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2020.08.13 掲載 2025.10.21 更新

【事例】BPOとは?アウトソーシングとの違いやコスト削減などのメリットを解説

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業の業務プロセスを外部の専門業者に委託する経営手法で、人手不足や働き方改革が求められる現代において、自社のリソースをコア業務に集中させ、企業競争力を高める有効な手段です。

本記事では、BPOの基本的な意味やアウトソーシングとの違い、導入に適した業務内容、コスト削減や業務効率化といったメリット、さらに実際の導入事例まで網羅的に解説します。

この記事の目次

BPOとは

BPO(Business Process Outsourcing・ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、企業が自社の業務プロセスの一部を、専門的な知識や技術を持つ外部の事業者に委託することを指します。単なる作業の外注ではなく、業務プロセス全体の設計から運用、改善までを包括的に委託する経営手法です。

BPOでは、委託先の事業者が業務の企画や設計段階から関与し、より効率的な業務フローの構築や、継続的な改善提案を行います。
これにより、企業は自社のコア業務に経営資源を集中させることができ、競争力の強化につながります。

具体的には、人事、経理、カスタマーサポート、IT関連業務など、企業活動における幅広い業務がBPOの対象です。近年では、働き方改革の推進や人材不足の深刻化により、BPOを活用する企業が増加傾向にあります。

BPOとアウトソーシングとの違いとは?

BPOとアウトソーシングは混同されがちですが、委託する範囲と関与の深さに明確な違いがあります。

項目BPOアウトソーシング
委託範囲業務プロセス全体特定の作業や業務
関与の深さ企画・設計から運用・改善まで主に実行作業のみ
期間中長期的な契約が一般的短期から長期まで様々
改善提案継続的な業務改善を実施基本的には依頼された作業のみ
責任範囲業務全体の成果に責任を持つ委託された作業の実施に責任を持つ

アウトソーシングが「特定の作業を外部に任せる」ことを指すのに対し、BPOは「業務プロセス全体を戦略的に委託する」という点で大きく異なります。BPOでは業務の分析や改善提案を行って、より効率的な業務運営を実現することができます。

例えば、経理業務の場合、アウトソーシングでは「請求書の入力作業」など特定の作業のみを委託しますが、BPOでは経理業務全体のフローを見直し、システム導入や業務プロセスの再設計まで含めて委託し、継続的な改善を図るという違いがあります。

BPOの運用形態

BPOの運用形態は、業務を実施する場所によって大きく2つのタイプに分類されます。企業の業務内容やセキュリティ要件、コスト面での優先事項に応じて、最適な運用形態を選択することが重要です。

運用形態の選択は、業務の機密性、委託先とのコミュニケーション頻度、初期投資とランニングコストのバランスなどを総合的に判断して決定しますが、2つのタイプを組み合わせたハイブリッド型を採用する企業も増えています。

オンサイト型

オンサイト型は、BPO事業者のスタッフが委託元企業のオフィス内で業務を行う運用形態です。専門スタッフが自社に常駐し、社内環境で業務を実施します。

この形態の最大のメリットは、委託元企業との密接なコミュニケーションが可能になることです。業務に関する質問や調整が即座に行えるため、業務の品質管理がしやすく、機密性の高い情報を扱う業務にも適しています。また、自社の企業文化や業務フローを理解してもらいやすく、スムーズな業務遂行が期待できます。

一方で、常駐するスタッフが使用する作業スペースや設備を用意する必要があり、初期費用や運用費が高くなる傾向があります。人事、経理などの機密性が求められる業務や、頻繁な社内調整が必要な業務で採用されることが多い形態です。

オフサイト型

オフサイト型は、BPO事業者が自社の拠点やセンターで業務を行う運用形態です。
委託元企業は作業場所を提供する必要がありませんので、コスト効率の高さが大きなメリットです。
委託元企業はオフィススペースや設備への投資が不要ですし、委託先は複数のクライアントの業務を集約して効率的に運営できるため、比較的低コストでサービスを提供できます。また、事業者が整備した専門的な業務環境や最新のシステムを活用できる点も魅力です。

オフサイト型では、データ入力業務、コールセンター業務、定型的な経理処理など、標準化しやすい業務が適しています。近年では、セキュアな通信環境やクラウドシステムの発展により、機密性の高い業務でもオフサイト型を採用する企業が増えています。

ただし、物理的な距離があるため、対面でのコミュニケーションが取りにくく、業務の進捗状況や品質の確認には工夫が必要です。定期的なオンラインミーティングや報告体制の整備が重要となります。

BPOの契約形態

BPOの契約形態は、費用の算定方法や契約の柔軟性によっていくつかのタイプに分類されます。企業の業務特性やコスト管理の方針に応じて、最適な契約形態を選択することが重要です。

契約形態特徴メリット適した業務
従量課金型処理件数や時間に応じて費用が変動業務量の変動に柔軟に対応でき、無駄なコストが発生しにくい季節変動のある業務、問い合わせ対応
月額固定型毎月一定の料金を支払うコストが予測しやすく、予算管理が容易業務量が安定している定常業務
成果報酬型達成した成果に応じて報酬を支払う成果に直結するため費用対効果が明確営業支援、マーケティング業務
ハイブリッド型基本料金と従量課金を組み合わせる安定性と柔軟性のバランスが取れるベース業務量があり変動もある業務

従量課金型は、処理した件数や稼働時間に応じて費用が決まる契約形態で、業務量の繁閑差が大きい企業や、BPOを初めて導入する企業に適しています。コールセンター業務やデータ入力業務など、件数で測定しやすい業務でよく採用されています。

月額固定型は、業務量に関わらず毎月一定の金額を支払う契約形態ですので、予算管理がしやすく、長期的なコスト計画が立てやすいというメリットがあります。経理業務や人事業務など、業務量が比較的安定している業務に向いています。

成果報酬型は、設定したKPI(重要業績評価指標)の達成度合いに応じて報酬を支払う契約形態です。委託先のモチベーション向上につながり、成果に直結した費用対効果が期待できますが、成果の測定方法や評価基準を明確にしておくことが重要です。

実際には、これらの契約形態を組み合わせたハイブリッド型を採用する企業も多く、基本料金と従量課金を組み合わせることで、コストの予測可能性と業務量変動への柔軟性を両立させることができます。

BPOの導入が注目される理由

近年、企業規模を問わずBPOの導入が急速に進んでいます。その背景には、日本企業を取り巻くビジネス環境の大きな変化があります。

深刻な人手不足

総務省の統計によれば、日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続けており、多くの企業が必要な人材の確保に苦戦しています。特に専門性の高い業務や定型的なバックオフィス業務において、適切な人材を採用・育成することが困難になっています。

働き方改革による業務効率化

働き方改革の推進により、長時間労働の是正や業務効率化が企業に求められるようになりました。従業員の労働時間を削減しながらも生産性を維持・向上させるためには、ノンコア業務を外部に委託し、社員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を整える必要があります。

DXの加速

デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速も、BPO導入を後押しする要因となっています。企業が競争力を維持するためには、最新のテクノロジーやデジタルツールを活用した業務改革が不可欠ですが、自社で全ての技術やノウハウを保有することは現実的ではありません。
BPO事業者は最新の技術やシステムを導入しているため、それらを活用することで効率的にDXを推進できます。

リモートワークの普及

新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークやテレワークが急速に普及しました。これにより、業務の場所に縛られない働き方が一般化し、業務プロセスの見直しやアウトソーシングの検討が進みました。オフサイト型のBPOサービスは、このような環境変化にも柔軟に対応できる選択肢として注目されています。

柔軟なコスト調整が可能

コスト管理の観点からも、BPOは重要な経営戦略となっています。固定費である人件費を変動費化することで、事業規模や業務量の変動に応じた柔軟なコスト調整が可能になります。特に景気の不透明感が続く中、経営の柔軟性を確保することは企業にとって大きな課題です。

グローバル化による企業間競争の激化

限られた経営資源を自社の強みであるコア業務に集中させ、競争優位性を確保することが、企業の生き残りに直結します。BPOを活用することで、経営資源の最適配分を実現し、市場での競争力を高めることができます。

これらの複合的な要因により、BPOは単なるコスト削減の手段ではなく、企業の持続的成長を支える重要な経営戦略として位置づけられるようになっています。

BPO導入に向いている業務内容

BPOは様々な業務分野に適用できますが、特に効果を発揮する業務領域がありますので、高い効果が期待できる代表的な5つの業務分野について、具体的な業務内容と導入効果を解説します。

IT関連業務

IT関連業務は、専門性が高く技術の進化が早く、社内でIT人材を確保し続けることは、採用や育成コストの面で大きな負担となるため、BPOに適した業務領域と言えます。

BPO導入が効果的なIT関連業務には、システム運用・保守、ヘルプデスク対応、ネットワーク監視、サーバー管理などがあります。また、システム開発やインフラ構築といったプロジェクトベースの業務もBPOの対象となります。

業務内容主な作業期待される効果
システム運用・保守サーバー監視、障害対応、バックアップ管理24時間365日の監視体制構築、専門技術の活用
ヘルプデスク社内問い合わせ対応、トラブルシューティング対応品質の標準化、コスト削減
システム開発アプリケーション開発、テスト、保守開発リソースの柔軟な確保、最新技術の導入

特に中小企業では、高度なIT人材を常時雇用することが難しいため、BPOを活用することで最新の技術力とサービス品質を確保でき、急激な業務量の変動にも柔軟に対応できるようになります。

人事業務

人事業務は定型的な作業が多い割に専門知識を必要とする業務が混在しているため、BPOとの相性が良い領域です。給与計算や社会保険手続きなどの定型業務から、採用支援や人材育成まで、幅広い業務がBPOの対象となります。

給与計算業務では、毎月の給与計算、賞与計算、年末調整といった繰り返し発生する業務をBPO事業者に委託することで、計算ミスの削減と人事担当者の負担軽減を実現できる上、法改正への対応も事業者が行うため、常に最新の法令に準拠した処理が可能です。

採用業務では、求人票の作成、応募者管理、面接日程調整、入社手続きなどをBPO事業者に委託できます。特に繁忙期の採用活動では、BPOを活用することで採用担当者は候補者の見極めや面接といったコア業務に集中できます。

業務分類具体的な業務内容BPO活用のポイント
給与計算月次給与計算、賞与計算、年末調整法改正対応、計算精度向上、機密性の確保
社会保険手続き入退社手続き、各種保険の資格取得・喪失手続きの正確性、期限管理の徹底
採用支援求人媒体管理、応募者対応、面接調整採用業務の効率化、候補者体験の向上
研修運営研修企画、教材作成、実施サポート専門的な研修プログラムの提供

労務管理業務においても、勤怠管理、就業規則の整備、労使協定の締結支援など、専門知識が必要な業務をBPO事業者に委託することで、業務が標準化され、見える化されるので法令違反のリスクを低減できます。

経理業務

経理業務は正確性が求められる上に月次・年次で繰り返し発生する定型業務が多いため、BPO導入による効果が高い業務領域です。特に記帳代行、請求書処理、経費精算といった日常的な業務は、BPOの対象として最適です。


記帳代行

日々の取引データの入力、仕訳処理、帳簿作成などを専門知識を持つスタッフが処理するため、記帳の正確性が向上し、決算業務もスムーズに進められます。


請求書の発行・処理

請求書の作成、送付、入金確認、消込処理といった一連の業務をBPO事業者に委託できます。特に取引先が多い企業では、請求業務の負担が大きいため、BPOによる効率化効果が顕著に表れます。


経費精算業務

申請内容のチェック、勘定科目の仕訳、承認フロー管理などをBPO事業者が代行します。経費精算システムと連携することで、さらに効率的な処理が可能となります。

業務内容作業範囲導入効果
記帳代行仕訳入力、帳簿作成、試算表作成記帳精度の向上、決算準備の効率化
請求書処理請求書発行、送付、入金管理、消込請求漏れ防止、入金管理の確実性向上
経費精算申請内容確認、仕訳処理、支払処理精算業務の迅速化、不正防止
買掛金管理支払予定管理、支払処理、債務残高管理支払漏れ防止、キャッシュフロー管理

決算業務の一部もBPO可能です。月次決算資料の作成や、決算整理仕訳の処理などを委託することで、経理担当者は財務分析や経営層への報告といった、より付加価値の高い業務に注力できます。

営業業務

営業業務においては、営業担当者が本来注力すべき「商談や顧客との関係構築」といった業務以外の、営業事務や営業支援業務がBPOの対象となります。これにより、営業担当者は売上に直結する活動に集中できます。
(製造業など、開発や製造する機能はあるものの営業機能がない会社もあります。その場合、営業そのものをBPOとする経営判断もありえます。)

テレアポ業務は、新規顧客へのアプローチや、既存顧客へのフォローコールなどを専門のオペレーターが担当し、トークスクリプトの作成から実施、結果のレポーティングまでを一貫して提供します。

営業事務業務では、見積書や提案書の作成、受注処理、顧客データの入力・管理などをBPO事業者が担当します。

リード(見込み客)管理業務では、展示会やWebサイトから獲得した見込み顧客情報の整理、スコアリング、ナーチャリング活動などをBPO事業者が実施します。

業務分類主な業務内容期待される成果
テレアポ・インサイドセールス新規顧客開拓、アポイント獲得、顧客育成商談機会の増加、営業効率の向上
営業事務見積書作成、受注処理、データ入力営業担当者の負担軽減、処理スピード向上
顧客データ管理CRM入力、データクレンジング、分析データ品質向上、営業戦略の精度向上
営業資料作成提案書、プレゼン資料の作成・更新資料品質の標準化、作成時間の短縮

カスタマーサクセス業務も、BPOの対象として注目されています。既存顧客のオンボーディング支援、定期的なフォローアップ、利用状況の分析などを委託することで、顧客満足度の向上と解約率の低減を実現できます。

コールセンター業務

コールセンター業務は顧客対応の専門性が高く、設備投資や人材育成にコストがかかるため、多くの企業がBPOを活用しています。

インバウンド業務では、顧客からの問い合わせ対応、注文受付、テクニカルサポート、クレーム対応などを行い、BPO事業者は、応対品質の管理、オペレーターの教育、FAQの整備などを含めた包括的なサービスを提供します。繁忙期と閑散期でも、柔軟な人員配置が可能です。

アウトバウンド業務では、顧客への架電によるキャンペーン案内、アンケート調査、支払い督促などを実施します。コール結果のデータ化と分析により、マーケティング活動や営業戦略の改善にも活用できます。

業務タイプ具体的な対応内容BPO活用のメリット
カスタマーサポート製品・サービスの問い合わせ対応、使い方説明24時間対応の実現、対応品質の安定化
テクニカルサポート技術的な問題の診断、トラブルシューティング専門知識を持つオペレーターの確保
受注受付電話・メールでの注文受付、在庫確認受注機会の最大化、処理の正確性向上
テレマーケティングキャンペーン案内、市場調査、アポイント獲得効率的なアプローチ、成果の可視化

近年では、電話対応だけでなく、メール、チャット、SNSなど複数のチャネルに対応するマルチチャネルコールセンターのBPOも増えており、企業側は各チャネルの問い合わせを統合管理できます。

また、AIやチャットボットとの組み合わせにより、よくある質問は自動応答で処理し、複雑な問い合わせのみをオペレーターが対応するハイブリッド型のコールセンターも実現されています。これにより、コスト削減と顧客満足度向上の両立が可能となっています。

BPO導入する4つのメリット

BPO(Business Process Outsourcing)を導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。ここでは、BPO導入によって得られる4つの主要なメリットについて詳しく解説します。

リソースをコア業務に集中させられる

BPOを導入する最大のメリットの一つは、自社の限られたリソースをコア業務に集中できることです。ノンコア業務を外部の専門業者に委託することで、社内の人材や時間、予算を本来注力すべき事業に振り向けることが可能になります。

例えば、経営層や管理職は経営戦略の立案や新規事業の開発、顧客対応の質向上など、企業の成長に直結する業務により多くの時間を割くことができますし、従業員は定型的な業務から解放されることで、より創造的で付加価値の高い業務に集中でき、仕事へのモチベーション向上や離職率の低下にも効果が期待できます。
特に中小企業やベンチャー企業では、限られた人員で多くの業務をこなす必要があるため、このメリットは非常に大きいといえます。

専門業者のスキルを活用できる

BPO事業者は特定の業務分野において高度な専門知識と豊富な経験を持っていますので、既に確立されたノウハウやスキルを活用できることは大きなメリットです。

特にIT関連業務や法務、税務といった専門性の高い分野では、常に最新の法改正や技術トレンドをキャッチアップする必要がありますので、自社で対応するよりも高品質なサービスを受けられます。

また、BPO事業者は複数の企業の業務を請け負っているため、業界のベストプラクティスや効率的な業務フローを熟知しています。こうした知見を自社の業務改善に活かすことで、業務品質の向上や新しい視点の獲得が可能になります。

専門分野活用できるスキル期待される効果
IT業務最新技術、セキュリティ対策、システム運用システムの安定稼働、セキュリティリスクの低減
経理業務税務知識、会計基準、財務分析正確な決算処理、税務コンプライアンスの確保
人事業務労務管理、採用ノウハウ、人材育成法令遵守、効率的な採用活動
コールセンター顧客対応、クレーム処理、データ分析顧客満足度の向上、対応品質の標準化

コストを削減できる

コスト削減効果は、多くの企業がBPOを検討する主要な理由の一つです。人件費や設備投資、教育研修費などの固定費を変動費化することで、経営の柔軟性が高まります。


人件費の削減効果

正社員を雇用する場合の、給与、社会保険料や福利厚生費、採用コスト、教育研修費などを含めて委託料として支払うことにより、全体として人件費を抑えることが可能です。


システム・インフラ投資の削減

例えば、コールセンター業務をBPO化すれば、電話システムの導入や専用オフィスの確保、管理システムの購入といった初期投資が不要になり、閑散期には必要な分だけのリソースを確保すれば良いため、固定費の圧縮に大きく貢献します。


業務の属人化による引継ぎコストの低減

業務の属人化を防ぐことで、従業員の退職時に発生する引き継ぎコストや業務停滞のリスクも軽減できます。BPO事業者は標準化されたプロセスで業務を遂行するため、担当者の交代による影響を最小限に抑えられます。

業務を効率化できる

BPO事業者は効率的な業務プロセスと最新のツールを活用しており、自社で業務を行うよりも高い生産性を実現でき、処理スピードの向上やミスの削減が期待できます。

例えば、給与計算や請求書処理といった定型業務では、BPO事業者が持つ自動化ツールやRPA(Robotic Process Automation)を活用することで、処理時間を大幅に短縮できます。人的ミスも減少し、業務の正確性が向上します。


データによる業務改善ができる

また、BPO事業者は業務の可視化とデータ分析にも優れています。業務プロセスの各段階でKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的なレポーティングによって、業務の改善点を明確に把握できます。こうしたデータに基づいた改善活動により、継続的な業務効率化が実現します。


柔軟なリソース配分ができる

さらに、24時間365日の対応が必要な業務でも、BPO事業者のシフト体制や複数拠点での運用により、効率的なサービス提供が可能になります。特にグローバル展開している企業では、時差を活用した業務運用により、業務サイクルの短縮と顧客対応の迅速化が図れます。

効率化のポイント具体的な施策効果
業務の標準化マニュアル整備、手順の統一化品質の安定、教育時間の短縮
システム化・自動化RPA導入、AIツール活用処理時間の削減、ミスの減少
データ分析KPI設定、定期レポート作成改善点の明確化、PDCAサイクルの実現
柔軟なリソース配分繁閑対応、複数拠点活用コスト最適化、サービスレベルの維持

これらのメリットを最大限に活かすためには、自社の課題や目的を明確にし、適切なBPO事業者を選定することが重要です。

BPO導入する4つのデメリット

BPOには多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておくべきデメリットも存在します。ここでは、BPO導入における主な4つのデメリットについて詳しく解説します。これらのデメリットを事前に把握し、適切な対策を講じることで、BPO導入の失敗リスクを軽減できます。

柔軟な対応ができない場合がある

BPOでは業務範囲や内容が明確に定義されているため、契約外の業務や急な仕様変更には迅速に対応できないケースがあり、業務の柔軟性が低下する可能性があります。
自社で業務を行っていれば即座に対応できる小さな変更でも、追加契約や変更手続きが必要になったり、契約内容によっては柔軟なリソース配分が困難になったりする場合があり、時間とコストがかかることがあります。

このため、契約時には将来的な業務変更の可能性を想定し、柔軟な対応が可能な契約条項を盛り込むことが重要です。

自社にノウハウが蓄積されない

BPOで外部に委託した業務に関する知識やスキルが自社内に蓄積されにくくなるという問題があります。これは長期的な視点で見ると、企業の競争力低下につながる可能性があります。

業務を丸投げしてしまうと、社内に業務を理解している人材がいなくなり、将来的に業務を内製化したい場合に再構築が困難になります。また、BPO事業者との契約終了や事業者の倒産など、緊急時に自社で業務を継続することが難しくなるリスクもあります。

特に、企業の競争優位性に関わる可能性のある業務については、完全にノウハウを手放してしまうことは避けるべきです。定期的な業務レポートの共有や、一部の業務を自社に残すなど、最低限のノウハウを社内に保持する仕組みを構築するようにしましょう。

セキュリティリスクがある

BPOでは顧客情報や企業の機密情報を外部の事業者に預けることになるため、情報漏洩のリスクが高まります。
個人情報を扱う業務や、企業の重要な戦略情報に関わる業務において深刻な問題となり、もしBPO事業者のセキュリティ管理体制が不十分な場合は、サイバー攻撃による情報流出、従業員による不正な情報持ち出しなどのリスクになってしまいます。実際に、BPO事業者を経由した情報漏洩事件は過去に複数発生しており、企業の信頼を大きく損なう結果となっています。

オフショア型のBPOを利用する場合は、データの保管場所や通信経路における安全性にも注意が必要です。国によってはデータ保護に関する法規制が異なるため、コンプライアンスの観点からも慎重な検討が求められます。

セキュリティリスク具体的な内容対策例
情報漏洩顧客情報や機密情報の外部流出秘密保持契約の締結、ISO27001等の認証確認
不正アクセスサイバー攻撃による情報窃取暗号化通信の徹底、多要素認証の導入
内部不正BPO事業者の従業員による不正行為アクセス権限の厳格な管理、監査の実施

これらのリスクを軽減するためには、プライバシーマークやISMS認証を取得している事業者を選定することや、契約時にセキュリティ要件を明確に定義し、定期的な監査を実施することが重要です。

想定よりも無駄な費用がかかる

BPO導入の大きな目的の一つはコスト削減ですが、実際には想定以上の費用がかかってしまうケースも少なくありません。初期導入コストや運用中の追加費用により、期待した費用対効果が得られない可能性があります。


初期導入費用

BPO導入時には業務の洗い出しや標準化、マニュアル作成、システム連携などの初期投資が必要ですが、これらの準備作業には相応の時間と費用がかかり、小規模な業務委託では初期投資を回収できない場合もあります。


運用費とオプション費用

運用開始後も、契約に含まれない業務が発生した際の追加費用や、業務変更に伴う改修費用などが予想外に発生することがあります。特に、業務範囲が曖昧なまま契約を結んでしまうと、「これは契約に含まれていない」という事態が頻発し、都度追加料金が発生する可能性があります。
特にオンサイト型は、オフィスに委託先スタッフが常駐するため、人数分の「チャージ費」がかかるため、想像以上にコスト高になることあります。
チャージ費は、確実に日本の最低賃金以下の費用にはなりませんので、見落としがちなポイントです。


管理コスト

BPO事業者との調整やコミュニケーションに必要な社内リソースも考慮する必要があります。定期的な報告会議や、品質チェック、問題発生時の対応などに自社の人員を割かなければならず、これらの間接的なコストを見落としてしまうケースもあります。

費用項目発生タイミング見落としやすいポイント
初期導入費用契約開始時業務標準化、システム連携、研修費用
月額基本料金運用期間中最低契約期間、自動更新条項
追加オプション費用必要に応じて契約外業務、繁忙期対応、緊急対応
管理コスト運用期間中社内管理担当者の人件費、品質チェック
契約解除費用契約終了時解約違約金、業務引き継ぎ費用

これらの想定外の費用を避けるためには、導入前に詳細な業務分析を行い、契約範囲を明確に定義することが重要です。また、見積もり段階で隠れたコストがないか十分に確認し、複数の事業者から相見積もりを取ることで適正価格を把握することも有効です。

BPOを導入する時の注意点

BPOを導入する際には、メリットを最大化しデメリットを最小限に抑えるため、導入前の準備から契約、運用開始後まで、各段階で慎重に検討すべきポイントを理解することが成功への鍵となります。

委託する業務の範囲を明確にする

どの業務をどこまで委託するのか、その範囲を明確に定義することが極めて重要です。曖昧な範囲設定は、後々のトラブルやコスト増加の原因となります。

委託範囲を決定する際は、現在の業務プロセスを細かく分析し、どの工程を外部に任せ、どの工程を社内に残すかを明確にしましょう。例えば、経理業務であれば「請求書の発行までは委託するが、最終的な承認は社内で行う」といった具体的な線引きが必要です。

また、業務範囲とともに成果物の品質基準や納期、報告頻度なども明文化しておくことで、双方の認識のずれによるトラブルを防ぐことができます。

セキュリティ対策とコンプライアンスを確認する

BPOでは企業の機密情報や個人情報を外部業者に預けることになるため、セキュリティ対策とコンプライアンス体制の確認は必須です。特に個人情報保護法やマイナンバー法などの法令遵守は、企業の信頼性に直結します。

委託先業者が適切な情報セキュリティマネジメントシステムを構築しているかどうかを、プライバシーマークやISMS認証(ISO/IEC 27001)などの第三者認証取得の有無で確認し、データの保管場所、アクセス権限の管理方法、情報漏洩時の対応プロセスなども詳細に確認しておきましょう。

確認項目具体的なチェックポイント
認証・資格プライバシーマーク、ISMS認証、Pマークの取得状況
アクセス管理ID管理、アクセスログの記録、権限設定の方法
データ保管保管場所、暗号化の有無、バックアップ体制
インシデント対応情報漏洩時の対応フロー、報告体制、保険の有無

契約内容を詳細に詰める

BPOの契約書は業務遂行の基盤となる重要な文書です。曖昧な契約内容は後々のトラブルの原因となるため、細部まで詰めておく必要があります。

契約書には、業務範囲、納期、品質基準、料金体系、契約期間、解約条件、損害賠償の範囲、知的財産権の帰属、機密保持義務などを明記しましょう。特に料金については、基本料金だけでなく、追加作業が発生した場合の費用、業務量が変動した場合の料金調整方法なども具体的に定めておくことが重要です。

また、SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)を締結し、サービスの品質基準や対応時間、達成できなかった場合のペナルティなども明確にしておくと、双方の責任範囲が明確になります。

社内の理解と協力体制を構築する

BPO導入は、該当部署だけでなく組織全体に影響を与える変革です。社内の理解と協力が得られなければ、スムーズな導入は困難です。

経営層から現場の担当者まで、BPO導入の目的やメリット、業務の変更点などを丁寧に説明し、導入の理解を得ることが必要です。特に、業務を委託される部署の従業員は、自分の仕事がなくなるのではないかという不安を抱く可能性があるため、導入後の役割や今後のキャリアパスについても明確に示すことが重要です。

また、BPO業者との窓口となる社内担当者を明確に定め、適切な権限と責任を与えることも忘れてはなりません。

業務の標準化とマニュアル整備を行う

BPOを効果的に活用するためには、委託する業務が標準化されており、明確なマニュアルやガイドラインが整備されている必要があります。属人化した業務や、明文化されていない暗黙知に依存した業務は、外部委託に適していません。

導入前に業務プロセスを見直し、無駄な工程を削減するとともに、作業手順を文書化しましょう。業務フローチャートや作業マニュアル、判断基準などを整備することで、BPO業者への引き継ぎがスムーズになり、品質維持も容易になります。

また、標準化の過程で業務の無駄や改善点が明確になることも多く、BPO導入前から業務効率化のメリットを享受できる場合もあります。

段階的な導入を検討する

いきなり大規模な業務をBPOに移行するのではなく、まずは小規模な業務や一部の工程から段階的に導入することをおすすめします。段階的アプローチにより、リスクを最小限に抑えながら、自社に最適な運用方法を見つけることができます。

パイロット導入を行い、その結果を評価してから本格展開を判断することで、想定外の問題や課題を早期に発見し、対策を講じることが可能です。また、段階的導入は社内の抵抗感を軽減し、変革への適応を促進する効果もあります。

定期的な見直しと改善の仕組みを作る

BPOは一度導入したら終わりではありません。市場環境や事業戦略の変化に応じて、委託内容や契約条件を定期的に見直す必要があります。

定期的なレビューミーティングを設定し、業務の品質、コスト、納期などのKPIを評価しましょう。BPO業者からの改善提案も積極的に受け入れ、継続的な業務改善を図る姿勢も重要です。契約更新のタイミングでは、他社との比較検討も行い、より良い条件での契約を目指すことも検討すべきです。

柔軟な見直しと改善の仕組みを構築することで、BPOの効果を長期的に最大化することができます。

BPO導入成功事例3社を紹介

弊社FOCのBPOを実際に導入して成果を上げている企業の事例を紹介します。業種や規模、導入目的が異なる3つの事例を通じて、BPO導入の具体的な効果をご確認いただけます。

給与計算BPO 全日空商事株式会社

会社の人事制度の見直しに伴い、関連業務の再検証を行ったところ、定期的な処理業務に時間がとられていることにわかり、いかに社員を企画・立案・調整というコア業務に集中させるかが課題になっていました。

そこでFOCとともに社内で行うべき業務とアウトソーシングできる業務の整理し、アウトソーシングできる業務移管のための体制構築を行いました。

就業規則に沿ったクラウド型勤怠管理システムの導入、給与計算BPOを導入し、これまでの業務対応人数を1/3に縮小することができ、業務担当者を別のコア業務にシフトさせることに成功しました。

また、担当者交代時の引継ぎの短縮化(専門知識がなくても精度の高い人事業務を継続できる)を実現しました。

総務BPO 外資系コンサルティング会社

急激な社員増加にともない、複数拠点のオフィス増加、さらに管理部門の役割の変化があり、対応できる人員不足が課題になっていました。

総務庶務、メール室、施設管理、ドキュメントセンター運営など、FOCの総務BPOを導入することで、定型業務を集約し、一次対応を「カウンター対応」にする事により人員削減を図りつつ社員はコア業務に集中できるようになりました。

また、FOC内でチームを組成し、複数拠点の総務業務の情報連携が一元化することができ日々の問題や課題を早期発見・解決、業務効率化のPDCAを高速化することができました。

さらに会社の方針や業務拡大に伴い、会社・従業員のニーズを反映しつつ、拠点ごとのローカルルールを廃し、統一した環境構築しました。

結果、全国従業員への利便性の向上、品質の均一化を図ることができました。

経理BPO社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会

運営するグループホームにおいて、利用者ごとに請求金額が異なる設計になっており、現場担当者は利用者ごとに請求金額を算出する必要があり大きな負担になっていました。

そこでグループホームごとの家賃・光熱水費および一部の日用品費を合算、利用者ひとりあたりの請求額算出をアウトソーシングするとともにクラウド型の請求代行サービス(スマートインボイス)を活用し、請求書発行を自動化しました。

アウトソーシングとクラウドシステムを同時に活用することで請求額に基づき利用者の口座振替を行い、一部の現金徴収が不要になり、現場担当者の負担が削減されました。

これら3つの事例に共通するのは、BPO導入前に明確な目標設定を行い、導入後も継続的にパフォーマンスを測定・改善している点です。また、BPO事業者との密なコミュニケーションを維持し、自社のビジネス特性を理解してもらう努力を惜しまないことが、成功の鍵となっています。

BPO導入の流れ

BPOを効果的に導入するためには、計画的なステップを踏むことが重要ですので、実際の導入プロセスを段階ごとに詳しく解説します。

現状分析と課題の特定

まず自社の業務プロセスを詳細に分析し、課題を明確にすることです。この段階を疎かにすると、委託すべき業務の選定を誤り、期待した効果が得られない可能性があります。

各部門の業務内容を可視化し、工数や担当者、発生頻度などを詳細に洗い出したうえで業務フロー図を作成することで、どの業務にどれだけのリソースが投入されているかを把握できます。特に注目すべきは、定型的で繰り返し発生する業務、専門性が高く自社で対応が困難な業務、繁閑の差が大きい業務です。

次に、各業務のコストを算出します。人件費だけでなく、設備費、システム費用、教育研修費なども含めた総合的なコスト分析が必要です。この際、隠れたコストも見落とさないようにしましょう。

分析項目確認内容目的
業務内容の可視化各業務の工数、頻度、担当者委託候補業務の特定
コスト分析人件費、設備費、システム費用削減可能なコストの把握
品質評価エラー率、処理時間、顧客満足度改善余地の発見
リソース配分コア業務とノンコア業務の比率最適な人員配置の検討

課題の特定では、単に「忙しい」「人手不足」といった漠然とした認識ではなく、具体的な数値や事例に基づいて課題を明文化します。例えば、「経理業務に月間200時間を費やしており、本来注力すべき財務分析に十分な時間を割けていない」といった形で整理します。

この段階で、BPO導入の目的を明確にすることも重要です。コスト削減、業務品質の向上、コア業務への集中、専門性の確保など、何を最優先するのかを社内で合意形成しておくことで、後の委託先選定や効果測定がスムーズになります。

委託先選定の基準

適切な委託先を選定することは、BPO導入成功の鍵を握りますので、価格だけなく、複数の観点から総合的に判断することが大切です。

BPO事業者の実績と専門性

BPO事業者は自社が委託したい業務領域での経験が豊富か、同業界での導入実績があるか、どのような成果を上げているかを詳しく確認し、可能であれば既存顧客への参照照会を依頼して、実際の利用者の声を聞いてみましょう。


セキュリティ体制

セキュリティ体制も重要な選定基準ですので、特に個人情報や機密情報を扱う業務を委託する場合は、プライバシーマークやISMS認証などの第三者認証の取得状況、情報管理体制、従業員教育の仕組みなどを入念にチェックしましょう。 また、過去にセキュリティインシデントが発生していないかも確認しましょう。


サービス品質の担保方法

SLA(サービスレベルアグリーメント)でどのような品質保証がなされているか、品質が基準に達しなかった場合のペナルティ規定はあるか、継続的な品質改善の仕組みはあるかなどを確認しましょう。 また、業務量の変動やビジネス環境の変化に柔軟に対応できるかも重要なポイントです。繁忙期の増員対応、急な仕様変更への対応力、契約内容の見直しに対する柔軟性などを事前に確認しておきましょう。


RFP(提案依頼書)による公平な比較

複数の候補から選定する際は、RFP(提案依頼書)を作成し、同じ条件で提案を受けることで公平な比較が可能になります。提案内容だけでなく、担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさも、長期的な関係構築には重要な要素となります。

選定基準チェックポイント
実績と専門性同業界での導入事例、対応可能な業務範囲、保有資格
セキュリティ体制第三者認証取得状況、情報管理規程、従業員教育体制
サービス品質SLA内容、品質管理手法、エスカレーション体制
柔軟性業務量変動への対応力、カスタマイズ可能範囲
コミュニケーション報告体制、連絡窓口、対応スピード
費用体系料金の透明性、追加費用の有無、支払条件

運用形態の確認と契約形態を選ぶ

委託先が決まったら、業務の性質やセキュリティ要件、コスト、柔軟性などを総合的に考慮して具体的な運用形態と契約形態、料金体系を決定します。


運用形態の決定

運用形態には、主にオンサイト型とオフサイト型があります。
オンサイト型は、委託先のスタッフが自社のオフィスや指定施設内で業務を行う形態なので、直接コミュニケーションが取りやすく、機密性の高い業務にも対応しやすいメリットがあります。一方で、作業スペースや設備の提供が必要となるため、コストは比較的高くなります。

オフサイト型は、委託先の施設で業務を行う形態で、コスト削減効果が高く、委託先の設備やシステムを活用できるメリットがあります。ただし、情報の受け渡し方法やセキュリティ対策については、より慎重な設計が必要です。

近年では、両者を組み合わせたハイブリッド型や、在宅勤務を含むリモート型も増えています。業務の性質に応じて最適な形態を選択しましょう。


契約形態の決定

契約形態は、請負契約、委任契約、準委任契約のいずれかを選択します。
請負契約は成果物の完成に対して報酬を支払う形態で、データ入力やシステム開発など、明確な成果物がある業務に適しています。成果物が契約内容を満たさない場合は、委託先が責任を負います。

委任契約や準委任契約は、業務の遂行そのものに対して報酬を支払う形態で、コールセンター業務や経理業務など、継続的に発生する業務の処理に適しています。この場合、善良なる管理者の注意義務をもって業務を遂行する責任が委託先にあります。

契約形態特徴適している業務
請負契約成果物に対して報酬を支払う。業務遂行の指揮命令権は委託先にある明確な成果物がある業務、定型業務
委任契約業務の遂行に対して報酬を支払う。結果ではなくプロセスを重視専門的判断が必要な業務、コンサルティング
準委任契約事実行為の委託。業務の遂行そのものが目的継続的な業務処理、システム運用

料金体系の明確化

固定料金制、従量課金制、成果報酬制など、業務の性質に応じた適切な料金体系を選択し、業務量の増減に応じた料金の変動ルールや、追加費用が発生する条件なども明文化しておきましょう。

導入初期は、トライアル期間を設けることも効果的です。3ヶ月から6ヶ月程度の試行期間中に、実際の業務フローや品質、コミュニケーション体制などを検証し、問題があれば調整を行います。本格導入前にリスクを最小化できるため、多くの企業で採用されている方法です。

BPO導入を成功させる3つのポイント

BPOを導入しても、期待した効果が得られないケースも少なくありません。導入を成功させるためには、委託後の運用管理が非常に重要ですので、BPO導入を成功に導くための3つの重要なポイントを詳しく解説します。

定期的な効果測定とフィードバック

BPO導入後は、定期的に効果測定を行い、当初設定した目標が達成されているかを確認することが不可欠です。単に業務を委託するだけでなく、継続的にモニタリングすることで、問題点の早期発見と改善が可能です。

効果測定では、以下のような指標を定期的にチェックすることが重要です。

測定項目確認内容測定頻度の目安
コスト削減率委託前と比較した費用削減の達成度月次または四半期
処理時間・スピード業務処理にかかる時間の短縮状況月次
品質指標エラー率、顧客満足度、納期遵守率など月次
生産性向上コア業務へのリソース配分状況四半期

測定結果は数値化してレポートにまとめ、BPO事業者との定期的にミーティングを通じて共有しましょう。単に結果報告だけでなく、目標に達していない項目があれば原因を分析し、具体的な改善策を協議することが大切です。

また、現場の担当者からのフィードバックも積極的に収集してください。実際に業務連携している社員の声には、数値には表れない課題やヒントが含まれていることが多くあります。フィードバックループを確立することで、PDCAサイクルを効果的に回すことができます。

業務改善の継続的な実施

BPOは継続的な業務改善をすることが成功の鍵です。市場環境や事業戦略は常に変化するため、それに合わせてBPO業務の内容や範囲も見直していきましょう。

継続的な業務改善には、現状の業務プロセスを可視化し、どこにボトルネックや無駄があるのかを明確にし、BPO事業者に業務フローの見直しや効率化の提案を求めることも有効です。

具体的な改善活動としては、以下のような取り組みが効果的です。
• 業務プロセスの標準化とマニュアルの定期更新
• ITツールやシステムの導入による自動化の推進
• 委託範囲の拡大または縮小の検討
• 新しい技術やサービスの活用検討
• ベンチマーク分析による他社事例の参考

特に近年では、RPAやAIなどの技術革新が進んでおり、これらを組み合わせることでさらなる効率化が期待できます。BPO事業者が提供する最新のソリューションについて情報収集し、自社の業務に適用できるか検討することも重要です。

また、改善活動は一方的に要求するのではなく、BPO事業者と協働で取り組む姿勢が大切です。双方の知見を持ち寄ることで、より実効性の高い改善策を導き出すことができます。

事業者との長期的なコミュニケーション

BPOを成功させる最も重要な要素の一つが、委託先事業者との良好な関係構築です。単なる発注者と受注者という関係ではなく、同じゴールを目指すパートナーとして信頼関係を築くことが、長期的な成功につながります。

効果的なコミュニケーションには、双方で責任者と実務担当者を明確にし、連絡体制を整備すること、複数の部門が関わる場合は、情報共有の仕組みも構築しておくと良いでしょう。

定期的なコミュニケーションの場としては、以下のような機会を設けることが推奨です。

会議の種類目的頻度参加者
定例ミーティング日常業務の進捗確認と課題共有週次または月次実務担当者レベル
KPIレビュー会議目標達成状況の確認と評価月次または四半期責任者レベル
戦略ミーティング中長期的な方針や改善策の協議四半期または半期経営層・マネジメント層

また、緊急時や問題が発生した際の連絡方法についても、事前に取り決めておくことが重要です。エスカレーションフローを明確にし、迅速な対応ができる体制を整えておきましょう。

コミュニケーションにおいては、課題や不満を伝えるだけでなく、うまくいっている点についても積極的にフィードバックすることが大切です。良好な関係を維持することで、BPO事業者側のモチベーション向上にもつながり、より質の高いサービス提供が期待できます。

さらに、BPO事業者の担当者が変更になった場合でも、業務の質を維持できるよう、業務内容や要件を文書化し、引き継ぎがスムーズに行われるような仕組みづくりも必要です。契約書やSLAだけでなく、日々のコミュニケーションの中で認識を合わせていくことが、長期的なパートナーシップの構築には欠かせません。

まとめ BPO導入でコア事業推進を

BPOは、業務プロセスを外部の専門業者に委託することで、コスト削減や業務効率化を実現できる経営手法です。人事・経理・コールセンターなどのノンコア業務を委託することで、自社のリソースをコア業務に集中させ、競争力を高めることができます。

ただし、セキュリティリスクやノウハウの蓄積不足といったデメリットもあるため、委託先の慎重な選定と継続的なコミュニケーションが成功の鍵となります。

現状分析から始め、適切な運用形態と契約形態を選択し、定期的な効果測定を行いながらBPOを活用しましょう。

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マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「FOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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