給与計算とは。仕事内容とよくあるミス。計算や進め方について気を付けるべきことは?

給与計算担当者

人事もしくは経理の仕事の1つとしてあるのが「給与計算」。会社で働く従業員・スタッフに対する報酬ですので、ミスや遅れは許されません。もしミスがあれば従業員の会社に対する信頼は大きく落ちるでしょう。しっかりと対価を払うことは会社が果たすべき義務です。

給与計算はただ基本給と税金の計算だけではなく、法律に基づいて残業代の計算や保険料の計算なども考慮しなければなりません。そこで今回は、給与計算の仕事内容から計算の手順、気を付けておくべきことを解説します。

 

■給与計算の仕事とは

給与計算とは、給料の総支給額と控除額、そして手取り額を計算し、従業員および各関係機関に支払う仕事です。勤怠などの労働実績に応じて、就業規則に基づいた総支給額を計算し、そこから社会保険や税金などの控除額を計算します。

総支給額から控除額を差し引いたものが、従業員に直接支払う、いわゆる手取り額になります。給与計算をすることによって、2つの重要な仕事ができます。

1つは労働契約の履行、もう1つは税金や社会保険などの公的手続きです。給与計算でミスをしたまま放置すれば、入社時に交わした会社と従業員との契約を反故にすることになるため、注意が必要です。

また、自営業など、会社に所属していない人は自分で確定申告などの手続きをしますが、会社はこの手続きを従業員に代わって行います。その一環が給与計算です。コンプライアンスの徹底が叫ばれるようになって久しいですが、正しい給与計算の根底は、労働契約と法令の順守を徹底することにあります。

これらの仕事は、非常に重要で意義深いです。まず、支払いが遅れることは絶対に許されません。従業員にとっては生活がかかっているからです。また、些細な金額でも計算を間違えると、次月以降での調整などで手間をかけることになります。売上や仕入の数値管理と同様、給与計算のミスは厳禁です。

なぜなら、従業員との信頼関係を壊すだけでなく、税金や社会保険料など、公的機関に納付する金額に影響を与えるためです。社会保険の場合は社会保険事務所から納付額の通知がくるので、間違えることは少ないですが、税金の計算ミスは、最悪の場合追徴課税ということにもなりかねません。労働法や税法など、様々な法規制の縛りを受けているのです。

担当する部署は会社によって異なるので一概にはいえません。規模の小さい会社なら、総務部や管理部で一括して行うところもありますし、各種手当の管理は人事部で保険料などの計算は経理部と分かれているところもあります。比較的規模の大きい会社では、計算の担当が人事部や総務部、振込や納付の担当が経理部というところが多いようです。

 

■給与計算の手順

給与計算の手順を大まかに書くと、次のようになります。

1.各種手当、勤怠データなどから、総支給額を計算する。
2.社会保険料、税金、その他の控除額を計算する。
3.総支給額から控除額を差し引き、手取り額を決定する。
4.台帳作成などの事務処理を行う。
5.従業員へ支払い、保険料などを納付する。

所得税と住民税は、従業員に支払った月の翌月10日に税務署に納付します。社会保険は、年金事務所などから納入通知書が来ますので、それをもとに月末までに振込・小切手、あるいは口座振替などで支払います。雇用保険の支払いは、年1回、ハローワークに対して行います。毎年7月に、来年3月までの分を一年分見込みで納付します。実績とのズレは、翌年の支払いをする時に同時に精算します。
(詳細な計算方法については、別記事で紹介します。)

 

■計算において考慮する項目

給与は、基本給各種手当控除額の3つから成ります。

各種手当は、家族手当や通勤手当、住宅手当など、基本的に就業規則で各会社が決めているものですが、法令が関与しているものもあります。それが残業手当や休日出勤手当です。

労働基準法では、週40時間という法定労働時間を定めており、これを超える時間外労働に対しては、給与を一定以上の割増率を加算して支払わなければなりません。これを割増賃金といいます。割増率は、残業手当が25%、休日出勤手当が35%です。夜10時から朝5時までの時間帯は別途、深夜業として25%割増す必要があります。

また、通勤手当は、従業員の税金を算出する元となる所得の計算には入れなくてよい(非課税扱い)ことになっています。これを所得として計算してしまうと、従業員に余計な税金を払わせてしまうことになります。なお、非課税扱いにできる金額の上限は法令で決まっています。

加算するものだけでなく、減算する項目も法令の縛りがあります。先ほど出てきた法定控除は、健康保険料・介護保険料(40歳以上のみ)、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税です。健康保険・介護保険、厚生年金保険は、会社と従業員が折半して負担します。雇用保険は、会社が6割、従業員が残りの4割負担です。

所得税と住民税は収入に対してかかる税金なので、全額従業員が負担します。1月から12月までの1年間で税金の額が決まりますので、毎月控除しているのは仮の金額。12月と翌1月に年末調整をして、加算・減算します。これも計算ミスすると従業員と税務署双方に迷惑がかかる部分です。

 

■身に着けておくべき知識。ミスをなくすには?

これらの給与計算の業務を滞りなくするには、労働基準法、所得税法や地方税など多岐にわたる知識が必要になります。また、就業規則の内容は頭に入れておくべきです。人事や給与計算の担当者の中には、社会保険労務士の資格を取得する人もいますが、そこまで高度な知識が必ずしも必要ではありません。

各法令は非常に広範囲にわたりますが、通常業務に必要な範囲はその一部です。とはいえ、広範囲であることには変わらず、しかも専門性が高く、質の高い知識が必要です。さらに難しいのは、法令には改正がつきものであり、常に最新の情報を仕入れて自分のものにしていかなければならないことです。

前述のとおり、ミスが許されない仕事なので、正確な判断力、計算能力が必要です。暗算などできなくても構いませんが、計算が明らかに間違っている場合に気付くことができるなど、数字に対する“感性”があるとよいでしょう。

イレギュラーの発生や新しい制度の導入、ミスを起こした場合、従業員や上司、税務署などに噛み砕いて説明しなければならないため、わかりやすく説明する力、状況を正しく理解する力も重要です。そして、他人の給料を知っているので、口が堅くなくてはいけません。情報漏洩は今や企業にとって大きなリスクです。

たとえば団体保険料の控除額を別の人と間違えてしまった。この場合、手取りを多く計算してしまった人には、来月の給与で控除する旨を説明し、少なく計算してしまった人には、来月で加算する旨を伝えなければいけません。

このような単純なケースならまだいいですが、各種手当や基本給の入力を間違えたり計算ミスしたりすると、長期間気づかれずに放置されることもあります。意外と自分の給料明細を細かくチェックする人は少ないものです。その場合、従業員に納得いく説明をするには、一筋縄ではいかないでしょう。

 

■まとめ

最後に今回の記事をまとめます。

・給与計算は、ミスが許されない仕事である。従業員の生活がかかっており、コンプライアンスとしても重要。
・ミスを起こさないためには、会社の就業規則だけでなく、労働基準法、所得税法など多岐に渡る知識、判断力やコミュニケーション力が必要。
・給与計算は、総支給額から控除額を差し引いて手取り額を計算する。
・従業員への支払いのほか、税務署や社会保険事務所への納付手続き、書類の作成も行う。

給与計算は会社にとって直接利益には結びつかないですが、最も重要な仕事の1つといえます。しかし処理業務自体は、手順がある程度決まっている定型業務になるため、ノンコア業務になり、アウトソーシングされるケースが多いのも事実です。

次は給与計算業務のアウトソーシングについて説明します。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」