財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第四回】「IFRS実践編」財務パーソンの視点・行動が重要なカギに!

 

国際会計基準導入後の財務スタッフは、主体的に前進すべき!

いよいよIFRS導入が決定し、本格的に始動しようとする中で、まさに財務スタッフは実践者の立場です。よって、他部署のスタッフや取引先、そして間接的にでも投資家の方々に向けた職務にフルで当たらなければならないので、ウエからの指示を待ちながらのスタンスではNGのはずです。
勿論、ひと口に“財務スタッフ”と言っても、業種や規模、そして財務部での役割は千差万別なので、方法論は様々でしょうが、現場に一番近い環境にいる財務パーソンならではの視点で、能動的な行動を執る必要があるところは共通項でしょう。

今回は実践に向けて、財務スタッフの視点の向け方と具体的な行動策について記述していきます。財務スタッフのみならず、彼ら彼女らを支援する側のマネージャー層の方も読み進めてください。

 

実践編:視点の向け方&3つの行動策案

まずは、IFRSを実践していく中での視点の向け方について、ポイントを3つに分けて解説していきます。勿論、既に当たっておられる方も多いでしょうが、軌道修正箇所が見つかるかもしれません。参考にされながら、実践に落とし込んではいかがでしょうか。

 

1、観察できる仕組みを整える。

本項をお読みの財務スタッフのあなたは、自社がなぜ、IFRSを導入する経緯に至ったのか即答できるでしょうか?一般的な理由に世界中の資本市場で資金調達の可能性が拡大することが挙げられるでしょうが、至極当然のことながら、導入後はそれらが実現されているのか否か冷静な現場視点で観察することが肝要です。

たとえば、導入前と比べ、資金調達元の層がどのように変化していったか、そして調達額と資金コストの推移を観察し、効果の程を探るのは、現場にて従事する財務スタッフとして要の職務でしょう。勿論、既にマネージャークラスの方が分析しているケースもあるでしょうが、財務データをいち早くチェックできる、あなたならではの視点は貴重なはずです。予測していた効果と比べて実績の程は如何なものなのか、遠慮せずに上司に対して発信するようにしましょう。

もし、観察出来にくく、このような職務がやりづらい環境なのであれば、問題点を探って、改善に努めるのは基本中の基本です。その中でオペレーション自体に問題があると思われるのなら、何をどのようにすれば改善されるのか具体案を提起するなど、実務者であるあなた自らが実践することも時には必要になるでしょう。勿論、あなた一人で行動が難しいようであれば、しかるべき上司や関連部署に対して、問題点について声を出し、協力を求める必要もあるかもしれません。

あなたが財務パーソンとして能動的な職務が出来るのか否かを重点に絞り込み、やり辛いところを確実に軌道修正していかなければ、自社の行く末にも芳しくない影響が及ぶと意識して当たってはいかがでしょうか。

 

2、関連部署の現況を掬い上げる。

導入後は財務部のみに変革が訪れることなどあり得ません。財務部以外の関連部署側も本業の他に導入準備から現在に至るまで、多大なる尽力があってこそ、実現出来たと言っても過言ではないはずです。こうした背景の中で案外、見落とされやすいのが、関連部署内で生ずる導入後のトラブルです。

たとえば、筆者が取材する中で良く見聞きされるのが、連結決算をする際、締め切り日にデータが中々揃い難いといった点です。こうした実情は“まあ、皆それぞれ忙しいのだから、仕方ない・・・”と流されがちなのですが、もしも等閑になっていれば、IFRS導入云々以前に財務処理を軽視していると言っても過言ではないでしょう。実務担当者にあたる財務スタッフは、こうしたデータの遅延や不揃いが生ずる点についてもシビアに原因を追究して、潜在している問題点を掬い上げる必要があるでしょう。財務情報をステークホルダーに発信することの重要性をどのように他部署にも周知出来るか、財務部全体で共有して、諸々の意見を募りながら、解決策を講ずる術を探りましょう。

他にも売上計上基準が改訂されたことにより、取引先に対しても面倒な手続きをお願いするなど、外部の協力を得なければならないことも十分に考えられます。こうしたことは導入前に既に注意深く計画しながら当たっているでしょうが、実務者側のみが知り得るような想定外の問題点が生ずることもあり得るでしょう。

導入後に大きな展望を描き、理想論を述べることが出来るのは上層部のみ・・・といったことにならないよう、財務部スタッフらでコアな情報を共有し、潜在的な問題を上司に対してレポートしたり、改善策を検討してアドバイスを仰いだり、現況についてメスを入れることは、今後も要な職務になっていくでしょう。

 

3、適切なプレゼンを検討・実行する。

月次処理の場面では、正しいデータをそのまま上司に対して挙げて、ゴール!と考えている方は僅少でしょうが、念のため押さえておきましょう。導入後は言わずもがな、前とは異なる基準の財務諸表がベースとなるため、見方が困難になることなど織り込み済のはずです。よって、関連部署側の担当者が導入後の財務諸表や予算実績表などの資料を難なく読みこなすことの方が僅少となる可能性も大でしょう。

財務スタッフは、各部署に対してのデータプレゼン方法が適切なのか否か、シビアな現場視点で検討することは外せません。つまり、他部署が実績を精査して、今後どのような行動を執るべきか、適切な判断ができるような情報なのか否か、構成を見極める必要があるのです。たとえば、会計基準そのものが大幅に改訂されたため、資料のレイアウトも大きく変更されたのであれば、財務スタッフ側は何がどのように改訂されたのか、具体的なところの注釈を加えて解りやすくする、或いは関連部署からの意見を募って、レイアウトの変更も視野に入れて抜本的に改訂を検討するなど、行動を求められることがあるかもしれません。

 

“ゆとりがない”ことを諦めてはNG

IFRS導入後早々の頃は、組織内の全体的な視点がどうしても外部のステークホルダーへ向いてしまう傾向にあると思います。国際基準の会計制度導入デビューなのですから、当たり前のことなのでしょうが、自社内部のしっかりとした機能が果たされているからこそ、適正なアピールが可能なのです。よって、財務スタッフ側の細部に渡る目配りと的を射た行動が要になることは言うまでもないでしょう。もしも、本項をお読みのあなたが、“ここまで、こなすゆとりがない・・・”と感じられたのであれば、あなたが置かれている環境を見つめ直して、何が原因で難しくなっているのか冷静に考え、上司に伝えたり、会議の場で発言したり、改善行動を執ることが要になるはずです。

財務スタッフの底力がフルに表出し、活かされることが当たり前なのか否か、IFRS導入後はそこが問われるでしょう。

さて、あなたのケースではいかがでしょうか?本項を参考にしながら、僅かでも危ういところがあれば、早急にメスを入れてください!

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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