BPOビジネスの業界は今後どうなっていくのか|データから動向を解説

●BPOビジネスの業界に影響を与える要因
●BPOビジネス業界の今後
・業界全体
・IT分野と非IT分野
・人事BPOサービス
・カスタマーケアBPOサービス
・財務・経理BPOサービス
・調達・購買BPOサービス
●まとめ

 

企業が自社のコア業務以外を外部に委託するBPOビジネスは、確実にその市場を拡大しています。景気が低迷する中でBPOビジネス市場が成長し続けている要因は、深刻化する労働人口減少によるリソース不足の解消や、企業の競争力向上に寄与している点にあると言えるでしょう。今回は、ビジネスシーンで注目を集めているBPOビジネス市場の動向について、データを基に探ります。

 

BPOビジネスの業界に影響を与える要因

国内のBPOサービス市場は年々堅調に拡大しています。今後も需要の拡大と共に、市場の成長が予測されると言えるでしょう。

BPOサービス市場が伸びている要因として、主に以下の理由が考えられます。

・人材不足問題の拡大
・労働契約法改正の影響の拡大
・働き方改革の推進による影響
・外資系企業による日本市場の参入増加
・新型コロナウィルスによる事業変革

BPOサービス市場が着実に成長している要因のひとつに、日本国内の深刻な人材不足の問題があります。企業は足りない人材を補うために、自社の間接業務や委託が可能な業務を外部企業にアウトソースすることで対応しているという背景があるのです。

また、労働契約法の一部改正により、パート、アルバイト、派遣社員など期間に定めのある有期労働契約でも5年以上契約が更新された場合、労働者自らの意思で無期労働契約に雇用形態を切り替えが可能になりました。これにより企業が有期労働契約の雇用に躊躇する傾向が生まれ、雇用契約ではなく業務委託契約に基づくBPOの需要が増加しています。

政府の方針である働き方改革によって時間外労働の上限規制が導入されたことも大きく関係しています。法改正により社員ひとりあたりの業務量が調整されたことにより、足りないリソースを外部企業に調達せざるを得ない状況が生まれました。

さらに、日本市場に参入する外資系企業が増加したことによりアウトソーシング需要が拡大していることもBPOサービス市場が伸びている要因のひとつです。

 

BPOビジネス業界の今後

IDCが発表した国内BPO市場予測によると、2018年以降のBPOサービス市場の年間平均成長率は3.5%、2023年時点での同市場規模は9,147億円になる見込みです。

出典:IDC Japan「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場 支出額予測:2018年~2023年」

IDCでは「人事」「カスタマーケア」「財務・経理」「調達・購買」の分野を主要4業種と位置付けて評価しています。主要4業種の中で、2年連続で前年比成長率が最も高かった分野は人事BPOサービス市場でした。

人事BPOサービス市場が伸びている要因としては、人材不足の状況下において自社に適性がある人材かどうか見極めるには時間とコストが掛かってしまいます。また、入社後のミスマッチが起こらないように人材採用のプロフェッショナルに採用活動を依頼するニーズが高まっていると考えられます。

カスタマーケアBPOサービス市場では、労働人口減少の影響によってオペレーターの確保が難しいことなどを理由に支出額が上昇しましたが、チャットやソーシャルネットワークといったマルチチャネル対応の需要の増加により、市場規模の拡大は緩やかです。

財務・経理BPOサービス市場では、単純な記帳代行といった業務は減少傾向にある中で、業務改善を含めた業務プロセスの委託には高い需要があります。

調達・購買BPOサービス市場は、企業のグローバル化に伴い、部品の共通化・集中購買・材料費の低減が求められています。その上で、標準業務プロセスを導入することで、調達・購買業務の最適化を図る狙いがあります。

 

・業界全体

労働力不足や労働契約法改正の影響、働き方改革などの影響を背景に、今後もBPOサービス市場は成長し拡大していくことが予測されます。

また、BPOは企業が抱えるノンコア業務や定型化された業務をプロセスごと外部委託することにより、業務構造の改善やコスト削減といった価値を提供してきました。ただし、そのサービスも市場の成長と共にコモディティ化しつつあります。これはBPO提供者間での価格競争が激化し、低価格が進んでいることで、これまでBPOを利用していなかった企業も利用できる価格帯になっていることで、利用拡大を意味しています。

そういった中で求められているのがBPOサービスの「デジタルトランスフォーメーション」です。デジタルトランスフォーメーションとは「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」という概念であり、既存のサービスをデジタル技術の駆使により、さらに便利で革新的なサービスに返還することだと言えます。

そういった背景の中で生み出された新しいBPOサービスが「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。RPAとは、業務プロセスの中で発生する定型化された業務を自動化する「ソフトウェアロボット」のことを言います。

RPAの導入により、人が行うよりも正確な作業を24時間365日休みなく実施できるので、従来であればその作業に充てていた人員の削減が可能です。

今後もテクノロジーの進歩と共に、より高度なデジタル技術を駆使したBPOサービスが求められると予測されます。

 

・ IT分野と非IT分野

BPOは大まかに分類すると「IT分野」と「非IT分野」に分けることができます。

IT分野BPOはその名の通り、ITに関わる分野のアウトソーシングのことです。社内システムの運用や企業のクラウドサーバー運用、ヘルプデスクなどが該当します。

一方、非IT分野BPOはIT系以外の業務であり、経理、総務、事務、人事、コールセンターといったものまで幅広く該当します。

矢野経済研究所の調査によれば、2018年度のIT系BPOの市場規模は2兆4,762億円で前年度比で3.9%増加しており、非IT系BPO市場規模は同1兆7,348億7,000万円で1.9%増加しています。

データを見るとIT系・非IT系共に着実に市場が成長していて、さらなる拡大が予測されます。

出典:矢野経済研究所「国内BPO市場規模推移予測」

IT分野BPOが伸びている要因としては、クラウドサービスの普及により自社のシステム運用管理の負担が軽減されること、及び最新技術やサービスをBPO先のITベンダーから提供して貰えることが挙げられる。

一方の非IT系BPO市場は人材不足の影響によって支出額は増えているものの、IT分野BPOほどの伸び率ではありません。非IT系BPO市場は既にある程度のシェアを獲得していたということもあり、成長スピードは緩やかです。

また、非IT系BPOに分類される経理や事務は、AIによる代替えが進んでいる分野でもあります。例えば、人材採用分野において、候補者情報の自動取得と書類選考、候補者からの問合せ対応、自動面接による質疑などがAIによって行われている。今後AI技術のさらなる発展によって代替えされる領域の拡大や、業界単価の低下が予測されます。

 

・人事BPOサービス

人事BPOサービスとは、採用や給与計算、社員研修、福利厚生など人事業務のアウトソーシングサービスです。業務遂行にとどまらず、企画立案部分からトータルで企業の人事業務をサポートします。

労務や社会保障に関わる法律は毎年のように改正されるため、外部の専門家に業務を委託することでクオリティの担保に繋がります。

人事BPOで注目されている分野が福利厚生(健康保険や福利厚生、積立金、退職金、その他補助など)です。福利厚生は社員やその家族の福祉向上を目的としたものであり、その制度の内容が複雑だったり、他の企業よりも充実していない場合、採用活動において不利になります。また、社員のニーズにあった福利厚生のプランを考えたり、制度の更新を行うには人的コストが掛かってしまいます。そのため、少しでも企業の人事部門の負担を減らすため、人事BPOサービスのニーズが高まっています。

2021年以降、マイナンバーと金融機関の預貯金口座の連結が義務化される可能性が高まっていることから、マイナンバーの管理業務に関するBPO利用増の期待も高まっています。

 

・カスタマーケアBPOサービス

カスタマーケアBPOサービスは、顧客対応に関係する業務全般のアウトソーシングのことです。業務範囲は広いですが、コールセンター関連がメインの業務となります。BPOサービスの中でも歴史が古く、最も市場の大きい分野です。

矢野経済研究所が公表したデータによると、2018年度の国内コールセンターサービス市場規模は前年度比2.9%増の9,419億円で、今後も緩やかな成長が続くことが予測されています。

カスタマーケアBPOサービスの市場が拡大している主な要因としては、人材不足の影響で企業がカスタマーケア業務のアウトソース化を進めていることが挙げられます。人材不足はリソースを提供するカスタマーケアBPOサービス事業者自身も例外ではなく、オペレーター人材の不足から価格は高騰傾向です。

カスタマーケアBPOサービスの市場拡大は人材不足による理由だけでなく、チャットやソーシャルメディアを含めたマルチチャネルの対応といった自社にないリソースを求めて外部企業に委託するケースが増えています。

また、AI導入など新しい技術に対する関心も高まっています。具体的には、オペレーターの業務をサポートするシステムや、チャットボットなどを利用した自動化、音声認証などの技術です。

さらに、通話履歴の解析、チャットデータのテキストマイニングなど、カスタマーケア領域のデータをマーケティングに活用しようといった試みが盛んになっています。今後ますますカスタマーケアのデジタル化が進んでいくことが予測されます。

 

・財務・経理BPOサービス

財務・経理BPOサービスとは、経理部門の業務を外部にアウトソーシングすることで、記帳代行、月次決算、税務処理などが該当します。

財務・経理のアウトソーシング利用は比較的早い段階から利用されていました。その理由としては財務・経理といった部門は定型業務が多いため外部委託しやすいことが挙げられます。

経理業務をアウトソースすることで、ノンコア業務の人的コストを削減し、自社の主力事業や競争力を高めるためのコア業務に注力することができ、コアコンピタンス経営の実行に繋がります。

一方、業務プロセスの改善やコストのスリム化などの一環として、財務や経理を部門ごと外部委託したいという需要は高い傾向です。具体的には、会計・経理業務におけるデジタライゼーション促進を支援するソリューションの提案などが求められています。今後、さらにRPAなどのITやAIを駆使した業務プロセス改善の高い技術が求められると予測されます。

 

・調達・購買BPOサービス

調達・購買BPOサービスとは、企業の生産活動に必要な「間接材」と「直接材」の調達・購買プロセスの一部あるいは全てを外部企業にアウトソーシングすることです。

調達・購買BPOでは、購買のスペシャリストがいない、購買担当が各所に分散していて連携できない、間接材の商品点数を把握できない、といった企業の抱える問題解決のため、調達プロセスの最適化を図ります。

企業では人材不足への対応やコスト最適化のため、接材調達・購買業務の集約化や標準業務プロセスの導入などが求められています。

また、AIによる自動化を行うRPAや、従来のBPOとクラウドコンピューティングを組み合わせたBPaaSなど、IT技術やデータを活用したオペレーション導入は、企業のコア事業強化に繋がります。

デジタル技術を融合した調達・購買BPOの需要は高まっており、市場の更なる成長が期待されます。

 

まとめ

社内業務を外部委託するBPOは、慢性化する人材不足や労働契約法改正の影響によって今後も着実に市場を拡大していくことが予測されます。グローバル化が進み市場が成熟する中で、独自性のあるビジネスモデルの策定や高い市場競争力を獲得することが各企業にとって喫緊の課題となっています。

今後コアコンピタンス経営を行う企業は増加すると考えられるため、TIやAI技術を駆使した新しいBPOの形が求められるでしょう。

 

 

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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