文書管理とは?目的やメリット、社内に浸透させるコツも解説

日々業務を遂行していく中で、探している文書やファイルがすぐに見つからないという経験をしたことはないでしょうか。ここではそんな問題を解決する文書管理の概要、根本的な目的や必要性、またその処理方法などについて詳しくご紹介していきます。

文書管理と聞くと、社内の膨大な書類の山を想像し嫌気が指してしまうという方も多いのではないでしょうか。特に業務タスクがかさみ、文書管理まで手が回せていないという企業や経理担当者にとってはあまり深入りしたくない分野かもしれません。

しかし企業が文書管理を軽視してしまうと思わぬミスを引き起こしたり、情報漏洩などの大きな損失を出してしまいかねません。

この記事では、そんな業務フローの改善やリスク回避の面において大きなメリットのある文書管理について、詳しく解説していきます。

 

文書管理とは?

文書管理とは、作成した文書を管理することです。

主に企業や機関などが業務上で発生する文書や電子ファイル、データなどを、保存、保管、活用、廃棄のサイクルに分けて、段階的に管理することを指します。この工程の中で不必要なものは処分し、カテゴリー別などに書類を分類するという作業が生まれます。

またこれらの作業を効率化するために、書類が手元にきた時点、または発生した時点で今後どのような管理をするか、どの期間どこに保管しておく必要があるのかを把握しておくことが大切です。

個人文書と共有文書とは?

個人文書とは、会社などの組織の中で「個人」が作成、管理、保管している書類のことを指します。個人文書という名だけあって、これらのデータは特に他の社員やグループには共有されていません。

この個人文書の中には、組織内で共有することにより、効率化が図れるようなマニュアルや資料など、有益な情報が紛れている場合があります。後述しますが、これらの情報を眠らせないためにも、しっかりと文書管理のルールを社内に浸透させておく必要があります。

そして共有文書とは、個人文書とは違い「共有フォルダ」または「共有キャビネット」など、共有の場所に保管されている文書データのことを指します。

これら共有データを作成する際、共有版としてデータが完成するまでに個人文書として制作段階を踏んでいる場合もあります。たとえば、初めは草案作成、次に下書き、清書、そして添削と、いわゆる完成版の共有データとなるまでの数ステップが、個人文書として管理されている場合があるということです。

仮に共有フォルダにこれら全てのデータを含んでしまうと、管理システムの統一性が乱れ、組織全体としてのデータ管理が難しくなる可能性があります。どのステップに達した文書が「共有版」であるのかを、社内や組織全体の共通ルールとして浸透させ、一人一人が把握し守って運用する必要があります。

 

文書管理の目的

文書管理の目的は、大きく分けて主に2つあります。

一つ目は、データを単に保管し蓄積していくというだけでなく、必要な書類やデータを必要な時に円滑に取り出せるよう、きちんと整理することにあります。これにはデータを集めた後に組織内で共通管理ができるよう、社内やグループ内でデータ管理方法を統一しておく必要があります。またそれに応じ、普段からデータを整理できるような業務フローを確立することも重要です。

もう一つの目的は、企業や団体、組織としての機密情報や、個人情報などの法的に漏洩を防ぐ必要のある情報を管理することです。中には法律などで保存期間が決められている書類などもあり、一度規則を破ったり情報が漏れてしまうと企業としての信頼を損なうだけでなく、場合によっては大きな利益損失、営業停止などの処分が下されてしまう可能性があります。

このような事態を防ぐため、管理方法を社内で一貫してシステム化する、または保管データのセキュリティを強化するなどの対策方法を事前にしっかりと練っておく必要があります。

 

なぜ文書管理が重要なのか?

次に、文書管理を内部で行うことが重要である理由について解説していきます。上記でご紹介した目的を達成できると、以下のような効果が得られるので文書管理は重要です。

◆業務効率化・生産性向上に欠かせない

まず文書管理が重要な理由として、業務が効率化され、生産性の向上が期待できるという点があげられます。紙や電子に限らず、文書が整理されていればデータを手当たり次第探すという時間を短縮することができ、それだけで業務の効率化が図れるようになります。

さらに近年では文書管理の電子化が進み、多くの情報やデータがオンライン上で管理されるようになりました。このように管理媒体がオンラインに統一されることによって、データを確認する際に、紙とオンライン上を行ったり来たりするという無駄を省くことができます。

またテレワークが推奨される今、紙の使用機会はさらに減少していくとされており、今後も文書管理の分野においてさらなる生産性向上が見込めます。

◆顧客満足度・サービス品質の向上につながる

顧客満足度を上げるという側面においても、文書管理は重要なプロセスだとされています。文書管理が行われていない場合、顧客からの問合せに対して、誤情報を送付してしまうインシデントが発生するリスクが高まるのです。

文書データが整理されていれば、例えば顧客から自社製品についての問い合わせがあった場合に適したマニュアルや資料データをすぐに見つけて対処することができます。文書管理をきちんと行うことで、企業の説明責任能力が上がるともいえます。

◆コスト削減につながる

文書管理を行うことで、保管する手間やスペース、コスト削減が可能になります。ルールづけて管理することで、社内に書類が散らかっているようなこともなくなりますし、きれいなオフィスによって従業員の働くモチベーションが上がる可能性もあります。

◆リスクマネジメント、説明責任対応ができる

文書管理を適切に行うと、情報漏えいや紛失、消失の防止、改ざんのリスクの減少が期待できます。また、必要な文書を保管・保存できているので、企業としての説明責任を果たすことができます。

 

法定保存文書と保存期間のルールをおさらい

法定保存文書とは、法律で一定の保管期間が決められている文書のことを指します。ここではそれら法定保存文書の種類や内容を、保存期間ごとに分けてご紹介します。

◆永久保存すべき文書

まず最も保存期間が長い、永久保存が推奨されている書類です。項目としては会社設立時に取得する定款、株主名簿や登記書類、官公庁への提出文書や許可証をはじめ、訴訟関連の書類や製品開発などに関わる重要文書なども永久保存が推奨されています。

とりわけ定款は、会社の目的や商号など会社の運営に必要なルールを定めたもので、株式会社を設立する際に必ず作成します。本社や支店に定款を据え置き、株主などから請求があった場合には閲覧させたり謄本を交付したりする必要があるのです。

◆保存期間が5年〜10年の文書

保存期間が5年〜10年の書類には、税務や経理関連の書類などがあります。株主総会や監査役会議の議事録、会計帳簿に関する重要書類や貸借対照表などの各種計算書類なども対象です。

特に、決算書は作成日を起算日として10年間、総勘定元帳などの会計帳簿は帳簿閉鎖時を起算日として10年間保存することが義務付けられています。

◆保存期間が1年〜5年の文書

保存期間が1年〜5年の書類には、主に人事や当務関連の文書があります。労働者名簿、退職関連の書類、タイムカードや健康保険、厚生年金保険や被保険者に関する書類が含まれます。

労働者名簿は、労働者の死亡・退職・解雇日を起算日として3年間、雇入れや退職に関する書類は、労働者の退職・死亡日を起算日として3年間保存することが義務付けられています。

 

文書管理で企業が得られるメリットは?

ここで、文書管理を行うことで、企業が得られるメリットをご紹介します。

◆業務の効率化

冒頭にも述べた通り、まず一つ大きなメリットとして挙げられるのが業務効率化が図れるという点です。

膨大な量の書類から必要な文書を選び出すのと、わかりやすく種別で整理整頓されているデータの中から選ぶのとでは要する時間と労力に大きな差が出るのは明白です。また、それが一人分の時間を消費するだけならまだしも、多くの社員を抱える会社であればその作業人数分の無駄な作業時間を増やすことになってしまいます。

また文書管理を徹底することによって業務の効率化を図ることができれば、その分の人件費を省くことにもつながるため、企業として得られるメリットはかなり大きいと言えます。

◆情報漏えい・文書紛失などのリスク管理

文書管理によって生み出される企業としてのメリットの中に、情報漏えいや文書紛失などに対してのリスク管理が可能になる、ということがあります。

文書の在処やどんな文書を保持しているかが把握できていなければ、その分それらの情報が漏洩、または紛失する可能性も高まってしまいます。企業が保有する文書には機密情報や顧客の個人情報など、極めて重要なものが多く含まれます。

文書管理をしたからと言って完全にその危険性が回避できるわけではありませんが、定期的に文書を整理し管理していくことによって、そのリスクを大幅に下げることが可能になります。

 

文書管理の具体的な業務内容

文書管理の業務を進めていくには、まず管理上の規定を設ける必要があります。社内で共通のルールを決めておかなければ、個人単位で管理基準が異なり、余計に保存データが散乱してしまうためです。

これらのルールを設定する際は、それぞれの書類が法的文書なのか、マニュアルなどの業務に必要なものなのか、または知的財産に関わるものなのかなどの保存する書類の種類を決定します。

保存期間や在処、また誰が書類をチェックし保管できるかなどの権限をも併せて明記した一覧表を作成し、管理規定とします。

ルールが決まれば文書のファイリングを行います。電子文書であればサーバー内にフォルダを設置し、紙の文書であればバーチカルファイリングや簿冊式ファイリング、ボックスファイリングなどの方法を用いて文書を整理していきます。

バーチカルファイリングは、書類を分類しまとめてフォルダに挟み込み、同じようなフォルダをたくさん作って保管する方法です。

簿冊式ファイリングは、バインダーや厚型ファイルに書類を綴じて保管する方法で、バインダーの背表紙に見出しやタイトル、インデックスを記載しておきます。

ボックスファイリングでは、書類を挟み込んだフォルダを、箱型のファイルボックスに入れておく方法です。この場合、ボックスにタイトルやインデックスをつけるのはもちろんのこと、フォルダボックス内のフォルダは見出しを書き込めるタブ付きのタイプが、検索性が高まるのでおすすめです。

 

社内で文書管理を浸透させるには?

文書管理規定を上記のように正しく行っても、社内全体を通して管理方法が浸透していなければ文書を思うように管理することはできません。

まず、分類基準を明確にし、文書のまとめ方と並べ方を仕組み化しましょう。うまくグループ化・序列できなければ、文書管理ができたとは言えません。また、漏れなく重複なく整理できるような状態にすることもポイントです。階層ごとの並べ方やレベル感を統一することも重要でしょう。

そのあと、社内に文書管理を浸透させるには、組織の末端まで情報が行き届くような策を講じる必要があります。具体的には各部署の代表に詳しく管理方法を説明して部署内で情報を共有してもらう方法や、社員に研修を行う、または社内報などで周知するなどの方法があります。

その他、文書管理を片付けや整理として捉えるのではなく、知的財産を含む情報の管理、事務リスク管理といった、品質改善の観点や経営課題と関連付けられると、より進めやすくなります。最近だと、テレワークが求められている中で、紙の書類をできる限り整理し、電子化できるものは電子情報としてまとめる、といった内容で社内に告知すると、全社の意識も変わる可能性があります。

こうして周りにしっかりと内容や目的を理解してもらうことで、これまでの文書管理方法に改善点が見えたり、これまで共有されなかった有益な情報が抽出できたりなど、新たなメリットが生まれる可能性があります。

 

ペーパーレス化へ!電子文書のメリット・デメリット

近年ペーパーレスの動きが広まり、電子文書の利用が年々と増え続けています。ここでは電子文書利用におけるメリットとデメリットについてご紹介していきます。

メリット1.紙代や印刷代のコスト削減につながる

紙の資料がなくなるだけで、紙代や印刷代のコスト削減になります。印刷機器のメンテナンス費用や、資料の郵送費用、シュレッダーなど廃棄費用もなくなります。

また、紙の資料であれば修正されても即時反映できず、再度印刷するしかありませんが、電子化することで全員にすぐに共有できることもポイントです。

メリット2.保管スペースの確保が必要なくなる

紙の文書保管で占有していたスペースを空けることができます。日々の業務に関わる情報やマニュアルなど、会社を経営していれば保有する書類が増えていくのは当然のことです。

保管期間が定められている文書を長期間保存するためには、キャビネットやラック、ファイルや保管箱などの備品も必要になります。資料が膨大になればなるほど、場所も広がっていくでしょう。これらの用意が不要になることが、コスト削減や資産確保の観点でメリットとなります。

デメリット.電子化しても捨てられない書類は保管する必要がある

電子帳簿保存法の要件を満たさない、経理関係書類などは電子文書では有効と認められないことが多いため、紙面で保管しておく必要があります。どうしても電子化する場合は、税務署に申請をしたり、専用システムを導入する必要があります。

 

電子帳簿保存法の観点で、正しく文書管理を行うことも重要

なお、電子帳簿保存法に則って、適切に文書管理を行うことが重要です。

電子帳簿保存法は、国税庁が定めた、会計帳簿や国税関係書類を電子データ(電磁的記録)として保存することを認める法律です。保存可能なのは、現金出納帳や仕訳帳などの帳簿、決算書、領収書や請求書などの書類です。

似たような法律に、e-文書法があります。e-文書法は内閣府が定めたもので、国税に関係しない文書・帳簿で保管が義務付けられているものを、電子化して保存を認めるものです。そのため、上述したような国税帳簿書類において、e-文書法と同じように文書管理してしまってはいけません。

電子帳簿保存法においては、タイムスタンプで書類の作成日時を印字し、改ざんリスクを減らし、電子データの真実性を確保することが重要な要件です。タイムスタンプがない場合は法的根拠が担保されません。

こうした観点にも注意をしながら、適切に電子による文書管理を行いましょう。

 

文書管理には文書管理システムがおすすめ!

文書を電子化するのであれば、文書管理システムがおすすめです。

文書管理システムとは、電子化した文書を保管・保存、活用、廃棄のサイクルで一括管理できるシステムのことです。単に管理するだけではなく、取り出しやすさや送受信の円滑さがポイントです。

文書管理システムを導入すれば、必要な文書の保管・保存が簡単になり、いつでも情報を取り出せて情報共有が効率化します。文書の種類によって、セキュリティレベルや保管期間を定めて管理することもできます。

また、文書管理システムには、システム上でタイムスタンプを付与できる製品があります。電子帳簿保存法に対応するという観点でも、文書管理システムを活用するとよいでしょう。

文書管理システムでできることは?

文書管理システムであれば、以下のような機能があり、文書管理がより効率よく行えます。

・文書登録機能
・検索機能(タグ検索、全文検索、あいまい検索)
・バージョン管理機能
・セキュリティ機能(アクセス権限、ファイル暗号化機能)
・保管期限、更新日の管理機能
・ワークフロー機能(申請・承認)

また文書管理システムを活用して得られるメリットは以下です。

・ペーパーレス化でき、コスト削減につながる
・古いデータを利用してしまうミスを減らせる
・データ共有が簡単で、承認もしやすくなる
・セキュリティ強化され、内部統制にも効果がある

文書管理システムの優れた検索機能で、必要な文書をすぐに見つけられますし、ペーパーレス化でコスト削減にもつながります。古いデータを使うミスも防げる上に、簡単にデータ共有ができて承認もできます。

単純に文書を電子化するだけでなく、よりスムーズに業務遂行できるようになるのです。

具体的にはこちらの記事で、文書管理システムの機能や特徴、メリット・デメリット、選び方、おすすめの文書管理システムをご紹介しておりますのでご覧ください。

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まとめ|電子化した文書をシステムで管理しよう

文書管理の必要性についてまとめました。

紙のまま保存していると、情報漏えいや紛失のリスクがあります。また、どこに保管されているか分からず、探し出すことに時間をつかってしまい本質的な業務に時間を使うことができなくなります。

文書を電子化したあとは、システムで管理することがおすすめです。管理だけでなく、検索ができたり、バージョン管理ができたりと、便利な機能が搭載されています。

文書管理によって、文書の山に悩まされることから解放されましょう!

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。