【効率的管理方法】売掛金管理は職人技的なスキルが必要

 

売掛金とは、商品を売った後に売った相手(得意先)から受け取ることのできるお金のことをいいます。この売掛金は得意先から受け取る期日が決まっており、その期日どおりに回収できないと、会社の資金繰りが成り立たなくなります。

売掛金の管理および回収方法について、確認してみましょう。

 

■エクセルなどにすべての得意先を入力し売掛金管理台帳を作成する

売掛金の管理は、エクセルなどを用いた売掛金管理台帳を作成して行いましょう。すべての得意先を入力しておくことで、検索性も高まり管理しやすくなります。

表の入力項目として列に作るのは、請求月・売上金額・得意先名・請求日・入金日・当月売上金額です。売上金額の列には、請求書や納品書に記載されている金額を入力します。またどんなに小さな金額でも漏れがないようにしましょう。この金額に間違いがあると税務調査が入った場合、指摘されます。

入金日はその都度入力し、未入金のものは空欄のままにしておきます。入金日の列にオートフィルターをかければ、空欄の部分がまだ回収がされていない得意先であると即座に確認することが可能です。

このように売掛金管理台帳を作成することで、得意先への月ごとの売り上げと回収の状況を明らかにすることができます。この売掛金管理台帳は一目で見てわかるようにするためにも、シートは月ごとに区切らず1枚の表で作成するとよいでしょう。

 

■当月売上金額は締め日基準で入力する

請求の締め日は得意先によって異なります。

そのため、請求額と回収状況に混乱が生じないように、当月売上金額は締め日基準で売掛金管理台帳に入力しましょう。

例えば、ある得意先の締め日が15日だとします。この場合、10月の当月売上金額は、「前回の請求締め日の翌日である9月16日」から「今回の請求締め日である10月15日」までの合計額を入力することになります。

 

■未回収が発生している取引先を目立たせておく

 もし、予定どおりに売掛金の回収がされていない取引先(遅延得意先)があった場合、見落としてしまい未回収となる恐れがあります。そのような事態の発生を防ぐために、売掛金管理台帳内の遅延得意先の行が目立つように工夫しましょう。

例えば、遅延得意先の行の数字を赤色にしたり、背景色を黄色にしたり、字体を太字にしたり、書体を変更したりするなど、一目で分かる状態にします。

そして、遅延得意先を把握したら、その売掛金の合計額も明らかにしておきます。

 

■売掛金の回収が遅れている得意先を洗い出す

売掛金の回収が遅れている得意先を売掛金管理台帳から抜き出して、遅延得意先リストを作成します。このとき、1日でも入金が遅れている得意先や間違いなく回収ができると思われる得意先も対象とします。遅延得意先リストから抜けてしまうと、回収作業に支障が出るので、網羅的に遅延先を把握することがポイントです。

遅延得意先リストにおいても、売掛金の合計額を明らかにし、売掛金管理台帳内での遅延得意先の売掛金の合計額と一致させておきます。

 

■売掛金の遅延期間を洗い出す

遅延得意先を抜き出したら、それぞれの得意先の売掛金の金額だけでなく、遅延期間も把握しておく必要があります。

遅延期間は30日を区切りとして、「30日以下」「31日以上60日以下」「61日以上90日以下」「91日以上」に分けて、それぞれの得意先ごとに記録しておきます。

90日を過ぎると自主的な回収では難しくなり、回収代行業者に依頼することも検討すべきです。このような得意先は、今後取引を続けるにあたり注意が必要です。

また、手形で売掛金を回収するような得意先に関しては、手形の未決済の金額も記録しておきます。手形の場合の遅延期間は1か月を区切りとしていくとよいでしょう。

 

■入金が遅延している理由を明確にする

遅延している得意先と遅延期間が把握できたら、得意先それぞれの入金が遅延している理由を明確にします。

入金が遅延している理由は、「得意先の支払いミス」「得意先に支払う意思がない」「得意先の資金繰りの問題」の3つに分かれます。

得意先の支払いミスの場合は、得意先が支払い期限を忘れていたり、支払ったつもりでいることが多いようです。この場合、期限を指定せず得意先に確認しないでいると、忘れられたままになる恐れがあります。また、相手に催促することに対して申し訳ないという気持ちを持つ必要はありません。かえって、遅延を指摘されたことで支払いミスを見過ごしてしまうことがなくなり、得意先の相手に感謝されることもあるくらいです。

得意先に支払う意思がない場合は、自社の商品のサービスに不満を持たれていることや、最初から支払う意思がないことなどが考えられます。

得意先の資金繰りの問題の場合、売掛金の回収の可能性を把握するため、厳しい状況が一時的なものなのか、継続して続くのか、破綻状態であるのかを見極める必要があります。

 

■必要に応じて具体的な回収方法を検討する

遅延している理由により、売掛金の回収方法は異なります。

得意先の支払いミスの場合は、まず「電話」「FAX」「メール」などで入金が遅れていることについて軽く確認するようにしましょう。それでも入金が行われないなど反応がない場合は、電話による回収の督促を行います。

もし、電話に出ないようであれば、回収を急いでいる(回収できないと支払い先に迷惑を

かけるなど)旨のメッセージを留守電に残しましょう。

得意先が自社の商品のサービスに不満がある場合は、話し合いをして請求金額から値引きしたり、今後の契約を見直すなどの対処を行いましょう。また得意先に最初から支払いの意思がない場合は、交渉・相殺・内容証明・商品引き上げ・債権譲渡・訴訟による回収をすることになります。

得意先の資金繰りの問題の場合は、得意先に支払い計画を立ててもらい、状況によっては「支払方法を現金決済に限定する」などの対策をとるようにしましょう。また資金繰りの厳しさの度合いに応じて、対処のしかたを変えることも必要です。

破綻状態であれば、得意先に最初から支払い意思がない場合と同様に、法的な措置も検討するべきでしょう。

 

参考記事 売掛金のトラブルを未然に防ぐ!具体的な貸し倒れ防止策の紹介

 

■まとめ

 会社は利益を出すことを目的としている組織ですが、資金繰りに行き詰まれば、倒産してしまいます。よって、売掛金を予定どおりに回収できるよう管理するのは、会社の資金繰りを正常に行う上で必要不可欠な作業であるといえます。未回収とならないよう、エクセルなどを利用してしっかりとした売掛金管理をしましょう。

 

ライタープロフィール

藤崎 徹

藤崎 徹

ファイナンシャルプランナー 会計事務所勤務を経て、現在は資格学校にて、日商簿記試験対策、税法実務講座を担当。 また、FP継続研修講座にて、決算書セミナーや簿記セミナー、終活セミナーを担当。 生命保険、損害保険、相続、贈与、株式投資のWEB執筆に携わる。 税金関連を中心にお金の話を分かりやすく伝えることをモットーにしています。 <保有資格> AFP、CFP科目(タックス)、日商簿記1級、税理士会計科目