くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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シェアードサービスとは、文字通り「サービスをシェアする」ことです。業務に置き換えて言うと、「業務処理に関わるリソース(人員)をシェア(共有)する」といったことでしょう。
アウトソーシングという仕組み自体、様々な企業から同じような業務を請負い、一括で処理しますので、シェアードといえるのですが、一般的にシェアードサービスというと、グループ会社や関連会社を対象に、「業務処理に関わるリソースをシェアする」ことを言います。
例をあげてみましょう。
たとえば、経理業務のシェアードサービスがあります。各グループ会社が経理要員を抱えていて、経理業務をしています。経理の仕事の繁閑には波があります。
月次や本決算のタイミングはとても忙しいのですが、それ以外のタイミングは普通の業務負荷ということが一般的です。ピーク時には、通常時の2倍から数倍の作業時間になることもざらです。
もし、ピーク対応を残業でこなすとなると、毎回多額の残業費用が発生します。社員も疲弊してしまいます。だからといって、ピーク時対応ができる人数を常に揃えていると、通常期は人が余ってしまい、結局ムダな費用となってコスト高になってしまうのです。
こうした各グループ会社の課題解決のために登場したのがシェアードサービスです。
グループ会社Aの月次の〆日が25日で、B社が末日とします。それぞれの作業の山と谷がずれているので、会社Aと会社Bの経理業務を請負えば、A社が忙しい25日周辺はB社に余裕があり、B社が忙しい末日周辺はA社が余裕があるということで上手に人を回して、ピーク時対応の山谷をうまくならすことができます。
また、A社は3月、B社は12月と、決算がずれている場合もこのようなピークをならすことができます。
これが、サービス(人員)をシェアするシェアードサービスという考え方です。
シェアードサービスは、ひとつの組織で業務を抱えるのではなく、外部にアウトソーシングして繁閑をカバーする手法であるとともに業務の標準化、コスト削減を見込んだ手法でもあります。よって、必然的にアウトソーシングの形態になっていくのです。
先の例は経理業務でしたが、他にもシェアードサービスの対象はたくさんあります。給与計算、総務、物流、システム開発、コールセンター、社員教育などです。
特に比較的小規模な企業でも行われているのがグループ採用です。グループ内の新卒採用を一括で行い、入社時に各社に振り分けたりする手法は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
シェアードサービスのメリットは、QCD(Q: Quality、C:Cost、D:Delivery)です。
シェアードサービスは第一に業務の品質(Q)を高めてくれます。シェアードサービスを受託する組織やアウトソーサーはその業務のプロです。当然、プロとしての高い業務品質が期待できます。また、仕事が集中すればするほど学習機会も増えるので、技能に磨きがかかり、より高品質のサービスを提供してくれるようになります。
コスト(C)も安くなります。人や設備といった、空いているリソースを有効活用すれば、それだけコストが下げられます。
デリバリー(D)は聞きなれない言葉かもしれませんが、ここでは納期と考えて良いと思います。シェアードサービスにおける納期は、シェアードサービスを担う組織や会社に任せることで納期が遵守されるということです。シェアードサービスを行う側はプロですから納期意識が高いこともありますが、リソースを上手に使うことで、自社社員でやっていては間に合わなくなるようなことも、うまくこなして納期を守ってくれるのです。
社員では甘えがあったりして、納期を守らないことが起きえますが、シェアードサービスは契約で行われる業務ですから、何が何でも納期を守るというモチベーションも高いわけです。
シェアードサービスを組織内で行うこともありますが、シェアードサービスをアウトソースするほうが合理的です。シェアードサービスを受託する企業はその領域でのプロフェッショナルであり、先のQCDは当然として、蓄積された業務ノウハウ・スキルがありますから有効な提案をしてくれることも期待できます。最新の動向への対応も迅速です。
経理や会計でいえば、新しい会計ルールや税法への対応をアウトソーサーは迅速に対応します。給与計算でいえば社会保険や税法の変更にも迅速に対応します。物流であれば規制対応、ITであれば新技術と、変化対応力が高いアウトソーサーの活用は、社内でいちから調べなければならない負担に比べ付加価値が高いのです。つまり、アウトソーシングは合理的なシェアードサービスなのです。
ここ最近では、シェアードサービスを資本と関係ない外部企業へ、アウトソーシングサービスとして提供する動きも出ています。これはシェアードサービスがグループ内の標準化やコスト削減を行う機能から利益を生む事業会社としてシェアード会社も進化しているといえます。
ひとつの企業から分社化(子会社化)したグループ会社であれば、業務のやり方に共通する部分があり、その後のシェアードサービス設置はスムーズかもしれません。合併などでグループ化された企業のシェアードの場合、今までの各社ごと全く違うやり方を標準化することは実は非常に難しく、社員のシェアード会社への転籍を念頭にするならば、思っている以上に軌道に乗せるのが困難になります。
また、業務を担当していた社員をシェアードサービスへ転籍させたとしても、今までの“甘え”の意識改革には相当の時間がかかります。このような親会社を含めグループ内ではなかなか解決が見込めない場合、外部のアウトソーサーとシェアードの合弁会社を作り、「外部の血」を入れて強制的に意識改革を行うといった例もなかにはあります。
シェアードサービスは、グループ内の共通した業務を集約し、標準化、コスト削減が見込めることで有効な体制でありますが、実態は結構な困難を伴います。
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