「相談できる相手」という価値 (中央総業様事例取材から考える)

 

現実的に考えれば、世にあるすべての企業が、DXを達成するのは、無理です。

 

と、BPOブログで、DXをテーマに書き続けてきた私が申し上げると、「おいおい!」と突っ込む方もいらっしゃることと思います。

 

DX達成が難しい理由は、いくつかあります。

最大の理由は、DX達成への方法論が確立していないことにあります。

 

「この方法を実践すれば、DXは達成できる。でも、実践するのはとても難しい」、これだったらまだ良いです。

DXに関しては、方法論そのものがふわっとした状態のまま、「やらなきゃ駄目ですよ!」論が先行しています。

 

これが、DXブーム最大の課題ではないかと、私は考えています。

 

私が取材をさせていただいた、中央総業様における社内システム運用管理サービスの事例は、このミッシングリンクをつなぐ、いくつかのヒントを含んでいると、私は考えています。

 

中央総業様事例の概要

先に、中央総業様の事例について、簡単に説明しておきましょう。

 

中央総業様は、神奈川県相模原市に本社を構える、中堅どころの建設会社です。多くの中小企業同様、同社においても、IT人材の不足に課題を抱えていました。同社では、それまで社内のネットワーク管理や、基幹システムの運用など、情報システム関係の仕事を一手に担ってきた人材が、辞めてしまったため、こういった知識がブラックボックス化してしまいました。

 

そこで、NOCは、社内ネットワークを調査し、ネットワーク構成図を再作成したり、基幹システムのサーバの現状把握を務めるなど、言わば中央総業内のIT資産を棚卸ししたのです。

 

同時に、今後のIT戦略策定における相談窓口、もしくは現在付き合いのあるITベンダー企業との折衝におけるアドバイスなども行っています。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

私が注目したのは、ITのプロフェッショナルとして、企業に対しアドバイスを行うという、相談窓口としての役割です。

 

DXレポートが訴える、「IT人材の内制化」は実現可能なのか?

結論から言うと、DX人材を社内で育成、雇用することなど、ほとんどの企業は無理でしょう。

まず、DX人材は、誰でもなれるものではないこと。

RPAを制作、推進できる人材ですら、4割しかいないことは、以前別記事でも取り上げました。

 

RPAですらこうですから、DX人材となれる素養を持った人材というと、どれくらいの割合なのでしょうか?1割など到底無理で、それこそ2~3%しかいないのかもしれません。

しかも、DX人材を最初から見抜く方法などありませんから、「教育したけど、DX人材としての適正はありませんでした」という、トライ&エラーを繰り返すしかありません。

 

従業員を万人クラスで抱える大企業ならばともかく、世の中の約15%を占める中小企業、約85%を占める小規模事業者において、もしDX人材を社内で確保することができたとすれば、それはもう「運が良かったね!」レベルの僥倖なのです。

 

DXが分かることと、「私が求めるDX」を見極めることは違う。

以前の記事で、私はピーター・ドラッガーの言葉を引用しました。

 

「問題に見える多くは症状であって問題ではない」

 

物事の本質を見極めることって、とても難しいです。それは、多くの人が経験的にご存知のことです。

 

例えば、あなたの会社で、コンサルティングを依頼しようとする際、同じ業界、同じ業種でのコンサルティング経験のある方を、まず検討しませんか?

飲食業の方が、経営の立て直しを相談したいと考えるとき、飲食業界でのコンサルティング経験がないコンサルタントに相談するのは、やはり躊躇するはずです。

 

経験って、大切ですよ。

経験が伴わない考察は、ドラッカーの言う通り、症状と問題を見誤ってしまいます。

 

DXも同じです。

一般論としてDXを論じることができる能力と、あなたの会社におけるDX、つまり「私が求めるDX」を実践できる能力は異なります。

 

多くの改善活動やビジネス創造と同様に、DXにおいても、あなたのビジネスとマーケットにおける痛みを見極めるチカラが必要となります。

 

「口は達者なんだけどさ…、ウチのビジネスのこと、あいつ全然分かってないんだよ」

 

そんなIT人材を手間ひまかけて社内育成したって、DXの実現は難しいでしょう。

 

「相談できる」、ということの強みとは?

中央総業様では、NOCの社内システム運用管理サービスを、相談役として利用することで、業務のデジタル推進に大きな弾みをつけることができました。

 

中央総業様では、アイデアを具体的な構想へと昇華させるプロセスを、社内で行っていました。言わば、Yes or Noで、システムベンダーが回答できるレベルまで、社内人材で頭をひねっていたわけです。

 

これはね、しんどいですよ。

だって、相当のITリテラシーがなければ無理ですから。

 

言ってしまえば、システムベンダーの怠慢なのですが。

でもここまでしないと、システム導入、改修、再構築などの相談ができない(控えめに言っても、「相談しにくい」)というのが、現状なのだと、私も思います。

 

アイデアを形にするという工程は、ある意味、もっともクリエイティビティの高い工程です。

それゆえに、本来は、ビジネスそのものに対する深い造詣と、高いITリテラシーが求められます。

 

ビジネスそのものに対する造詣は、あなたの会社にあるはずです。

でも、今回の中央総業様のように、建設業を生業とする会社に対し、システムベンダーと渡り合えるだけのITリテラシーを求めるのは厳しいです。

 

だから、相談できる相手が必要なのです。

「こんなことをしたい!」「あんなことはできないだろうか?」、このようなアイデアの段階で、ITのプロフェッショナルの目から「なるほど!ではこうしてはいかがでしょうか?」とアドバイスをしてくれる存在が、求められるのです。

 

社内システム運用管理サービスは、DX実現へと至るミッシングリンクのひとつとなりうる。

繰り返しましょう。

DX達成というハードルはとても高いです。

 

ハードルを高くしている、DX達成へのミッシングリングは、例えば人材であったり、知識であったりします。少なくとも、社内システム運用管理サービスは、人材と知識のハードルをクリアするチカラとなりえます。

 

冒頭、私はこのように申し上げました。

 

「現実的に考えれば、世にあるすべての企業が、DXを達成するのは、無理です」

 

ですが、これはDXを諦める理由にはなりません。

すべての企業は、例外としてDXを実現する企業となるべく、努力を行うべきです。

だって、ビジネスって、そもそもそういうものでしょう?

勝つ企業と負ける企業があることを分かっていても、勝ち組に入るべく、企業は切磋琢磨をしなければならないのですから。

 

ですが、DXの場合、「達成できない=負け」ではありません。

仮にDXを実現できなかったとしても、その過程において得られる成果は、十分に努力に対する見返りに値するものとなるはずです。

 

話を戻しましょう。

DXの達成が難しい理由のひとつは、達成へ至る道筋に、いくつものミッシングリンクがあるためです。ですが、ITのプロフェッショナルが、あなたの会社のための相談窓口として存在したら、いかがでしょうか?

 

世の中に、ITベンダーは無数に存在します。

しかし、ITの進化や、DXへの意識の高まりもあって、ITベンダーと企業、特に中小企業の間にあるギャップは、広がっていることを、私は肌感覚として感じています。

 

だからこそ、そのギャップを埋める、相談窓口としての存在が、今求められているのではないでしょうか。

 

もしかして、あなたの会社も、ITのプロフェッショナルによる相談窓口を求めているのではありませんか?

 

 

ライタープロフィール

坂田 良平

坂田 良平

Pavism代表。 一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクト理事、JAPIC国土・未来プロジェクト幹事。 「主戦場は物流業界。生業はIT御用聞き」をキャッチコピーに、ライティングや、ITを活用した営業支援などを行っている。 筋トレ、自転車、オリンピックから、人材活用、物流、ITまで、幅広いテーマで執筆活動を行っている。