請求書を電子化させることのメリットとe-文書法・電子帳簿保存法の基礎知識

 

2005年に施行された「e-文書法」により書類の電子化が進んでいます。請求書を電子化する企業も増えていますが、電子化した請求書を保存する場合、「e-文書法」と「電子帳簿保存法」に対応しなければなりません。そこで今回は、請求書を電子化するメリットや「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の内容について紹介します。紙の請求書保管で、困っている方は必見です!

 

PDFなど電子化された請求書を取引先に送っても大丈夫?

電子化された請求書を取引先に送っても大丈夫です。ひと昔前は、郵送で請求書を送るのが一般的でした。しかし、現在はインターネットやクラウドサービスの発達によって、PDFなどで電子化された請求書を取引先へ送信するケースが増えてきています。

 

請求書を電子化するメリット

それでは、請求書を電子化するメリットを見てみましょう。

 

コストが安くなる

請求書を電子化することでメール送信が可能となり、郵送代が不要になります。紙代や印刷代も節約できるため、請求書を発行する機会が多い企業ほど、コストが安くなります。

 

パソコンさえあれば、請求書作成ができる

電子化した請求書は、パソコンとインターネット環境があれば作成と送付の両方が可能です。しかも、メール添付なら数分経てば取引先へ請求書が届きます。またセキュリティや管理の手間を考えるとクラウドシステムを利用するのもアリです。

出張中や在宅時でも、パソコンがあれば請求書を作れるので便利です。

 

請求書の到着時間を短縮できる

紙で郵送する場合、発行・封入作業から投函・差出をし、取引先に到着するまでには1日から2日程度はかかります。FAXやデータで早くほしいという要望に簡単に対応することができます。

 

保管場所をとらない

請求書を電子化すればサーバー上で保管できるので、紙の請求書と違い保管場所をとらなくて済みます。

 

 

請求書を電子化するデメリット

請求書を電子化するデメリットもあるので見てみましょう。

 

情報漏洩のリスクがある

例えば電子化された請求書はサーバー上で保管し、送付手段をメール添付で行うとします。万が一、パソコンがウイルスに感染してしまうと情報漏洩のリスクが発生します。そのためには、パスワードの設定や、ウイルス対策ソフトの導入などの対策が必要です。
また、電子化された請求書を取引先に一斉に配信できるサービスを利用するのも有効です。一般的に有名な電子化サービスは、どれもセキュリティはしっかりしています。

 

パソコンに不具合が生じるとデータを見られなくなる

パソコンやサーバーに不具合が生じると、請求書のデータを閲覧できなくなる場合があります。対策として、バックアップ処理を行いましょう。

 

IDとパスワードを覚える手間が発生する

電子化された請求書を閲覧する場合、セキュリティの観点から、IDとパスワードの入力が必要になっている場合が多くなっています。そのため、IDとパスワードを記憶しなければなりません。
企業によっては、セキュリティのさらなる強化のため、毎月パスワードを変える部署もあり、覚えるのが面倒だと感じる人もいるでしょう。

 

 

PDFなど電子化された請求書をメール添付で送る場合の注意点

専用の請求書電子化サービスを利用する・しないに関わらず、基本的におさえておきたい電子化されたPDFを送付する際の注意点を3点紹介します。

 

宛先を間違えない

個人情報漏洩でもっとも多いと言われるメールの誤送信リスクです。情報漏洩につながるため、宛先を間違えないようにしましょう。特にメーラーには便利なオートコンプリート機能(宛先を入力すると候補が表示される機能)があり、急いでいるときは要注意です。
また、担当者以外へ請求書を送ると先方の手を煩わせることになり、信用低下につながります。送信前に必ず確認をしましょう。

 

ファイルにパスワードをかけて送る

請求書を送る際は、部外者に閲覧されないように、ファイルにパスワードを設定して送付しましょう。また、パスワードは、請求書データを送ったメールとは別で送付するのが一般的なルールです。

 

何についての請求書か分かるように件名を表記する

件名を見た瞬間、何の請求書か分かるようにするのも大事です。例えば、「〇年〇月〇日材料費請求書××商事宛」というように入力すると良いでしょう。受信側も、何についての請求書かいち早く把握できます。
また、紙の請求書と違い、件名をわかりやすくしないと見逃される可能性も高く、ゴミ箱に移動させられてしまう恐れもあります。(迷惑メールに入る可能性もあります)
件名をわかりやすくすることは、万が一送り先を間違ったとしても、送信相手が早い段階で気付くため、リスクを減らすことにもつながります。

 

 

電子化された請求書を送る場合、印鑑は必要?

法的には印鑑を押す必要はありません。ただし、企業によっては印鑑がある請求書しか受け取ってくれないケースもあります。その場合は、請求書に押印後、PDF化すると良いでしょう。

請求書に押印しPDF化するのが面倒な場合は、先述している専用の請求書電子化サービスを利用するのもありです。社印を事前に登録しておき、PDF化されるタイミングで自動で請求書に押印され、データ化されます。

 

「e-文書法」により紙ではなくデータでの保存が可能

「e-文書法」とは、2005年に施行された法律です。これにより、これまで紙の原本保存が義務付けられていた多くの文書のデータでの保存が可能になりました。請求書の電子化は1998年に施行された「電子帳簿保存法」の対象です。

当初、この法律では、紙媒体の文書のスキャンによる電子化は認められておらず、始めから電子媒体で作成された帳簿書類のみ原本としてのデータ保存が可能とされていました。

しかしe-文書法の制定を受けて、この法律が改正されたことにより、紙媒体の請求書も、税務署長の承認を受けたものはスキャンによる電子化を行い、それを原本とすることが可能となりました。ただし、原本として請求書を電子化するにはいくつか要件があるので、次の章で見てみましょう。

 

電子化させるために必要な「e-文書法」「電子帳簿保存法」の要件と方法

請求書を電子化するためには、「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の要件を満たす必要があります。

 

出力したときの見やすさ(見読性)

電子化された請求書をディスプレイなどに出力した際に、見やすくなければいけません。例えば、フォーマットが崩れ読みづらかったり、文字化けして出力されたりするなど、読めない状態だと認められません。OSやソフトの種類によって、出力パターンが違うので注意しましょう。

 

改ざんや消去などがされないように管理する(完全性)

データの改ざんや消去がされないようにしなければいけません。保存の義務を知らない人に、古いからといってデータを消されないように、また、不正を考えている人に改ざんされないようにシステムを工夫しましょう。

 

必要な電子文書をすぐに検索できる状態にする(検索性)

電子文書をすぐに検索できる状態にしておくのも条件です。「部署ごとにフォルダ分けをする」、「件名には、ナンバリングをつける」などの工夫をしましょう。
理想は、キーワードを入力すればお目当ての資料が出てくるシステムです。

 

システム関係書類を備え付けておく

電子化するために導入したシステムなどの概要書や仕様書、事務処理マニュアルを備え付けておかなければなりません。

 

自社で管理・運用が大変な場合は代行サービスを活用する

電子化された請求書の管理・運用を自社でするのが難しい場合もあるでしょう。 その場合、外部委託するのも1つの手です。

代行サービスを使えば、仮にシステムトラブルがあったとしても、業者に任せることができます。コンピュータの知識に自信がない方は、利用してみるのもいいでしょう。

 

■請求書電子化の案内文例

請求書を電子化する際には送付先の企業への配慮も必要です。理解を得やすいように、請求書受け取り側のメリットを記載しましょう。また「郵送と電子化どちらがいいでしょうか?」と尋ねるのではなく、「電子化します」と言い切る文章にした方が電子化が進みます。どうしても請求書の電子化に対応できないというお取引先のために、お問合せ先を書くことも忘れないようにしましょう。
以下に案内文例を記載しますので参考にしてください。

 

請求書電子化のご案内

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

この度、弊社では請求金額のご案内の迅速化を目的とし、紙で送付しております請求書を電子化させていただくこととなりました。
これまで同様、弊社の社印が押印された請求書をWeb上からダウンロードしていただくことができます。
大変お手数をおかけしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

【電子化でのご送付開始月】
〇〇年〇〇月〇〇日発行分より

【概要】
従来紙でお送りしておりました請求情報をWeb上で簡単にご確認いただけるサービスです。郵送での送付と比較し下記のようなメリットがございます。

・請求情報をご確認いただけるのが、郵送に比べ1~2日早くなります。
・過去〇年分の請求情報をいつでも簡単に検索、ダウンロードいただけます。

誠に勝手ではございますが、電子化に伴い郵送での請求書送付は廃止とさせていただきます。
電子化のご案内につきまして、ご質問やご不明な点等がございましたら、お手数をお掛けしますが下記担当者までご連絡をお願い致します。

【問い合わせ先】
電話:〇〇〇〇〇  メール:〇〇〇〇〇〇
株式会社〇〇 請求書電子化担当:〇〇、〇〇
(受付時間:平日10:00~18:00)

 

まとめ

実際問題として、請求書の発送は、どうしても受取側のことを考えなくてはいけません。自社の管理や手間が楽になったとしても、他社が紙で郵送してくるところ、1社だけ電子で送ってくるとなると、受取側の担当者の手間を増やしてしまうことになりかねません。
そこで二の足を踏んでいる企業も多いのではないでしょうか。

しかし近年、電子化に切り替える企業が増え、かつ様々な会計システムのフォーマットに合わせてデータをエクスポートできる専用の電子化システムも普及し始めているため、思った以上に受取側の負担は減ってきていると言えます。

紙でほしいという取引先やイレギュラー対応の取引先は必ずあります。全ての請求を電子化するのはまだまだ難しいと思います。
しかし、請求書を電子化すれば、仕事の効率化につながりますし、代行サービスを使えば、電子化された請求書を自社で管理する必要も無くなるので、仕事もさらに楽になるはずです。これを機に、請求書を電子化してみてはいかがでしょうか?

 

 

ライタープロフィール

津田 剣吾

津田 剣吾

接客、事務・経理職として勤務したのち、在宅ライターとしての生活を満喫しています。主に「転職」、「事務・経理」、「コミュニケーション」など実体験を生かした記事を執筆しています。フリーライターや個人事業主としての考えを綴ってみたブログ「未経験からフリーライターになってみた!」(http://www.kengo.red)も運用中です。