ピアボーナスとは?導入のメリット、デメリットから具体的なサービスまでをご紹介

ピアボーナスという言葉をご存知でしょうか。アメリカではすでに主流になりつつある人事評価制度で、日本でも中小・ベンチャー企業を中心に導入が進んでいます。組織改革や人材の定着に効果があると言われているピアボーナス制度ですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。ピアボーナスの意味や仕組み、導入におけるメリットやデメリット、代表的なピアボーナスサービスなどについてご紹介します。

 

Googleが評価指標に導入していることでも話題!ピアボーナスとは?

ピアボーナスの意味とは?

ピアボーナスとは、仲間や同僚を表す「peer」と報酬を表す「bonus」を組み合わせた言葉で、従業員同士が互いに報酬(ボーナス)を贈り合うことができる仕組みのことを指します。米Google社が従業員の評価指標として導入していることで話題を集め、国内でも導入企業が増え続けています。

業務の成果や貢献に対して、従来のように上司が部下を評価するという形ではなく、従業員同士がお互いに評価をし、少額のインセンティブ(成果給)を贈り合うことができるのが大きな特徴で、新しい人事評価制度、報酬制度として注目を集めています。

なぜ今ピアボーナスが求められるのか?

働き方改革の推進による雇用形態の多様化、AIやIoT技術の発達など、労働者を取り巻く環境や労働者の持つ価値観は日々変化しています。そのため企業には人材の定着や育成、離職防止のため、環境や状況変化に適応する組織作りや企業文化の醸成が求められています。

このような状況の中、近年ピアボーナスの導入ツールを提供するサービスがリリースされ始めました。企業が直面している組織改革や人材定着に効果のある施策として、特に中小やベンチャー企業を中心に導入が進んでいます。

 

ピアボーナス導入の効果とは?メリット、デメリットを紹介

メリット

①社内コミュニケーションの活性化

感謝や賞賛を気軽に相手に伝えるようになると、自身の所属する部署だけでなく、今まであまり交流がなかった他部署とのコミュニケーションが図りやすくなります。ピアボーナスを通してお互いの部署が果たす役割や仕事内容に関心が高まることで、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。

また、従業員同士がお互いを褒め合い、尊重する文化が生まれることは、組織風土の改善にも繋がります。

②従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントとは会社に対する帰属意識や愛着心などつながりの深さを表します。一般的に従業員のエンゲージメントが高い企業は優秀な業績を残し、またエンゲージメントの高い従業員は優秀な成績を残すという傾向があります。そのため、企業は従業員エンゲージメントを向上させる努力を常に行う必要があるのです。

ピアボーナス導入により、評価の権限の一部を従業員に任せることは、経営層への信頼や仕事に対する意欲向上に繋がります。また、職場の仲間や同僚から自分の仕事ぶりを評価され、賞賛や感謝が可視化されることで、仕事に対する自信ややりがいが高まり、結果、エンゲージメントの向上に繋がることが期待できます。日々のやりとりの小さなことでも「ちゃんと評価されている」と自信につながり、他者に対する興味・関心もわいてきます。一方的な上長からの評価だけでは決して得ることのできない効能です。

③優秀人材の流出を防ぐ

従来の評価制度では、金額や達成率などの定量的な成果や、上司が実際に目で見た仕事ぶりのみで評価が下されることが多く、数字で表すことができない成果や直接的に業績には直結しない取り組みなどは評価されにくいという傾向がありました。そのため、上司と部下との間に評価に対する乖離が生まれ、社員の満足度やモチーベーションが下がるリスクがあります。

ピアボーナスを導入することで、仕事を円滑に進めるための取り組みや顧客満足度を高めるための取り組みなどというような、普段なかなか表面化しにくい定性的な成果も評価されやすくなります。仕事による様々な成果を漏れなく評価として反映することは従業員の満足度に繋がり、結果、離職率の低下に繋がるでしょう。

また、そのような組織で活き活きと働く姿や文化は、新しい人材の採用にも寄与できます。

デメリット

①導入、運用コストがかかる

ピアボーナスを導入するにあたり、専用のサービスを利用すれば当然のことながら初期費用や利用料などのコストが発生します。また、ピアボーナスの報酬を現金として支給する場合、報酬のための原資を確保する必要があります。

②評価を得ることに固執する社員が現れる可能性?!

ピアボーナスにより正規の給与以外に経済的な利益を得ることが可能になれば、上述の通り、社員のモチーベーションやスキルの向上に役立ちます。しかし一方で、できるだけ多くの利益を得ようとして、本来やるべき業務や与えられた業務を逸脱する仕事、目に見えて評価を得やすい仕事ばかりに熱心になる社員を生んでしまう、というリスクもあります。

③組織の弱体化に繋がる可能性も?

社員が「わたしも評価してあげよう」「わたしも贈られたい」というやり取りに夢中になり、内部のことに気を取られがちになってしまっては本末転倒です。結果、組織の弱体化に繋がりますので、しっかりと評価基軸を考えて運用していきましょう。

 

ピアボーナスの代表的なサービスとは?

ピアボーナスの導入を検討している企業にとって一番気になるポイントは、自社に合う制度の設計や実際の運用のしやすさではないでしょうか。ここでは、ピアボーナスサービスツールの中でも導入や運用のしやすさと操作の手軽さに定評のある「Unipos」についてご紹介します。

業界トップランナー!Unipos(ユニポス)

Uniposは2017年にFringe81株式会社がSaas化したピアボーナスサービスです。サービス開始以降、メルカリやDeNA・GMOメディア・リンクアンドモチベーションなど中小企業やベンチャー企業を中心に導入されています。

◆特徴

・SlackやChatwork・Workplaceなどのビジネスチャットツールと連携することで、スマホやPCから手軽にピアボーナスとコメントを送ることができる
・投稿されたピアボーナスや賞賛コメントはタイムライン上にリアルタイムで反映され、皆に共有される
・ハッシュタグ機能を使用することで、企業の行動指針や企業文化との紐付けが可能
・拍手機能が搭載されており、投稿された賞賛コメントに賛同することが可能。投稿した人、投稿された人にはそれぞれピアボーナスが1ポイントずつ送られる

◆導入企業事例

Uniposを導入した最も有名な株式会社メルカリの事例をご紹介します。

【導入の背景】

組織の急成長により必要性を増した人事制度の構築と、エンゲージメント向上のための施策として、2017年9月よりUniposの導入を開始しました。約2年足らずの間に社員数を1000人以上増え、急速にチームや拠点が増える中、コミュニケーションの活性やリアルタイムに気軽に称賛しあえる仕組みづくりを考えることが急務だったそうです。

【具体的な取り組み】

2017年12月にUniposを導入。ボーナスを「mertip(メルチップ)」と独自に命名し、具体的な活用事例を提示することでピアボーナス制度の浸透を図ったそうです。また、ピアボーナスの利用を促す仕掛けとして、メルチップを「一番送った人」と「一番もらった人」を表彰するメルチップ賞という制度を新たに設けました。

【導入の効果】

同部署だけでなく拠点を超えたやりとりが生まれる、メルチップをきっかけに新たなコミュニケーションが生まれるなど、社内全体のコミュニケーションが活性化したそうです。
また、メルカリが掲げる3つのバリューに沿った考え方や行動が可視化され、社員の企業理解が深まり、人事評価にまで活用されるようになったとのことです。

Unipos

 

ありがとうの仕組み化「THANKS GIFT(サンクスギフト)」

社員同士の「ありがとう」という仕組みをコイン化。従業員同士で自由に贈り合える「ありがとうカード」をシステム化してアプリ提供されているサービスです。
コインは企業毎にカスタマイズできるため、経営理念やバリューなどに紐付け、企業文化浸透に寄与します。

◆特徴

・自社に沿ってカスタマイズしたオリジナルコインを感謝の言葉を添えて贈り合うことができる
・ハッピーな出来事を投稿し合える社内掲示板があり、気軽なコミュニケーションの活性化を促す
・アプリ内での表彰機能もある

THANKS GIFT

 

Slackで運用できる「HeyTaco!」

Slackというツール上で「タコス」を送り合うことで感謝の気持ちを伝え合えるという、アメリカのスタートアップ企業が提供しているちょっと変わったサービスです。
現金として受け取れるのではなく「Reward(ご褒美)」というカタチで受け取れるのがユニークな点です。

◆特徴

・導入にかかるコストは社員1人1か月で1.95$と、他のサービスと比較してリーズナブルに運用できる
・タコスは一日5個まで送ることができる
・タコスの数でRewardを設定することができる

日本では、タクシー広告なども活発に行っているトップランナーのUiposがやはり目立ちますが、海外まで視野を広げるとユニークなサービスは他にもあることがわかりました。これからの発展が楽しみなサービスと言えます。

HeyTaco!

 

まとめ

組織風土の改善や従業員エンゲージメントの向上、人材の流出防止など様々な効果が期待できるピアボーナスですが、ただやみくもに導入するだけではその効果を得ることは難しいでしょう。導入の際には、自社が抱える課題にとってピアボーナスが最も適切なアプローチなのか、という点や、費用対効果について検討することが必要になります。
また、実際に導入した後も、運用が適切にされているか、自社に合う仕組みになっているか、そもそもサービスが利用されているかなど、定期的に運用に関してフィードバックを行うことも重要です。

人はほめられれば嬉しいもの。ピアボーナスの導入は一緒に働いている人たちの良いところを積極的に見つけ合える、または発信するきっかけ作りになることは間違いありません。見落とされがちな良いところ、本業じゃないところで頑張っていることを気づいてもらえる、組織はいろんな人の善意で成り立っていることがまだ多く存在します。

今回の調査を経て気づいたのは、ピアボーナスとは、単に報酬でモチベーションを高めるというより、「褒める」コミュニケーションを築ける人間の本質的な幸せにつながる仕組みということです。今後の動向に期待ができるサービスですので、みなさんの会社の課題に通じる部分があれば検討してみてください。

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。