財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第八回】価値あるアウトソーシングに結びつける!財務パーソンの底力

 

財務パーソンも他人事ではない、アウトソーシングについてのアプローチ

今やアウトソーシングを検討導入する企業の割合はかなり高くなりました。つまりは、自前の経営資源のみならず、外部調達によるサービスも有効な資源として活用するような経営スタイルなのですが、導入の際、実務に携わる機会のない財務パーソンにとっては、他人事だと感じている方も少なくないのではないでしょうか?又、大多数の企業人がアウトソーシングについて、人材派遣と同じようなもの→コスト抑制といったロジックを先行させ、目先の利益ばかりを求めてしまうケースも否めません。

しかしながら、アウトソーシングにより、企業価値を高めるといった発想で臨めば、財務パーソンの出番は少なくないです。

今回は、アウトソーシングをテーマにして、財務パーソンが実際にどのようなアプローチをしていくのが得策なのか、考えていきます。

 

財務パーソンの腕の見せ所。3つのアプローチ

本項をお読みの方の多くは、既に机上で財務データを逐一チェックするのみの財務パーソンから卒業しているのではないでしょうか。そのような方は、冒頭の文章をお読みになった時点で、アウトソーシングをテーマにしたアイデアを脳裏に浮かべているかもしれません。

ただ、中には、“意見を言える立場ではない。”など、ネガティブな思いを抱いている方もおられるでしょう。そこで留まっていては、何も進展しないので、ネガティブモードを払拭して、本項の続きを読み進めてはいかがでしょうか。

以下に財務パーソンとして、お勧めのアプローチ方法を説いていきます。たとえ、あなたが財務部の一スタッフだとしても、出来ることがあるはずです。

自身の立場に置き換え、上司や先輩に相談しながらでも、是非、実践してみてください。

 

1、基幹部署(人事部・経理部など)との連携が基本スタイル。

本連載の中で、筆者は何度か財務部が経理部と連携するのは不可欠である、と説いてまいりましたが、アウトソーシングにも目を向ければ、直接的な窓口役である人事部や総務部などの基幹部署との連携を外してはならないでしょう。理由は言うまでもないでしょうが、アウトソーシングによる人材投入やサービス提供を受ける目的と期待する効果がどのようなもので、どれくらいなのかといった情報が不足していれば、財務部としての職務が果たせなくなるからです。たとえば、人材投入数や提供されるサービスの規模が大きいあまり、収益・利益確保がままならないうちに、先行費用が多額に発生する、或いは、そもそも期待値を達成するに相応しい計画なのか疑問視してしまうなど、早急な善処が必要なところも見つかるかもしれません。ひいては、財務パーソンとして、人事部や総務部に対し、キャッシュアウトの時期の分散を提案したり、サービスの内容の見直しを求めたり、といった職務を講ずる必要性も出てくるでしょう。

たとえ、あなたが財務部のスタッフクラスであり、ここまで講ずることが困難であっても、事業計画等の情報が共有されていなければ、あなたが目にする財務データ一つにしても必要性があるか否かの判断が出来ないはずです。企業の中にはアウトソーシングの導入実績がないところもあるでしょうが、将来的に導入の可能性はゼロではないでしょう。財務上にも大きく関わっていることだと、上司や先輩に伝え、今後のためにも必要な情報を自分から集めるようにしてはいかがでしょうか。

 

2、アウトソーシング導入後のプレゼンテーションも基本中の基本!

次に経営陣らや関係部署らに対し、プレゼンすることも外せないでしょう。財務部と基幹部署が連携しながら、アウトソーシングを進めることにより.その効果が自社の財務状況にどのように影響を及ぼしたのか、解りやすいプレゼンテーションを図ることは基本的なところです。ただ、経営陣や関連部署の人達は、期待する事業の収益・利益実現がアウトソーシングによる成果だと判断出来にくいところもあるはずです。そこで、財務パーソンのみならず、基幹部署と連携しながらの分析・判断により、的確に伝えることで、これまでを振り返り、次のステップに前進することもあるでしょう。

たとえば、経理部と連携しながら、アウトソーシング導入の前後を比べ、該当するセクションやプロジェクトが生み出した成果とも言うべき利益・キャッシュの増額を示すのはスタンダードでしょうが、人事部が有する実働労働時間の増減データや総務部が有する固定資産の稼働率などを併せることで、生産性向上が実現されたのか否か、といった分野でも、プレゼンすることも可能でしょう。つまり、財務部のみならず他の基幹部署と連携してプレゼンテーションを行うことで、相手方は経営活動上、目配りしなければならないところを包括的に把握することが出来るため、次にどの箇所を軌道修正するべきか、早期の段階で判断しやすくなるのです。

財務部のみの独りよがりな分析・プレゼンばかりではなく、企業全体といった広い視野で取り組むプレゼン策を取り入れるのは必須です。もし、不足な点が感じられたのであれば、経理部・人事部を交えたミーティングの場を設け、三部署それぞれの役目が効いたプレゼン方法の工夫策を話し合うなど、進展させては如何でしょうか。

 

3、ステークホルダーに対しての有効なアプローチに尽力する。

最後は財務部ならではの視点が効いたアプローチについて説いていきます。財務部の使命は様々でしょうが、株主や金融機関といったステークホルダーに対して有効なアプローチを進めることが優先されるでしょう。財務パーソンは自社がどのような手法で資金調達を実践しているのか振り返り、具体的な策を検討し、尽力してはいかがでしょう。

たとえば、金融機関からの融資により、資金調達する傾向があるのであれば、今後のアウトソーシングの導入についての計画を示し、将来的に生み出される利益・キャッシュを表して、返済能力をアピールする。或いは、新規事業に参入する事業計画があれば、アウトソーシングをどのような場面で活用し、具体的にどんなところで社会的使命を果たせるかなど、定量・定性、両面にて好評価を得るための策を具体的に講じてはいかがでしょう。

まさに財務部門の底力を見せる場面なので、マネージャークラスの方は、自己の使命であるマネジメント能力を発揮し、スタッフらに采配を振るう、そして、スタッフクラスも主体的になって、アイデアを提案するなど、個々の能力を表出させながら、財務部門の機能をフルに発揮してみてください。

 

自社に新鮮な風が吹き込まれるアウトソーシング

アウトソーシング=外部委託に違いないのでしょうが、ドライな視点のみならず、外部スタッフの投入+外部のノウハウにより、他の世界を経験している人から学べる、或いは、サービス導入により、これまでとは異なる経営戦略を打ち出せるかもしれない、と捉えることも大切です。つまりは謙虚な姿勢で、アウトソーシングにより、外部スタッフ(アウトソーサー)の声を掬い上げたり、外部から調達されたサービスの更なる有効活用策を検討・実行したりといったことも、自社の企業価値を高める近道になり得るのです。

こうしたスタンスは、人材不足やAI導入などが影響される中、個々の人材の潜在能力や既存の資産の有効活用を模索など、本質的な経営活動を進める上でも不可欠でしょう。財務パーソンは、立場がどうあれ、個々が持つ価値観を一度リセットして、アウトソーシングについて、どのような手段を執るべきか、じっくりと検討してはいかがでしょう。

手探りでも、研鑽を積むことで、目の前のデータ処理や分析といったルーティンワークを進める中でも、派遣された彼ら彼女らが持ち合わせている知的財産を活かす方法や更なる外部サービスの有効活用策などが見つかるかもしれません。僅かでもアイデアが見つかったのであれば、整理して起案するなど、是非、行動に移してみてください。

アウトソーシングは、外部から新鮮な風が吹き込まれます。この機会に自社の企業価値の高め方を更に追求してはいかがでしょうか。

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。 建設・製造・美容・フードビジネスなど、幅広い業界で経理業務を経験。 担当者から管理職まで様々な立場での経験をもとに、経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。 「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。

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