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2020.06.18 掲載 2022.04.13 更新

【2021年7月】リモートワークを初めて導入する総務担当者が知っておきたい知識とぶつかる壁

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス

(2021年7月更新)

政府からのテレワーク要請を機に、リモートワークの急ピッチな立ち上げを余儀なくされている会社が多いのではないでしょうか。

今回は、初めてのリモートワーク導入をする企業の総務担当者に知っておいてほしいこと、ぶつかる壁についても頭にいれておき円滑な導入ができるようご紹介します。  

 

全社リモートワーク導入!まず何からする?

まず、総務省がまとめた「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」がわかりやすく参考になりますので時間がある方は一読するのが良いでしょう。てっとり早く知りたい方へ、概要をピックアップしてご紹介します。

◆リモートワーク導入の全体像をチェック!

初めに、関係部署からメンバーを集めてリモートワーク導入推進チームを結成することです。幅広い年齢層、役職から参集するのが良いでしょう。チームが結成されたら、目的の整理、現状把握から着手します。

・導入の目的を定める
・対象者・対象業務・実施頻度を定める
・実現に向けた課題の洗い出しをする

課題の洗い出しかたは就業規則や労働時間の管理、人事評価制度やセキュリティルールなど、項目ごとに整理していくことが大切です。

整理ができたら 導入計画書の策定→環境整備→全社導入に向けた説明会実施→トライアル開始 と、トライアル導入を行い少しずつ対象範囲を広げることをおすすめします。
参考:総務省「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」(平成28年3月)  

それでは、総務部門が気にしておくべき3つのポイントを深堀りしていきます。  

 

1.労働時間や人事評価、労災への対応

まず勤務時間の管理、人事評価です。リモートワーク時でも労働基準法は適用されるため労災対応も必要です。

◆労働時間の管理

労働時間の管理には「始業・終業時刻の管理」と「業務中の在席確認」の2つがあります。
始業・終業時刻の管理は、報告や記録の方法を定めておきましょう。 メール、社内チャット、クラウドの勤怠管理システム、電話、ビデオ通話…など活用しているもので給与計算しやすい仕組みがスムーズです。
リモートワークでは、通常の勤務時間と異なることもあるため、運用ルールを策定することも必要です。 在席・離席時は労務管理ツールを活用したり、社内チャットでいつでも電話連絡ができる状態にします。
「仕事をサボっていると思われないか」という社員や、「ちゃんと仕事してるかな」という管理職の不安から、行き過ぎたコミュニケーションで不信につながらないよう気をつけたいところです。

◆人事評価

適切な人事評価は、社員と会社のエンゲージメント向上に繋がります。反面、不信につながりかねないものでもあります。
リモートワークに準ずる制度を構築するのがベストですが、人事制度の見直しはハードルが高く時間も要します。スピードを重視して、現状の制度とリモートワークによる乖離を確認し、できる限り現状の制度で促進していくことも可能です。
クラウドツールを活用して日々の業務成果や進捗状況をこまめに把握すれば、通常通りの評価ができる可能性があります。職種による不平等が生じないかをしっかり確認しましょう。

リモートワーク中でも労災は適用 リモートワーク中でも労働者災害補償保険法が適用され、社員は業務災害などの保険給付を受けることができます。例えば、所定勤務時間中に椅子に座ろうとして転倒し怪我をするケースも労災認定されます。もちろん個々には所轄の労働基準監督署が判断しますが、どのようなケースがあるのか事例を確認しておくと安心です。

 

2.システム環境の整備でセキュリティレベルを担保

社内システムへのアクセスを各自が自由に回線を繋ぐと、社内と同じセキュリティレベルを担保できず、管理できません。また端末もしかりです。情報漏えいリスクが高いため、情シスとの連携がキモになります。

◆システムへのアクセス、ファイルの共有方法を定める

社外や遠隔地から社内ネットワークにアクセスするためにリモートアクセス(遠隔操作のことで距離の遠い場所から特定のネットワークへ通信接続させること)が必要になり、安全に通信させる手段として「VPN(Virtual Private Network)」が一般的です。
また、昨今ネットワークの高速化によりVDI(Virtural Desktop Infrastructure/デスクトップ仮想化)も注目度が高くセキュリティ面も安心です。専門的な技術になりますので情シス部門と連携していきましょう。
リモートワークに関するネットワーク環境については別の記事でも詳しくご紹介していきます。

ファイル共有はクラウド環境化でデータを管理・やりとりできるオンラインストレージサービスが便利です。コストと使い勝手で始めやすいのは法人プランのGoogle Workspace 、セキュリティも加味するならMicrosoft365などが有名です。

◆業務で利用する端末は

まず利用端末について、社員の私用端末を利用か・会社から持ち出し可能パソコンを支給かを考えます。私用端末の場合、社内アクセスへの接続をどうするか、各機能の不足、ローカルでの保存などのセキュリティ面で高いリスクがあります。コストが許せば会社支給がベストです。その場合、派遣社員まで対応するか?など対象範囲の設定が重要になります。

◆データのやり取りにおける注意点

社外からの不正アクセスもありえます。データ送受信が簡単にできる無料サービスは利用せず、パスワードをつける・セキュリティレベルの高いツールで共有すると明確に決めておくと安心です。また知らないメールを受信したら、添付ファイルやリンク先のクリックには注意するという社員へのセキュリティ教育が大切になります。  

 

3.社員同士のコミュニケーション設計はとても重要

多くの人と関わっていたのに、急に一人になり一日誰とも話さなかった…ということで少し経つと社員に「寂しさ」が生まれてきます。管理職の場合は、Web上やチャットでは指導しにくいという管理職の課題も浮き彫りになるでしょう。社員の気持ちを予見しオンラインでも円滑に業務を進められるよう図るのも、総務の大事な役割です。

◆オンラインでのコミュニケーション活性方法とは

孤独感やストレス軽減のためにもコミュニケーションの心得をカジュアルに作っておくことをおすすめします。正式なルールではかしこまってしまい義務感が生じてしまいますので本末転倒ですよね。
まず、Webや気軽に連絡できるチャットツールを検討することは必須となります。ただツールを導入しても「話しかけていいのか分からない」「Web会議では無駄話をしにくい」など雑談しやすい雰囲気を最初から作るのは難しいでしょう。例えば、Web会議最初の5分は雑談、とすると自然に会話ができますよね。チームごとにランチ休憩のフリートーク時間を設定したり、ビデオ通話状態で業務中にいつでも話しかけられる環境を整えるなど自社に合うやり方で無理のない接点を作ってみましょう。 話題のリモート飲み会も良いですが、参加しやすい時間を設定する・話せる人数でグループ分けする・終了時間を決めてあげる、など配慮してあげることも必要です。

◆管理職・上司こそ積極的に繋がりを

ポイントは経営層・管理職から積極的に声をかけることです。ルールを定めても、メンバーから発信することはやりにくいもの。リモートワーク開始時は、意識して対話量が多いほうが良いと考えておきましょう。
また、経営層からの発信も大事です。発信の機会としては、チャットツールの活用やWeb会議ツールで朝会を実施するのもおすすめです。オフィスワークと変わらない流れを取り入れることも一日の流れをスムーズにできますね。他社の事例を参考にしながら自社に合うものを取り入れていき、「らしさ」を作っていきましょう。  

 

「在宅勤務手当」は必要?課税対象?令和3年5月国税庁が詳しいFAQを公開!

リモートワークの導入に伴い、在宅勤務手当についても知っておく必要があります。在宅勤務手当はリモートワークを実施している社員に対して支給される手当のことで、自宅で業務を進める環境を整える際の準備金として、その経費を会社側が負担する仕組みです。

在宅勤務手当は必要か?

そもそも在宅勤務手当は必要なのでしょうか。支給する目的を理解すると、在宅勤務手当は必要なもの、と言えます。支給する主な目的は、業務環境の整備、社員のモチベーション向上と維持、リモートワークによって増加する費用の個人負担減などが挙げられます。

リモートワークを円滑に進めるため、業務に集中できる環境は必須です。まず環境整備から始めましょう。

次に、社員のモチベーション向上、維持の目的があります。社員のモチベーションコントロール問題はリモートワーク導入時に懸念される課題の一つです。社員のモチベーション低下は会社全体の生産性の低下にもつながるため、在宅勤務手当の支給をモチベーション維持の施策のひとつと考えるのも良いでしょう。

社員の業務環境を整備し、モチベーションを維持することは、会社にとっても良い影響をもたらします。

在宅勤務手当は課税?非課税?

次に気になるのがその取扱いです。国税庁が作成している在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)によると、在宅勤務手当はケースに応じて課税か非課税かが決まります。

課税となるのは、毎月決まった額の金銭を在宅勤務手当として社員に一律に支給する場合です。ここでの金銭は、たとえ社員が在宅勤務に必要なものの購入に使用しなかった場合でも会社に返還する必要のないものを指します。そうすると、在宅勤務手当は給与とみなされ、課税する必要があります。

一方、非課税となるのは、在宅勤務に必要な費用の実費相当額を実費精算することによって会社が社員に金銭を支給する場合です。

リモートワークに必要な物品を支給した場合は?

では、リモートワーク導入にあたり、業務環境を整備するために必要なデスク、チェア、パーテーション等の物品を会社から社員に支給した場合はどうでしょうか。

会社の物品を社員に貸与する場合は非課税ですが、支給として所有権が社員に移転する場合は、現物給与となり課税する必要があります。

また、社員が立替払いでリモートワークに必要な物品を購入した後、実費精算によって会社からその購入費用を受け取る場合は非課税となります。この場合、物品の所有権は会社にあり、社員に貸与するものとします。

◆詳しく知りたい業務使用分の精算方法とは

リモートワーク中に生じた電気代や通信費はどのように支給すればよいのでしょうか?業務で使用した分と私的に使用した分を厳密に区別することは難しいです。そこで、在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)では業務利用と私的利用が混在している電気代と通信費について、業務のために使用した部分を合理的に計算する算出方法を示しています。この計算式を会社が使用して算出した金額を社員に支給する場合、非課税とすることができます。具体的な計算方法は以下のとおりです。

【電気代の業務使用分の計算方法】 業務使用分の電気代の算出には、在宅勤務日数と業務を行った部屋の床面積を考慮します。

業務のために使用した基本料金や電気使用料 =従業員が負担した1カ月の基本料金や電気使用料 × 業務のために使用した部屋の床面積/自宅の床面積 × その従業員の1カ月の在宅勤務日数/該当月の日数 × 1/2(※1)

【通信費の業務使用分の計算方法】

通信費には電話料金とインターネット接続に係る通信料があります。電話料金の通話料金に関しては通話明細等により、業務使用分を算出することができますが、通話料金以外の基本使用料やデータ通信費は合理的な計算方法で算出する必要があります。
通話料も定額で業務使用分が明確にできない場合も、この計算式で算出が可能です。

業務のために使用した基本使用料や通信料等 =従業員が負担した1カ月の基本使用料や通信料等 × その従業員の1カ月の在宅勤務日数/該当月の日数 × 1/2(※1) ※1 

1/2については、1日のうち、睡眠時間を除いたすべての時間において均等に基本使用料や通信料が生じていると仮定し、平均睡眠時間を8時間、法定労働時間を8時間として、1日のうちに占める労働時間の割合を算出したものです。

例えば、月額5000円のインターネット回線を月30日のうち、15日在宅勤務で使用した場合、計算式から算出された1250円が非課税となります。

5000円 × (15日/30日)× 1/2 = 1250円

引用:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf  

 

リモートワーク導入でぶつかる課題

現実によくぶつかる課題についても知っておきましょう。

◆削減以上にかかりうるコスト

リモートワーク導入にはコストが掛かります。専用端末貸与または購入、Web会議やチャットツールなど、新規コストをしっかり試算しましょう。
たとえば通信費用です。今は自宅にネットワークを引かない人も多く、新規で回線を引く場合は会社負担?、また派遣社員まで負担する?など範囲の課題も出てきます。 パッと見のコスト感としては「想定以上にかかる」が本音です。
反面、得られるメリットは社員の生産性向上・通勤時間の削減、時間と場所にとらわれず優秀な人材を確保できる採用力強化、家庭都合による優秀な社員の離職防止…など、費用で試算しにくいものばかりです。自社の目的達成に必要な施策なのかを検討前にしっかり議論しておきましょう。

◆システム環境の状況、クラウドへの移行がスムーズか

あなたの会社に当てはまるものはいくつありますか?

・オンプレミスのシステムを利用している
・紙の書類が基本である
・ローカルフォルダでの日常的な保存・管理をしている
・有線LAN環境である
・デスクトップPCを利用している
・勤怠管理システムはタイムカードを利用している

リモートワークにはクラウドサービスの活用が不可欠と言えます。オンプレミスのシステムを利用している企業では「機密情報をクラウド(他社サービス)に預けてはいけない」など、堅牢なセキュリティポリシーを定めている場合が多いでしょう。いかにセキュアに情報やり取りをできるかの仕組みを構築するだけでも更に費用と時間がかかります。どこまで労力をかけて取り組むべきか、改めて問われることになるでしょう。

◆経営層のITリテラシーや見解

そもそも、経営層が本気でリモートワークを取り入れる!と考えている企業はどれくらいいるでしょうか。事業拡大や方向性・事業内容・市場の状況、またBCP対策をふまえリモートワークという手段を取り入れれば自社の目的達成に必要という思想に基づいています。そうでない企業は検討しなくても良いのです。
経営層、役職者の本音を言えば、「目の前で仕事している姿を見ないとわからない」「緊急事態が発生したらどうする?」「見えないところでは本当に仕事をしているのか?」「残業こそ頑張っている証」という気持ちを持つ人はまだ多いでしょう。サービス残業、ブラック企業という話が消えない理由と同じです。経営者が前向きに検討していない、またITリテラシーに乏しい場合、必ず難航します。

このようにコストは掛かる、メリットは見えにくい、経営層の理解不足など、課題はあるものの、企業として最大のメリットはBCP対策の強化です。有事の際に業務ができない事態を回避するため、リモートワーク環境を整えておくことは非常に重要であるということは間違いありません。  

 

まとめ

コロナの影響で制度や環境を整える前に、運用しながらスタートを切った企業もあるでしょう。あらゆることを固めてからが理想ではありますが、どれだけ準備していても想定外の事態や運用後に気づくことは発生します。最初に完璧に運用フローを固めることよりも、運用しながらフローや制度を柔軟に変化できる体質づくりがより重要です。 変わらない働き方を見直すきっかけになったことは間違いありません。突貫で行ったことからトラブルが多発し「自社にリモートは合わなかった」と判断する前に、社員の生産性が変化したかなど、周囲の意見も確認し、よい運用に変えていけるようチャレンジしてみましょう。ただし、あくまでリモートワークは手段です。貴社が成し遂げたい目的達成に必要かどうかも忘れないでください。    

 

 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務は、オフィスにおけるあらゆる業務が該当し、備品の管理、郵送物の受け取り、受付対応など、その仕事内容は多岐にわたっています。それゆえに属人的になりやすく効率化する事が難しい業務とも言えます。FOCがそういった煩雑な業務を整理し、一括でサービスをご提供します。

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ライタープロフィール

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。

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