財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第十五回】財務パーソンが“物言い”出来る貢献度&コツ。

 

財務パーソンが“物言い”できる組織文化なのか?

今回は財務部の“物言い”をテーマに記述しますが、何となく、キツイ印象を持つ方も多いのではないでしょうか?特に財務部内でも、スタッフクラスの場合、他部署に対し“物言い”するなど、はばかられる・・と思う方も少なくないでしょう。しかしながら、財務体質の良し悪しは、言わずもがな企業にとっての最優先課題であるため、財務パーソンの気づきや意見を発信するのは、ごく当たり前のことであると捉えるべきです。

さて、あなたが勤務する財務部はいかがでしょう。あなたを含めた財務部門の方々が、適宜、部内や他部署、ひいては経営陣らに対し、“物言い”出来て、相手方が耳を傾けてくれるような組織文化が形成されているでしょうか。じっくりと振り返りながら本項を紐解いてみてください。善処するところが見えてくるかもしれません。

 

“物言い”は、財務部の機能としても、重要な位置。

財務部が担う仕事は様々な種類がありますが、その多くは、経営状況が示されているデータを取り扱ったり、ステークホルダーからの評価をチェックしたり等々、自社の企業価値に大きく関わるものばかりなので、淡々と事務処理をこなすだけで完結するようなものは、ほとんど存在しないのではないでしょうか。しかしながら、あなたが担当する職務を通し、何らかの気づきがあったとしても、公表する機会がない、或いは、そんなことすら考えたことがない、といった状況なのだとしたら、危険信号です。

そうは言っても、一財務スタッフの立場では、前進が難しいと思われる方もいるかもしれません。そんな方々のために、ポイント3点を以下に示します。参考にして、実践してみてはいかがでしょうか。

 

◆POINT1:財務部としての役割が理解されているか?振り返る。

ファーストステップでは、自社内において、財務部の役割が理解されているか否か、振り返ることからスタートを切りましょう。今回のテーマである“物言い”は、相手方が財務部の役割を理解していなければ、受信することなど困難なのは言うまでもありません。

まずは、あなたが担当している職務を突き詰めて見直し、どのようなステークホルダーと繋がっているのか、再考してみましょう。そこで、不明点が生じたのであれば、早急にあなたの先輩・上司と意思疎通を図りながら、確認することが肝要です。こうすることで、あなたの役割が明確になり、今後はどのような点をどの部署に対して発信すれば、自身の職務が効果的に機能するか、見えてくることもあるでしょう。

そして、具体案を財務部門内で提言すれば、他の財務部員も自身の職務を見直すきっかけとなり、ひいては各人がどの部署に対し意見などを発信し、貢献できるかといった本質的なことを模索するのではないでしょうか。

財務スタッフクラスが自社全体に影響を及ぼすことは、ハードルが高いイメージがあるでしょうが、部内会議などの場であれば、それ程でもないでしょう。あなたが口火を切ることで、財務部全体が影響を受け、ひいては、他部署への貢献度アップに繋がることも十分にあり得るのです。

※ あなたの職務とステークホルダーとの繋がりを見直す→どの部署に意見発進するか?見えてくる!

 

◆POINT2:気づきやすい環境を整えているか?

多くの財務スタッフは、専用システム等を活用して、どんなデータの中で何を分析するか、既に与えられた役割があるでしょうが、そればかりではなく、あなた自らがデータ変動に気づきやすい環境を整えることで、更なる貢献度アップが期待できるはずです。

たとえば景気動向や今般生じたコロナショック、或いはM&Aの導入、人々の嗜好の変化等々、これらの影響により、自社の財務データがどのように変動し、今後はどのような方策を下すべきか、といった議論は財務部内で十分になされているでしょうか?

もし、不十分だと感じられたのであれば、あなたが常日頃、担当しているデータを見つめ直し、何が影響すれば変動するのか、相関性などを探り、独自の視点でデータを見やすく加工することで、“実績が期待値に近い”、或いは、“乖離があるため、方策を変更した方が良い”等々、これまで気づかなかったことが、あぶり出されるかもしれません。与えられた役割のみならず、あなたの視点からの分析を加えることで、財務部内の機能性が強化され、更に関連部署へ価値ある“物言い”が可能になることも十分にあり得るのです。

まずは実行!一歩踏み出してみてください。

※ 常日頃担当しているデータ。何の変動と相関性などがあるのか? 気づきやすい環境を整える!

 

◆POINT3: テクニックも工夫しているか?

最終ポイントは、“物言い”をする際のテクニックについてです。こちらについても、これまでの方法を振り返り、軌道修正を加えて実践にあたりましょう。以下に基本的なところを記しました。参考にして進めてみてはいかがでしょうか。

 

1.専門用語を出来るだけ避け、解りやすい表現を用いているか?

財務パーソンであれば、解って当然のことでも、他部署からすれば、専門的でピンとこない表現があるかもしれません。

たとえば、ROE,ROAと言った、財務パーソンであれば基本中の基本である用語についても、『株主から預かっている出資金を自社は、何パーセントの利回りで運用している』、『出資金に借入金なども加えると、何パーセントの利回りで運用している』と表現した方が、リアリティを感じてくれるかもしれません。大抵の部署の方が理解できる表現方法を用いるようにして、説得力を高めましょう。

 

2.前年度・同業他社など比較しやすいデータも添えているか?

POINT2にて、データ分析について記述しましたが、相手方に伝える場面も、前年同月分の推移や同業他社がどれくらいなのか、といった比較要素がなければ、解りづらいのは言うまでもありません。これまでの提示資料について、比較できるデータが添えられていないために、解りづらいものがなかったか、慎重に振り返り、改編が必要なところは早急に当たる必要があるでしょう。

 

3.相手の立場になったプレゼン術を取り入れているか?

言わずもがな、相手があってこその“物言い”です。相手の立場になってプレゼンテーションすることは、ビジネスマナーの一つであると言っても過言ではなないでしょう。

以下に示した①~③が押さえられているか振り返り、不足なところを補ってはいかがでしょうか。

①相手が注目しているところから、取り上げる。

財務部側が伝えたい内容を力説するばかりではなく、相手方が直接関わっていることを加えることも肝要です。たとえば、営業部門であれば商品・サービスごとの利益率、資材部であれば材料ごとの棚卸数とキャッシュフローの推移といった、相手方にとってリアリティある内容であれば、より興味を持って聞いてくれる効果が高まるでしょう。改善行動に当たる可能性が大いに高まる期待も出来るはずです。

②短時間で伝えることを心掛ける。

財務パーソンのあなたも他部署の方々も限られた時間内で職務に当たっているわけですから、短時間で済ませる手法は外せないでしょう。ただ、注意点は後回しにしないこと。忙しいからと言って後日に延期するなど、時間が経過すればするほど、伝えたい事柄が陳腐化される危険性が高まります。事前に伝えたいことを箇条書きにして、メールやチャット機能を使って配信する、アナログな電話も加えて聴覚に訴えるようにするなど、工夫を施して時間を節約し、相手方が確実に受信してくれる方法を模索しましょう。

③次回のプレゼン内容を予告する。

“継続は力なり”はここでも当てはまるでしょう。財務パーソンの“物言い”が一過性のものであれば、存在感が薄くて、効果は期待できません。よって、プレゼン終了後は、次回の課題や用意して頂きたいもの、或いは、財務部に対してのリクエストなどを伝え、継続できるような体制を構築しましょう。

 

“物言い”は重要なアウトプットの一つ!

然るべき部署に対して、現況を発信しなければ、相手方が改善行動を執ることなど困難です。よって、“物言い”は財務部門の重要なアウトプットの一つとして、機能させる必要があるでしょう。これまでの記述を参考にされ、あなたが勤務する財務部門内で不足点が感じられたのであれば、同僚らと意見交換したり、部内会議で発信したり、諦めることなく、善処に当たってください。

たとえわずかな一歩でも、より良い方向を意識しながら進めていけば、一年後はかなり進展しているのではないでしょうか。

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

関連シリーズを見る

関連サービス詳細を見る