「縦割り組織」=「タコつぼ化」した組織はどう解決するか?|セクショナリズム・縦割り組織の弊害と原因 3

前回のコラム(スキルの専門分化・特化によるタコつぼ化とは?)で「縦割り組織の弊害」として、「タコつぼ化」する組織の問題を描きました。この問題は、現代の日本企業にとって共通の問題になっています。

さて、今回のテーマはその「タコつぼ化」した組織の解決です。私が実際に行っている方法と事例を交えて解説します。

解決するために私が支援している方法論は、「組織横断での問題点の抽出と共有」、「組織横断でのプロセス定義」、「会議体での組織間衝突の日常化」の3つです。

今回は最初の「組織横断での問題点の抽出と共有」についてお話しします。

 

■「組織横断での問題点の抽出と共有」はなぜ大事か

部署間対立

「タコつぼ化」した組織は自分の組織の都合しか考えません。自部署は被害者、他部署は加害者なのです。これでは、会社は組織崩壊となりかねません。それに、多くの問題は、組織間の連携で起きるのです。

私の仕事はサプライチェーンマネジメントの構築ですが、この仕事はまさに、営業、生産、購買、経理などの組織間の連携を再構築して、会社として利益を最大化する基盤をつくります。

しかし、そもそもタコつぼ化した組織では、各部署が集まっても、議論が成立しません。なぜなら、問題意識がばらばらで、原因に対する認識もばらばらだからです。

したがって、最初の仕事は、問題認識と原因の共有、共通認識の醸成です。問題が横たわっている部署に集まってもらい、それぞれの業務のやり方を共有し、問題点を組織横断的に洗い出して行くのです。

たとえば、納期通りに製品が生産されないことがありました。営業は生産が悪いと言い、生産(工場)は営業が工場の状況を考慮しないいい加減な注文しかしないと言い、言い争いが起きていました。そこで、工場側は営業の注文でどのようなことをしているか、営業側はどのようにお客様と商売をしているのか共有しました。

そこでわかったことは、工場は1日で1,000台しか作れないのに、営業は急に2,000台を要求したり、キャンセルしたりして、工場は大混乱していたことです。さらに営業は、お客様の急で対応が難しい注文をそのまま工場に連絡していました。

工場は人や部品の準備でどうしても1日1,000台しかできないのです。しかし、お客様との契約もあるため、無視もできませんが、相手の要望にいいなりになるのでは、ただの「子供の使い」です。結局、問題は、工場の柔軟性のなさと、お客様の言い分を鵜呑みで工場に流す営業の不甲斐なさに原因としていると認識し、お互いの仕事のやり方に問題があると定義したのです。

お互いの事情が分かれば、部署同士の理解も進みます。協力して改善して行こうと言う考えも浮かんできます。要は、同じ会社なのに、部署が違うとお互いに何をしていて、どのような事情(制約条件)があるのか、協力して改善可能な余地があるのかどうかを知らないのです。

ですから、問題があった時はまずお互いにどんな仕事をしていて、どのようなメカニズムで問題が生じるのかを共有する場を作るのです。問題が共有できれば、あとは原因を突き止め、どこを直せばうまくいくかを議論していけばいいのです。

 

■組織利害を超えた第三者と各部署のエースが問題と原因を議論するべき

相互理解のための会議

さて、この議論では重要な注意点があります。それは、組織利害を超えた第三者と各部署のエースが、問題と原因を議論することです。

まず、組織利害を超えた第三者の存在は重要です。多くの組織は過去に縛られ、感情のしこりが邪魔になって議論がうまく進まないことがあります。そのような場合は、問題を起こしている組織とは利害関係のない人が議論をリードしたほうが、客観性も増し、感情的な対応も抑制できます。外部コンサルタントが担ってもいいでしょう。

そして、議論にあたっては、各部署のエースが参加すべきです。問題点や原因を部署のエースが認めると、他メンバーにも重さをもって受け止められます。逆に、組織の中で認められていない人の議論は軽くなります。その点で、絶対にエースを参加させ、議論と結論に意義を持たせなければならないのです。

エースが組織横断的に問題を共有し、原因を特定し、解決に向けて動き出す土壌が出来上がることで、問題解決に拍車がかかります。

それでは、次回は、解決策を作る「組織横断でのプロセス定義」を書いていきます。

 

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ライタープロフィール

石川 和幸

石川 和幸

経営コンサルタント

早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。能率協会コンサルティング、アンダーセン・コンサルティング(現、アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築・導入、ERP構築・導入、アウトソーシング導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。 著書に『図解 SCMのすべてがわかる本』『図解 生産管理のすべてがわかる本』『在庫マネジメントの基本』(以上、日本実業出版社)、『思考のボトルネックを解除しよう!』、『見える化仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『なぜ日本の製造業はもうからないのか』(東洋経済新報社)、『図解 よくわかるこれからのSCM』(同文舘出版)、『アウトソーシングの正しい導入マニュアル』『図解 工場のしくみが面白いほどわかる本』(中経出版)など多数。