財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【 第十回】いよいよM&Aの到来。 その②:「コンサルティング会社の選定・活用にも目配りを」

 

コンサルティング会社の選定に向けて立場はそれぞれ・・・

先回は、M&Aのプロジェクトメンバーに抜擢された際、財務パーソンとして担うべき役目について説いてまいりましたが、今回はどちらかと言えば外部の位置にある、M&Aに特化したコンサルティング会社の選定方法を焦点にして、財務パーソンとして相応しいスタンスや執るべき行動を考えていきます。

本項をお読みの方の立ち位置は様々で、中にはようやくM&A実行の入り口あたりにおられる方もいれば、既にM&A実践のスタートを切り、コンサルティング会社との関係を築いておられる方もいるでしょう。今回は、あらゆる立場に位置する財務パーソンに向けて、コンサルティング会社の選定や接し方について説いてまいります。

どのような視点で選定すれば、より最良な関係性を続けていけるのかを改めて考え、自社に相応しい方法を選択していただければと思います。

 

プロジェクトチームの機能をしっかりと働かせることが基礎。

M&A導入時のコンサルティング会社の選定のみならず、自社が取引先を選定する際は、これまで、しかるべき段階を踏んで決定しているはずです。恐らく多くのケースでは、会議等の場で意見を収集しながら進めているでしょうが、ましてや、この度のステージでは、他社との合併や統合といった、自社内部での運営に留まらない大事業なので、なお一層、慎重な姿勢で取り組む必要があるのは言うまでもありません。よって、プロジェクトチームのメンバーは、自社が抱いているM&A実行による目的をしっかりと把握し、時にはメンバー以外の見解などをヒアリングしながら、意見をまとめ、選定会の場でプレゼンするなど、誠心誠意当たることが求められるでしょう。

つまりは、プロジェクトチームの役割が極めて重要になるので、機能が不十分だと勇み足の選定になり、M&A導入の目的達成に遅れが生ずる等の危険性もあり得ると真摯に受け止める必要があります。それ故、プロジェクトチームの長は、メンバー個々の見解を尊重しながら、選定実務にムダ・ムラが生ずることなく、最も相応しいコンサルティング会社との契約が実現するように、マネジメントを図る必要があるでしょう。

次にこうした体制を基礎として、実際に選定する際のポイント3点を以下に示しました。ぜひ、参考にしてみてください。

 

◆POINT1:傾聴力=相応しいパートナーか否かの決定打に!

まずは、コンサルティング会社が自社にとって相応しいパートナーとしての資質を備えているのか否か、見極めることが基本中の基本です。ただ、どこを見極めれば良いか、迷う方もおられるでしょうが、筆者がお勧めしたいのは、選定時、コンサルティング会社側と面談する際、相手方が話す割合よりも、あなたの話を傾聴する割合の方が高いか否か、といった点なのです。

たとえば、コンサルティングスタイルに独自性があり、成功実績も申し分ないところであっても、自社の意向について十分に理解することなく、単にそのコンサルティング会社のメソッド通りに進めるようであれば、先々が思いやられるのは言うまでもありません。

面談する際、相手方が自社の沿革やM&A導入に至るまでの経緯を丁寧にヒアリングしてくれたり、適切に質問を投げかけてくれたりすることで、自社側も軌道修正する必要な箇所が見つかるなど、より良い方向に進めることができるはずです。

このようなコンサルティング会社であれば、M&A実行後も継続して、親身に相談に乗ってくれることも期待出来るため、将来的に見ても相応しいパートナーだと言えるのではないでしょうか。

 

POINT2:実務担当者である“人”にも目を向ける。

次にコンサルティング会社の担当者の人選についても目を向けてみましょう。もちろん、“信頼のおける人”であるのは、最重要視するところでしょう。ただ、そもそもの“信頼”がどのようなものなのか、突き詰めて考える機会は稀ではないでしょうか?冒頭でも述べたように、M&Aは大事業なのですから、それ相応の人材が自社の担当になって進めて欲しいでしょうが、単にM&A導入後の新業種に明るい、或いは、その道のベテランといった理由のみでは不十分です。筆者がお勧めしたいのは、かなりシンプルなもので、前述した傾聴力に加え、時には厳しい意見を言ってくれたり、抜本的な改善策を提案してくれたりといった、状況に応じて真摯な対応をしてくれるところなのか否か、しっかりと見極めることなのです。

たとえば、M&Aの導入目的が新業種のノウハウを得ることだとしましょう。

①自社がそのノウハウを活かし、どれだけの収益・利益が得られるか
②ステークホルダーの信用を得て、現段階よりも、どれ程企業価値が高まるのか

第三者の立場であるコンサルティング会社から見て、具体性に欠けるのだとしたら、

①実践の途中段階で、鋭い指摘をしてくれたり
②他社の例を示してくれたり
③柔軟な対応してくれる

人でなければ、M&A導入後の成功など、難しいかもしれません。

選定の際は、担当者についての人選をどのようにしているか確認し、出来るだけ自社側の要望も伝えるなどして、慎重に臨む必要があるでしょう。

 

◆POINT3:フットワークが軽いか?

最後は具体的なコンサルティングの実務についてです。契約を結ぶ際、今後の予定について双方と詰め寄って決めるでしょうが、コンサルティングの実務を進める中でフットワークが軽いか否かも重要なポイントです。

たとえば、M&Aの対象となる相手の法人からの財務データ等の資料取り寄せや、打ち合わせ、そして自社に対する進捗状況についての報告といった諸々の実務が、迅速に且つ、自社の要望に沿っているものでなければ、費用対効果・生産性の観点から見てもマイナスが生ずるはずです。このような事態を回避するには、契約する前段階において、実務ごとの所要日数の根拠や連絡・報告する際の具体的なツールや方法などをしっかりと確認することが肝要です。

ぜひ、プロジェクトチーム内で、実務面での課題・疑問点をすくい上げ、クリアにしてからスタートを切るようにしましょう。

 

持続可能性を求めるため、息の長い付き合いを進める。

M&Aが成功したか否か、判断基準は様々でしょうが、M&Aの効果の中に持続性があるか否かも問われるのではないでしょうか。正に昨今、よく耳にするキーワードですが、今後わが国でも、回避出来ない少子高齢化による国力の減退が危惧される中、たとえM&A導入により、ある程度の目標達成が出来たとしても、引き続き、広い視野を持って国内外の情勢も見つめながら、ステークホルダーらへ貢献し続ける方策を練り、行動する必要があるはずです。こうした中で、M&Aの実行後も外部目線を持ち合わせているコンサルティング会社から、価値ある情報提供など適切な支援が受けられるのか否かも、判断基準の一つであると考えられるのではないでしょうか。

より良い未来を見続けながら、適度な距離間での付き合いを続けられるのか、プロジェクトチーム内外で、個々の見解を話しながら、選定に当たってみてください。

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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