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2020.10.22 掲載 2022.06.13 更新

人事評価データ徹底活用のススメ


近年、AIやビッグデ―タといったIoT技術の発展は目覚ましく、一部の技術は研究段階から実用段階に入ったと言えるでしょう。このような流れを受け、企業活動においてもさまざまな場面でデータを活用しようという動きが出ています。

人事評価データの活用もそのひとつとして注目を浴びていますが、個人情報を扱うことや、評価対象が人間であるという点で、難しい課題も浮き彫りになってきています。

今、人事評価データを活用するためにクリアすべき問題とは何でしょうか。また、人事データを最大限活かすためにはどうすればいいのでしょうか。
 

人事評価データとは

人事評価データの活用法の前に、まずは人事データ・人事評価データそのものについて確認しておきましょう。
人事データには、下記が含まれます。

  • 基本属性(性別、生年月日、所属部署など)
  • 職歴・実績(学歴や職歴・成果などの実績)
  • 勤怠状況

これに加え評価データとして、下記があります。

  • 業績評価(目標の達成度など)
  • 能力評価(業績達成のため身に着けたスキルなど)
  • 情意評価(仕事に対する熱意など)

これらの情報を収集しデータ化して管理、必要な場面で分析・抽出して、人事戦略などに活かすのが人事評価データの活用です。ピープルアナリティクス(PA)やHRテクノロジーなどと呼ばれます。
 

人事評価データ活用における問題点

人事評価データの活用は実際にどれくらいの企業で行われているのでしょうか。2019年のHR総研の調査によれば、HRテクノロジー導入済みの企業は調査対象全体の11%という結果となりました。導入を検討中とした企業は約43%ということです。(HR総研:「HRテクノロジーに関する調査」結果報告

人事データ活用を考えてはいても、導入に踏み切れない企業にはどのような問題点があるのでしょうか。

人事評価データの不足

人事評価データを実際の人事に活用するためには、内容によって一定水準以上のデータが必要となってきますが、このデータが質・量共に不足していると活用どころか分析することすらできません。
極端な話で例えるならば、離職率低下を目指したいときに、離職者数のデータだけでは、離職理由や離職者の傾向がわからないため、離職を防ぐとことはできないということです。

人事評価データを活用できる人材の不足

仮にあらゆるデータがそこにあったとしても、それを分析できる人材がいなければデータを活用できません。
分析できる人が社内にいないのであれば、データ分析をアウトソーシングすればいいという考え方もあるでしょう。実際、人事関連のデータ分析を専門とする会社は多くあります。
ただ、自社に全く知識がない状態で依頼すると、意思疎通がうまくいかず、望むような結果が得られない恐れがあります。
データ分析自体はできなくても、データ分析を的確に依頼できる人材は必要と言えるでしょう。

人事評価データで評価される側の不信感

人事評価の対象は人間です。データの集め方、分析方法、評価の仕方に不透明感があると、それは会社組織に対する不信感にもつながります。

確かに人事評価データの活用は企業にとって非常に有効な結果をもたらすことがありますが、ここ最近、集めたデータの目的外使用などが問題となる事例も増えています。一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会を中心に、人事データ利活用のガイドライン策定の動きも出ています。 

人事評価データの本質的な活用に必要なこと

人事評価データを長期的な視点で本質的に有効に活用するためには、データを使用する側とされる側、つまり会社と社員の信頼関係が大切です。

ただでさえブラックボックスと捉えられがちな人事評価。人事評価データを活用して人事戦略を立てたとしても、社員たちが「自分が正当に評価されているのか」と疑問が残るような方法では失敗しかねません。

それでは人事評価データの活用を成功させるためには、具体的にどのような点に気を付ければいいのでしょうか?

活用の目的は明確に

人事評価データを最大限に活用したいと思うのであれば、あらかじめ何をしたいのかを明確にしておくことが大切です。

集めたデータを漠然と見て、そのデータで何ができるかを考えるのではなく、目的を決めてそれに即した分析を行います。

人事部門に集まるデータだけではなく、各部署とも連携を図りながらデータの集積をしていくと、明確な目的ができたときに、より多角的な視点で判断できるようになります。

公平性・正確性のあるデータを使用

人事評価データとして使うデータには、これまで明確な基準はありませんでした。しかし、就活生の内定辞退率予測サービスにおける集めたデータの目的外使用が問題となって以来、人事評価データに向けられる目も厳しくなっています。

先にも紹介したように、近いうちにガイドラインが策定され個人情報と同様、人事評価データの取得方法も厳格化されていくでしょう。

また、人事評価の中には「意欲」など数値化しにくい事項もあり、そういった事項では評価する側の私見が入り込みやすくなります。可能な限り客観的評価をするようなシステムをつくり、公正性・正確性のあるデータを集めておくことも社員の賛同を得る上で重要です。

最終判断は人間が行なう

多くの人はAIに評価を受けることをあまり好ましく思いませんし、AIの判断で動くことに反感を覚えるでしょう。人事評価データの活用にAI技術が使われることは多くなりましたが、「AIがそう判断したから」という理由ではなかなか社員の賛同は得られません。

AIの判断を参考にするとしても、最終的な判断は人間が行い、責任の所在を明確にしておくことが、社員のモチベーションを損なわないために大切です。

人事評価データ活用法

人事評価データをうまく使いこなせれば、より効率的に結果を出せるようになるでしょう。ただ結果がでるまでには、ある程度の時間がかかります。

人事評価データの活用の主な流れとしては、

  1. データを収集し、蓄積する
  2. データ活用の目的を明確にする
  3. データを分析
  4. 得られた分析結果に基づいて活用する

となるのが一般的です。

AIやビッグデータを使えば、ある程度の予測はできても、それぞれの会社で異なる細かな状況があるため、そのまま全てが使えるというわけではありません。

本当にその企業に役立つ人事評価データの活用を考えるのであれば、それぞれの状況に合わせて内容をカスタマイズしていく必要があります。

ここからは、具体的にどのような場面で人事評価データを活用できるのかについてみていきます。

人事戦略

人事戦略とは、従来の業務の効率化などに加え、目標達成にむけての会社組織の強化・人材育成などを総合的に行っていくことです。

例えば、

  • どういったタイプの上司と部下を組み合わせればより部下の能力が伸ばせるのか
  • どういう人材が同じチームにいると、より結果が出せるのか

など、人数合わせではなく、社員の特性に合わせた配置などを行います。

組織開発

組織開発とは、個人をターゲットにする「人材開発」とは異なり、「チームとしての組織」を作り上げることです。

特に新規事業の立上げのメンバー選抜などでは、多角的な評価を元にそれぞれの社員の特性を見極める必要があるので、人事評価データの活用が力を発揮します。

人材育成

企業にとってどのように人材を育てていくかは、将来に関わる非常に重要なプロセスです。しかし、日常の業務に追われなかなかそこまで手が回らないという企業もあるでしょう。人材育成に人事評価データを活用すれば、「誰に」「いつ」「どのような」教育をするのが最も効率的かを判断できます。

評価

人は正当な評価を受けていると感じると、よりモチベーションが上がるものです。ただ会社の規模が大きくなればなるほど、自分の評価は誰がどのようにしているのか、その評価がどのように給与に関係しているのかがわかりにくくなる傾向があります。

人事評価データをうまく活用すると、より客観的な評価をすることが可能になります。さらにその評価に給与や賞与を連動させることで、社員にとってより働きがいのある会社となるでしょう。

離職防止

今、多くの企業が頭を悩ませているのが離職の問題です。採用や社員教育には多額の費用がかかりますから、必要な人材に辞められてしまうことは会社にとって大きな損失となります。

人事評価データ活用では、過去の離職者のデータを基に、どういった要因が離職に繋がりやすいのかが分析できます。

その結果を受け、離職しそうな社員をフォローしたり、離職につながりやすい職場の環境を整えたりするなどの対策を講じることで、離職者を減少させる効果が期待できます。

採用活動

人事評価データ活用の中でも採用活動は最も多くの企業が取り入れている分野です。人事評価データを採用活動に活用すると、あらかじめ必要な人材の特徴や人数を明確にしておけます。

近年、離職傾向のある応募者のふるい落としや辞退者の分析に人事評価データを活用する動きもありますが、データの取り扱いについては目的外使用にならないよう注意することが必要です。

人事評価データ活用成功のカギは透明性

人事評価データの活用を成功させている企業には共通点があります。それは、人事評価データやそれに基づく活用に透明性があることです。

集めるデータの使用目的を明確にすることはもちろん、評価理由を社員全員が見られるようにオープンにしたり、個別面談をこまめにして上司と部下や社員同士の風通しを良くしたりするなどの活動に力を入れています。

最新のデータ分析といっても、それによって動くのは「人間」。そして、その人の気持ちを動かすのもまた「人間」との関係であることを忘れないことが、人事評価データ活用成功のカギとなるでしょう。
 


参考:
人事データベースの項目とは?どんなデータがあるのかを認識しよう:https://mitsucari.com/blog/hr_database_item/
人事データ活用ガイドライン:
https://note.com/hr_sol_evangel/n/nc0c8043ff49e

9つの原則を示した「人事データ利活用のガイドライン」案:https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=1945&page=2
データで人事を変えるピープルアナリティクス:
https://rc.persol-group.co.jp/column-report/peopleanalytics/201901300001.html
2020年最新!人事評価制度の10社の成功事例を徹底解説:
https://media.unipos.me/personnel-evaluation-system-case-study
データ分析が明らかにした従業員の退職と、上司の能力の関係:
https://diamond.jp/articles/-/67906?page=3
【図解】戦略人事とは?「人事」との違い、経営戦略と人材マネジメント:
https://www.kaonavi.jp/dictionary/strategic-personnel-affairs/
人事の新たな武器 「組織開発」とは何か?:
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000112/1/
 
 
 

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