スタートアップ企業はどう活用すべき?多様化するアウトソーシングサービスのススメ

働き方改革の推進により注目を集める「アウトソーシング」。これまでの日本では、単純にコストカットを目的としたアウトソーシングが主流でしたが、今後はノンコア業務の戦略的なアウトソーシングの活用が進んでいきます。中でも、昨今特徴的なのはキャスター社・メリービズ社に代表されるオンラインアウトソーシングサービスの急成長です。

人もお金もリソースが潤沢ではないスタートアップ企業にとって、本業にフォーカスできるようにこれらのサービスを活用することは非常に有益といえます。

この記事では、最近増えているアウトソーシングサービスについて、種類のご紹介や活用のメリット・デメリット、特徴について解説していきます。

 

需要が高まるアウトソーシングサービス。導入のメリット・デメリットとは?

アウトソーシングは自社が抱える業務を社外に委託することで、企業活動を円滑に進める手段のひとつといえます。アウトソーシングの活用には具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

アウトソーシングサービス活用のメリット

①コア業務に注力できる

スタートアップ期はやらなければいけないことが多い反面、人的リソースが限られています。単純な作業や、経理等をはじめとした実務を外部に委託することで、コア業務に注力することが可能になります。

②コスト削減

必要な業務のみを外部に委託するので、正社員の雇用より費用の削減が期待できます。また、退職するリスクの懸念やマネジメント業務にかける工数も必要ありません。

③専門性の高い業務にも対応

一般的な事務仕事だけでなく、経理やデザイン制作、Web業務など専門スキルを要する業務も依頼することが可能です。プロに業務を任せることができるので、効率よく業務の精度を高めることができます。

 

・アウトソーシングサービス活用のデメリット

①ノウハウが自社に蓄積されない

アウトソーシングした業務は全て委託先で業務が遂行されるので、やり方や進め方等のノウハウは自社には蓄積されません。将来的に社内で行いたいと考えている業務の場合、引き継ぎが思うようにいかないという事態に陥る可能性も考えられます。

②進捗が把握できない

委託先で業務が遂行されるため、その進捗に関してリアルタイムに把握することはできません。急遽対応する必要が生じた場合など、自社で業務を行うより融通が効きづらいということも考えられます。

③セキュリティリスク

アウトソーシングを行う以上、情報漏洩のリスクは必ず伴います。情報の取り扱いについて事前に社内指針を作成し、依頼前にパートナーと、ポリシーや管理体制など自社の求める基準にあるか、しっかりすり合わせをする必要があります。

 

 

スタートアップ企業におすすめしたいアウトソーシングサービスの仕組みと特徴とは

一口にアウトソーシングサービスといっても、そのサービス内容は多種多様です。
ここでは、クラウドソーシング、オンラインアシスタント、BPO、人材派遣の仕組みや特徴を解説し、それぞれスタートアップ企業はどう活用すべきかについてご紹介します。

 

<クラウドソーシング>

【仕組み・特徴】

インターネットを介し個人間または個人法人間で仕事を取引する仕組みのことです。仕事の募集から、相手とのマッチング・打ち合わせ・契約・成果物の納品・支払いまで全てをインターネット上で完了でき、金額・納期なども比較的柔軟に設定することが可能です。
アウトソーシングできる業務の幅は広く、システム開発やデザインなど専門性の高い分野はもちろん、資料作成やライティング、データ入力などの雑務や単純作業まで、様々な業務を依頼できるのが魅力です。

一方、全てがインターネット上で完結するため、業務を担当するワーカーのスキルが測りにくく、成果物の完成度に大きく個人差が出てしまうという懸念点もあります。また、個別に業務委託契約を結ぶと、依頼するワーカーの人数を増やすごとに教育や研修・マネジメントに時間を割く必要性があるという点も見逃せません。

代表的な2つのサービスをご紹介しましょう。

【サービス紹介①】 Lancers(ランサーズ)

Lancersは、ランサーズ株式会社が2008年にサービス提供を開始した、国内初のクラウドソーシングサービスです。登録者数は50万人以上で、登録者はLancersでの実績や本人確認、機密保持契約確認の認証状況に応じランク分けされているのが特徴です。
依頼できる仕事のカテゴリーは270以上あり、タスク形式、プロジェクト形式、コンペ形式など目的に応じて様々な業務を依頼することができます。

【サービス紹介②】 ビズアシ

ビズアシは、CrowdWorks(クラウドワークス)で知られる株式会社クラウドワークスの子会社、株式会社ビズアシが運営するオンラインビジネスマッチングサービスです。
通常のクラウドソーシングサービスで発生する仕事相手とのマッチングや、受注、発注後のやりとりをビズアシ事務局が行なってくれるというもので、依頼内容も一般的な事務から秘書・経理等、様々な業務に対応しています。

アシスタント側の同意を得ることができれば、履歴書・職務経歴書などの閲覧も可能で、また、採用後自社にマッチしなかった場合はアシスタントの変更も可能です。

【おすすめ活用方法】

プロジェクト形式やコンぺ形式など様々な業務の依頼をすることができるという特性を生かした活用方法がおすすめです。下記に活用事例をご紹介します。

・コンペ形式を活用

スタートアップ時に必ず必要になる企業ロゴ(未決定であれば社名なども)をコンペ形式で募集できます。
クラウドソーシングサービスに登録しているコピーライター・デザイナーなどの多数の提案から選択することができます。
また、名刺やチラシなどの制作物もクラウドソーシングを通して依頼が可能です。

・プロジェクト形式を活用

自社ホームページの作成をプロジェクト形式で依頼できます。顧客イメージや自社の商品・サービスをPRする場として、自社ホームページの作成は不可欠な要素となりつつあります。
クラウドソーシングであれば専門性や実績のあるスタッフに直接依頼ができるため、スピーディーかつ高品質なホームページの作成が可能です。
また、一般的なホームページ作成会社のように中間手数料などの余分な費用がかからないため、コスト削減も期待できます。

・タスク・プロジェクト形式を活用

データ入力・データ分類などの単発・単純作業をタスクやプロジェクト形式で依頼できます。競合情報や営業リスト作成など、重要ながら比較的多くの工数を要する単純作業は、迷わずアウトソースしてしまうのがおすすめです。

クラウドソーシングをうまく活用することで、コア業務に注力しながら、必要なリソースを必要なタイミングで手に入れることができるでしょう。いいクラウドワーカーとの出会いができると、コストを抑えて高いパフォーマンスが期待できます。

 

<オンラインアシスタント>

【仕組み・特徴】

インターネットを活用し、在宅アシスタントスタッフがリモートで企業や個人事業主の業務サポートを行うサービスのことです。能力に個人差の大きいクラウドソーシングとは異なり、スタッフは専門性が高く即戦力となる人材を採用しているため、成果物(サービス)のクオリティが高いという点が魅力です。

また、1社につき1名のスタッフが対応するのではなく、専門知識を有するスタッフがチームとなって業務に取り組むため、秘書業務、人事や総務などのバックオフィス業務、マーケティングや営業サポートなど幅広い分野に対応することが可能です。

チームとして業務に取り組みますが、企業との窓口は専属のアシスタントが担当するため、人数が増えても教育や研修に時間を割く必要性がありません。利用に係る料金は多くの場合、1ヶ月の稼働時間に応じて設定されており、目安として1ヶ月30時間の業務で約10万円前後が相場価格となります。

【サービス紹介①】 CasterBiz(キャスタービズ)

CasterBizは、株式会社キャスターが運営する導入企業累計1,000社の実績を誇るオンラインアシスタントサービスです。秘書業務や人事・経理・マーケティング・オフライン業務と言った幅広い業務を依頼することが可能で、依頼内容に応じてアシスタントチームとプランが作成されます。
CasterBizの魅力として挙げられるのは業務のクオリティの高さと対応の早さです。厳しい採用を通過した専門性の高いアシスタントが業務を担当するため、対応の早さや正確性、業務や成果物のクオリティは担保されています。
1ヶ月の利用時間は実作業時間カウントで30時間、利用期間は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月から選択することができ、料金は月額9万6千円〜12万円です。基本プランのほかに要望に合わせたカスタムプランも利用できます。

【サービス紹介②】 MerryBiz(メリービズ)

MerryBizはメリービズ株式会社が運営する経理や会計業務に特化したオンラインアシスタントサービスです。経費精算から帳票・仕訳入力、請求書発行、さらには業務コンサルまで会計経理に関わる幅広い業務を請け負っています。
MerryBiz独自の審査基準(簿記2級以上、経理経験3年以上の資格、キャリアを有する、同社が行うテストで90点以上を獲得、PC操作テストに合格)をクリアしたプロ経理スタッフが業務を担当するため、非常に正確で、対応も迅速な点が魅力です。
利用金額は会社規模や依頼内容により異なりますが、20〜50名規模の企業の月次仕訳入力代行業務で、月額10〜15万円となります。

【おすすめ活用方法】

オンラインアシスタントサービスは請け負うことのできる業務が幅広く、かつ、チャットワークやSlack等のコミュニケーションツールですぐに業務を依頼することが可能です。
そのため、経理など定例的に発生する業務や、リサーチ業務、企画書の作成、お店の予約や備品購入、スケジュール調整といった秘書業務など、業務範囲を絞らずなんでも依頼してみることをおすすめします。
マニュアル作成等も不要で、取引を重ねるごとにオンラインアシスタントへの依頼内容や依頼目的の伝え方が明確になり、求める納品物のクオリティや依頼の意図が相手に伝わりやすくなります。スピーディーに成果を求めたいスタートアップ企業にとっては期待する成果をすぐに得られるといえます。クラウドワーカーという個人への発注と異なるので、退職リスクや教育工数の重複等を気にする必要がないのも魅力的です。

 

<BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)>

【仕組み・特徴】

BPOとはビジネスプロセスアウトソーシングの略称で、主にノンコア業務の領域において、自社の業務プロセスを外部に委託することです。通常の業務代行サービスと異なり、業務の企画や設計、運用からシステムや人材の採用まで、自社業務をまるごとアウトソーシングできるのが特徴です。
BPOが活用されるのは、主に人事や総務などのバックオフィス業務や、経理・物流・コールセンターなどの部門で、ノンコア業務を一括して任せることで、人材資源の有効活用やコスト削減に繋がります。また、専門性の高い業者へ依頼することで、業務品質の向上や業務効率化の実現も見込めます。

【サービス紹介①】 NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社

まずは弊社のご紹介で恐縮ですが、30年以上の歴史と実績を誇る、総合アウトソーシングサービス企業です。
幅広い業務への対応が可能で、人事や総務、会計経理、労務などの管理部門系業務はもちろん、カスタマーサポートなど近年需要が高まっているバックオフィス業務についてもサービスの提供を行っています。NOCではアウトソーシング・BPOの枠を超えてRPA・AI・クラウドシステムを組み合わせて、最も効率的で効果的な業務プロセスを構築・実現しています。

課題に対して作業を行うだけではなく、業務全体のプロセスから改善提案・実行できるのです。

【サービス紹介②】 コクヨパートナーズ株式会社

弊社同様に、総務業務を中心としたアウトソーシングサービス企業です。
もともとはオフィス家具の製造・販売やオフィス空間の設計・デザインなど、働くインフラを中心にサービスを提供していました。そのノウハウを活かしてさらに社員の「働きやすさ」を支えるため、総務・庶務の総合支援から受付・メール室対応・ファシリティマネジメントなど、ハードからソフト面までのトータル支援を行っています。

【おすすめ活用方法】

BPOはノンコア業務を継続的にアウトソーシングすることが前提であり、プロが行うことの業務効率化、及びプロセスの最適化がメリットになります。中堅から大手向けのサービスといえるため、スタートアップ企業のように企業の方針・プロセスがめまぐるしく変わる環境では望んだ効果が見込めなかったり、費用面が見合わない可能性があります。

 

<人材派遣>

【仕組み・特徴】

その名の通り、派遣会社が人材ニーズのある企業(派遣先企業)に自社の抱える人材を派遣する雇用形態です。人材派遣の場合、スタッフは派遣先企業で勤務を行いますが、雇用主は派遣会社となり給与も派遣会社から支払われます。
派遣会社が抱えるスタッフのスキルや実力は様々ですが、自社の希望を伝えることで、事務職から専門職まで即戦力となる人材の登用も可能です。派遣期間も比較的柔軟に設定することが可能で、数日から数ヶ月といったように企業の都合に合わせた条件提示ができます。
費用は、実働時間請求と基本月額を事前に定めた月極請求の2通りがあり、一般的に専門性の高い人材ほど割高になります。人材派遣もアウトソーシングのように社外の人材を活用して業務を行うという点は同じですが、大きく異なる点が2つあります。

1点目は、企業に提供されるソリューションの違いです。アウトソーシングが業務単位で依頼され、成果物の提供を受けるのに対し、人材派遣は業務の内容を問わず、人を派遣することで労働力を提供します。
2点目は、業務遂行時の進捗管理ができるかどうかです。人材派遣の場合、直接の雇用関係は存在しないものの、派遣スタッフの業務の進捗状況や成果について自社で管理をすることが可能です。アウトソーシングの場合は、業務プロセスなども依頼先に委ねられるため、進捗の状況の把握や管理を行うことはできません。

【おすすめ活用方法】

クラウドソーシングやオンラインアシスタントと異なり、社員が自社に常駐します。そのため、電話や来客対応、請求書の整理・郵送などオフラインでの業務が多い企業は、人材派遣の活用が有用かもしれません。
また、会計や経理、人事など、より専門性の高い派遣スタッフの受け入れは自社のノウハウ蓄積にも役立ちます。ただしデメリットとしては、教育やマネジメントなどは自社で行うので、工数負荷は変わらずかかってしまったり、正社員同様の離職リスクは常に心配しなくてはなりません。

 

 

アウトソーシングサービスの活用が事業成功の鍵!

スタートアップ企業において、自社でカバーしきれない専門的な業務や突発的に発生するスポット業務など、必要に応じて業務の依頼を行うことができるアウトソーシングサービスは非常に魅力的です。
特に、近年プレイヤーが増えているオンラインアシスタントは注目度が高くスタートアップ企業と非常に相性のいいサービスといえます。

詳細は先述の通りですが、スタートアップにとって3つの魅力があります。

・スピーディな立ち上げと変更に対応できる柔軟さ
・雇用と比較してコストを抑え、離職・マネジメント等の工数及びリスク削減が可能
・スタートアップに必要な専門性の高い領域が幅広くカバーできる

もちろん他のサービスもこれらの点をカバーしている部分はあります。たとえばBPOは「人」と「経験」を強みとし、専門性の高い領域の幅広い支援が可能です。定型化されたボリュームのある業務をいかに効率化し最適な手段へと運用していくかが強みではありますが、スタートアップはそのような状況は多くないでしょう。業務の切り出しは可能でしょうが、コストとスピード感ある柔軟な対応という点ではネックになるのは事実です。逆に大手企業では、今までなかなかできなかった部分的な切り出しも可能です。

オンラインアシスタントは、新しいアウトソーシングのカタチとして「かゆいところに手が届き」多くの企業に役立つサービスといえます。今後の発展や新しい企業の参入にも期待が高まりますね!

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。