財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第十六回】財務パーソンの実行力が光る!立ち位置とは?

 

財務パーソンに求められる実行力とは?

財務部は専門知識を有したエキスパートの集合体ですが、その一方では、収益に直結していない間接部門と捉えられているのが、自明の事実です。しかしながら、財務部は、あらゆるステークホルダーの声に応えるべく、自社の企業価値を高める活動を担うので、有効な実行力を投ずれば、“間接部門”との声も消え失せるくらいの貢献度も発揮出来るはずです。

さて、あなたならびに周囲の財務スタッフの実行力の程はいかがでしょうか?既に活躍されている方も多いでしょうが、本項も参考にして読み進めてください。

 

段階を踏みながら、実行力を発揮する!

財務部門の中でも、スタッフクラスの方であれば、日々、定型業務が密に組み込まれているケースが少なくないでしょう。よって、”実行力”と聞くと、ハイレベルな上、取り組むこと自体、困難なのでは?・・・と懸念する方もおられるかもしれません。しかしながら、“実行する”といった動詞一つにしても、あなたの職務の中で、十分に出来得ることがあるはずです。

たとえば、あなたが取り扱う財務データの中で、著しい変動が生じているものがあると気づいたとしましょう。そこで、あなたが何かしらのアクションを起こさなければ、自社の企業価値にもダメージが及ぶかもしれない、と危機感を持つのは、財務パーソンとしての基本姿勢です。次に実行力を発揮して、どうすれば良いのか?といった場面転換に移りますが、階段を一歩ずつ上り、ステップアップするようなイメージで取り組んでみてはいかがでしょうか。

方法は多種多様ですが、ヒントとして、お勧めしたい3ステップをお送りします。

◆STEP1:現況を『傾聴』する。

言わずもがな、財務データは景気変動や社会情勢といった外部環境の変化のみならず、経営方針転換や取引業者交代、人事異動による配置転換等々、内部環境も影響して変動します。よって、財務スタッフのあなたは、自社内におけるその変動の起因と思われるところに対し、実情を傾聴することは可能ではないでしょうか。

たとえば、原価率が変動しているのであれば、資材部や製造部。商品・サービスの売上構成比率が変動しているのであれば、営業部やマーケティング部といったように関連性が高いと思われるセクションに足を運び、現場スタッフの声を掬い上げることで、データの裏付けになるような現況や、時にはあなたの考察とは異なるような、リアル事情に触れる機会も得られるかもしれません。ひいては、あなたが傾聴した内容をまとめて、財務部内に情報共有したり、先の予測を立てて、危惧されるようなところを財務マネージャーにレポートしたり等の行動を執ることで、他の財務部員らも自身の職務を通して、講ずべきことが表出するでしょう。

まずは、このファーストステップを踏んでみてはいかがでしょうか。実行力はこの段階においても、十分に発揮できるはずです。

◆STEP2:あなたの知見で『検証』する。

次のステップは、前述したファーストステップより少しレベルが上がり、視野を広めて、データの裏を『検証』する場です。既に財務部内では、日々、検証作業が行われているでしょうが、貴方の知見で目の前の数値を改めて検証すれば、実感が湧くこともあるでしょうし、中には上層部が見落としている事柄が見つかるかもしれません。

たとえば、事業計画とはかけ離れていない実績が上がっているか、調達した資金は予定通りの利回りで運用されているか否か、といった検証作業はどちらかと言えば定番なので、多かれ少なかれ、ルーティンワークの位置になりがちです。そこで、データ入力や集計などの実務に当たっている、あなたならではの視点で検証をすれば、“全体的に計画値を上回っていても、品目ごとの実績値には、ムラがある”或いは、“調達資金の利回りも月次で検証すれば、波がある”などの実態が浮き彫りになるかもしれません。こうしたあなたの気づきを、関連するセクションや上層部に情報共有することで、各々の職務において、改善行動を起こすような契機にもなり得るでしょう。将来的には、自社全体の財務体質や経営改善にも寄与できるはずです。

あなたのキャリアアップにも繋がる検証作業です。勿論、財務知識の更なるインプットが必要な場合や、上司・先輩に相談しながら進める必要もあるでしょうが、出来るところから徐々に当たる価値はあるでしょう。

◆STEP3:ヒト・モノ・カネを活かした『創造』にも挑戦!

いよいよラストステップに相応しい実行力の発揮どころ。それは、『創造』する場です。財務部門は間接部門に違いないでしょうが、『傾聴』⇒『検証』に続く次の上段階では、正にあなた自身に内在する実行力をフルに活かし、創造してみることにも挑戦してみましょう。企業によっては、新規事業に参入したり、或いは今般のコロナショックにより、経営規模の縮小に踏み切ったりなど、自社の発展・持続のため然るべき手段を講じているところも少なくないでしょう。まずは、こうした自社の経営動向をあなたならではの視点で俯瞰し、出来ることを模索してはいかがでしょうか。もし、あなた単独で講ずることが難しいと思われたなら、他の間接部門と連携しながらの取り組みであれば、奏功するかもしれません。

たとえば、総務部スタッフと連携して、遊休資産の有無を精査し、該当するものがあれば、具体的な有効活用策を検討する。或いは、人事部と連携して、人材ごとのスキルにフォーカスし、より収益・利益向上に寄与できるような事業展開の企画策定に当たるなど、諸々のアイデアが創造されることもあるでしょう。

他部署との連携により、自社の経営方針にフィットした、ヒト・モノ・カネを躍動させるような行動展開が出来るかもしれません。

 

 

見方・考え方を僅かに変革すれば、”実行力“に繋がる!

冒頭でも記述したように、財務部門は間接部門ながら、専門知識を有したエキスパートの集合体です。よって、他のセクションに属する方から見れば、自分たちが置かれている現場とは別世界にあるものだと、捉えられてしまうかもしれません。しかしながら、もしそのような状況が常態化しているのであれば、財務部側が定期的に配信する財務資料についても、当事者意識を持って見つめるような姿勢すら期待出来ないのではないでしょうか。少しでも危惧されるのであれば、シビアですが、たとえあなたが一財務スタッフであったとしても、真摯に受け止めて、実行力を表す必要があると心して当たってみてください。

さて、あなたが担当している職務は何でしょう?その問いに対し、スタッフクラスの方の多くは、あまり代り映えのしないルーティンワークだと応えるかもしれませんが、見方・考え方をほんの僅かでも変革すれば、財務部門のみならず、関連のあるセクション、ひいては、経営陣らにまで影響を及ぼすような、実行力があなたの中に内在しているかもしれないのです。もし、“ひょっとすれば、こうすれば・・・!”といったアイデアが表れたら、前進しない手はありません。

是非、あなたならではのステップを見つけ、実行力を輝かせてください!

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

関連シリーズを見る

関連サービス詳細を見る