で営業している企業にとって大きな問題となる可能性があります。
さらに、委託先の担当者が変更になった場合、新しい担当者が自社の業務内容を理解するまでに時間がかかり、一時的に業務効率が低下するリスクも考慮する必要があります。
緊急時の対応フローや担当変更時のフローなど、事前に確認しておくようにしましょう。
経理アウトソーシングを適切に導入し、業務効率化やコスト削減を実現した企業の成功例を紹介します。これらから、失敗を回避し成功に導くポイントを学ぶことができます。
※具体的な事例ではなくモデルケースとして紹介いたします。
従業員30名規模のIT企業では、創業当初から社長自身が経理業務を兼務していましたが、事業拡大に伴い本業に専念できない状況が課題となっていました。経理アウトソーシングサービスの導入を決断し、記帳代行から月次決算、給与計算まで一括して委託しました。
導入前には、業務フローの可視化と標準化を徹底的に行い、委託先との間で業務マニュアルを共同作成しました。また、クラウド会計ソフトを活用してリアルタイムでの情報共有体制を構築し、週次での定例ミーティングを設定しました。
その結果、社長は本業である営業活動や新規事業開発に月間約80時間を振り向けることができるようになり、売上は前年比150%に成長しました。経理業務の品質も向上し、税理士からの指摘事項が大幅に減少したことで、税務申告時の手戻りもなくなりました。
従業員100名の製造業では、決算期や年末調整の時期に経理部門の業務負荷が集中し、残業時間が月間60時間を超える状況が常態化していました。経理担当者の離職も相次ぎ、採用コストも増大していました。
この企業は、繁忙期のみスポット対応が可能なアウトソーシングサービスを活用する戦略を採用しました。日常的な記帳業務は社内で継続し、月次決算の補助業務、年末調整、決算業務のみを外部委託する形式としました。
| 項目 | 導入前 | 導入後 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 繁忙期の残業時間 | 月間60時間 | 月間15時間 | 75%削減 |
| 経理部門の人件費 | 年間900万円 | 年間650万円 | 250万円削減 |
| 決算完了までの日数 | 45日 | 25日 | 20日短縮 |
| 従業員満足度 | 低い(離職率高) | 改善(離職率低下) | 定着率向上 |
この柔軟な委託方式により、繁忙期の業務負荷を平準化し、既存社員の労働環境を改善することができました。また、固定費を変動費化することで、年間約250万円のコスト削減を実現しました。
創業2年目のスタートアップ企業では、経理の専門知識を持つ人材を採用する余裕がなく、会計処理の誤りや税務リスクへの不安を抱えていました。資金調達を検討する段階で、投資家から財務管理体制の強化を求められたことがきっかけで、経理アウトソーシングの導入を決定しました。
委託先の選定では、スタートアップ支援の実績が豊富で、CFO代行サービスも提供できる業者を選びました。単なる記帳代行にとどまらず、資金繰り管理、予実管理、財務分析レポートの作成まで包括的にサポートを受ける体制を構築しました。
導入後、月次での経営数値の可視化が実現し、経営判断のスピードが向上しました。また、適切な会計処理と内部統制の整備により、投資家からの信頼を獲得し、希望額の資金調達に成功しました。外部の専門家の知見を活用することで、IPOを見据えた管理体制の基盤を早期に構築できたことが大きな成果となりました。
全国に15店舗を展開する小売業では、各店舗で経理処理の方法が異なり、本部での集計作業に多大な時間を要していました。また、処理方法のばらつきにより、ミスや二重計上などの問題も頻発していました。
この企業は経理アウトソーシングの導入と同時に、全店舗の業務フローを標準化するプロジェクトを実施しました。委託先の専門家と協力して業務マニュアルを整備し、クラウドシステムを活用した統一的な処理体制を構築しました。各店舗からのデータ入力ルールを明確化し、月次での集計・分析業務をアウトソーシング先に一元化しました。
この取り組みにより、本部経理部門の集計作業時間が従来の3分の1に削減され、経営陣へのレポート提出が月末から5営業日以内に実現しました。また、店舗別・商品別の収益分析が迅速に行えるようになり、データに基づく経営判断が可能になりました。
これらの成功例に共通するポイントは、明確な導入目的の設定、適切な業者選定、そして綿密なコミュニケーション体制の構築です。単にコスト削減を目的とするのではなく、業務品質の向上や経営判断の迅速化など、具体的な成果目標を設定することが重要です。
また、導入前の準備段階で業務フローを可視化し、委託範囲を明確にすることで、スムーズな移行が実現しています。さらに、定期的なミーティングやクラウドツールを活用したリアルタイムの情報共有により、コミュニケーション不足による失敗を回避しています。
委託先との信頼関係を構築し、単なる外注先ではなくビジネスパートナーとして協力関係を築くことが、経理アウトソーシング成功の鍵となります。
経理アウトソーシングの失敗は、コミュニケーション不足や業務プロセスの齟齬、予期せぬ追加費用、セキュリティの脆弱性、専門性の欠如などが主な原因です。
失敗を防ぐには、アウトソーシングの目的を明確にし、引継ぎ準備を万全にすることが重要です。また、委託先を選ぶ際は実績と専門性、サポート体制、セキュリティ強度、料金体系を十分に比較検討し、密な連絡体制を構築することで、経理アウトソーシングを成功に導くことができます。
FOC経理アウトソーシングは、経理に関連した業務全般の問題、課題を把握・整理したうえで、最適な業務運用をご提案、実行いたします。また庶務業務、給与計算業務も含めたトータルサービスもご提供しております。この効果として経理担当者は、本来やるべき業務に集中することができます。
サービスの特徴
FOCは、30年/1,000社以上のノウハウを活かし、御社のコア業務の生産性向上、バックオフィス部門のコスト削減に貢献します。
ライタープロフィール
くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
「FOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」
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