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2015.06.22 掲載 2022.06.29 更新

東日本大震災から4年、企業のBCP(事業継続計画)体制は進んでいるのか

disaster
BCPとは、Business Continuity Planの略で日本語では「事業継続計画」と呼ばれています。

中小企業庁では、

企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画

中小企業庁 webサイト https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html

と定義されています。 

BCPは欧米ではテロなどへの対処、日本は自然災害の対処という認識が強い

BCPは2000年前後から英米で取り上げられていた課題でしたが、2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロによって、世界的な注意喚起がなされることとなりました。(実際に貿易センタービルにあった会社のいくつかは事業継続ができず事業を閉鎖しています)

そのため、“緊急事態”のとらえ方が、欧米ではテロや紛争による攻撃や破壊への対処を想定している傾向があります。

一方、日本では地震を中心とした”自然災害”への対処を想定しているが特徴です。

1980年頃から警告されてきた東海大地震や1995年1月に発生した阪神淡路大震災、2007年7月に発生した新潟県中越沖地震などの経験が、日本独自のBCPへの考え方となっているのです。

しかし、東海地方や実際に甚大な被害のあった地域では、BCPへの意識が高くなりましたが、日本という国としての対処は遅れてきたと言えるでしょう。 

BCP策定状況は大企業と中小企業で大きな差がある

2006年の中央防災会議において、2015年までの10年間(その後2020年までに修正)で大企業のすべてと中小企業の半数以上の策定が目標とされましたが、実際のBCP策定状況を確認してみましょう。

内閣府サイト  「企業の事業継続の取組に関する実態調査-過去からの推移と東日本大震災の事業継続への影響-」の公表より 企業の事業継続の取組に関する実態調査 平成24年3月 P7ページ引用 http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/topics/pdf/kentoukai12_10.pdf
 
2012年3月に内閣府防災担当が発表した「企業の事業継続の取組に関する実態調査」によると、2011年の調査に対する大企業の回答では「策定済または策定中」が72.3%、中堅企業以下では同様の回答が35.7%という結果が出ています。

2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、前回調査(2009年)からは大幅に数字が高くなっていますが、中小企業以下についてはまだまだ策定が進んでいないという現状です。

中小企業ではなぜBCP策定が捗らないのでしょうか?

BCPのような計画を自社の人的資源のみで検討・策定することはなかなか難しい事です。外部のコンサルタントに依頼すればそれなりに費用がかかります。また、中小企業の社長や経営幹部は、日々の売上や利益獲得に忙しくBCPを検討する時間や手間をかけることができないのも一つの理由としてあるでしょう。万が一の出来事=災害や事故が起こるかもしれない危険性があることを承知しながら、後回しにせざるを得ないのです。

このような状況の中小企業でのBCP策定を手助けすべく東京商工会議所ではガイドブックを発行しています。この中では東日本大震災のとき、BCPを策定していたことで事業の継続が可能になったケースも紹介されています。 

ある税理士事務所のBCP事例

datacenter

近隣火災を契機にデータバックアップの方法を改め、万一の際に備える、という事例をご紹介します。

税理士事務所A社を訪問したとき、すぐそばで大きな火災がありました。風向きが逆だったら被害を受けていたかもしれない距離でした。

そのときに、その事務所の情報システム担当者がポツリと漏らした一言、それは「いくら所内のサーバのバックアップを二重にしても燃えちゃったら顧問先さんの会計データも終わりですよねぇ」というものでした。その後、情報システム担当者と「データセンターを活用して顧問先企業の会計データを守る」という提案しました。

中小企業の経営者にとって、自分の頭の中で思い描いているBCP(案)を具体的にかたちにするためには、こういったケーススタディや事例によってBCPの必要性を身近に感じるということも重要な意思決定ポイントになりますが、ケーススタディを学べる場などが少ないことも、中小企業におけるBCP策定が進まない要因のひとつでしょう。

先ほどご紹介した東京商工会議所の「BCP策定ガイド」にも、どのような項目をBCP策定すればよいか、準備はどうすればよいかが記載されており、盛りだくさんな内容になっています。

緊急事態への備え(予防対策)、緊急事態発生時の対応(応急対策)、失われた設備や施設をどのように復旧・復活するか(復旧対策)、その他、緊急時の連絡網の整備やチェックリストの作成・運用、誰が緊急事態の対応に当たるのかなど、BCPを策定し運用するためにはやるべきことが多いのも事実です。

経営資源が潤沢ではない中小企業(その経営者)にとってBCPを検討・策定を進めるためには、「優先順位」が重要なポイントです。

まずどのような緊急事態が発生したかを想定した上で、手軽なものからでも構わないので、必要な対策に優先順位をつけ、具体的な行動と必要な資源を検討してみる、少しずつ少しずつでもBCPを策定していく、このような進め方も必要でしょう。忙しいからというのは理由にできない世の中になってきています。会社を守るため、従業員を守るため、経営者の方には頑張っていただきたいです。


※出典・参考

内閣府サイト
「企業の事業継続の取組に関する実態調査-過去からの推移と東日本大震災の事業継続への影響-」の公表
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/topics/index.html

グラフ引用
企業の事業継続の取組に関する実態調査 平成24年3月 P7ページ引用
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/topics/pdf/kentoukai12_10.pdf

東京初校会議所
『東京商工会議所 BCP策定ガイド』
http://www.tokyo-cci.or.jp/survey/bcp/
 

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