財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第一回】情報発信×提案が活きる!財務パーソン:その①「財務スタッフが担う定型業務にフォーカスする!」

 

定型業務の自動化よりも、“有効化”を優先する!

企業内における“財務部”と一口に言っても、その役目は業種や規模により様々です。中には、税務・管理会計といった経理としての役目も兼務しているところもあれば、経理とは分かれて、資金調達や運用等を専門にあたっているところもあるでしょう。いずれにしても、専門的な知識を有している人材の集合体なのですが、その中でもスタッフクラスはデータのチェックやレポート作成など、いわゆる定型業務に当たっている方が少なくないと思います。昨今、こうした定型業務については、AIやRPAを活用して効率化を進めることが主流になりつつありますが、定型業務の本質が解らなければ、何をどのように学習させるか自動化させるか、最適な方法についての判断が難しいはずで、見切り発信してしまうと本質が削がれてしまう危険性も生ずるでしょう。

それでは、財務部のスタッフクラスが担う定型業務の本質とは何でしょう?勿論、企業の業種や規模により考え方は色々でしょうが、筆者は経営活動の要になる位置だと考えます。企業とはヒト・モノ・カネといったリソースを活かして、顧客満足度向上や収益・利益の追求を図り、ひいては納税などの社会貢献を使命としています。又、企業価値を更に高めて良好な資金調達を実現させ、投資行動や新事業への参入等々も行っているところもあるでしょう。こうした企業活動の中で、財務部のスタッフクラスの多くは、正に企業人が“ヒト・モノ・カネ”を駆使して積み上げた実績が表れている生のデータをいち早くチェックして、集計・残高確認やレポート作成といった定型業務を遂行しています。

つまり、財務部スタッフは、定型業務を通して、マネージャークラスや経営陣よりも早期な段階で、自社の現況を把握出来る立場にあると言っても過言ではないので、定型業務を自動化するばかりに注視するのではなく、もっと有効化すれば、上層部や各セクションに対して効果的に情報発信や良策を提案することも可能だと捉えて取り組む必要があるでしょう。

本項をお読みのスタッフクラスの方の中でも、既に財務の参謀役として活躍されている方も少なくないでしょうが、ひょっとしたら、僅かにでもメスを入れることで更に有効的な仕事が実現出来るかもしれません。是非、続きを読み進め、明日からご自身の職務に変革を落とし込んではいかがでしょう?

 

能動的に情報発信×提案が出来る基本体制

これまでコツコツと職務に当たってこられた財務スタッフの中には、“もっと高度なスキルが必要なのか?”これまでの業務を抜本的に変える必要があるのか?”と構える方もおられるでしょう。勿論、上昇志向があるのは、素晴らしいことですが、筆者は、ベースとなる仕事は、それ程変える必要はないと考えます。まずは、あなたが能動的に情報発信×提案が出来る環境整備のために、以下に示した基本姿勢二点を押さえることから、スタートを切ってはいかがでしょうか。

Ⅰ、自社の経営方針の確認
Ⅱ、気づきやすいデータ環境整備

次に項目ごとに述べていきます。

 

Ⅰ、自社の経営方針の確認

さて、あなたは自社の経営方針がどのようなもので、具体的に何をどう進めていくのか、即答出来るでしょうか?もし不明なのだとしたら、財務部内の会議にでも上司に質問するなどして、把握するようにしましょう。経営方針を知ることで、あなたが担当している定型業務の中に落とし込みが出来、有効な“情報発信×提案”のための準備が出来得るはずです。たとえば、自社が設備投資を進めて事業拡大を検討していて、あなたがデータチェックを担当しているのなら、既存事業の利益推移のチェックや固定資産ごとの採算性を精査する。或いは、自社がベンチャー企業への投資を強化していて、あなたがレポート作成を担当しているのなら、これまでの投資先を業種別に分けて、リターンが高かったところを抽出して参考資料を作成するなど、諸々なアイデアが生まれるはずです。

勿論、あなた一人では、難しいところもあるでしょう。であれば、他の財務スタッフや経理部門のスタッフらと連携すれば、相互間でアイデアが集まりやすくなり、可能性は広がるはずです。

 

Ⅱ、気づきやすいデータ環境整備

次にあなたが普段扱っているデータについて、更に深く掘り下げて考えていきます。現在では、財務データについて様々な分析表の出力が可能で、大方は財務マネージャーに位置する方が経営会議等でそれらの分析表を元にプレゼンテーションをしたり、外部のステークホルダーの方々にも、公表したりといった体制が築かれているのでしょうが、データの一つ一つを積み上げ、確認作業にあたっているのは、財務のスタッフクラスのあなた方ではないでしょうか。あなたならではの視点で、早期段階での情報発信をしない手はないはずです。実現するには、日頃取り扱っているデータ類を整備して、あなたが気づきやすい環境にすることが肝要です。

たとえば、定番なROI、ROAといったスタンダードな経営指標の推移についても、単に決まりきったフォーマットに入力するばかりではなく、あなたが変化に気付きやすいように、時系列で且つ前年同月比で精査できるようにしたり、為替相場や自社の事業内容の変化など、相関性がありそうなデータと併せ見るようにしたり工夫をすれば、マネージャーらが気づく以前にあなたが重要な点に気付くことが充分にあり得るので、企業内の全体的な生産性向上も実現するのです。

 

財務部全体の仕事が付加価値を生む!

ここまで読まれた方の中には、「こうした仕事は既に他の人、或いは、マネージャークラスが当たっている」 と思われた方がおられるかもしれません。確かにダブり仕事は非効率を生むでしょう。こうしたことが懸念されるのであれば、あなたが現在担当している仕事にフォーカスし、どんなステークホルダーらと繋がっているのか、貢献度はどのようなものか、再考してみることで、あなたなりにやるべきことが見えてくるのではないでしょうか。たとえば、代り映えしないように見える資料作成についても、何を強調し誰に発信するのか、担当者であるあなた自身が検討することで、ダブルことのない何かしらのアイデアが浮かぶはずです。

又、部内会議などを通じて、「自身が担う定型業務を通し、有益な情報発信をするため、今後はこのような手法を取り組みたい」 といった議案を出して、他のスタッフらの意見などを聴きながら進めれば、マネージャークラスは役割の采配に留まらず、マネージャー自身が更に経営責任を担うような次のステップを踏まざるを得なくなるでしょう。

このように、あなたが口火を切ることで、他の財務スタッフの方々も触発され、マネージャークラスも腰を上げるのです。又、定型業務についても、何を自動化させるか、より鮮明に見えてくるので、AIやRPA導入についても、適切に講ずるのではなないでしょうか。

前述した二点の基本体制を築き、財務スタッフならではの視点が効いた仕事を邁進すれば、徐々に視野が広がり、これまでよりハードルが高い仕事が出来得るでしょう。

次回も財務スタッフの視点が効いた仕事術を考えていきます。

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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