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2015.05.19 掲載 2022.06.21 更新

戦略系コンサルティングファームへ依存が会社をダメにする「意思決定をするのはマネジメント層であってコンサルではない」

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世の中のノウハウをさらに活用するために、SCM(サプライチェーンマネジメント)構築を中心に第一線でご活躍されている経営コンサルタント 石川 和幸様より、依頼内容を完遂するために会社や経営者に切り込んでいくコンサルタントという立場ならではの視点で、最近のアウトソーシングの動向、そこで懸念されていることについて、ご寄稿いただきました。

「意思決定」までもアウトソーシング

最近気になる動きがあります。
それは本来アウトソーシングすべきでないマネジメントの仕事がアウトソーシングされ始めているということです。

アウトソーシングすべきは、作業的業務、自社にとってコア領域でない業務、戦略的でない業務です。企業にとって死命を握る意思決定に関わる仕事はアウトソーシングしてはいけません。
参考『コア業務を読み誤り、アウトソーシング領域を間違えたX社の事例

しかし、本来マネジメント層が行うべき仕事がアウトソーシングされ始めているのです。一体どの領域かと言うと、会社の方針や戦略の立案、投資計画の立案と意思決定、取締役会での説明と採決という、マネジメント層が担うべき仕事が、外部の組織や人に任され始めているのです。

アウトソーサーは誰かと言えば、戦略系コンサルティング会社と言われる組織やコンサルタントで、こうした組織や人に仕事が委託されているのです。

実は、かく言う私も、社長や取締役に対し、報告し、決裁を迫る場面が多くなってきています。また、私の知るいくつかの会社では、戦略系のコンサルタントに頼んで、いろいろな分析をしてもらい、提言を受け、取締役会での報告と決裁を行っています。

私のようなコンサルタントや戦略系のコンサルタントを上手に使うなら問題ないでしょう。しかし、問題になるのは、「コンサルタントに決めてもらおう」、「コンサルタントに考えてもらおう」という姿勢です。これは、マネジメントとして重要な仕事、つまり「考えて」、「意思決定」して、「指示を出す」仕事の放棄にあたります

会社のかじ取りと責任はマネジメントにあるのです。外部の人間はあくまでアドバイザーにしかなりません。こうしたことが蔓延すると、マネジメントが「コンサルが言ったから」、とか、「あの有名コンサルでも駄目だったのだから」と言いだし、保身と言い訳の材料にして、責任を放棄する形になりかねません

マネジメントの空洞化

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一方で、マネジメント層の空洞化も傾向として出てきているように思います。優秀なマネジメントがいる一方で、そうでもないマネジメントにも多く会います。

製造業なのに、自社の製造が抱える制約や力関係が分からず、的外れな対策を言い続けるマネジメントや、原因追求がロジカルにできず、いつも「どうなっているのだ?」しか言わないマネジメント、自分が責任者だということを忘れて「なぜこんなことをしたのだ?」と言うマネジメントなど、マネジメントとしての視線ではなく、他人事の視点で発言し、振る舞うマネジメントも多くなっています。

こうして、マネジメント層に問題解決ができない人材が蔓延し、外部のコンサルに依存するようになるのです。コンサルを使うととても楽なのです。なぜなら、資料をロジカルにまとめてくれるし、自分は出てきた資料をレビューするだけで済みます。説明も依頼すれば、自分が矢面にたたず、波風が立てば、自分は第三者的の側に立てて安全です。

こうしてマネジメント層は、コンサルに依存し、コンサルなしでは意思決定できず、社内を動かすことができなくなっていくのです。マネジメントが責任を持って意思決定し、指示を出すのではなく、評論家的になっていく、まさに空洞化が生じる可能性が出てきているのです。

マイクロマネジメント化するマネジメント層

一方、従業員として育ってきたマネジメント層の一部が、未だに部課長レベルの細かい管理をマネジメントだと勘違いし、本部長や役員になっても同じような細々とした管理をしていることがあります。

大所・高所に立った、時間軸の長い意思決定ではなく、目先の売上とか在庫とか、利益を上げることだけに重点を置き、投資やリスク、長期・戦略的な考察自体、行わない例もあります。

マネジメント層が細かい業務を監視し、指示を出し、短期的なことばかりに関心を寄せていては、長期的に競争力を強化していくことができません。細かい管理であるマイクロマネジメントは課長や係長に任せて、もっと視野の高い、先を見据えた仕事をしなければなりません。

もう一度、アウトソーシングすべき領域を定義する

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マネジメント層は、戦略立案や方針決めをアウトソーシングしないように心に決めなければなりません。思考のための材料収集や案の作成まではアウトソーシングしたとしても、方向性の選択や判断は手放してはいけません。

つまり、意思決定はコンサルに依存せず、使いこなすだけの頭脳と真摯さを持たなければならないのです。

経営に関わる思考、意思決定、指示はマネジメントの仕事です。コンサルを道具として使いこなす気概と真摯さを身につけてほしいと思います。そして、自らの組織に高い収益と品質をもたらすために適切な業務領域をアウトソーシングして、貴重な自社の人材を上手に配置し、永続性を手に入れてほしいと思います

アウトソーシングは経営の重要なツールですが、改めて、どの業務領域をアウトソーシングし、どの領域をしないか、厳密に線引きして経営にあたっていくことが肝要だと感じます。

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ライタープロフィール

石川 和幸

経営コンサルタント
早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。能率協会コンサルティング、アンダーセン・コンサルティング(現、アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築・導入、ERP構築・導入、アウトソーシング導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。 著書に『図解 SCMのすべてがわかる本』『図解 生産管理のすべてがわかる本』『在庫マネジメントの基本』(以上、日本実業出版社)、『思考のボトルネックを解除しよう!』、『見える化仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『なぜ日本の製造業はもうからないのか』(東洋経済新報社)、『図解 よくわかるこれからのSCM』(同文舘出版)、『アウトソーシングの正しい導入マニュアル』『図解 工場のしくみが面白いほどわかる本』(中経出版)など多数。

石川 和幸

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