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2015.08.12 掲載 2022.07.05 更新

経理とはどのような仕事か。経理の意味や主な仕事内容【シリーズ:経理のはなし2 初心者向け】

経理の仕事内容とは?』では経理の仕事の内容を大まかに説明しましたが、今回はもう少し具体的に経理の仕事の流れをみてみましょう。

経理業務は会社を経営する上で必要不可欠です。経営者・役員には経理業務の内容について具体的に知ることが求められます。経理業務の内容や業種・事業規模による違いや、求められるスキルなどについて紹介しましょう。 

経理の仕事とは

経理業務は事業規模や業種にかかわらず、必ず行うことが法律で定められています。具体的にどのような仕事なのか、まずは概要から把握しましょう。

お金が動くたびに記録する

経理の仕事は一言で表すと「お金の管理をする」ことです。売上や利益など日々の業務にはじまり、投資による資産の変動、税金や給与の計算など、あらゆるお金の出入りを記録し、それを元に決算書などの作成や申請手続きを行うことが求められます。 その性質上、売上や利益に直接関与することは低いものの、会社のお金の動きを追うのに重要なものです。法律的に提出も求められているため、必ず正確に行わなければなりません。

経理部門の情報をもとに経営者は判断

経理の仕事は、経営陣が今後の会社の方向性を決める上で欠かせない情報を生み出します。現在赤字になっている事業は何か、無駄なコストが流出していないか、力を入れるべき事業は何かといった指標となるからです。 経理は地味で細かい作業が多いのはたしかですが、会社を経営する上でも重要な仕事と言えるでしょう。 

経理や会計の意味

経理と似た言葉に「会計」「財務」があります。これらと経理との具体的な違いについて把握しましょう。また、業種や会社の規模による経理の仕事の違いについても触れていきます。

会計や財務との違い

まず根本的に、会計と経理はまったく異なる仕事ではありません。 伝票や帳簿の作成など、お金の流れを記録します。経理の仕事になると、決算書の作成や税金の申告など、それ以外の仕事も含まれます。会計の仕事は、経理業務の一つです。 財務とは、金融機関からの資金調達や、M&Aなど、企業が必要とする資金を調達してくることが仕事です。経理や会計が過去のお金や会社の資産を記録・管理する仕事だとすれば、財務は未来に使うお金に関して管理する仕事と定義できます。

業種による仕事の違い

経理の仕事は業種によってもすべきことが変わってきます。お金の管理の仕方が変わるためです。 例えばマンションやビルなどの長期にわたって同じ商品でお金の流動がある業務では、経理業務は年度をまたぐ必要があります。金融業では、お金自体が商品となるため、記帳の方法も変わります。 製造業ではコスト管理が必要ですし、機材の定修なども考慮しなければなりません。会社の行っている事業が複数領域にまたがれば、それぞれの事業に対して会計のやり方を変える必要があります。

会社規模による仕事の違い

会計の仕事は、事業規模によりやることが増えます。扱う商品の数が増えれば仕訳が増えますし、従業員数が増えれば給与計算や年末調整にかかる作業工数も比例して増加するでしょう。

そのため、経理に関わる人数も会社の規模に応じて増えるのが一般的です。中小企業では経営者が経理を行うことがありますが、大企業や上場企業では、経理のために一部門や子会社を作っていることがあります。 外資系企業の場合、海外の親会社用の決算書の作成と、日本国内での税務申告のための2通りの決算書を用意するなどの作業が必要になってくるでしょう。 

経理の日単位における仕事内容

経理業務においては、日・月・年ごとにやらなければならないそれぞれの仕事があります。まずは日々やらなければならない仕事について紹介します。

領収書や現金出納帳の管理

領収書の管理は「経費」の記録のために必要です。経費には交際費や消耗品費・水道光熱費などさまざまなものがあります。これらの支出については領収書がないと証明が難しく、税務署の調査などに対応できない可能性が出てきます。

現金出納帳は、現金の入金と出金、そして残高を記録するための帳簿です。「いつ」「誰と」「どんな内容で」「いくら」のやりとりがあったのかを記録します。

毎日行われるため、これらの記録については日次業務として行うのが一般的です。

掛取引の管理

簡単な買い物とは違い、取引先と行うような大きな取引は現金のやりとりをその場で行わずに、月に1度の支払日までに銀行振込などで行うのが一般的です。

このとき、相手から購入したものに対しまだ払っていない取引を「買掛取引」、相手に対して商品やサービスだけを提供し支払いがまだのものを「売掛取引」と呼びます。

この取引についても日常的に行われるため、日次業務の一つと言えるでしょう。

庫の管理

卸売や小売などの業種では、商品を在庫としてストックしているのが一般的です。在庫が適切な量になるよう、またデータ上の在庫と実数が一致しているかどうかなどを管理するための在庫帳の作成も、経理業務になります。

商品の仕入れと売れた都度に商品別に個数や単価、金額を管理する必要があります。この取引も日次業務の一つです。 

経理の月単位における仕事内容

続いては、月締めのタイミングで必要になる経理の月次業務について解説します。

請求書の管理

取引先に対する商品・サービスの売上代金は都度ではなく月締めのタイミングで行うケースがほとんどです。請求書を発行して送付したり、逆に送られてきた請求書の管理を行うのも、経理業務の仕事となります。

請求書をきちんと管理できていないと、未払等の問題に発展することもあります。また、請求書の項目や様式については取引先の業種等に応じて変える場合もあるでしょう。

掛金の管理

入金があった場合は売掛金の債権を消去する処理を行います。これを「入金消込」と呼びます。 多くの掛取引を行っていると、期日を過ぎても債権が残った状態であることも珍しくはありません。売掛金がきちんと支払われたかどうかをチェックするのも経理業務の一環です。

給与や報酬の管理

従業員に毎月支払う給与や、コンサルタントや外部委託先への報酬などを計算し、支払いを行います。また、この記録を管理しておく「賃金台帳」の記載も仕事です。

基本給のみでなく、特別手当やボーナスなどの報酬、勤務日数や時間、有給休暇の消化状況などについても記録するのが一般的なケースです。

キャッシュフローの管理

キャッシュフローとは、一定の期間内に発生した現金の流出入に関する記録です。経理担当者は毎月、キャッシュフローの流れが正しいかをチェックし、間違いがあれば修正作業を行います。

キャッシュフローは営業活動・投資活動・財務活動による三つに区分されます。それぞれについて計算書を作成する必要があるのです。 

経理の年単位における仕事内容

経理の年単位における仕事内容を見ていきましょう。年単位の仕事については、作業量が大きくなりがちなものも多く、数カ月前から準備が必要なものもあります。

決算と確定申告

決算業務は、経理業務の中でももっとも重要な業務と言えるでしょう。決算は、経営成績や財務状況をまとめるために行う作業のことで、年度や四半期ごとに行います。

また、株主や親会社などの関係者に対して会計帳簿に基づき決算内容をまとめた計算書類である「決算書」の作成も、決算業務です。決算業務は前の決算から次の決算までの長期作業になります。

また、年次決算の2カ月以内に確定申告を行う必要があります。確定申告書を作成し、会社がある地域の税務署・都道府県・市町村に提出することが義務づけられているのです。

遅れるとペナルティが科せられるため、こちらも事前準備をして期日をしっかり守らなければなりません。

務処理

企業には個人とは違い、さまざまな税金が課せられています。この税金については、税務署に申告しなければなりません。この申告を「申告納税制度」といい、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税がこれに該当します。

税額の計算や添付書類の作成を期間内に行わなければなりません。また、添付書類として貸借対照表や損益計算書、勘定科目内訳明細書なども作成しておく必要があります。

年末調整

従業員に毎月支払われる給与からは、源泉徴収制度によって所得税と復興特別所得税が引かれています。 この源泉徴収されている金額が、実は必ず適正であるとは限らないのです。その理由としては、税額が概算であることや、扶養者の変動などの従業員個人の環境の変化によるところもあります。

この「実際に支払うべき金額」と「源泉徴収された金額」の誤差を調整するのが、年末調整の役割です。

従業員の給与額や税額、控除額を計算して正確な源泉徴収金額を算出し、毎年1月末までに税務署や市町村に提出する義務が設けられています。

この年末調整にも多くの工数がかかるため、年末調整のピークである12月は経理担当者にとってもっとも忙しい時期になります。

社会保険の管理

法人企業は雇用者を社会保険に加入させる義務があります。社会保険には「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」などがあり、新たな雇用者の加入手続きと、会社を辞めた人間の脱退の手続きを行わなければなりません。 この社会保険の加入者の状況を適切に管理することも、経理担当者の仕事の一つとなります。 

処理に関する特異性

経理の仕事においては、他の業務とは異なったルールがいくつか存在します。その中で「手書き伝票の作成」と「印鑑の扱い」は重要なルールですので、それぞれについて詳しく解説しましょう。

手書き伝票の作成方法

経理業務においては、いまだに手書きで伝票を作成する場合があります。手書きで作成する場合のみに適用するルールがありますので覚えておきましょう。

まず、手書き伝票の作成は、後からの修正を不可能とするために必ずボールペンを使います。伝票の数字や項目を修正する際には修正液や修正テープを使わず、二重線で取り消して訂正印を押した後に、正しい数字を書き込みます。

書き損じがあった場合は破棄しないように注意が必要です。伝票には伝票番号が記載されているので、破棄してしまうと番号が飛んでしまい、粉飾決算が税務署から疑われる可能性があります。

鑑の取り扱い

契約書ではサインが使われるケースも増えてきましたが、日本のビジネスやお役所ではまだまだ印鑑で対応しなければならない部分も多くあります。

経理で使用する印鑑には用途ごとに種類があるので覚えておきましょう。

まず「実印」は、会社の社長や取締役などが用いる会社の正式な印鑑です。契約書や法的な文書の作成に用います。 銀行・信用金庫・信用組合などの金融機関との取引などで使う「銀行印」、法人が請求書や領収書を確認する際に使用する「角印」があり、用途によって使い分けなければなりません。

また、複数の書類が1組であることを示す「割印」や、訂正があったときのために欄外に押しておく「捨印」など、印鑑の押し方もさまざまありますので、経理担当者は把握しておく必要があります。 

求められるスキルと資格

経理担当者は、これまで見てきたように帳簿の作成や印鑑の扱いなど、経理のみに必要な多くのルールについて把握しなければなりません。また、通常業務とは違うバックオフィスの特殊な仕事でもあります。

経理担当者に求められる資格やスキルを紹介しますので、経理担当者の育成・採用の際に参考にしてください。

簿記などの資格

経理業務において、まず『簿記』は不可欠な資格です。経理にとって1番重要である「お金の管理」の記録をする方法が簿記なので、簿記ができないと経理業務を行うことができません。

仕事の中で覚えることもありますが、経理の人材を募集する際には簿記資格者が要件であることも多いので、経理で仕事をするなら取得しましょう。

また税理士や公認会計士のスキルは、経理業務を行う上で有利になる資格です。他にも、文書の管理能力を示す資格である「文書情報管理士」の資格や、お金にまつわる知識の証明でもある「ファイナンシャルプランナー」は経理にとって有利に働く資格です。

また、グローバル化が進む現代において、海外企業とのやりとりが発生するケースもあるでしょう。そういった際には、アメリカの公認会計士資格である『U.S.CPA』や、グルーバルビジネスに対応できる会計検定である『BATIC』(国際会計検定)の資格が役立ちます。

パソコン関係のスキルや資格

経理業務の大部分は、会計ソフトや経理用のツールを使って処理するのが一般的です。市販のソフトを使用していることもあれば、会社が独自に開発したソフトを用いて経理業務を行っているケースもあります。

そのため、現在の経理業務においてはパソコンを扱うスキルは必須と言えるでしょう。特にマイクロソフトのワード・エクセル・アクセスは文書の作成、データの集計などで使う機会が多いソフトです。

そのため、『MOS』(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)等のスキルを持っておくと経理に役立つでしょう。MOSはエクセル・ワード・パワーポイント・アクセス・アウトルックの五つのアプリケーションを扱う技術を持っていることを証明してくれます。

コミュニケーションスキル

経理のように直接利益には関係なく、データの入力や書類作成が主な仕事となるバックオフィス業務は、一見すると他者とのコミュニケーションが不要に思えるかもしれませんが、実はそうではありません。

なぜならお金の流れがない部署など企業には存在せず、色々な部署との接点が多いのが経理だからです。例えば商品在庫が一致しなかった場合、管理部署に問い合わせるなどして原因を探る必要がありますが、そのときにもやはりコミュニケーションが必要になります。

コミュニケーションスキルがある経理担当者は、問題の発見・解決能力に優れています。経理担当者において必須スキルと言えるでしょう。 また、外部の取引相手や顧客、経営者など、経理は色々な関係者から意見を求められることもあります。経理担当者は普段からコミュニケーションを取って円滑な人間関係を築いておくように心がけねばなりません。

経営者の視点に立つ

単純なデータ入力やお金の流れを管理するのは、現場のみの仕事です。企業にとって有益な経理担当者は、経営者の視点を持ち合わせています。

経理データは会社の活動履歴そのものでもあります。そのため、経理担当者が会社の抱えている課題や企業戦略、今後の経営方針について経理の面から意見できるような人物に育てば、経営者にとってもっとも有益な助言者となるのです。

事業を拡大するためには、単純な処理業務だけではなく、コンサルティングも任せられる経理担当者の育成が不可欠と言えます。 

まとめ

どのような企業でも、つきつめればその業務内容は「お金のやりとり」に集約します。そのため経理の仕事はどんな企業でも必ず必要な仕事であり、経理担当者のスキルは企業の戦略・成長に大きな影響を及ぼすこともあるでしょう。

そのため、経理担当者には単なる現場のスキルだけではなく、多彩なコミュニケーション能力や経理の目から見た広い視点が求められます。また、経理の仕事は法的な手順が細かく決められていますので、一般社員に任せることは難しいのが実情です。

経理担当者の育成と採用は、企業にとっていつの時代も課題の一つになっているのは間違いありません。
 
次回から、1.毎日の仕事、2.毎月の仕事、3.毎年の仕事を解説していきます。

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ライタープロフィール

くもと編集

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NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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