外部リソースは何を活用すべき?業務委託(オンラインアシスタント、シェアードサービス)と人材派遣の特徴や違いを解説

業務を改善したい、コストを削減したい、人手不足を解消したいなど、企業が抱える課題を解決するために、自社業務を外部リソースへ委託する傾向は近年ますます強まっています。
しかし、企業のニーズに合わせてサービスの多様化も進んでいるため、どのリソースを選ぶべきか判断に困るという方も多いのではないでしょうか。
今回は、現在注目を集めているBPOを中心に、業務委託と人材派遣のサービスの特徴や違いについて解説します。

 

業務委託(アウトソーシング)とは

業務委託(アウトソーシング)とは、一般的に自社で行っている業務を外部リソース(企業、個人)に委託することを指します。従来のアウトソーシングは、一時的または、業務の一部分を外部へ委託する方法が主流でした。
しかし、労働人口の減少や、生産性向上が課題として掲げられている昨今では、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)と呼ばれる戦略的なアウトソーシング手法が注目を集めています。
BPOは、単純に業務を代行するだけでなく、業務の企画、設計、運用など、業務に係るプロセスを丸ごと委託できるのが特徴です。

業務委託の種類

BPOのようなアウトソーシングサービスの他にも、オンラインアシスタント、シェアードサービス、クラウドソーシングなど業務委託にはさまざまな仕組みのサービスが存在しています。
各サービスの特徴やメリット、デメリットについて紹介します。

 

オンラインアシスタントとは

オンラインアシスタントとは、インターネットを活用し、主に在宅で作業を行うアシスタントがリモートで企業や個人事業主の業務サポートを行うサービスです。バーチャルアシスタントやオンライン秘書などと呼ばれることもあり、対応可能な業務は、秘書、経理、人事などのバックオフィス業務、営業サポートやSNSなどのメディア運用など多岐に渡ります。近年ではオンラインアシスタントサービスを提供する企業も増えており、スタートアップ企業から中小企業、大企業まで幅広い企業での導入が進んでいます。

◆メリット

オンラインアシスタントの主なメリットは下記の通りです。

・コスト削減

基本的にアシスタントの教育や業務にあたる人材の選定はオンラインアシスタントサービス会社が行います。そのため、自社で、採用や教育に時間やコストをかける必要はありません。また、繁忙期だけ、業務が発生した時だけなど、必要な時に必要な分だけ依頼ができるので、人件費のコントロールも可能です。

・幅広い業務を一括で任せられ、クオリティも高い

多くのオンラインアシスタントサービスでは1社に1名ではなく、さまざまなバックグランドや専門知識を有したスタッフがチームとなって対応します。そのため、幅広い業務を任せられることはもちろん、成果物のクオリティも担保されるのが特徴です。また、チームで対応しているので、スタッフの離職や休職などが起きても業務の継続が可能です。

・導入スピードが速い

アシスタントスタッフの採用、教育などを行う必要がないため、必要なネット環境さえ整備されていれば、すぐに導入可能です。

◆デメリット

オンラインアシスタントの主なデメリットは下記の通りです。

・オンラインのみでのコミュニケーション

アシスタントとのコミュニケーションは、対面ではなく全てオンライン上で行われます。オンラインコミュニケーションの場合、対面とは違い相手の顔が見えません。また。業務の依頼や指示等もチャットを通して行う必要があります。そのため、慣れないうちは意思伝達に齟齬が発生したり、コミュニケーション自体にストレスを感じたり、という事態も考えられます。

・通信機器、連絡ツールの導入が必要

オンラインアシスタントを導入するには、まず、PCやネット環境などの通信インフラを整える必要があります。また、スムーズなやりとりのために、電話やメール以外に、チャットワークやSlackなどのビジネスチャットツールの導入が不可欠です。今までに導入経験のない企業の場合、運用ルールを決めたり、社員への教育が必要だったりと手間がかかる可能性もあります。

・情報漏洩リスク

依頼する業務によっては、個人情報や機密情報をアシスタントに共有することもあるでしょう。多くのオンラインアシスタントサービス会社でセキュリティ対策を講じているものの、不測の事態やミス、外部からの攻撃によって情報が漏洩してしまう可能性はゼロではないということを覚えておきましょう。

 

クラウドソーシングとは

クラウドソーシングとは、群衆を表すCrowd(クラウド)と、業務委託を表すSourcing(ソーシング)を合わせた造語で、個人や企業が、インターネットを通して不特定多数のクラウドワーカーに業務を委託するサービスです。

ワーカーの公募から仕事の依頼、成果物の納品、対価の支払いまで、全てインターネット上で完結できる手軽さから、導入を進める企業も増えています。

◆メリット

クラウドソーシングの主なメリットは下記の通りです。

・業務の対応幅が広い

クラウドソーシングは、依頼に対応できる人材数が圧倒的に多く、かつ対応できる業務が幅広いので特徴です。

例えば、クラウドソーシング主要企業であるクラウドワークスの場合、ワーカーの登録者数は300万人以上、対応できる仕事は200種類以上とも言われています。さまざまなスキルや専門知識を持ったワーカーも多数いるので、データ入力や資料作成、ライティングなどの雑務や単純業務はもちろん、ホームページ作成やシステム構築、アプリ開発、ウェブデザインなど、自社で対応できない業務を依頼することも可能です。

・コスト削減

クラウドソーシングの場合、業務を依頼する企業が事前に予算を提示し、ワーカーを公募できます。そのため、他のアウトソーシングサービスと比べ低コストで業務を委託できる可能性が高まります。

また、必要な時にニーズに合わせて業務依頼量を調整できるので、人件費や固定費の削減にも役立ちます。

・自社の採用に繋がる可能性も?

クラウドソーシングの場合、依頼したワーカーのスキルや能力、自社との相性を成果物や仕事ぶりなどを通して判断できます。そのため、専門分野を任せられる正規職員を採用したい、長期間付き合えるパートナーを探したいという企業にとって、クラウドソーシングが必要な人材を探すための1つの手段になる可能性もあります。

◆デメリット

クラウドソーシングの主なデメリットは下記の通りです。

・ワーカーのスキルに差がある

クラウドソーシングでは依頼できるワーカーが多い分、能力やスキルの個人差も大きくなる傾向があります。そのため、業務を依頼する時点で十分な見極めを行わないと成果物の完成度が低い、納期が守られない、業務途中でワーカーと連絡が取れなくなるなどのトラブルが起きる可能性も高くなります。

最近では大きめのプロジェクトの場合、専任のディレクターをおいてプロジェクトを管理し品質を担保してくれるようなサービスも提供されていますが、コストは割増になります。

・情報漏洩リスク

カフェなどのフリーWi-Fiから情報が漏洩してしまった、仕事の内容や情報が家族から外部へ漏れてしまったなど、思わぬところから個人情報や機密情報が漏れてしまう可能性も考えられます。クラウドソーシングで個人情報や機密情報を扱う業務を依頼する際は、ワーカーとNDA(秘密保持契約)を締結する等のセキュリティ対策を取っておくことが重要です。

 

人材派遣とは

人材派遣とは、人材派遣会社と労働者派遣契約を結ぶことで、条件に見合った人材の提供を受けるサービスのことです。派遣されるスタッフは人材派遣会社と雇用関係を結び、派遣先企業の指揮命令の下、業務を遂行するのが大きな特徴です。

日本では1986年の労働者派遣法施行により、本格的に導入がスタートし、現在ではグローバル人材派遣や専門職派遣、新卒派遣、紹介予定派遣などさまざまサービスが展開されています。

◆メリット

・コスト削減

人材派遣の場合、スタッフの募集、選考、採用、教育、研修等は主に雇用関係のある人材派遣会社が行います。そのため、企業は採用や研修などにかかる経費や社員の業務コストを大幅に削減できます。
派遣社員とは雇用契約がないため、各種社会保険料や賞与、退職金などの人材にかかる諸経費が必要ありません。また、人材派遣に係る費用は、財務上、流動費として計上できるため、固定費を削減できるというメリットもあります。

・業務の効率化

人材派遣の大きなメリットは必要な時に必要な期間だけ必要な人材の提供を受けられるという点でしょう。繁忙期のみ人材がほしい、社員の育休期間中だけ代替要員がほしい、自社では採用が難しい専門スキルを持った人材がほしいなど、企業のニーズに合わせてフレキシブルに人材を確保できるのが人材派遣の魅力です。

 

◆デメリット

・業務内容によっては活用が難しい場合も

人材派遣会社と派遣スタッフの間では、あらかじめ契約の期間や内容が決められています。そのため、契約にない業務や、突発的な残業、契約期間後の延長要請には対応できないケースもあります。
さらに派遣法改正により、交通費や賞与など、正社員と同等の福利厚生が適用される場合があり、手間・コスト高になります。
また、建設業務や警備業務など、そもそも派遣スタッフの活用が認められていない業種があることも覚えておきましょう。

・帰属意識が低い

人材派遣では、派遣期間が限られている、派遣期間が短いというケースも多くあります。そのため、派遣先企業への帰属意識が希薄という派遣スタッフも少なくありません。
また、派遣スタッフが自社社員とうまくコミュニケーションや交流が図れないといったケースも多く、場合によっては、派遣スタッフが孤立してしまったり、業務に支障が出てしまったりということも考えられます。

 

業務委託(アウトソーシング)と各種サービスとの違い

アウトソーシング(BPO)と上記で紹介した各種サービスにはどのような相違点があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

オンラインアシスタントとの違いとは

オンラインアシスタントの場合、業務依頼や必要資料の授受は全てオンライン上で行われます。そのため、突発的な業務や、オフライン業務に対応できない場合も多くあります。

●シェアードサービスとの違いとは

BPOとシェアードサービスは、業務プロセスを外部に委託し、業務効率化やコスト削減を実現するという点ではよく似ています。両サービスの大きな違いは、業務の委託先です。BPOが業務を外部企業(アウトソーサー)に委託するのに対し、シェアードサービスは自社のグループ企業や子会社に委託(集約)する点が主な違いになります。

●クラウドソーシングとの違いとは

アウトソーシング(BPO)とクラウドソーシングの大きな違いは業務委託先の専門性と言えるでしょう。
アウトソーシングの場合は、専門性の高い外部企業へ自社業務を委託します。そのため、業務の品質や期限の遵守などが確約されているという安心感があります。
一方、クラウドソーシングの場合、業務を委託する人はクラウドソーシングサービスに登録している不特定多数の個人。登録ワーカーはアマチュアからプロまで幅広く、事前に十分な見極めを行わないと、期待する成果を得られない可能性もあります。

●人材派遣との違いとは

アウトソーシングも派遣も外部リソースを活用する点は同じですが、両者にはさまざまな違いがあります。

・ビジネスモデル

アウトソーシングは依頼された「業務」を提供するのに対し、人材派遣では業務に必要な「人材」を提供します。

・対価

アウトソーシングの場合、企業は成果物の納品や業務の遂行により対価を支払います。一方、人材派遣の場合は、派遣スタッフの労働時間に対し対価を支払うことになります。

・契約方法と契約期間

アウトソーシングの場合、業務を遂行するアウトソーサーと業務委託契約を結びます。契約期間の制限はなく、業務終了まで継続的に依頼できます。
人材派遣の場合は、人材派遣会社と労働者派遣契約を結びます。派遣スタッフが同一業務に従事できる期間は3年。3年を超える場合は、直接雇用契約を結ぶ必要があります。

・業務指示方法

アウトソーシングの場合、業務を外部企業へ委託するため、自社で指揮命令を行うことはできません。人材派遣の場合は、派遣スタッフが自社内で働くことので、指揮命令権は派遣先企業が持つことになります。

 

各種サービスとの違いを比較表にする

 

業務委託(アウトソーシング)活用がおすすめの理由

最後に、業務委託をおすすめする理由を紹介します。

社内人材の有効活用

企業活動において直接利益に繋がりづらいノンコア業務をアウトソーシングすることで、社内人材はより難易度や専門性の高いコア業務に専念できます。また、アウトソーシングを活用することで、実際の社員数以上の業務量を処理できる点や、専門性の高いアウトソーサーに依頼することでノンコア業務の品質向上が見込めるという点も大きな魅力です。

採用コスト、教育コストの削減

多くのアウトソーシング会社では、依頼された業務に対してスキルや専門知識を持った人材を揃えています。そのため、企業側は採用や教育に時間やコストをかける必要がありません。

BCP対策としても有効

新型コロナウイルスの蔓延により一定期間会社に出社できず、業務が滞ってしまったという経験をした方は多いのではないでしょうか。アウトソーシングの活用は、昨今のコロナ禍や、地震、豪雨などの自然災害が起きた際のBCP(事業継続計画)対策としても有用だと考えられています。
アウトソーシングを活用することで、業務の属人化を回避できる、マニュアル等を可視化できる、複数拠点やリソースを持つことで業務の冗長性が担保できるなど、有事の際にも業務継続できる体制を整えられます。

 

まとめ

コロナ禍による経済不安や労働人材の不足といった課題を解決し、これからの社会で生き抜くためには、限りある企業リソースを有効に利用することが不可欠です。
アウトソーシングや人材派遣など、外部リソースを上手に活用することで、業務効率の向上や、コスト削減、ノンコアからコア業務へのシフトなど、多くのメリットが期待できます。
アウトソーシングの各サービスや人材派遣にはそれぞれメリットやデメリットがあり、企業規模や委託したい業務内容、業務範囲によっても向き不向きが異なります。各サービスの仕組みや特徴を理解し、自社にあった外部リソースを導入、運用していくことが重要です。

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。