売掛金の未収金を回収する方法!具体的な貸し倒れ防止策の紹介

売掛金は、会社経営や個人事業を営んでいく上で、常にしっかりと管理しなければならない重要な債権(お金)ですが、これは、取引相手との「信用取引」によって発生する特徴があります。

信用取引とは、その名の通り、取引相手を信用したビジネス方法であり、たとえば、商品の代金(売掛金)を後でまとめて支払ってもらうことや資金の一部を貸付するといったことなどが信用取引にあたります。

通常、信用取引は、取引相手の信用を担保に取引を行う、広く馴染み深い方法になります。しかし、時に双方の信用が崩れてしまう危険性もあります。

具体的な一例として、商品の販売代金にあたる売掛金が回収できなくなることがあげられ、これを「貸し倒れ」といいます。

売掛金などの債権が貸し倒れになることは、会社や事業を今後継続していく上で、大きな支障が生じる可能性がある、重要な問題であることはいうまでもありません。

そこで本記事では、このようなことを踏まえて、売掛金の回収と具体的な貸し倒れ防止策について解説を進めていきます。

 

■売掛金とは?

売掛金とは、「取引先や顧客に対して商品を販売したり、サービスを提供した際に発生する代金のツケ」のことをいいます。

たとえば、事業を営んでいると仮定したとき、日常の取引の中で取引先や顧客に対して商品を売ったり、何かのサービスを提供したりすることがあります。

このとき、取引の金額や取引の量によって違いは生じるものの、都度、取引の現金の受け渡しをしつつ、領収書を発行するのは非常に手間や時間がかかってしまい、他の業務に支障が生じてしまう場合があります。

そこで、取引の締日と代金の支払い日をあらかじめ決めておき、締日までの代金(売掛金)をまとめて取引先などに請求し、代金の支払い日までに銀行振込などで入金対応をしてもらうといった流れが、売掛金の発生から売掛金の回収までの一連の流れとなります。

 

■売掛金の未回収が発生した場合に確認すべき3つのポイント

前述した売掛金の発生から売掛金の回収までの一連の流れについて、常に円滑に流れることは、取引を行うにあたって最も望ましいことであるのはいうまでもありません。

しかしながら、時に何らかの事情によって、この一連の流れが円滑に行われない場合もあります。

そこで、ここでは、仮に売掛金の回収が遅れてしまった場合に、少しでも未回収を防ぐために対応すべきポイントや、確認すべきポイントを大きく3つに分けて解説を進めていきます。

①ミスにより支払いが遅れていた場合
売掛金が代金の支払い日になっても入金されない1つ目のポイントは、相手側のミスによって支払いが遅れてしまった場合です。

多くの場合、事務手続き上のミスや多忙によるヒューマンエラー(人為的ミス)が考えられます。その場合、「電話」「FAX」「メール」などで、相手側の担当者へ軽く確認する程度の対応を心掛けるようにしましょう。

一般的には、これらの確認を行うことで後日、指定口座などへ代金の入金がなされ、売掛金の回収は問題なく終了します。

②支払う余力がない場合
売掛金が代金の支払い日になっても入金されない2つ目のポイントは、相手側が代金を支払う余力がない場合です。

実務上は、ケース・バイ・ケースとなりますが、度々、支払い日を過ぎて入金がなされる場合や電話やメールなどで入金対応の催促をした後の対応が遅い場合などは、相手側が代金を支払う余力がなくなってきている懸念を強く抱いておく必要があります。

いわば、「将来貸し倒れになる危険性が高い」と予測できることから、取引の仕方を見直すほか、思い切って「現金決済に限定する」といった対応策も時には必要となるでしょう。

③支払う意思がない場合(悪意がある場合)
売掛金が代金の支払い日になっても入金されない3つ目のポイントは、相手側が代金を支払う意思がない場合(悪意がある場合)です。

先に解説したような貸し倒れになる懸念を払拭するための対応策をあらかじめとっておくことで、このような最悪の事態は避けられるものの、「倒産」「破産」「夜逃げ」「音信不通」といったことによって、売掛金の回収をすることが全くできなくなってしまう場合もあります。

この場合、最終的には後述する「売掛金を回収する6つのSTEP」のいずれかの方法を選択することになります。しかし、通常すべての売掛金を回収するのは極めて困難であり、最悪な場合、すべての売掛金が回収できず貸し倒れとなってしまいます。

 

■売掛金を回収する6つのSTEP

ここでは、売掛金を回収する手順について具体的に6つのSTEPに分けて個別に解説を進めていきます。早期の段階で解決を図れることが、回収できるか、できないかの分かれ道になることが多いです。

STEP1:交渉による回収
売掛金が、支払い期日までに回収することができなかった場合は、支払い期日を再度一時的に設ける方法や、交渉し分割で回収するなど、臨機応変に対応することが望ましいでしょう。

売掛金を確実に回収するためにも、相手方に負担が重くならないような、配慮がポイントになります。

STEP2:相殺による回収
仮に取引相手に対するツケ(買掛金)がある場合は、双方の売掛金(債権)と買掛金(債務)を相殺することで代金の支払い負担を軽くする方法を検討します。

STEP3:内容証明郵便による回収
内容証明郵便とは、郵便局が、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって証明する制度のことをいいます。

内容証明に記載されている内容は、後に解説する法的措置に移る前の準備段階として相手方に対して予告するものであるため、心理的に与えるプレッシャーや確実に売掛金を回収するための手段として効果が期待できます。

STEP4:商品引き上げによる回収
仮に自分の商品を相手方に販売している場合には、売り渡した商品を引き上げる必要があります。また、相手方が保有している商品を売掛金の代わりに回収する方法も考えられますが、こちらについては、弁護士などの専門家と相談の上、合法的な手段を踏まえた上で行動に移す必要があります。

STEP5:債権譲渡による回収
債権譲渡による回収とは、売掛金の支払いを行わない相手方が保有している売掛金などの債権を自分に移転させることをいいます。

たとえば、売掛金の支払いが滞っているA社が、自社商品を販売して得たA社売掛債権を自分たちが代わりに得るといったイメージです。

これによって、A社から直接入金がなされなくとも、A社と取引をしている他社が自社に対してお金を支払うことになるため、結果として売掛金の回収がなされることになります。

STEP6:訴訟による回収
売掛金を回収する最終手段は、裁判所に出向いて訴訟による回収となります。

一例として「支払い督促」「少額訴訟」「通常訴訟」などの対応が必要となりますが、通常、専門家である弁護士を通じて、手続きが行われることになるため、あくまでも最終手段としての方法と認識しておく程度で足りるでしょう。

 

 

■売掛金の回収には時効がある

法律上、売掛金の回収には時効制度が設けられており、「2年」と定められています。

次に掲げる債権は、「2年間」行使しないときは消滅します。

 

一  生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価にかかわる債権

二  自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権“

出典 民法第173条より一部引用

 

また、仮に売掛金の回収における時効が迫っていても、時効の経過を一旦ストップする「時効の中断」という措置がありますので、こちらは専門家である弁護士などへ相談してみることをおすすめします。

 

■トラブルを未然に防ぐための対策

売掛金回収のトラブルを未然に防ぐための対策としては、やはり「常日頃から売掛金管理をしっかりと行っておくこと」につきます。

具体的には、経理担当者などに任せるだけでなく、経営者や事業主自らが、売掛金の回収がスムーズに行われているか常日頃からチェックする体制を構築し、懸念が生じている場合には早急な対応策を実行することが求められるでしょう。

また、相手と契約する際に、「与信枠」を設定することも大切です。

「与信枠」とは、利用できる金額の限度額の設定のことです。

支払えないのであれば、これ以上サービスや商品は提供しないようにし、売掛金が発生しないようにします。

 

■まとめ

本記事では、売掛金の回収と具体的な貸し倒れ防止策について解説しました。売掛金は、会社経営や事業を営む上での「運転資金」としての性質を有していることから常日頃から円滑に回っていることが求められる重要な資金です。

そのため、本記事の結論としては、経営者や事業主自らが、売掛金の回収がスムーズに行われているか常日頃からチェックする体制を構築し、懸念が生じている場合には早急な対応策を実行することになります。

できる限り、1ヶ月に1回程度は、売掛金などの債権について担当者と変わったことは生じていないか情報共有する機会を設ける必要性があるでしょう。

 

ライタープロフィール

佐藤 元宣

佐藤 元宣

CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士/経理実務士

佐藤元宣FP事務所代表。 税理士事務所や社会保険労務士事務所での勤務経験や保険代理店の経験を活かし、生活する上で避けて通れない「税金」「社会保険」といったお金をはじめ、「保険」「住宅」「相続・贈与」「不動産」などのお金の相談に対して、幅広く相談に応じている独立系FP。 秋田県の子育て優待支援事業にも参加し社会貢献活動にも積極的に参加している。