財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【 第十二回】何かが起こってからでは遅い!BCPの観点からの 財務パーソンの役割とは?

 

コロナショックを教訓に前進する

この記事は、2020年の4月下旬頃から執筆を開始しています。本項が皆さまの目に届く頃には、コロナショックの終息が近づいていること、強く願うばかりです。

今回はこうした未曽有の事態が生じた場合、財務パーソンがどのような役割を担うべきかBCPの観点から説いてまいりますが、今般のコロナショック渦中において、感染防止や生活物資の備えなどなど、かなり多くの方々が苦労を強いられたはずです。

また、中には罹患され、病と闘っている方もおられるかもしれません。そのような状況下において、財務パーソンの役割を冷静に再考するなど困難なのでしょうが、まずは現在、財務などの仕事に邁進できる方が僅かでも目を通してくださり、参考にして頂ければ・・・そんな思いで綴ってまいります。

 

ヒト・モノ・カネに焦点を当てた緊急体制づくりが肝要

BCPは正に危機的状況下においても、重要な業務をいかに継続させるか、といったことが主軸となりますが、単に体裁ばかりを整えれば良いといったものではないことは、言うまでもないでしょう。よって、本質的な機能が求められるので、企業経営のリソースであり、本コラムの大テーマでもある“ヒト・モノ・カネ”に焦点を当てて、緊急事態の備えを講ずることを基本理念として進めることが肝要です。

しかしながら、財務パーソンの中でもスタッフクラスの方であれば、立場上、陣頭指揮を執って対策を講ずることなど、困難なのかもしれませんが、有事が生じた場合に、多大なダメージを受けるのは現場であるケースがほとんどではないでしょうか。

日頃から、実務を通じて課題・問題と直面している財務パーソンの思考・行動は、貴重なはずです。いつものようにポイントを以下に示しますので、あなたの潜在能力をフルに発揮してみてください。

 

◆POINT1:ムダの徹底排除は冷静に俯瞰して進める。

通常モードでは当たり前のように進められていることでも、“なぜ、こんなやり方をしているのか・・・”“この業務、必要?”など、ふと感じた経験のある財務パーソンは少なくないでしょう。ましてや緊急事態が生ずれば、企業内の主要な業務を優先して続けなければならないので、ムダを放置していれば、高リスクなのは言うまでもありません。よって、『さあ、改善行動!』となるのですが、何を無駄とするのかを冷静に判断することを外してはならないでしょう。

たとえば、あなたがスタッフクラスであれば、財務データの入出力など、ルーティンワークを担っているのではないでしょうか。これらの業務について、“特に重要ではない”“ムダでは?”と捉えるのは危険です。そもそも、自社内に無駄な業務など、ほとんど存在しないはずなので、『然るべき部署・ヒトにとって有意義に活用されているのか?』『やりにくいところはなかったか?』『コストを抑えられる箇所はないか?』等々、あらゆる側面から見直し、正しくムダの本質をあぶり出すことが肝要です。以下の図を参照してください。

このように整理して改めて俯瞰することで、権限移譲や承認フローの簡素化、あるいは、データ分析や関連部署へのプレゼンといった付加価値の高い仕事を担うためにアウトソーシングも視野に入れるなど、的を射た改善策が表出されるでしょう。

今般のような未曽有の事態が生ずれば、迅速な情報公開が求められることもあるはずです。価値ある人材である、あなたの職務が最大限に活かされるように、ぜひ、行動を起こしてください。

 

◆POINT2:部署間の連携も不可欠!

財務パーソンであれば、デスク上で執務を行う・・・といったイメージばかりではN.Gです。今般のコロナショックのような未曽有な事態下では、果敢な行動力が求められます。具体的には、資材や消耗材の在庫がどれくらいの期間持ちそうなのか、あるいは、要である手元資金がショートすることがないのか等、早急に現況を把握して、然るべき策を講ずるためには、部署間の連携は不可欠です。直接部門にあたる製造や営業部門ならびに間接部門ではあるものの、財務部とは密接な関係にある経理・総務といった他部署と、個々の進捗状況を共有しながら連携して当たることが、もはや当然視されるでしょう。

たとえば、原材料・消耗材の発注・払い出し状況などの情報を現場スタッフ間で共有し合う。それらの情報を基に財務と経理のスタッフは、財務データを解りやすく発信して、適切な在庫数や製造数を伝達するなど、現場が円滑に稼働するための支援策を講ずることは、高額なシステムなど導入しなくても、スタッフ間で出来るのではないでしょうか。もちろん、規模や業種により取り組むべき内容は異なるでしょうから、自社にとっての主要となる箇所に焦点を絞り、最善の方法を進めてください。

モノ・カネといった企業の血液にあたる財源を適切に調達・投入して、主要業務を回す、こうした支援策を講ずることが可能なのか、あなたなりに疑問視してみてください。

もし問題点があるのであれば、放置しては絶対になりません。懸念するところも部署間で連携して、改善策を進めることで、払拭も可能になるのではないでしょうか。

部署間の連携は、主要業務を支援するために不可欠!

 

◆POINT3: 外部評価を意識した財務スタッフの本業

最終ポイントは、財務スタッフの本業についてです。冒頭でも述べた通りBCPは主要業務を持続させるための策ですが、財務スタッフならではの職務として、ステークホルダーからの支持を受け続けられているか否か、こうした視点は通常業務の中でも既に刷り込まれているでしょう。もちろん、未曽有の事態下において、先々をじっくり見通しながら、自身の職務を軌道修正することは難しいでしょうが、自社が経営の持続を追求しているのであれば、たとえスタッフクラスであっても、自身の本業でのBCPを模索・実行する必要があるはずです。

筆者がまず、お勧めしたいのは、自社の取り組みを客観視することです。今般のコロナショックにより、多大なダメージを受けた企業が多々あったでしょうが、そうした中でも企業努力により、収益・利益追求のみならず、社会貢献まで意識した経営活動を続けようとしたか否か、もし、あなたが自社の投資家であれば、どのように評価するか、考えてみることです。その中で、何か欠けている、もっと、こうすれば・・・との事項があれば、何らかの方法で発信することが肝要です。

たとえば、今やリモートワークをしている方も多いでしょうが、自身が懸念するところをピックアップして、上司にレポートを配信するという方法であれば、面と向かって提起するよりは、ハードルが低いのではないでしょうか。上司の方と課題・問題を共有して、上層部に提言できるようになれば、徐々に改善されることもあるはずです。基本的なことですが、外部投資家や金融機関の判断材料が“吉”であるからこそ、資金調達もスムースになり得るのです。

財務スタッフだからこその、BCPの取り組みを、ぜひ、模索・実行してみてください。

 

アフターコロナでV字回復するために・・・

職場にいれば、目の前の仕事を遂行しなければなりません。たとえ、リモートワークに当たっていても、集中する時は、“コロナ”の三文字など消え失せることもあるでしょう。ただ、休憩をはさむ際、あなたの脳裏に浮かぶのはどんなことでしょうか?こうした事態の中で、自社の組織体質の程がいかがなものなのか、自身なりに思い返すことは、時間を有効に活用する意味においても、お勧めしたい点です。

たとえば、コアな情報が上層部のみで共有されているためにスタッフクラスまで届かない、各部署での活動が良くわからない、といったような嫌いはないでしょうか?もしわずかでも思い当たるところがあれば、あなたから社内システム改訂など具体的な改善策を提起する必要があるでしょう。絶対に避けるべきは、元の木阿弥になること。アフターコロナが訪れた際、またもや同じような課題・問題点など生じていたのなら、あなたが身を置く企業は、学習能力すらないと捉えましょう。

BCPを通常モードに落とし込み、どのような策を講ずれば、V字回復を図ることが出来るのか・・・あなたが自身で思案・企画するのは、自由のはずです。どうか遠慮せず前に出て、実践してください!

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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