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2015.12.07 掲載 2022.07.14 更新

インボイス方式・請求書等保存方式とは?「消費税の経理方法について解説」【2015年版】

請求書
2015年3月の参院本会議で2015年税制改正関連法が可決したことにより、当初は2015年10月から8%から10%に税率が上げられる予定でしたが、税率が10%に上げられる時期が1年半延期されて、2017年4月ということで確定しました。

消費税増税が決定した後、議論の中心は増税の可否から消費税の経理方法と軽減税率の導入するかどうかに移ってきました。

12月の上旬には、様々なニュースメディアで軽減税率とインボイス方式に関するニュースが配信されてきました。

2015/12/2 『インボイス、2021年度導入へ 自公、合意見通し』(ヤフーニュース/朝日新聞デジタル)

この記事では、“消費税10%増税時に食料品などの税率を据え置く軽減税率を導入するのに伴い、事業者が使う経理方法について、商品ごとに税率や税額などを明記するインボイス(明細書)を2021年4月から導入する方針”を自民党と公明党が合意する見通しだと伝えています。(2023年10月から正式にインボイス精度が始まります)

また、この記事のおよそ1週間前には、次のような記事が配信されました。

2015/11/26 『簡素な経理、みなし課税…与党協議会に提示』(ヤフーニュース/毎日新聞)

この記事では“インボイス方式への移行過程においては、請求書に印をつける等の事務処理負担を軽減できる簡素な方式も認める”という方向性を伝えています。

インボイス方式とは一体どのようなものなのでしょうか?
今回は、インボイス方式(制度)の概要を確認しておきましょう。

経理方法とは?「請求書等保存方式」と「インボイス方式」

ここでいう“経理方法”というのは、課税事業者が、課税仕入れ等の税額控除を受けるための方法です。(課税事業者とは、簡単に言えば消費税を納める必要がある事業者)

消費税を納税する際、課税事業者は原則として、商品やサービスなどを販売した時に預かる消費税(仮受消費税)から、商品やサービスを仕入れたり経費の支払いの際に払った消費税(仮払消費税)を差し引いたり(控除して)その差額分を納付します。

この控除する税額=仕入税額控除を受けるための要件としての方法を”経理方法”と呼んでいます。そして、現在の日本での消費税率は8%と単一の税率であるため、仕入税額控除要件としての経理方法は「請求書等保存方式」を採用しています。
(参考 「消費税の納税の流れ 仮受消費税・仮払消費税とは?」 2015/11/10記事)

「請求書保存方式」とは?

請求書等保存方式』と『インボイス方式財務省Webサイト 『請求書等保存方式』と『インボイス方式』より

消費税法では、帳簿を保存し、取引の相手方(第三者)が発行した請求書等という客観的な証拠書類の保存を仕入税額控除の要件としています。この経理方法を「請求書等保存方式」と呼んでいます。そして、帳簿や請求書の記載事項として、課税仕入れの相手方の氏名または名称、課税仕入れを行った年月日、課税仕入れに係る資産または役務の内容、課税仕入れに係る支払対価の額などを定めています。

単一税率のもとでは、請求書等に税額や税率が記載されていなくても(インボイス方式でなくとも)控除されるべき仕入税額の計算には支障がなく、また、事業者にとっての負担も大きくないため、この「請求書等保存方式」が採用されたとも言えるでしょう。

・「請求書等保存方式」の問題点

仕入税額控除税額の中に、課税事業者ではない事業者(免税事業者)に支払った消費税額が含まれてしまうという点です。免税事業者はその名の通り、事業規模が小さいなどの理由により、消費税の納付を免除されている事業者です。EUのインボイス方式では免税事業者は、インボイスを発行することができないため、免税事業者は消費税額を請求することができませんから、仕入税額控除計算に免税事業者からの仕入税額が含まれることはありません。

したがって、課税事業者と免税事業者の双方に“益税効果(消費税が納付されない)”が生じてしまうことが問題点であるといえます。

「インボイス方式」とは?

先述しましたが、EUでは「インボイス方式」が採用されています。その理由としては、①複数税率である(軽減税率の適用がある)ことや②複数税率下で正確に仕入税額控除や消費税額の請求ができるということなどがあげられます。

日本で「インボイス方式」採用の議論が起き、結果としてその方向で合意するという流れは、このEUの状況を先例としてならうという考えがあるからだと思われます。

・「インボイス方式」を単純化してまとめると

「消費税の納税義務のある課税事業者は、仕入税額控除を計算する際に、課税事業者が発行する「インボイス」に記載された税額のみを控除することができる」という経理方法です。

・そもそも「インボイス」って?

「インボイス方式」の「インボイス」、貿易や海外取引の経験がある方には耳馴染みがある言葉かもしれません。インボイスというと、貿易取引や海外取引での送り状やまたは請求書を指していましたが、ここにいう「インボイス」は、販売した商品やサービスの請求書や納品書に、その明細についての「消費税率」と「消費税額」が記載されているものと考えていただければ良いかと思います。

財務省ウェブサイトでは、「インボイス」について、
“「インボイス」とは、適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類。欧州においては、免税事業者と区別するため、課税事業者に固有の番号を付与してその記載も義務付けているが、「インボイス」の様式まで特定されているものではない。”
と説明しています。
(引用 財務省Webサイト『請求書等保存方式』と『インボイス方式』)

また「インボイス方式」については、次のような説明がされていますので、引用してみましょう。

“「インボイス方式」は、課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみを控除することができる方式。
1 課税事業者は「インボイス」の発行が義務付けられており、また、自ら発行した「インボイス」の副本の保存が義務付けられている。
2 「インボイス」に適用税率・税額の記載が義務付けられている。
3 免税事業者は「インボイス」を発行できない。したがって、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除ができない。”
(引用 財務省Webサイト『請求書等保存方式』と『インボイス方式』)

・「インボイス方式」の問題点

インボイス方式にも問題点はあります。

まず、現行の請求書等をインボイス型に切り替える、または情報システムを変更するという負担が中小企業等にとって大きなものであるということです。また、インボイス方式は複数税率を前提としていますので、通常業務における負担増もバカにできないものとなりそうです。

もう一つの問題点は、免税事業者が取引から排除されてしまう可能性があることです。免税事業者から仕入れても仕入税額控除ができないのであれば、消費税負担を軽くするために課税事業者を選択するということが想定されるからです。

まだまだ流動的な消費税を取り巻く問題ですので、新たな動きがあれば解説や説明をしていきたいと思います。

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ライタープロフィール

本山 シーエン

現場支援型コンサルタント
税理士事務所時代の経験をもとに、インターネット関連の会社で財務会計ソフトの開発と販売を通じて中小企業のバックオフィス業務をサポート。現在も「インターネット活用が中小企業の成功のカギ」を信念に現場支援型コンサルタントとして活動中。

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