給与計算のアウトソーシングのメリット・デメリット。代行させた方がいい・しなくてもいいケースは?

給与計算担当

給与計算の仕事内容については「給与計算とは。仕事内容とよくあるミス。気を付けるべきことは?」で解説しました。

給与計算を社内でやるのは効率が悪いと考えている企業も少なからず存在します。人事部や経理部には毎月発生するルーティン業務ではなく、より戦略的なコア業務(採用企画、財務など)に専念してほしいと考えているはずです。

給与計算のアウトソーシング・代行の料金と費用相場、その実態」は概要を簡単に説明しました。今回は、より踏み込んで給与計算のアウトソーシングを検討している方向けにメリット・デメリットから実際にアウトソーシング会社に代行させたほうが良いケースを紹介します。

 

■給与計算の仕事についておさらい

給与計算は、従業員ごとに給料の総支給額、控除額、手取り額を計算し、支払をする業務です。まず、人事データと勤怠データから基本給と手当を算出し、総支給額を計算します。総支給額が決まると、税金や社会保険料の金額を計算できます。

それらと共に、財形貯蓄などその他の控除額を計算し、総支給額から差し引きます。 結果、従業員ごとの手取り額が算出されます。

こうして計算した手取り額を各従業員に支払い、控除した額を税務署や社会保険事務所、その他の関係機関に支払います。賃金に関する情報は、賃金台帳などに記録しておく必要があります。

 

■給与計算業務の難しさ

給与計算の難しいところは、①計算する項目が多いところ②少しのミスが大きな失敗に繋がること③そしてなによりも専門知識が必要であること、などが挙げられます。労働法や税法などの法令だけでなく、自社の就業規則についても詳しくなっておく必要があります。そして法令などは改正されるので、その都度新しい知識を確実にキャッチアップしていかなければなりません。

人が育ちにくいというのも、 給与計算を難しくする要因となっています。専門知識が必要なうえ、給与という情報は漏えいしてしまうと、従業員との信頼問題になりますし、他の従業員のモチベーション低下にもつながりかねません。

コストの面でも、難しい部分があります。給与計算は基本的にはルーティン業務である一方、業務は忙しさに波があることが多く、ある時期(たとえば年末調整など)は残業が発生するほど忙しくても、別の時期には手が空いている、ということがあります。これは、従業員の稼働という点では非常にもったいないことです。

また、給与計算システムを使っている場合は、人件費に加えてシステムの開発、維持管理費がかかり、管理面でもコスト面でも無視できないものになります。

 

■業務をアウトソーシングするメリット・デメリット

給与計算業務を自社でやっている会社は、 アウトソーシングを検討する価値があります。これには、主に4つのメリットがあります。

1. 正確な計算ができる
アウトソーシングを請け負う会社はその業務専門のチームがやっていますので、正確な計算ができることはもちろん法令の改正にも随時対応しています。自社でやっている場合は法令改正など情報のキャッチアップを漏らしてしまう可能性があります。賃金台帳など必要書類の作成も正確に代行してくれます。

2. コスト削減
前項でみたような、人件費を始めとしたコストも削減できます。アウトソーシング会社では給与システムの構築から行っているところもあり、給与計算システム単体での設計・構築・管理にかかる開発および設定費、保守費も抑えることができます。

給与計算は事務仕事なので自社で行った場合、コスト感覚が育ちにくいですが、アウトソーシングすることで給与計算にかかるコストを明確にすることができ、さらなる削減にもつながります(ただし実際はもちろんアウトソーシングの費用によるところが大きいですが)。

3. 特定の人員へ業務が集中するリスクを回避する
給与計算は属人的な業務になりがちです。こういった場合、企業継続の観点からみて、その人がいないと仕事が進まないという事態であれば大きなリスクです。担当者が欠勤になったから今月給与の支給は遅れます、というわけにはいきません。当然、体調を崩しているにもかかわらず無理矢理出社して処理をさせるというのも企業の姿勢としても問題です。アウトソーシングすればそういった心配がなくなります。

4. コア業務に集中できる(作業時間の削減)
コスト削減と通じる部分もありますが、給与計算をアウトソーシングすることで、本来担当者にさせたいコア業務を優先させることができます。 ルーティン作業に集中することなく、人事採用や労務管理、税務調査対策など、その会社のその部署でしかできない仕事に時間を割くことができるようになります。

いっぽうで、アウトソーシングにはデメリットもあります。

1. 追加費用の発生
アウトソーシング会社の中には、顧客企業の就業規則に合わせたシステムを構築し業務を行っています。その場合、就業規則の改定があると、そのたびに追加費用が発生するケースがあります。裏を返せば経営が安定しており、改定の可能性が低い会社なら、デメリットになりにくいといえます。

2. ノウハウを得る機会が少なくなる
給与計算の実務を覚える機会がなくなるというデメリットです。実務にはノウハウが必要です。担当者にノウハウがあれば、従業員からの問合せへの迅速な対応、新しい制度や就業規則などの立案で効果をあげることができます。

このような機会を逃すリスクはありますが、「ノンコアとしてアウトソーシングした業務の価値」と「制度等の企画立案に活かすための価値」、どちらを優先すべきでしょうか。たとえばノウハウの獲得は、研修や自己啓発などで集中して学ぶという手段もあるため、全く蓄積できないというわけではありません。

3. 規模によっては、かえってコストデメリットとなるケースも
従業員が100人位までなら、顧問税理士や社会保険労務士が顧問料プラスアルファの格安で引き受けてくれる場合もあります。また、計算する人数が少なければ、エクセルやノートの管理でそれほど煩雑さを覚えることなくできる場合もあります。

 

■アウトソーシングしたほうがいいケース

先ほどのメリットとデメリットから考えると、次のようなケースに当てはまる場合に、アウトソーシングをするメリットが出ます。

 

・従業員数が多く、計算が煩雑。
・専門性を持った従業員がおらず、育てる人的時間的余裕もない。
・法改正に対応している人的時間的余裕がない。
・給与計算に時間がとられ、本質的に必要な業務ができていない。
・給与計算のために、複数の従業員を専門的に雇っており、多額の人件費が発生している。

 

逆に次のような場合は、自社で行ったほうがいいかもしれません。見積もりをもらって、費用対効果を検証してみるとよいでしょう。

 

・頻繁に就業規則が変わる
・すべて実務からのたたき上げで社員を育てたい

 

■まとめ

給与計算は企業にとって従業員からの信頼に関わる重大な業務である一方、ルーティンな仕事であり、かつ新しい法令などに対応していかなければいけません。すべてを自社のリソースで行うことができないのであれば、外部のリソースを使うアウトソーシングもひとつの選択肢として考えてもよいでしょう。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」