くもと編集
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FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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「アウトソーシング」と「人材派遣」は似ているようで異なります。どちらを活用すべきか悩む企業担当者は多いのではないでしょうか。
本記事では、アウトソーシングと人材派遣の明確な違い、それぞれのメリット・デメリット、導入時の注意点を解説します。コスト削減や業務効率化を検討中の必見の内容です。
この記事の目次
業務を外部に依頼するという点では似ている「アウトソーシング」と「人材派遣」ですが、法律的な位置づけや契約形態、指揮命令系統など多くの点で大きな違いがあります。これらの違いを正確に理解することで、自社の状況に最適な外部リソースの活用方法を選択できます。
比較項目 | アウトソーシング | 人材派遣 |
---|---|---|
契約形態 | 業務委託契約(請負契約・準委任契約) | 労働者派遣契約 |
法的根拠 | 民法(請負や委任に関する規定) | 労働者派遣法 |
指揮命令系統 | 依頼企業には指揮命令権なし | 依頼企業に指揮命令権あり |
対象範囲 | 業務・プロジェクト単位 | 人材単位 |
業務範囲 | 業務の一部または全体 | 特定の業務を担当する人材 |
成果責任 | 受託企業が負う | 派遣先企業が負う |
契約期間 | 発注ごと・数ヶ月から年間 | 原則31日以上3年以下 |
アウトソーシング(外部委託)とは、企業が自社の業務の一部または全体を外部の専門業者に委託することです。
業務委託契約(請負契約・準委任契約)に基づいて行われ、民法の請負や委任に関する規定が適用されます。
アウトソーシングの最大の特徴は、業務の結果や成果物に対して責任を負うのは受託企業(業務を請け負う側)である点です。
依頼企業は業務の内容や納期、品質などを指定できますが、どのように業務を遂行するかという方法や、業務を担当する人員に対する指揮命令権はありません。
アウトソーシングには以下のような特徴があります。
例えば、Webサイト制作、コールセンター業務、経理・人事業務、ITシステム開発・保守、物流業務などが一般的なアウトソーシングの対象です。
一部、コールセンターのカスタマーサポート業務などは請負契約ではなく、業務の遂行を目的とした準委任契約になることがあります。いつ問合せが来るかわからず、何件対応できるかも事前の契約で成果物を決められないからです。
人材派遣とは、派遣会社(派遣元)が雇用する労働者を、派遣先企業の指揮命令下で働かせる仕組みです。労働者派遣法に基づいて行われ、派遣元企業と派遣先企業の間で労働者派遣契約を結びます。
人材派遣の最大の特徴は、雇用関係と指揮命令関係が分離している点です。派遣社員の雇用主は派遣会社ですが、日々の業務における指揮命令は派遣先企業が行います。つまり、派遣社員は派遣会社に雇われながら、派遣先企業の管理下で働くという二重の関係にあります。
人材派遣には以下のような特徴があります。
2015年の法改正により派遣期間の制限が見直され、現在は原則として同一の事業所における同一の派遣労働者の受け入れは3年までと定められています。
派遣労働者の権利を守るため、労働者派遣法では以下のような規定があります。
これらの規定により、派遣労働者の雇用の安定や処遇の改善が図られています。
アウトソーシングと人材派遣の最も重要な違いは、指揮命令系統と責任の所在です。この違いが契約形態や業務の進め方、コスト構造など多くの面に影響を及ぼします。
人材派遣の場合、派遣先企業は派遣社員に直接指示を出し、業務の進め方を細かく指定することができます。
一方、アウトソーシングでは、依頼企業は業務の詳細な進め方を指示することはできず、あくまでも成果物や納期などの成果に関する要件を示すことができるだけです。
アウトソーシングでは、業務の結果に対する責任は受託企業が負います。業務の遂行方法や人員配置も受託企業の裁量で行われます。
対して人材派遣では、業務の結果に対する責任は派遣先企業にあり、派遣会社は派遣労働者の雇用管理に関する責任を負います。
ちなみに偽装請負(実質的には人材派遣であるにもかかわらず、形式上はアウトソーシングとして契約する行為)は労働者派遣法違反となり罰則の対象となります。
区分 | アウトソーシング(業務委託) | 人材派遣 |
---|---|---|
契約の当事者 | 発注企業と受託企業 | 派遣先企業と派遣元企業 |
業務従事者の雇用主 | 受託企業 | 派遣元企業 |
業務従事者への指揮命令 | 受託企業 | 派遣元企業 |
業務の遂行方法 | 受託企業が決定 | 派遣先企業が指示可能 |
料金体系 | 成果物に対する対価 | 労働時間に対する対価 |
このように、アウトソーシングと人材派遣は似ているようで根本的に異なるサービスです。企業の状況やニーズに応じて、適切な方法を選択することが重要です。
企業が業務の一部を外部に委託するアウトソーシングには、さまざまなメリットとデメリットが存在します。ここでは、アウトソーシングを活用する際に知っておくべきポイントを詳しく解説します。
アウトソーシングの最大のメリットは、本業に集中できることによる業務効率の向上です。自社のコア業務に人材とリソースを集中させることで、企業の競争力強化につながります。
また、アウトソーシングによるコスト削減効果も見逃せません。専門業者に委託することで、以下のようなコスト削減が可能になります。
削減できるコスト | 削減効果 |
---|---|
人件費 | 正社員雇用に比べて20〜30%程度の削減が一般的(社会保険など見えないコスト込み) |
設備投資 | 専用機器や設備・システムの購入・メンテナンス費用が不要に |
教育コスト | 専門スキルを持つ人材の育成費用が削減できる |
間接コスト | 福利厚生費や管理コストの削減 |
さらに、業務を外部委託することで固定費を変動費に転換できるメリットもあります。繁忙期と閑散期で業務量に波がある場合、必要な時に必要なだけリソースを活用できるため、経営の柔軟性が高まります。
専門業者へのアウトソーシングによって、自社では持ち得ない専門知識やスキルを活用できることも大きなメリットです。
特に以下の分野では専門業者の知見を活かすことで品質向上が期待できます。
例えば、IT分野では、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のために専門性の高いIT企業へのアウトソーシングを活用する企業が増加しています。
また、最新技術やトレンドへの対応力が向上する点も見逃せません。専門業者は常に最新の技術や市場動向に精通しているため、自社だけでは追いつけない変化にも柔軟に対応できるようになります。
アウトソーシングによる業務品質向上の具体例として、コールセンター業務の外部委託が挙げられます。専門のコールセンター業者は、以下のような専門的なノウハウを持っています。
これらの専門性により、顧客満足度の向上や問題解決時間の短縮といった成果が期待できます。
アウトソーシングの最大のデメリットとして、業務知識やノウハウが社内に蓄積されにくいという点が挙げられます。
外部委託を続けることで、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
リスク | 想定される影響 |
---|---|
技術的依存 | 委託先企業への過度の依存により、自社の交渉力が低下 |
ノウハウの空洞化 | 長期的に見て社内の技術力や専門性が低下 |
業務改善能力の低下 | 業務プロセスの詳細を把握できず、改善提案が難しくなる |
事業継続リスク | 委託先との契約終了時に業務継続が困難になる可能性 |
このデメリットを軽減するためには、以下のような対策が有効です。
そもそもアウトソーシングする業務は、ノンコア業務であり社内にノウハウを蓄積する必要があるのか、という疑問もありますが、業務品質の評価軸を保つこと、アウトソーシング会社に依存しすぎるリスク(例えば、価格交渉で立場が弱くなる、アウトソーシング会社が倒産してしまうなど)を鑑みると、特に委託業務に関する定期的な報告会や勉強会の開催は、社内への知識移転に効果的です。
アウトソーシングでは、社外に情報を提供するため、情報セキュリティ上のリスクが伴います。
特に個人情報や機密情報を取り扱う業務では、慎重な対応が求められます。
セキュリティリスクを最小化するためには、以下のような対策が必要です。
依頼元企業も管理責任が発生します。丸投げせず、しっかりと管理体制を維持することが重要です。
アウトソーシングでは、社内業務と比較してコミュニケーションコストが増加することがあります。特に以下のような課題が生じやすくなります。
これらのデメリットを軽減するためには、明確な業務マニュアルの作成や定期的なミーティングの開催が効果的です。
また、KPI(重要業績評価指標)を設定して定期的に評価することで、品質管理を徹底することができます。
アウトソーシングを成功させるポイントは、メリットを最大化しつつ、デメリットを最小化するための戦略的なアプローチにあります。自社の状況や目的に合わせて、最適なアウトソーシング手法を選択することが重要です。
人材派遣は、人材を必要とする企業(派遣先)と派遣会社(派遣元)の間で三者間の雇用関係を結ぶ働き方です。ここでは人材派遣を活用する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
人材派遣を活用する最大のメリットの一つは、採用活動にかかる時間やコストを大幅に削減できる点です。
通常、正社員を採用する場合、求人広告の出稿、書類選考、面接の実施など多くの工数と費用が発生します。厚生労働省の調査によれば、正社員一人を採用するためにかかるコストは平均で約60万円とされています。
派遣社員の場合、これらの採用プロセスは派遣会社が担当するため、企業側の負担が軽減されます。また、基本的なビジネスマナーやスキルトレーニングも派遣会社が行っているため、教育コストも削減できます。
コスト項目 | 正社員採用の場合 | 派遣社員活用の場合 |
---|---|---|
求人広告費 | 数十万円〜 | 不要 |
選考にかかる人件費 | 高い | 最小限 |
初期研修費用 | 必要 | 基本的に不要 ※引継ぎなどの具体的な業務の説明は必要 |
社会保険負担 | 全額企業負担 | 派遣会社負担 |
派遣社員の場合は福利厚生や社会保険の手続きも派遣会社が担当するため、総務や人事部門の業務負担も軽減されます。
企業活動においては、繁忙期や特定プロジェクトの実施など、一時的に人材が必要になる場面が多々あります。人材派遣制度を活用すれば、そのような状況に応じて柔軟かつスピーディーに必要な人材を確保することが可能です。
例えば、以下のようなシーンで人材派遣が効果的です。
派遣社員の手配は早ければ1週間程度で完了することもあり、人材不足に迅速に対応できるとしています。また、契約期間が終了すれば雇用関係も終了するため、人員調整も容易です。
近年の派遣市場では、一般事務だけでなく、IT、経理、語学など専門性の高い分野でも多くの派遣社員が活躍しています。専門的なスキルや資格を持つ人材を正社員として採用するのは困難な場合でも、派遣であれば比較的容易に確保できることがあります。
専門職派遣は年々増加傾向にあり、特にITエンジニア、経理専門職、外国語に堪能な人材などの需要が高まっています。
またワークライフバランスが浸透していることで、残業をしたくない、やりたい仕事に集中したいなどの理由で派遣社員を選ぶ人も増えているため専門職派遣に注目が集まっています。
人材派遣の大きなデメリットとして、派遣社員に対して契約外の業務を依頼することができない「業務範囲の制限」があります。
派遣契約では、あらかじめ業務内容や就業条件が明確に定められており、それ以外の業務を指示することは法律で禁止されています。
例えば、経理事務として派遣された社員に営業活動を手伝ってもらいたい場合や、突発的なトラブル対応をお願いしたい場合でも、契約外であれば依頼することができません。業務範囲を超えた指示は「偽装請負」と見なされるリスクがあります。
緊急時や業務の繁忙期には柔軟な対応が求められることが多いビジネス環境において、この制限は大きな課題となることがあります。
派遣労働者派遣法では、同一の派遣先で働ける期間に上限が設けられており、原則として最長3年までとなっています。
そのため、長期的に同じ人材を確保することが難しく、業務の継続性に影響を与える可能性があります。
例えば、派遣社員が業務に習熟し効率よく働けるようになった頃に、法律上の制限により契約を継続できなくなるケースもあります。これにより、新たな人材への引き継ぎや教育が必要となり、一時的な生産性の低下を招くことがあります。
この制限は労働者の安定した雇用を促進する目的で設けられていますが、企業側にとっては人材活用の制約となることも事実です。
ちなみに同じ派遣社員に引き続き働いてもらうためには派遣会社との合意のうえ、直雇用に切り替える手段があります。
派遣社員を活用する場合、派遣会社に支払う派遣料金には、派遣社員の給与だけでなく、派遣会社の管理費やマージンも含まれています。短期的には人件費が抑えられても、長期的に見ると正社員を雇用するよりもコストが高くなる可能性があります。
費用項目 | 内訳 | 割合の目安 |
---|---|---|
派遣社員の給与 | 基本給、各種手当 | 約60〜70% |
法定福利費 | 社会保険、雇用保険等 | 約10〜15% |
派遣会社のマージン | 人材紹介料、管理費等 | 約20〜30% |
業界の標準的な例では、派遣社員の時給が1,500円の場合、企業が支払う派遣料金は2,100〜2,400円程度になることが一般的です。長期的な人材確保が必要な場合は、このコスト面を十分に考慮する必要があります。
派遣社員は雇用主である派遣会社と、実際に働く派遣先企業が異なるため、派遣先企業への帰属意識が正社員と比較して低くなる傾向があります。これにより、組織の一体感の醸成や長期的な企業文化の形成に課題が生じることがあります。
また、派遣社員は正社員と比べて待遇面で差があることも多く、モチベーション維持の面で難しさがあります。特に同じような業務を行っているにもかかわらず、給与や福利厚生、教育訓練の機会などに差がある場合、派遣社員のモチベーション低下につながる可能性があります。
これらの課題に対応するため、多くの企業では派遣社員も含めたチームビルディングや情報共有の工夫を行っています。また、2020年4月から施行された「同一労働同一賃金」の原則により、不合理な待遇差の解消が進められています。
企業が業務の効率化やコスト削減を考える際、アウトソーシングと人材派遣のどちらを選択すべきか迷うことがあります。
両者には明確な違いがあり、企業の状況や目的によって最適な選択肢は異なります。ここでは、それぞれを選ぶべきケースを詳しく解説します。
比較項目 | アウトソーシング | 人材派遣 |
---|---|---|
契約形態 | 請負契約・業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
指揮命令権 | 委託先企業が持つ | 派遣先企業が持つ |
成果物 | 成果物・結果で評価 | 労働時間で評価 |
適している業務 | 専門性の高い業務、完結した業務 | 一時的な人手不足、繁忙期対応 |
コスト構造 | 業務単位の固定費用が多い | 時間単位の変動費用が主 |
専門知識やスキルが必要な業務を外部に委託したい場合は、アウトソーシングが適しています。
例えば、システム開発、経理・財務処理、コールセンター業務などは、専門的なノウハウと経験を持った業者に任せることで、高品質なサービスを受けられます。
IT関連業務のアウトソーシングは、自社で専門人材を雇用するよりも約30%のコスト削減になるケースが多いとされています。
業務の効率化と本業への集中が目的の場合もアウトソーシングが有効です。BPO(Business Process Outsourcing)の活用により、企業は本来注力すべきコア業務に経営資源を集中できます。
以下のような場合にアウトソーシングを選ぶと効果的です。
アウトソーシングは単なる外部委託ではなく、業務プロセスの見直しと改善を含む戦略的な取り組みであると位置づけらます。
特に機密情報や個人情報を扱う業務の場合、アウトソーシング先と適切な機密保持契約を結ぶことで、情報漏洩リスクを管理しながら業務委託が可能です。多くのアウトソーシング企業はISO27001などの情報セキュリティ認証を取得しており、安全性の担保ができます。
短期的な人手不足や繁忙期の対応には、人材派遣が適しています。特に季節変動のある業務や、プロジェクト単位の業務増加に対して柔軟に人材を確保できる点が大きなメリットです。
厚生労働省の「労働者派遣事業の現状」によると、派遣社員の活用は特に事務職、販売職、製造業での需要が高いことが報告されています。
以下のような場合に人材派遣を選ぶと効果的です。
派遣労働者の活用は「必要な時に必要な人材を」という企業ニーズと「多様な働き方」を求める労働者側のニーズを満たす雇用形態として位置づけられます。
自社の指揮命令下で業務を行わせたい場合も人材派遣が適しています。派遣社員は派遣先企業の指示に従って働くため、業務内容や進め方を細かく指示できる点が大きな特徴です。
ただし、労働者派遣法に基づく派遣期間の制限(原則3年)には注意が必要です。
また、採用難の職種や即戦力が必要な場合にも人材派遣は有効な選択肢となります。特に専門26業務(通訳、秘書、ソフトウェア開発など)については、高い専門性を持つ人材を、派遣会社を通じて確保できます。
業務特性 | アウトソーシング向き | 人材派遣向き |
---|---|---|
業務の継続性 | 長期的な業務改善が必要な継続業務 | 一時的・短期的な業務 |
専門性の程度 | 高度な専門知識が必要な業務全体 | 一般的なスキルや特定スキルのみ必要な業務 |
マネジメント | 業務管理も含めて委託したい | 自社でマネジメントしたい |
コスト構造 | 成果に対する対価(固定費的) | 労働時間に対する対価(変動費的) |
企業規模によっても最適な選択は異なります。
中小企業では専門業務のアウトソーシングが、大企業では繁忙期対応の派遣活用が多い傾向がありますが、組織変更や業務内容が変わりやすいスタートアップではアウトソーシングは不向きで、パート・アルバイトのほか派遣社員の活用がみうけられますし、大手企業ならではの大量に発生する定型業務をアウトソーシングするケースもあります。
最終的には、業務の特性、期間、必要な専門性、指揮命令の必要性、コスト構造などを総合的に判断して、アウトソーシングと人材派遣のどちらが自社にとって最適かを見極めることが重要です。また、両方を組み合わせたハイブリッド型の活用も効果的な場合があります。
アウトソーシングは業務効率化やコスト削減に効果的ですが、導入時にいくつかの重要な注意点があります。ここでは、アウトソーシングを成功させるために押さえておくべきポイントを解説します。
アウトソーシングを導入する最初のステップは、その目的を明確にすることです。「なぜアウトソーシングを導入するのか」「どのような成果を期待するのか」を社内で共有し、合意形成を図ることが重要です。
目的が曖昧なままアウトソーシングを始めると、期待した効果が得られないだけでなく、余計なコストがかかる可能性もあります。以下のような目的を具体的に設定しましょう。
アウトソーシング先の選定は成功の鍵を握ります。単に価格の安さだけで選ぶのではなく、実績や専門性、企業の安定性など複数の観点から評価することが大切です。
選定時には以下の点を確認しましょう。
選定基準 | 確認ポイント |
---|---|
実績・経験 | 類似業務の実績、業界での経験年数 |
専門性 | 特定分野における専門知識・技術力 |
信頼性 | 会社の規模、財務状況、業界での評判 |
コミュニケーション能力 | 担当者の対応、報告体制の充実度 |
セキュリティ対策 | 情報管理体制、セキュリティ認証の有無 |
複数の候補から比較検討することで、より適切なパートナー選びができます。情報収集や事前の勉強が重要です。
アウトソーシング契約は業務内容や責任範囲を明確にするために重要です。曖昧な契約内容は後々トラブルの原因となるため、専門家のアドバイスを受けながら詳細な契約書を作成することをおすすめします。
契約書に含めるべき主な項目
特に個人情報の取り扱いについては、明確に規定することが必要です。
アウトソーシングを成功させるためには、適切なコミュニケーション体制の構築が不可欠です。定期的な進捗確認や報告会議の設定、問題発生時の連絡体制など、円滑なコミュニケーションの仕組みを事前に整えておくことが重要です。
効果的なコミュニケーション体制には以下の要素が含まれます。
業務をアウトソーシングする際には、社内の重要情報や顧客データを外部と共有することになるため、情報セキュリティ対策は特に重要です。
委託先のセキュリティレベルを事前に確認し、必要に応じて対策強化を要請するなど、情報漏洩リスクを最小限に抑える取り組みが必須となります。
アウトソーシングの導入は、社内の業務フローや従業員の役割に変化をもたらします。この変化を円滑に進めるためには、社内体制の整備と従業員への丁寧な説明が欠かせません。
社内体制整備のポイント
従業員の不安や抵抗感を軽減するためには、アウトソーシングによって彼らの業務がどう変わるのか、また今後どのような付加価値の高い業務に集中できるようになるのかを明確に伝えることが大切です。
アウトソーシングの主な目的の一つはコスト削減ですが、表面上の委託費だけでなく、管理コストや隠れたコストも含めた総合的な費用対効果を把握することが重要です。
アウトソーシングの総コストには以下のような要素が含まれます。
コスト項目 | 内容 |
---|---|
直接委託費 | アウトソーシング先への支払い費用 |
管理コスト | 委託業務の管理・監督にかかる人件費 |
初期導入コスト | 業務移管、システム連携などの初期費用 |
コミュニケーションコスト | 打ち合わせ、報告会などに要する時間と費用 |
リスク対応コスト | 問題発生時の追加対応や修正にかかる費用 |
導入後も定期的にコストと効果を検証し、必要に応じて契約内容や業務範囲の見直しを行うことが、長期的な成功につながります。
アウトソーシング先との協業で生み出される成果物の知的財産権や、共有する機密情報の取り扱いは特に注意が必要です。
知的財産権の帰属や使用権、業務終了後の情報の取り扱いなどを契約書に明記し、法的に保護することが重要です。
特に注意すべき点
アウトソーシングでは業務の品質を確保するために、明確な品質基準とサービスレベル合意(SLA)を設定することが重要です。
期待する品質レベル、納期、対応時間などを数値化し、定期的に評価する仕組みを構築することで、委託業務の品質を維持・向上させることができます。
SLAに含めるべき主な項目
アウトソーシングが期待通りの成果を上げられない場合や、ビジネス環境の変化によって内製化が必要になった場合に備え、撤退シナリオを事前に準備しておくことも重要なリスク管理の一環です。導入時にほぼ検討されないことですが、非常に重要な観点です。
撤退シナリオに含めるべき要素
特に重要なシステムや業務のアウトソーシングでは、万が一の際のバックアッププランや代替リソースの確保も検討しておくべきでしょう。
以上の注意点を踏まえてアウトソーシングを導入することで、リスクを最小限に抑えつつ、その効果を最大化することができます。成功のカギは、事前の十分な準備と継続的な管理・評価にあります。
人材派遣を導入する際には、さまざまな法的・実務的な注意点があります。ここでは、トラブルを回避し、効果的に人材派遣を活用するための重要なポイントを解説します。
人材派遣を導入する際には、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)の規定を遵守する必要があります。この法律は頻繁に改正されるため、最新の内容を把握しておくことが重要です。
派遣受け入れに関する主な規制には以下のようなものがあります。
規制項目 | 内容 |
---|---|
派遣期間制限 | 原則として同一の組織単位(課など)で同一の派遣労働者を受け入れることができる期間は3年まで |
クーリング期間 | 派遣期間が上限に達した場合、次の派遣を受け入れるまでに必要な空白期間(3ヶ月以上) |
派遣禁止業務 | 港湾運送、建設、警備、医療関係(一部例外あり)などの業務 |
直接雇用申込義務 | 一定の条件を満たした場合、派遣先は派遣労働者に対して直接雇用を申し込む義務が発生 |
2020年4月から、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者(派遣労働者を含む)の間の不合理な待遇差が禁止されました。
派遣労働者を受け入れる企業としては、自社の正社員と派遣社員との間で不合理な待遇差が生じないよう、派遣会社と連携して対応する必要があります。
具体的には以下の点に注意が必要です。
派遣労働者は雇用関係と指揮命令関係が分離している点が特徴です。
派遣先企業は、派遣社員に対して業務上の指揮命令権を持ちますが、雇用責任は派遣元にあることを理解し、適切な管理体制を構築する必要があります。
特に以下の点に注意が必要です。
人材派遣を効果的に活用するためには、信頼できる派遣会社を選ぶことが重要です。以下のポイントに注目して選定を行いましょう。
選定ポイント | 確認事項 |
---|---|
許可・届出の確認 | 厚生労働大臣による労働者派遣事業許可を受けているか |
派遣実績 | 自社の業界や職種への派遣実績があるか |
教育研修体制 | 派遣社員に対する教育・研修制度が充実しているか |
フォロー体制 | 定期的な訪問や問題発生時の対応体制が整っているか |
コンプライアンス | 法令遵守の姿勢と体制が整っているか |
派遣契約を締結する際には、業務内容、就業条件、派遣期間、派遣料金などの契約条件を明確にすることが重要です。特に以下の点については詳細に取り決めておきましょう。
労働者派遣法では、派遣契約に含めるべき事項が詳細に定められていますので、法令に準拠した契約書を作成することが必要です。
派遣社員を受け入れる際には、社内の受け入れ体制を整備することが重要です。具体的には以下のような準備が必要です。
円滑な業務開始のためには、派遣社員が参照できる詳細な業務マニュアルを整備することが特に重要です。業務の手順、注意点、判断基準などを明確に文書化しておくことで、効率的な業務引継ぎが可能になります。
派遣社員は一時的に自社で働く労働者であるため、機密情報の取り扱いには特に注意が必要です。以下の対策を講じることをお勧めします。
派遣社員との間でトラブルが発生した場合に備えて、対応手順を事前に確立しておくことが重要です。特に以下のような事態への対応方法を決めておきましょう。
トラブル発生時には、まず派遣元企業の担当者に連絡し、双方で協議して解決策を見出すことが基本的なアプローチです。直接派遣社員に改善を求めるのではなく、雇用責任のある派遣元を通じて対応することが重要です。
派遣社員の活用を成功させるためには、派遣元企業と継続的なコミュニケーションを図ることが不可欠です。定期的な情報共有の場を設け、以下のような内容を話し合いましょう。
派遣元企業との良好な関係構築により、より質の高い人材の確保や、緊急時の柔軟な対応が可能になることがあります。
アウトソーシングは業務単位で外部委託するため専門性の活用やコスト削減に適しており、人材派遣は必要な時に人材を確保できる柔軟性が強みです。
アウトソーシングは社内にノウハウが蓄積しにくい一方、人材派遣は指揮命令系統の問題に注意が必要です。業務の専門性や継続性を重視する場合はアウトソーシング、短期的な人材確保や繁忙期対応には人材派遣が適しています。
いずれにしても人材不足、採用難、終身雇用の形骸化が進むなかで、事業を安定的に推進するための有効な手段です。
どちらを選ぶ場合も、目的を明確にし、契約内容を十分理解した上で導入することが成功への鍵となります。企業の状況に合わせた適切な選択で、業務効率化と企業成長を実現しましょう。
FOCでは、30年・1,000社にご提供し続けている経理・人事・総務をはじめとした間接・事務業務に対してアウトソーシングのほか、RPA、AI、クラウドシステムを組合わせてサービス提供いたします。
こんな課題を解決します
FOCは、30年/1,000社以上のノウハウを活かし、御社のコア業務の生産性向上、バックオフィス部門のコスト削減に貢献します。
ライタープロフィール
くもと編集
マーケター兼編集者
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宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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