財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第二回】情報発信×提案が活きる!財務パーソン:その②「財務パーソンによる現場視点が効いたアプローチとは?」

 

良好なアウトプットは、過去データに注視するばかりでは、実現出来ない

財務スタッフは、ファイナンスに関する専門知識を活用しながら、自社の企業価値に関する財務データの変動に注視し、有効な形でアウトプットしていることでしょう。初回でも触れたように財務スタッフは、企業人が“ヒト・モノ・カネ”を駆使して積み上げた実績が表れている生のデータをいち早くチェックできる位置にいるので、マネージャークラスや経営陣らよりも先に自社の現況が解る立場にあると言っても過言ではありません。

よって、財務スタッフは部署内にて数値化された過去のデータ変動のみに注視するばかりではなく、自身の視野を各セクションや経営陣にも広げ、効果的な行動を執ることにより、自社や各ステークホルダーに対し、良好な策が講じられる可能性が充分にあり得るのです。

今回は財務スタッフが各セクションや経営陣に対し、どのようにアプローチすれば、幅広い範囲において更に有効な職務になり得るのか説いていきます。既に“財務パーソン”として果敢なスタイルで職務に当たっておられる方も多いでしょうが、本項を読み解き、これまでの自身のスタイルを振り返りながら、僅かでも取り入れることで、自社や各ステークホルダーのために留まらず、自身の更なる成長にも繋がるはずです。

 

各セクション&経営陣に向けた有効なアプローチとは?

あなたは、休憩スペースなどの場で社員らと交わす会話の中でも、ざっくばらんに各セクションにて、現在どのようにプロジェクトが進行しているのか、今後はどのような意向で事業活動を進めていくのか、垣間見ることがあると思います。その中で財務部が調達した資金が何らかの形で投じられているケースが多々あるはずなので、各セクションに属するスタッフから現況をより深くヒアリングすることで、財務スタッフならではの視点が効いた情報を各セクションにて活躍しているスタッフらに届けることが可能ではないでしょうか。

その一方で、経営陣に対してですが、実務上において財務スタッフが経営陣らに直接アプローチすることは困難でしょう。しかしながら、上司を介して状況報告する、改善策を提案するなど、方法はいくらでもあるはずです。具体的な手法を以下の三点にまとめてみました。是非、参考にしてはいかがでしょうか。

Ⅰ、各セクションが有効な事業活動を進めるための情報発信をする

コーポレートファイナンスは、いかに企業価値を高めて資金調達を実現するかといった使命感がベースとなって機能するので、財務部単体の活動のみで成し得るはずなく、企業内のセクションの事業活動が大いに影響することは言うまでもありません。

よって、各セクションに対し、PL情報のみならず、セクションごとの事業活動に関係する財務情報を開示し、今後の事業活動の進路をどうするか見極めてもらえるようにする手法は外せないでしょう。上場企業であれば、自社の財務データなど誰でも見ることができますが、財務スタッフが各セクションにて活躍するスタッフに対し、出来るだけ解りやすいスタイルで情報発信すれば、更に効果的に伝わるはずです。

たとえば、生産性を上げるために資金を投じて設備投資した場合、調達コストや設備投資前後の生産量と販売量、そして、その設備の稼働に関わる人件費の推移や肝心の資金回収額を併せ見てもらうようにデータを整理すれば、製造部や営業部、人事部といったそれぞれのセクションの社員らが、自身の活動と鑑みながら今後の活動内容を検討し、適切な生産量やそれに見合った販売手法、そして人員配置などを講ずる期待が出来るでしょう。

現場目線の財務データの表し方。あなたが財務部の外でヒアリングした各セクションの声を活かしながら、あらゆる角度から実践してはいかがでしょうか。

Ⅱ、各セクション&上層部のパイプ役として機能する

Ⅰにて記述した財務データの見せ方を実施するには、上司のゴーサインが必要である場合が殆どでしょう。

もし、却下されたのであれば、そこで諦めることなく、問題点を掬い上げ、クリアする方法を見出して実現に繋げましょう。余程、マネージャーとしての資質が疑われる上司ではない限り、あなたが各セクションに対して情報発信する姿勢に対し、難色を示す人は僅少でしょう。 又、各セクションの実情をヒアリングするなかで、何かしらの問題点に触れる機会もあるかもしれません。

たとえば、人手不足や稼働率の悪さなどが聞こえてきたのであれば、そのセクションのマネジメント不足は基より、財務部が調達した資金配分の見直しも必要かもしれないと捉えるべきです。あなたが上司へ実情を的確に報告すれば、経営陣らにも浸透し、改善策が諮られることもあるでしょう。 財務パーソンとしての使命を心掛け、シビアに各セクションの活動を注視し改善に繋げるのは、現況を知り得たあなただから出来得ることです。

Ⅲ、IR情報を紐解き、自社の軌道修正箇所の有無を探る

財務パーソンにとって関係性が深いIR情報について読み解き、内部事情と鑑みることで、あなたなりに軌道修正箇所が見つかるかもしれません。

IR情報は自社が抱えるヒト・モノ・カネといった経営資源を如何にして有効活用し、利益追求や良好な資産形成がなされているのかを表しているとも捉えられ、数値化された財務情報のみならず、具体的に取り組んでいる活動など定性的なものも盛り込まれています。

勿論、そこに嘘、偽りがちりばめられていたら違反行為ですが、たとえ事実であっても、現場にいるヒトの無理な活動によってギリギリな状態で行われていたり、組織・システムが形骸化されている中で何とか実現されていたりといった裏事情も潜んでいるかもしれません。

これらを是正する、改善行動を起こすなどは立場上難しいでしょうが、IR情報から紐づけされた現場事情を取り上げ、スタッフ視点で具体的改善案をまとめて、上司を介して経営陣側に発信してもらったり、財務部内の同僚らと意見を募り、何らかの社内制度を使って意見を述べたり、選択肢はあるはずです。 あなたの行動により、自社の経営活動についての軌道修正が図られ、ひいては外部投資家から、より良い評価を得ることも充分にあり得るのです。  

 

今後のわが国に視点を向ければ、前進するしかない!

各セクションのみならず、上司や経営陣に対するアプローチは、特に企業規模が大きくなればなるほど、難しいと感じている財務スタッフは多いでしょう。

しかしながら、少子高齢化が加速し、労働者不足が進行していく中で、人材の潜在能力が充分に発揮されているか否か再考することなど、基本行為です。

経営陣は、組織等に問題点があれば、改編を迫られるでしょうし、個々のスタッフも遠慮する、諦めるといった後ろ向き姿勢など、通用しなくなるはずです。

これまで、ファイナンス知識を中心に詰め込み、財務専門部署で活躍していた財務スタッフの中にも、もっと行動範囲を広げて、能動的に取り組みたいと感じた方もおられるのではないでしょうか。是非、今からその一歩を踏み出してみてください。    

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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